[インデックス 12838] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式仕様書ドキュメント doc/go_spec.html
内の軽微なタイポ(誤字)を修正するものです。具体的には、HTMLリスト要素内の不要なタブ文字の削除と、Offsetof
関数の戻り値の型名 uinptr
を正しい uintptr
に修正しています。
コミット
commit 8374e67876b887c8a257f63f4e12ac1599ee793e
Author: Hong Ruiqi <hongruiqi@gmail.com>
Date: Thu Apr 5 22:37:07 2012 +1000
doc/go_spec: fix typo
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5990043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/8374e67876b887c8a257f63f4e12ac1599ee793e
元コミット内容
doc/go_spec: fix typo
R=golang-dev, dsymonds
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/5990043
変更の背景
この変更は、Go言語の公式仕様書である doc/go_spec.html
に含まれる誤字を修正することを目的としています。プログラミング言語の仕様書は、その言語の動作を正確に定義する最も重要なドキュメントであり、開発者やコンパイラ実装者にとっての唯一の真実の源となります。そのため、仕様書内の誤字や不正確な記述は、言語の解釈に混乱を招き、バグや非互換性の原因となる可能性があります。
このコミットでは、特に以下の2つの問題が修正されています。
- HTMLリスト要素内の不要なタブ文字: HTMLのリスト (
<li>
) 要素の直後に余分なタブ文字が存在しており、これは表示上の問題や、HTMLパーサーによる解釈のわずかな違いを引き起こす可能性がありました。 - 型名
uinptr
の誤記:Offsetof
関数の戻り値の型がuinptr
と誤って記述されていました。Go言語にはuintptr
という型は存在しますが、uinptr
という型は存在しません。uintptr
はポインタを保持できる符号なし整数型であり、unsafe
パッケージでメモリ操作を行う際などに使用されます。この誤記は、仕様書を読んだ開発者が誤った型名を認識したり、存在しない型を探したりする原因となり得ました。
これらの軽微な修正は、ドキュメントの品質と正確性を維持するために重要であり、Go言語の成熟度とコミュニティによる継続的な改善努力を示しています。
前提知識の解説
- Go言語仕様 (Go Language Specification): Go言語の公式な定義であり、言語の構文、セマンティクス、標準ライブラリの動作などを詳細に記述したドキュメントです。Go言語のコンパイラやツール、そしてGo言語で開発を行う全てのプログラマにとって、この仕様書は言語の挙動を理解するための最も権威ある情報源となります。
doc/go_spec.html
は、この仕様書のHTML版です。 uintptr
型: Go言語における組み込みの数値型の一つで、ポインタを保持するのに十分な大きさの符号なし整数型です。主にunsafe
パッケージと組み合わせて、低レベルのメモリ操作(例えば、ポインタと整数の相互変換)を行う際に使用されます。uintptr
は、ポインタが指すアドレスを数値として表現するために用いられますが、ガベージコレクタの対象とはなりません。unsafe
パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一つで、Goの型システムやメモリ安全性の保証を意図的にバイパスする操作(例えば、任意の型へのポインタ変換、ポインタと整数の相互変換)を可能にする機能を提供します。unsafe
パッケージの使用は、通常は推奨されず、非常に特殊なケース(例えば、C言語との連携、高性能なデータ構造の実装)でのみ検討されます。Alignof
,Offsetof
,Sizeof
といった関数は、このパッケージで提供され、型のメモリレイアウトに関する情報を提供します。- HTML (HyperText Markup Language): ウェブページの内容と構造を定義するための標準マークアップ言語です。このコミットでは、HTMLドキュメント内のテキストとタグの修正が行われています。
技術的詳細
このコミットの技術的詳細は、主にHTMLドキュメントのテキストと構造の修正に集約されます。
-
不要なタブ文字の削除: HTMLのリスト項目 (
<li>
) の直後に、視覚的にはほとんど影響がないものの、HTMLの構造としては不要なタブ文字 (\t
) が挿入されていました。これは、手動での編集や、特定のテキストエディタの設定によって意図せず挿入された可能性があります。これらのタブ文字を削除することで、HTMLのマークアップがよりクリーンになり、将来的なツールによるパースや処理がより予測可能になります。例:
- <li> +<li>
これは、HTMLのレンダリングには直接的な影響を与えないことが多いですが、ソースコードの可読性や、HTMLをプログラム的に処理する際の潜在的な問題を排除します。
-
uinptr
からuintptr
への修正:Offsetof
関数のシグネチャにおいて、戻り値の型がuinptr
と誤って記述されていました。Go言語にはuintptr
という型は存在しますが、uinptr
という型は存在しません。この修正は、単なるスペルミス訂正であり、Go言語の仕様書における正確性を保証するために不可欠です。例:
-func Offsetof(selector ArbitraryType) uinptr +func Offsetof(selector ArbitraryType) uintptr
この修正により、仕様書を読んだ開発者が正しい型名を認識し、Go言語の
unsafe
パッケージの関数シグネチャを正確に理解できるようになります。
これらの変更は、Go言語の仕様書という非常に重要なドキュメントの品質を向上させるための、細部にわたる注意と正確性へのコミットメントを示しています。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/doc/go_spec.html b/doc/go_spec.html
index 576db6504a..babe5d7774 100644
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -2659,7 +2659,7 @@ back to the calling function when the function returns.\n </p>\n \n <p>\n-Calling a <code>nil</code> function value \n+Calling a <code>nil</code> function value\n causes a <a href=\"#Run_time_panics\">run-time panic</a>.\n </p>\n \n@@ -3030,29 +3030,29 @@ These terms and the result of the comparisons are defined as follows:\n \t<li>\n \tInteger values are comparable and ordered, in the usual way.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tFloating point values are comparable and ordered,\n \tas defined by the IEEE-754 standard.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tComplex values are comparable.\n \tTwo complex values <code>u</code> and <code>v</code> are\n \tequal if both <code>real(u) == real(v)</code> and\n \t<code>imag(u) == imag(v)</code>.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tString values are comparable and ordered, lexically byte-wise.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tPointer values are comparable.\n \tTwo pointer values are equal if they point to the same variable or if both have value <code>nil</code>.\n \tPointers to distinct <a href=\"#Size_and_alignment_guarantees\">zero-size</a> variables may or may not be equal.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tChannel values are comparable.\n \tTwo channel values are equal if they were created by the same call to <code>make</code>\n@@ -3065,7 +3065,7 @@ These terms and the result of the comparisons are defined as follows:\n \tTwo interface values are equal if they have <a href=\"#Type_identity\">identical</a> dynamic types\n \tand equal dynamic values or if both have value <code>nil</code>.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tA value <code>x</code> of non-interface type <code>X</code> and\n \ta value <code>t</code> of interface type <code>T</code> are comparable when values\n@@ -3080,7 +3080,7 @@ These terms and the result of the comparisons are defined as follows:\n \tTwo struct values are equal if their corresponding\n \tnon-<a href=\"#Blank_identifier\">blank</a> fields are equal.\n \t</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tArray values are comparable if values of the array element type are comparable.\n \tTwo array values are equal if their corresponding elements are equal.\n@@ -5401,7 +5401,7 @@ type ArbitraryType int // shorthand for an arbitrary Go type; it is not a real\n type Pointer *ArbitraryType\n \n func Alignof(variable ArbitraryType) uintptr\n-func Offsetof(selector ArbitraryType) uinptr\n+func Offsetof(selector ArbitraryType) uintptr\n func Sizeof(variable ArbitraryType) uintptr\n </pre>\n \n```
## コアとなるコードの解説
上記の差分は、`doc/go_spec.html` ファイルに対する2種類の修正を示しています。
1. **HTMLリスト要素内のタブ文字の削除**:
差分の多くの箇所で、`<li>` タグの直後にあったタブ文字 (`\t`) が削除されています。例えば、以下の行がその典型です。
```diff
- <li>
+<li>
```
これは、HTMLのソースコードを整形する際に、意図せず挿入された可能性のある余分な空白文字(この場合はタブ)を取り除くものです。HTMLのレンダリング結果に直接的な大きな影響を与えることは稀ですが、ソースコードのクリーンアップと一貫性の向上に貢献します。
2. **`Offsetof` 関数の型名修正**:
ファイルの末尾近くで、`Offsetof` 関数の戻り値の型が `uinptr` から `uintptr` に修正されています。
```diff
-func Offsetof(selector ArbitraryType) uinptr
+func Offsetof(selector ArbitraryType) uintptr
```
これは、Go言語の `unsafe` パッケージで定義されている `Offsetof` 関数の正しいシグネチャに合わせるための重要な修正です。`uintptr` はGo言語に存在する有効な型ですが、`uinptr` は存在しないため、この誤記は仕様書の正確性を損なうものでした。この修正により、Go言語の仕様書がより正確になり、開発者が誤った情報を参照するリスクがなくなります。
これらの変更は、Go言語の仕様書という重要なドキュメントの品質と正確性を維持するための、細部にわたる注意とコミットメントを反映しています。
## 関連リンク
* Go言語の公式ウェブサイト: [https://golang.org/](https://golang.org/)
* Go言語の公式仕様書: [https://golang.org/ref/spec](https://golang.org/ref/spec)
* このコミットが参照しているGoのコードレビューシステム (Gerrit) の変更リスト: [https://golang.org/cl/5990043](https://golang.org/cl/5990043)
## 参考にした情報源リンク
* GitHub上のコミットページ: [https://github.com/golang/go/commit/8374e67876b887c8a257f63f4e12ac1599ee793e](https://github.com/golang/go/commit/8374e67876b887c8a257f63f4e12ac1599ee793e)
* Go言語の `unsafe` パッケージに関するドキュメント: [https://pkg.go.dev/unsafe](https://pkg.go.dev/unsafe)
* Go言語の `uintptr` 型に関する情報 (Go言語仕様): [https://golang.org/ref/spec#Numeric_types](https://golang.org/ref/spec#Numeric_types)
* HTMLの `<li>` 要素に関する情報 (MDN Web Docs): [https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Element/li](https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Element/li)