[インデックス 12801] ファイルの概要
このコミットは、doc/codewalk/markov.xml ファイル内の構文エラーと破損したリンクを修正するものです。具体的には、rand.Intn 関数の参照パスを math/rand パッケージに修正し、コマンド実行例における $GOROOT のパス指定を修正しています。
コミット
- コミットハッシュ:
c24daa222fffda53e58f716f7dba81142e42eab3 - Author: Shenghou Ma minux.ma@gmail.com
- Date: Fri Mar 30 15:00:23 2012 +0800
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/c24daa222fffda53e58f716f7dba81142e42eab3
元コミット内容
doc/codewalk/markov: fix syntax and broken link
Part of issue 3424.
R=golang-dev, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5955050
変更の背景
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部であるコードウォーク「Markov Chain Text Generation」に関する修正です。コミットメッセージにある「Part of issue 3424」から、この変更がGoプロジェクトのIssue 3424に関連していることがわかります。
Issue 3424は、Goの標準ライブラリにおける乱数生成器の改善に関するもので、特にrandパッケージの設計と利用方法に関する議論が含まれていました。このコミットが行われた2012年当時、Goの標準ライブラリはまだ発展途上にあり、パッケージの構成やAPIの安定性に関する変更が頻繁に行われていました。
具体的には、以前はrandパッケージのトップレベルに存在していたIntn関数が、より汎用的なmath/randパッケージに移動されたか、あるいはそのように参照されるべきであるという変更があったと考えられます。これにより、古いドキュメントのリンクが破損したため、このコミットで修正が行われました。
また、コマンド実行例におけるパスの修正は、Goのインストールディレクトリ構造の変更、またはドキュメントの記述ミスによるものと考えられます。$GOROOT/go/READMEから$GOROOT/READMEへの変更は、Goのルートディレクトリ直下にREADMEファイルが配置されるようになったことを示唆しています。
前提知識の解説
Go言語のコードウォーク (Codewalk)
Go言語のコードウォークは、特定のトピックやアルゴリズムをGoのコード例を交えながら段階的に解説するドキュメント形式です。通常、XML形式で記述され、Goのウェブサイト上でインタラクティブな形式で表示されます。これにより、読者はコードの各ステップを追いながら、その動作や概念を深く理解することができます。
Markov Chain (マルコフ連鎖)
マルコフ連鎖は、将来の状態が現在の状態のみに依存し、過去の状態には依存しない確率過程です。テキスト生成においては、ある単語の次にどの単語が来るかの確率を学習し、それに基づいて新しいテキストを生成するアルゴリズムとして利用されます。このコミットが修正しているmarkov.xmlは、Go言語でマルコフ連鎖を用いたテキスト生成を実装するコードウォークです。
randパッケージとmath/randパッケージ
Go言語には乱数生成のためのパッケージがいくつか存在します。
math/rand: 擬似乱数生成器を提供します。決定論的な乱数が必要な場合や、統計的なシミュレーションなど、再現性が求められる場合に利用されます。crypto/rand: 暗号学的に安全な乱数生成器を提供します。セキュリティが重要な場面(鍵生成など)で利用されます。
このコミットで修正されているのはmath/randパッケージのIntn関数です。Intn(n int)関数は、[0, n)の範囲の非負の擬似乱数整数を返します。
$GOROOT環境変数
$GOROOTは、Goのインストールディレクトリのルートパスを示す環境変数です。Goのツールチェーンや標準ライブラリがこのパスの下に配置されます。
技術的詳細
このコミットは、doc/codewalk/markov.xmlというXMLファイルに対して行われています。このファイルは、Goのコードウォークのコンテンツを定義しており、HTMLタグとGoのコードスニペットを組み合わせて表示されます。
変更点は大きく分けて2つあります。
-
rand.Intnからmath/rand.Intnへのリンク修正:- 変更前:
<a href="/pkg/rand/#Intn">rand.Intn</a> - 変更後:
<a href="/pkg/math/rand/#Intn">rand.Intn</a> - これは、Goの標準ライブラリにおける
randパッケージの構成変更、またはドキュメントの記述ミスによるものです。Intn関数はmath/randパッケージに属しているため、ドキュメント内のリンクもそれに合わせて修正されました。これにより、ユーザーがドキュメント内のリンクをクリックした際に、正しいAPIドキュメントページに遷移できるようになります。
- 変更前:
-
コマンド実行例における
$GOROOTパスの修正:- 変更前:
$GOROOT/go/README - 変更後:
$GOROOT/README - これは、Goのインストールディレクトリ構造の変更、またはドキュメントの記述ミスによるものです。以前は
$GOROOT/go/以下にREADMEファイルがあったのかもしれませんが、このコミットの時点では$GOROOT直下にREADMEファイルが移動したか、あるいは元々そうあるべきだったが誤って記述されていたかのいずれかです。この修正により、コードウォークの実行例が正しく動作するようになります。
- 変更前:
これらの修正は、Goのドキュメントの正確性とユーザーエクスペリエンスを向上させるためのものです。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/doc/codewalk/markov.xml
+++ b/doc/codewalk/markov.xml
@@ -215,7 +215,7 @@ p[len(p)-1] = suffix
<step title="Choosing a suffix at random" src="doc/codewalk/markov.go:/next := choices/,/Shift/">
To choose a suffix we use the
- <code><a href="/pkg/rand/#Intn">rand.Intn</a></code> function.
+ <code><a href="/pkg/math/rand/#Intn">rand.Intn</a></code> function.
It returns a random integer up to (but not including) the provided
value. Passing in <code>len(choices)</code> gives us a random index
into the full length of the list.
@@ -287,11 +287,11 @@ a plan a man a plan a canal panama</pre>
Here's a transcript of generating some text using the Go distribution's
README file as source material:
<pre>
-$ ./markov -words=10 < $GOROOT/go/README
+$ ./markov -words=10 < $GOROOT/README
This is the source code repository for the Go source
-$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/go/README
+$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/README
This is the go directory (the one containing this README).
-$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/go/README
+$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/README
This is the variable if you have just untarred a</pre>
</step>
コアとなるコードの解説
1. rand.Intn リンクの修正
- <code><a href="/pkg/rand/#Intn">rand.Intn</a></code> function.
+ <code><a href="/pkg/math/rand/#Intn">rand.Intn</a></code> function.
この変更は、Goの標準ライブラリのドキュメントへのハイパーリンクを修正しています。以前は/pkg/rand/#Intnを指していましたが、これはGoのパッケージ構造の変更により、Intn関数がmath/randパッケージに属するようになったため、/pkg/math/rand/#Intnに修正されました。これにより、コードウォークを読んでいるユーザーがIntn関数の詳細を知りたい場合に、正しいAPIドキュメントページにアクセスできるようになります。
2. $GOROOT パス指定の修正
-$ ./markov -words=10 < $GOROOT/go/README
+$ ./markov -words=10 < $GOROOT/README
-$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/go/README
+$ ./markov -prefix=1 -words=10 < $GOROOT/README
これらの変更は、コードウォーク内で示されているコマンド実行例のパスを修正しています。以前は$GOROOT/go/READMEというパスを使用していましたが、これはGoのインストールディレクトリの構造変更、または単なる記述ミスにより、$GOROOT/READMEが正しいパスとなりました。この修正により、ユーザーがコードウォークの指示に従ってコマンドを実行した際に、正しくREADMEファイルを読み込み、期待される出力が得られるようになります。
関連リンク
- Go言語のコードウォーク: https://go.dev/doc/codewalk/
- Go言語の
math/randパッケージドキュメント: https://pkg.go.dev/math/rand - Go Issue 3424 (関連する可能性のあるIssue): https://github.com/golang/go/issues/3424 (ただし、このIssueは乱数生成器の改善に関するもので、直接このコミットのトリガーではない可能性もありますが、乱数パッケージの変更に関連する議論の一部である可能性はあります。)
- Gerrit Code Review (CL 5955050): https://golang.org/cl/5955050
参考にした情報源リンク
- Go言語公式ドキュメント
- Go言語のGitHubリポジトリ
- Go言語のIssueトラッカー
- Go言語のGerrit Code Reviewシステム
- マルコフ連鎖に関する一般的な情報源 (例: Wikipedia)
- Go言語の
math/randパッケージの歴史に関する情報 (必要に応じてWeb検索)