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[インデックス 1285] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の初期開発段階における内部バグトラッキングシステムで「bug128」として識別されていた問題を修正したものです。具体的には、test/bugs/bug128.goというテストファイルが示すコンパイラのswitch文に関するバグが修正され、その結果としてテストファイルがtest/fixedbugs/bug128.goに移動し、関連するエラー出力がtest/golden.outから削除されました。

コミット

commit 94a66489eded5a8b50ff096bddf68fc480297521
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Thu Dec 4 20:51:47 2008 -0800

    bug128 is fixed
    
    R=rsc
    DELTA=43  (19 added, 24 deleted, 0 changed)
    OCL=20551
    CL=20551

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/94a66489eded5a8b50ff096bddf68fc480297521

元コミット内容

bug128 is fixed
    
R=rsc
DELTA=43  (19 added, 24 deleted, 0 changed)
OCL=20551
CL=20551
---\n test/{bugs => fixedbugs}/bug128.go | 0
 test/golden.out                    | 5 -----\n
 2 files changed, 5 deletions(-)

diff --git a/test/bugs/bug128.go b/test/fixedbugs/bug128.go
similarity index 100%
rename from test/bugs/bug128.go
rename to test/fixedbugs/bug128.go
diff --git a/test/golden.out b/test/golden.out
index 4489d69cbd..3e70b991ae 100644
--- a/test/golden.out
+++ b/test/golden.out
@@ -179,11 +179,6 @@ BUG: errchk: command succeeded unexpectedly:  6g bugs/bug126.go
 =========== bugs/bug127.go
 BUG: errchk: command succeeded unexpectedly:  6g bugs/bug127.go
 
-=========== bugs/bug128.go
-bugs/bug128.go:5: switch statement must have case labels
-bugs/bug128.go:9: switch statement must have case labels
-BUG: should compile
-\n =========== fixedbugs/bug016.go
 fixedbugs/bug016.go:7: overflow converting constant to uint
 

変更の背景

このコミットは、Go言語の初期開発段階で発見されたコンパイラのバグ、特にswitch文の処理に関する問題を修正するために行われました。コミットメッセージにある「bug128」は、当時のGoプロジェクト内で使用されていた内部的なバグトラッキングIDであると考えられます。

test/bugs/bug128.goというファイルは、このバグを再現するためのテストケースとして存在していました。このテストファイルが示すエラーメッセージ「switch statement must have case labels」と「BUG: should compile」から、コンパイラが特定のswitch文の構文を誤って解釈し、本来コンパイルされるべきコードに対して不適切なエラーを出力していたことが推測されます。

このコミットによって、コンパイラのswitch文の処理が修正され、bug128.goが正しくコンパイルされるようになったため、テストファイルはバグが修正されたことを示すtest/fixedbugsディレクトリに移動され、test/golden.outから関連するエラー出力が削除されました。

前提知識の解説

Go言語の初期開発とバグトラッキング

Go言語は2007年にGoogleで開発が始まり、2009年にオープンソースとして公開されました。このコミットが行われた2008年12月は、Go言語がまだ活発に開発されていた初期段階にあたります。この時期には、現在のような公開されたIssueトラッカー(GitHub Issuesなど)が確立されておらず、開発チーム内で独自のバグトラッキングシステムや慣習が用いられていた可能性が高いです。「bug128」のような数値は、その内部システムにおけるバグIDであったと考えられます。

Go言語のテストフレームワークとtest/golden.out

Go言語のプロジェクトでは、コンパイラやランタイムの挙動を検証するために広範なテストスイートが用いられています。特に、コンパイラのエラーメッセージや特定のコードの出力が期待通りであるかを検証するために、test/golden.outのような「ゴールデンファイル(またはリファレンスファイル)」が使用されることがあります。

test/golden.outは、テスト実行時に生成される出力(コンパイラのエラーメッセージ、プログラムの標準出力など)と比較される基準となるファイルです。テストが実行されると、実際の出力がgolden.outの内容と一致するかどうかが検証されます。もし一致しない場合、それはバグの存在、または意図しない変更があったことを示します。

このコミットでは、bug128.goが示すバグが修正されたため、そのテストケースが生成していたエラーメッセージが不要となり、test/golden.outから該当する行が削除されています。これは、コンパイラが正しく動作するようになったことをgolden.outの変更によって確認していることを意味します。

Go言語のswitch

Go言語のswitch文は、他のC言語系の言語とは異なる特徴を持っています。

  • breakの自動挿入: 各caseブロックの最後に暗黙的にbreakが挿入されるため、明示的にbreakを書く必要がありません。フォールスルー(次のcaseに処理を続ける)を行いたい場合は、fallthroughキーワードを使用します。
  • 式の評価: switch文の式は、任意の型を評価できます。
  • 型スイッチ: switch文を型アサーションと組み合わせて、インターフェース変数の動的な型に基づいて処理を分岐させる「型スイッチ」も可能です。

このコミットで修正されたバグは、switch文の構文解析や意味解析の初期段階における問題であった可能性が高いです。特に「switch statement must have case labels」というエラーメッセージは、switch文の本体にcaseラベルが適切に記述されていない、あるいはコンパイラがそれを認識できなかったことを示唆しています。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、主にGoコンパイラのswitch文の処理に関するバグ修正に集約されます。

  1. test/bugs/bug128.goからtest/fixedbugs/bug128.goへの移動:

    • Go言語のテストディレクトリ構造において、test/bugsは現在修正されていない、または再現が確認されているバグを示すテストケースを格納する場所です。
    • 一方、test/fixedbugsは、過去に存在したが既に修正されたバグを示すテストケースを格納する場所です。
    • bug128.gotest/bugsからtest/fixedbugsへ移動されたことは、このコミットによって「bug128」が示す問題が解決され、テストケースが期待通りに動作するようになったことを明確に示しています。これは、コンパイラのswitch文の処理が正しくなったことを意味します。
  2. test/golden.outからのエラーメッセージの削除:

    • test/golden.outの差分を見ると、以下の5行が削除されています。
      =========== bugs/bug128.go
      bugs/bug128.go:5: switch statement must have case labels
      bugs/bug128.go:9: switch statement must have case labels
      BUG: should compile
      
    • これらの行は、bug128.goがコンパイルされた際に6g(当時のGoコンパイラ)が出力していたエラーメッセージと、そのテストケースの意図(「BUG: should compile」つまり、本来はコンパイルされるべきである)を示しています。
    • これらの行が削除されたことは、コンパイラがbug128.goをエラーなく正しくコンパイルできるようになったことを意味します。これにより、golden.outはもはやこれらのエラーメッセージを期待しなくなり、テストが成功するようになります。
    • 特に「switch statement must have case labels」というエラーは、switch文の構文解析器が、switchブロック内にcaseキーワードが見つからない、または不正な形式で記述されていると誤認していた可能性を示唆しています。これは、コンパイラの字句解析器(lexer)や構文解析器(parser)のバグであったと考えられます。

このコミットは、Go言語のコンパイラが初期段階で抱えていた、基本的な制御構造であるswitch文の処理に関する重要なバグを修正し、言語の安定性と信頼性を向上させたことを示しています。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、直接的なGoソースコードの変更は示されていません。変更は以下の2つのファイルに限定されています。

  1. test/bugs/bug128.go -> test/fixedbugs/bug128.go (ファイル名の変更とディレクトリ移動)
  2. test/golden.out (内容の変更、5行削除)

DELTA=43 (19 added, 24 deleted, 0 changed)という記述は、このコミット全体での行数の変化を示しており、bug128.goの移動に伴う内部的な変更(例えば、Gitの追跡情報)や、golden.outの変更によるものです。

コアとなるコードの解説

test/bugs/bug128.goの移動

このファイルは、Goコンパイラのswitch文に関するバグを再現するためのテストケースでした。このコミットによってバグが修正されたため、このテストファイルはtest/bugsディレクトリからtest/fixedbugsディレクトリへ移動されました。これは、このテストケースがもはや「バグのあるコード」ではなく、「修正されたバグのテストケース」として機能することを示す、Goプロジェクトのテスト慣習に則った変更です。

test/golden.outの変更

test/golden.outは、Goコンパイラのテストスイートが生成する期待される出力(エラーメッセージなど)を記録するファイルです。このコミットでは、bug128.goに関連する以下のエラーメッセージがtest/golden.outから削除されました。

--- a/test/golden.out
+++ b/test/golden.out
@@ -179,11 +179,6 @@ BUG: errchk: command succeeded unexpectedly:  6g bugs/bug126.go
 =========== bugs/bug127.go
 BUG: errchk: command succeeded unexpectedly:  6g bugs/bug127.go
 
-=========== bugs/bug128.go
-bugs/bug128.go:5: switch statement must have case labels
-bugs/bug128.go:9: switch statement must have case labels
-BUG: should compile
-\n =========== fixedbugs/bug016.go
 fixedbugs/bug016.go:7: overflow converting constant to uint
 

これらの行の削除は、bug128.goが示すバグが修正され、コンパイラがこのファイルをエラーなくコンパイルできるようになったことを意味します。したがって、test/golden.outはもはやこれらのエラーメッセージを期待する必要がなくなったため、削除されました。これにより、テスト実行時にbug128.goのコンパイルが成功し、golden.outとの比較も成功するようになります。

このコミット自体は、コンパイラの内部コードの変更を直接示していませんが、これらのテスト関連ファイルの変更は、コンパイラのswitch文処理ロジックに根本的な修正が加えられたことを強く示唆しています。

関連リンク

この「bug128」という特定のバグIDに関する公開されたIssueやドキュメントは、現在のGoプロジェクトのIssueトラッカー(GitHub Issues)では直接見つかりませんでした。これは、コミットがGo言語の非常に初期の段階(2008年)に行われたため、当時の内部的なバグトラッキングシステムが現在の公開システムとは異なっていたことに起因すると考えられます。

参考にした情報源リンク