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[インデックス 12705] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである html/template パッケージ内の src/pkg/html/template/content.go ファイルにおけるコメントの軽微な修正に関するものです。具体的には、コメント内の誤字("or example" を "for example" に修正)と、句読点(コロン ":" をコンマ "," に修正)の統一が行われています。

コミット

commit 4a59be00917f2da069f272053d70a8563f717b22
Author: David Symonds <dsymonds@golang.org>
Date:   Wed Mar 21 10:10:44 2012 +1100

    html/template: fix typo and make grammar consistent in comments.
    
    R=golang-dev, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5866044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/4a59be00917f2da069f272053d70a8563f717b22

元コミット内容

diff --git a/src/pkg/html/template/content.go b/src/pkg/html/template/content.go
index 539664f972..c1bd2e4949 100644
--- a/src/pkg/html/template/content.go
+++ b/src/pkg/html/template/content.go
@@ -26,10 +26,10 @@ type (
 	HTML string
 
 	// HTMLAttr encapsulates an HTML attribute from a trusted source,
-	// for example: ` dir="ltr"` .
+	// for example, ` dir="ltr"` .
 	HTMLAttr string
 
-	// JS encapsulates a known safe EcmaScript5 Expression, or example,
+	// JS encapsulates a known safe EcmaScript5 Expression, for example,
 	// `(x + y * z())`. 
 	// Template authors are responsible for ensuring that typed expressions
 	// do not break the intended precedence and that there is no

変更の背景

このコミットは、コードの機能的な変更ではなく、ドキュメンテーションの品質向上を目的としています。html/template パッケージは、ウェブアプリケーションにおいてクロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃を防ぐための重要なセキュリティ機能を提供します。このパッケージのコメントは、開発者が安全なテンプレートを記述するためのガイドラインとして機能します。

コメント内の誤字や文法的な不整合は、ドキュメントのプロフェッショナリズムを損なうだけでなく、読者の理解を妨げる可能性もあります。特に、セキュリティに関連するコードのコメントは、正確かつ明確であることが極めて重要です。このコミットは、そのような小さな不整合を修正し、コメントの可読性と一貫性を向上させることで、パッケージ全体の品質を高めることを目的としています。

前提知識の解説

Go言語の html/template パッケージ

html/template パッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部であり、HTML出力を生成するためのテンプレートエンジンを提供します。このパッケージの主な目的は、ユーザーが提供するデータや外部ソースからのデータがHTMLに挿入される際に、自動的にエスケープ処理を行うことで、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃などのウェブセキュリティ脆弱性を防ぐことです。

通常の text/template パッケージとは異なり、html/template はHTMLのコンテキストを理解し、JavaScript、CSS、URLなどの異なるコンテキストに応じて適切なエスケープ処理を適用します。これにより、開発者はセキュリティ上の懸念を過度に意識することなく、動的なHTMLコンテンツを安全に生成できます。

XSS(クロスサイトスクリプティング)

XSSは、ウェブアプリケーションのセキュリティ脆弱性の一種です。攻撃者は、悪意のあるスクリプト(通常はJavaScript)をウェブページに注入し、そのスクリプトが他のユーザーのブラウザで実行されるようにします。これにより、セッションハイジャック、個人情報の盗難、ウェブサイトの改ざんなど、様々な攻撃が可能になります。

html/template パッケージは、信頼できないデータをHTMLに直接挿入するのではなく、エスケープ処理を施すことで、この種の攻撃を防ぎます。例えば、ユーザーが入力した <script>alert('XSS')</script> という文字列は、&lt;script&gt;alert(&#39;XSS&#39;)&lt;/script&gt; のようにエスケープされ、ブラウザによってスクリプトとして実行されるのではなく、単なるテキストとして表示されます。

HTMLAttr および JS

html/template パッケージには、特定のコンテキストで安全であるとマークされたコンテンツを表すための特殊な型が定義されています。これらは、開発者が意図的にエスケープ処理をスキップしたい場合に、そのコンテンツが安全であることを明示的に示すために使用されます。

  • HTMLAttr: HTML属性の値として安全であるとマークされた文字列を表します。例えば、dir="ltr" のような属性全体を安全なものとして扱う場合に使用されます。これは、属性値が信頼できるソースから来ており、悪意のあるコードを含まないことを保証するために使われます。
  • JS: JavaScriptの式として安全であるとマークされた文字列を表します。例えば、(x + y * z()) のようなJavaScriptコードが、テンプレートによってエスケープされることなくそのまま出力されるべき場合に利用されます。これは、開発者がそのJavaScriptコードがXSS脆弱性を含まないことを確認している場合にのみ使用されるべきです。

これらの型を使用する際は、開発者がそのコンテンツの安全性を完全に保証する責任があります。誤って信頼できないデータをこれらの型にキャストすると、XSS脆弱性を引き起こす可能性があります。

技術的詳細

このコミットは、html/template パッケージの content.go ファイル内のコメントを修正しています。このファイルは、HTML, HTMLAttr, JS などの型定義を含んでおり、これらはGoのテンプレートエンジンがHTMLコンテンツを安全に扱うための基盤となります。

修正されたコメントは、HTMLAttrJS 型の目的と使用例を説明しています。

  1. HTMLAttr 型のコメント修正:

    • 変更前: // for example: dir="ltr"
    • 変更後: // for example, dir="ltr"
    • 変更内容: コロン(:)をコンマ(,)に修正。これは、英語の文法において「for example」の後に続く句読点として、コンマがより自然で一般的であるためです。これにより、コメントの読みやすさと文法的な一貫性が向上します。
  2. JS 型のコメント修正:

    • 変更前: // JS encapsulates a known safe EcmaScript5 Expression, or example,
    • 変更後: // JS encapsulates a known safe EcmaScript5 Expression, for example,
    • 変更内容: 「or example」という誤字を「for example」に修正。これは単純なタイプミスであり、修正によってコメントの意味が明確になり、誤解の余地がなくなります。

これらのコメントは、html/template パッケージを使用する開発者にとって非常に重要です。なぜなら、HTMLAttrJS のような型は、テンプレートエンジンによる自動エスケープをバイパスする可能性があるため、その使用には細心の注意が必要だからです。コメントは、これらの型が「信頼できるソースからのもの」または「既知の安全な式」であることを強調しており、開発者に対して、これらの型に渡すデータの安全性を自身で確認する責任があることを示唆しています。

この修正は、コードの動作には影響を与えませんが、ドキュメンテーションの正確性と品質を高めることで、開発者がより安全で堅牢なウェブアプリケーションを構築する手助けとなります。特に、セキュリティ関連の機能においては、ドキュメントの明確さが誤用を防ぐ上で不可欠です。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/html/template/content.go ファイルの以下の2箇所です。

// HTMLAttr encapsulates an HTML attribute from a trusted source,
// for example, ` dir="ltr"`.
HTMLAttr string

// JS encapsulates a known safe EcmaScript5 Expression, for example,
// `(x + y * z())`. 

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコード」は、実際にはコードのロジックではなく、そのコードを説明するコメントです。

  1. HTMLAttr 型のコメント:

    • このコメントは、HTMLAttr 型が「信頼できるソースからのHTML属性」をカプセル化することを示しています。
    • 修正された部分は、「for example: dir="ltr"」から「for example, dir="ltr"」への変更です。これは、英語の慣用句である「for example」の後にコンマを置くという文法的な修正であり、コメントの読みやすさを向上させます。
  2. JS 型のコメント:

    • このコメントは、JS 型が「既知の安全なEcmaScript5式」をカプセル化することを示しています。
    • 修正された部分は、「or example」という誤字を「for example」に修正した点です。これにより、コメントの意味が明確になり、タイプミスによる混乱がなくなります。

これらのコメントは、HTMLAttrJS といった特殊な型が、Goの html/template パッケージのセキュリティモデルにおいてどのような役割を果たすかを開発者に伝えています。これらの型は、テンプレートエンジンが自動的にエスケープ処理を行わないことを意味するため、開発者はこれらの型を使用する際に、注入されるコンテンツが本当に安全であることを確認する責任があります。コメントの修正は、この重要な情報がより正確かつ明確に伝わるようにするためのものです。

関連リンク

参考にした情報源リンク