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[インデックス 12724] ファイルの概要

このコミットでは、主にGo言語の公式ドキュメント内の記事のファイル名変更と、関連するコード例の改善が行われています。具体的には、以下の3つのファイルが変更されました。

  • doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html から doc/articles/concurrency_patterns.html へのファイル名変更。これは、Goの並行処理パターンに関する記事のURLとファイル名を簡潔にするための変更です。
  • doc/docs.html: ドキュメントのインデックスページであり、上記記事へのリンクが新しいファイル名に合わせて更新されました。
  • doc/progs/timeout1.go: Goの並行処理パターンに関するコード例の一つで、time.Sleep の引数に time.Second を使用するように修正されました。

コミット

commit a99e9c5db51cdffdad6e561d456b54ffab03cd1f
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Fri Mar 23 07:51:16 2012 +1100

    doc/articles: rename concurrency patterns article
    The old name, automatically generated, was ludicrously verbose.
    Also clean up an example to use time.Second.

    R=golang-dev, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/5876051

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a99e9c5db51cdffdad6e561d456b54ffab03cd1f

元コミット内容

doc/articles: rename concurrency patterns article
The old name, automatically generated, was ludicrously verbose.
Also clean up an example to use time.Second.

R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5876051

変更の背景

このコミットの背景には、主に以下の2つの目的があります。

  1. ドキュメントの可読性とURLの簡潔化: 以前のGo並行処理パターンに関する記事のファイル名(go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html)は、コミットメッセージにもあるように「途方もなく冗長 (ludicrously verbose)」でした。これはおそらく、記事のタイトルから自動生成されたものであり、URLとしても長すぎ、覚えにくく、共有しにくいという問題がありました。これを concurrency_patterns.html という簡潔な名前に変更することで、URLの可読性と利便性を向上させることが目的です。
  2. コード例の明確化とGoらしい記述への改善: doc/progs/timeout1.go 内の time.Sleep(1e9) という記述は、1秒を意味するものの、数値リテラル 1e9 だけでは直感的に理解しにくい場合があります。Go言語の time パッケージには、時間単位を表す定数(例: time.Second, time.Millisecond など)が用意されており、これらを使用することでコードの意図がより明確になります。time.Sleep(1 * time.Second) と記述することで、「1秒間スリープする」という動作が誰にでも一目で理解できるようになり、コードの可読性と保守性が向上します。これはGo言語における慣用的な記述方法(idiomatic Go)に沿った改善と言えます。

前提知識の解説

このコミットの変更内容を理解するためには、以下の前提知識があると役立ちます。

Go言語のドキュメント構造

Go言語の公式ドキュメントは、doc ディレクトリ以下に配置されています。

  • doc/articles/: Goに関する様々なトピックを解説する記事が格納されています。これらは通常、HTML形式で提供されます。
  • doc/docs.html: Goのドキュメントサイトのトップページまたはインデックスページとして機能し、他の記事へのリンク集が含まれています。
  • doc/progs/: ドキュメント内で使用されるコード例やプログラムが格納されています。

Go言語の time パッケージ

Go言語の標準ライブラリには、時間に関する機能を提供する time パッケージがあります。

  • time.Sleep(): 指定された期間、現在のゴルーチン(軽量スレッド)の実行を一時停止する関数です。引数には time.Duration 型の値を渡します。
  • time.Duration: 時間の長さを表す型で、ナノ秒単位で内部的に表現されます。
  • time.Second, time.Millisecond などの定数: time パッケージには、1秒、1ミリ秒といった特定の時間単位を表す time.Duration 型の定数が定義されています。これらを使用することで、数値リテラルで時間を指定するよりも、コードの意図が明確になります。例えば、1e9 は10の9乗、つまり10億ナノ秒であり、これは1秒に相当します。しかし、1 * time.Second と書く方が、より直感的に「1秒」であることが伝わります。

Go言語の並行処理パターン

Go言語は、ゴルーチン(goroutine)とチャネル(channel)という強力なプリミティブを提供することで、並行処理を容易に記述できるように設計されています。

  • ゴルーチン: 軽量な実行スレッドのようなもので、go キーワードを使って関数を呼び出すことで簡単に起動できます。
  • チャネル: ゴルーチン間で値を安全に送受信するための通信メカニズムです。チャネルを使うことで、共有メモリを直接操作することなく、ゴルーチン間の同期と通信を行うことができます。
  • 並行処理パターン: Goのゴルーチンとチャネルを組み合わせて、一般的な並行処理の問題(例: タイムアウト、ファンアウト/ファンイン、ワーカープールなど)を解決するための定型的なアプローチや設計パターンを指します。このコミットで言及されている記事は、これらのパターンについて解説しているものです。

技術的詳細

このコミットで行われた技術的な変更は、以下の2点に集約されます。

  1. ファイルのリネームと参照の更新:

    • 元のファイルパス: doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html
    • 新しいファイルパス: doc/articles/concurrency_patterns.html
    • このリネームに伴い、doc/docs.html 内の該当記事へのリンクも、古いURLから新しいURL (/doc/articles/concurrency_patterns.html) に更新されました。これは、ドキュメントサイトの整合性を保ち、リンク切れを防ぐために必須の変更です。
  2. time.Sleep の引数表現の改善:

    • 変更前: time.Sleep(1e9)
    • 変更後: time.Sleep(1 * time.Second)
    • 1e9 は浮動小数点リテラルであり、Goでは整数型に変換される際に 1000000000 (10億) と解釈されます。time.Duration はナノ秒単位で時間を扱うため、10億ナノ秒は1秒に相当します。
    • 1 * time.Second は、time.Second という time.Duration 型の定数(1秒を表す)を整数 1 で乗算しています。これにより、明示的に「1秒」という期間を指定していることがコード上で明確になります。
    • この変更は機能的な違いをもたらすものではなく、コードの可読性とGo言語の慣習に合わせた記述への改善が目的です。数値リテラル 1e9 は、特にGo言語に慣れていない開発者にとっては、その意味を即座に理解するのが難しい場合がありますが、time.Second を使用することで、その意図が明確になります。

コアとなるコードの変更箇所

1. ファイル名変更

--- a/doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html
+++ b/doc/articles/concurrency_patterns.html
similarity index 100%
rename from doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html
rename to doc/articles/concurrency_patterns.html

2. doc/docs.html の変更

--- a/doc/docs.html
+++ b/doc/docs.html
@@ -105,7 +105,7 @@ Guided tours of Go programs.
 <li><a href="http://blog.golang.org/2010/04/json-rpc-tale-of-interfaces.html">JSON-RPC: a tale of interfaces</a></li>
 <li><a href="/doc/articles/gos_declaration_syntax.html">Go\'s Declaration Syntax</a></li>
 <li><a href="/doc/articles/defer_panic_recover.html">Defer, Panic, and Recover</a></li>
-<li><a href="/doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html">Go Concurrency Patterns: Timing out, moving on</a></li>
+<li><a href="/doc/articles/concurrency_patterns.html">Go Concurrency Patterns: Timing out, moving on</a></li>
 <li><a href="/doc/articles/slices_usage_and_internals.html">Go Slices: usage and internals</a></li>
 <li><a href="http://blog.golang.org/2011/05/gif-decoder-exercise-in-go-interfaces.html">A GIF decoder: an exercise in Go interfaces</a></li>
 <li><a href="/doc/articles/error_handling.html">Error Handling and Go</a></li>

3. doc/progs/timeout1.go の変更

--- a/doc/progs/timeout1.go
+++ b/doc/progs/timeout1.go
@@ -11,7 +11,7 @@ func Timeout() {
 	ch := make(chan bool, 1)
 	timeout := make(chan bool, 1)
 	go func() {
-		time.Sleep(1e9) // one second
+		time.Sleep(1 * time.Second)
 		timeout <- true
 	}()

コアとなるコードの解説

1. ファイル名変更と doc/docs.html の更新

doc/articles/go_concurrency_patterns_timing_out_moving_on.html から doc/articles/concurrency_patterns.html へのファイル名変更は、記事のURLをより短く、覚えやすくするためのものです。元のファイル名は、記事のタイトル「Go Concurrency Patterns: Timing out, moving on」から自動生成されたものであり、非常に長くなっていました。これを concurrency_patterns.html に変更することで、URLが簡潔になり、ユーザーがアクセスしやすくなります。

doc/docs.html の変更は、このファイル名変更に伴うものです。doc/docs.html はGoのドキュメントのインデックスページであり、様々な記事へのリンクがリストされています。このコミットでは、Go並行処理パターンに関する記事へのリンクの href 属性が、新しいファイル名 (/doc/articles/concurrency_patterns.html) を指すように更新されました。これにより、ファイル名変更後もドキュメントサイト内のリンクが正しく機能し、ユーザーが記事にアクセスできるようになります。

2. doc/progs/timeout1.gotime.Sleep の変更

doc/progs/timeout1.go は、Goの並行処理パターンにおけるタイムアウト処理の例を示すプログラムです。このファイル内の time.Sleep(1e9) という行が time.Sleep(1 * time.Second) に変更されました。

  • 変更前 (time.Sleep(1e9)): 1e9 は浮動小数点リテラル 1.0 × 10^9 を意味し、Goの time.Sleep 関数が期待する time.Duration 型に変換される際に、10億ナノ秒(つまり1秒)として解釈されます。コメントで「one second」と補足されていますが、数値だけでは直感的に「1秒」であることが分かりにくい可能性があります。
  • 変更後 (time.Sleep(1 * time.Second)): time.Secondtime パッケージで定義されている time.Duration 型の定数で、1秒を表します。これを整数 1 と乗算することで、明示的に「1秒間スリープする」という意図がコード上で表現されます。この記述は、Go言語の慣用的なスタイルであり、コードの可読性を大幅に向上させます。開発者がコードを読んだ際に、すぐにその時間的意味を理解できるようになります。

この変更は、機能的には全く同じ動作をしますが、コードの品質と保守性を高めるための重要な改善です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント: time パッケージ
  • Go言語公式ドキュメント: Concurrency Patterns (変更後の記事)
  • Go言語における慣用的なコード記述に関する一般的な知識