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[インデックス 13033] ファイルの概要

このドキュメントは、Go言語のランタイムにおけるARMアーキテクチャ関連のコンパイラ警告修正に関するコミット(インデックス13033)について、その背景、技術的詳細、および関連するコード変更を包括的に解説します。

コミット

runtime: fix c compiler warning

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a29304bfb8c2b9afc0e0a5d6f7ffd2bfb2b51373

元コミット内容

commit a29304bfb8c2b9afc0e0a5d6f7ffd2bfb2b51373
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Sat May 5 01:39:09 2012 +0800

    runtime: fix c compiler warning
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6185047
---
 src/pkg/runtime/vlrt_arm.c | 2 ++
 1 file changed, 2 insertions(+)

diff --git a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
index 50f33710b1..ab80501775 100644
--- a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
+++ b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
@@ -197,12 +197,14 @@ void
 runtime·int64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _v2d(y);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 void
 runtime·uint64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 static void

変更の背景

このコミットは、Go言語のランタイムコード、特にARMアーキテクチャ向けの浮動小数点変換ルーチンにおいて発生していたCコンパイラの警告を修正することを目的としています。警告の原因は、関数内で計算された浮動小数点値 d が、その後のコードで利用されずに破棄されていたことにあります。このような未使用変数の警告は、コンパイラが最適化を行う際に、その変数の計算自体を削除してしまう可能性があるため、意図しない動作を引き起こすリスクがあります。特に、浮動小数点演算においては、その結果がCPUの浮動小数点レジスタに格納され、その後の処理に影響を与えることが期待される場合があります。しかし、コンパイラが未使用と判断すると、そのレジスタへの書き込み自体を省略してしまうことがあります。

この修正は、Go言語のクロスコンパイル環境や、特定のアーキテクチャ(この場合はARM)におけるコンパイラの挙動を考慮したものであり、コードの堅牢性と移植性を向上させるために行われました。

前提知識の解説

Go言語のランタイム (runtime)

Go言語は、ガベージコレクション、スケジューラ、プリエンプティブなゴルーチンなど、多くの低レベルな機能が言語自体に組み込まれています。これらの機能は「ランタイム」と呼ばれる部分で実装されており、Goプログラムの実行を支えています。ランタイムの多くはGo言語で書かれていますが、OSとのインタラクションや特定のアーキテクチャに依存する低レベルな処理(例えば、コンテキストスイッチ、メモリ管理の初期化、浮動小数点演算の補助など)は、C言語やアセンブリ言語で書かれることがあります。src/pkg/runtime/vlrt_arm.c は、ARMアーキテクチャ向けのランタイムの一部であり、C言語で記述されています。

浮動小数点演算とARMアーキテクチャ

浮動小数点演算は、実数を近似的に表現し、計算するためのものです。Go言語では、float32float64の2種類の浮動小数点型が提供されています。float64はIEEE 754倍精度浮動小数点数に準拠しており、64ビットで表現されます。

ARMアーキテクチャは、モバイルデバイスや組み込みシステムで広く使用されているRISC(Reduced Instruction Set Computer)ベースのプロセッサアーキテクチャです。ARMプロセッサには、浮動小数点演算を高速化するためのFPU(Floating-Point Unit)が搭載されていることが一般的です。FPUは専用のレジスタを持ち、浮動小数点演算の結果をこれらのレジスタに格納します。

コンパイラの最適化と未使用変数警告

Cコンパイラは、生成される機械語コードの効率を向上させるために様々な最適化を行います。その一つに「デッドコード削除(Dead Code Elimination)」があります。これは、プログラムの実行結果に影響を与えないコード(例えば、計算結果がどこにも使用されない変数への代入など)を削除する最適化です。

今回のケースでは、d = _v2d(y);d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); のように変数 d に値が代入されていますが、その後のコードで d が読み取られていませんでした。コンパイラはこれを「未使用変数」と判断し、警告を発します。さらに、最適化レベルによっては、この代入処理自体を削除してしまう可能性があります。

USED マクロ

C言語のコンパイラには、特定の変数が使用されていることを明示的にコンパイラに伝えるためのメカニズムが提供されることがあります。Go言語のランタイムコードでは、このような目的のために USED マクロが定義されています。このマクロは、通常、変数のアドレスを何らかの形で参照することで、コンパイラがその変数を「使用されている」と判断するように仕向けます。これにより、コンパイラがデッドコード削除の最適化によって意図せず重要な計算を削除してしまうことを防ぎます。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/runtime/vlrt_arm.c ファイル内の runtime·int64tofloat64 関数と runtime·uint64tofloat64 関数におけるCコンパイラの警告を解消します。

runtime·int64tofloat64 関数

この関数は、64ビット整数(Vlong型)を倍精度浮動小数点数(double型)に変換する役割を担っています。元のコードでは、d = _v2d(y); という行で変換が行われ、結果が変数 d に格納されていました。しかし、この d は関数内でその後使用されていませんでした。

runtime·uint64tofloat64 関数

同様に、この関数は符号なし64ビット整数を倍精度浮動小数点数に変換します。元のコードでは、d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); という行で変換が行われ、結果が変数 d に格納されていましたが、これもその後使用されていませんでした。

警告の原因と修正

Cコンパイラは、これらの関数内で d に値が代入された後、その値が読み取られることなく関数が終了することから、「未使用変数」の警告を発していました。この警告は、単なるコードの冗長性を示すだけでなく、コンパイラの最適化によって、d への代入処理自体が削除されてしまう可能性を秘めていました。

特に、浮動小数点演算の結果がCPUの浮動小数点レジスタに格納され、その後のアセンブリコードの挙動に影響を与えるような場合、この最適化は問題を引き起こす可能性があります。例えば、特定のABI(Application Binary Interface)では、関数の戻り値が浮動小数点レジスタを通じて渡されることがありますが、コンパイラが代入を削除すると、このレジスタが正しく設定されない可能性があります。

修正は、d = ...; の直後に USED(&d); // FLUSH という行を追加することによって行われました。USED マクロは、コンパイラに対して変数 d が使用されていることを明示的に伝えます。これにより、コンパイラは d への代入処理をデッドコードとして削除することなく、そのままコンパイルします。コメントの // FLUSH は、この操作が浮動小数点レジスタの内容をメモリに「フラッシュ」する(つまり、レジスタの内容が失われないようにする)効果を持つことを示唆しています。これは、コンパイラがレジスタ割り当てを最適化する際に、d の値がレジスタに保持されることを保証するため、または少なくともその値がメモリに書き出されることを保証するために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
+++ b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
@@ -197,12 +197,14 @@ void
 runtime·int64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _v2d(y);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 void
 runtime·uint64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 static void

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/runtime/vlrt_arm.c ファイルの2箇所に集中しています。

  1. runtime·int64tofloat64 関数内: d = _v2d(y); の直後に USED(&d); // FLUSH が追加されました。 _v2d(y) は、Vlong 型(Goランタイムにおける64ビット整数表現)を double 型に変換する内部関数です。この変換結果が d に代入されます。USED(&d) は、d のアドレスをコンパイラに渡すことで、d が「使用されている」と認識させ、コンパイラが d への代入処理を最適化で削除しないようにします。

  2. runtime·uint64tofloat64 関数内: d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); の直後に USED(&d); // FLUSH が追加されました。 _ul2d は、符号なし32ビット整数を double 型に変換する内部関数です。ここでは、64ビットの符号なし整数 y を上位32ビット (y.hi) と下位32ビット (y.lo) に分割し、それぞれを double に変換した後、適切な係数(2^32)を掛けて加算することで、64ビット整数から double への変換を行っています。ここでも同様に、USED(&d) が追加され、コンパイラの最適化による問題を防いでいます。

これらの変更により、コンパイラはこれらの浮動小数点変換処理を意図通りに生成し、ARMアーキテクチャ上でのGoランタイムの安定性と正確性が保証されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語のランタイムに関するドキュメント (公式ドキュメントやGoのソースコードコメント)
  • C言語のコンパイラ最適化に関する一般的な情報 (デッドコード削除、未使用変数警告)
  • ARMアーキテクチャの浮動小数点ユニット (FPU) およびABIに関する情報
  • IEEE 754 浮動小数点標準に関する情報
  • Go言語のソースコード src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
  • Go言語のソースコード src/pkg/runtime/runtime.h (USEDマクロの定義など)
  • Go言語のIssueトラッカーやメーリングリスト (関連する議論がある場合)

[インデックス 13033] ファイルの概要

このドキュメントは、Go言語のランタイムにおけるARMアーキテクチャ関連のコンパイラ警告修正に関するコミット(インデックス13033)について、その背景、技術的詳細、および関連するコード変更を包括的に解説します。

コミット

runtime: fix c compiler warning

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a29304bfb8c2b9afc0e0a5d6f7ffd2bfb2b51373

元コミット内容

commit a29304bfb8c2b9afc0e0a5d6f7ffd2bfb2b51373
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Sat May 5 01:39:09 2012 +0800

    runtime: fix c compiler warning
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6185047
---
 src/pkg/runtime/vlrt_arm.c | 2 ++
 1 file changed, 2 insertions(+)

diff --git a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
index 50f33710b1..ab80501775 100644
--- a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
+++ b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
@@ -197,12 +197,14 @@ void
 runtime·int64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _v2d(y);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 void
 runtime·uint64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 static void

変更の背景

このコミットは、Go言語のランタイムコード、特にARMアーキテクチャ向けの浮動小数点変換ルーチンにおいて発生していたCコンパイラの警告を修正することを目的としています。警告の原因は、関数内で計算された浮動小数点値 d が、その後のコードで利用されずに破棄されていたことにあります。このような未使用変数の警告は、コンパイラが最適化を行う際に、その変数の計算自体を削除してしまう可能性があるため、意図しない動作を引き起こすリスクがあります。特に、浮動小数点演算においては、その結果がCPUの浮動小数点レジスタに格納され、その後の処理に影響を与えることが期待される場合があります。しかし、コンパイラが未使用と判断すると、そのレジスタへの書き込み自体を省略してしまうことがあります。

この修正は、Go言語のクロスコンパイル環境や、特定のアーキテクチャ(この場合はARM)におけるコンパイラの挙動を考慮したものであり、コードの堅牢性と移植性を向上させるために行われました。

前提知識の解説

Go言語のランタイム (runtime)

Go言語は、ガベージコレクション、スケジューラ、プリエンプティブなゴルーチンなど、多くの低レベルな機能が言語自体に組み込まれています。これらの機能は「ランタイム」と呼ばれる部分で実装されており、Goプログラムの実行を支えています。ランタイムの多くはGo言語で書かれていますが、OSとのインタラクションや特定のアーキテクチャに依存する低レベルな処理(例えば、コンテキストスイッチ、メモリ管理の初期化、浮動小数点演算の補助など)は、C言語やアセンブリ言語で書かれることがあります。src/pkg/runtime/vlrt_arm.c は、ARMアーキテクチャ向けのランタイムの一部であり、C言語で記述されています。

浮動小数点演算とARMアーキテクチャ

浮動小数点演算は、実数を近似的に表現し、計算するためのものです。Go言語では、float32float64の2種類の浮動小数点型が提供されています。float64はIEEE 754倍精度浮動小数点数に準拠しており、64ビットで表現されます。

ARMアーキテクチャは、モバイルデバイスや組み込みシステムで広く使用されているRISC(Reduced Instruction Set Computer)ベースのプロセッサアーキテクチャです。ARMプロセッサには、浮動小数点演算を高速化するためのFPU(Floating-Point Unit)が搭載されていることが一般的です。FPUは専用のレジスタを持ち、浮動小数点演算の結果をこれらのレジスタに格納します。

コンパイラの最適化と未使用変数警告

Cコンパイラは、生成される機械語コードの効率を向上させるために様々な最適化を行います。その一つに「デッドコード削除(Dead Code Elimination)」があります。これは、プログラムの実行結果に影響を与えないコード(例えば、計算結果がどこにも使用されない変数への代入など)を削除する最適化です。

今回のケースでは、d = _v2d(y);d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); のように変数 d に値が代入されていますが、その後のコードで d が読み取られていませんでした。コンパイラはこれを「未使用変数」と判断し、警告を発します。さらに、最適化レベルによっては、この代入処理自体を削除してしまう可能性があります。

USED マクロ

C言語のコンパイラには、特定の変数が使用されていることを明示的にコンパイラに伝えるためのメカニズムが提供されることがあります。Go言語のランタイムコードでは、このような目的のために USED マクロが定義されています。このマクロは、通常、変数のアドレスを何らかの形で参照することで、コンパイラがその変数を「使用されている」と判断するように仕向けます。これにより、コンパイラがデッドコード削除の最適化によって意図せず重要な計算を削除してしまうことを防ぎます。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/runtime/vlrt_arm.c ファイル内の runtime·int64tofloat64 関数と runtime·uint64tofloat64 関数におけるCコンパイラの警告を解消します。

runtime·int64tofloat64 関数

この関数は、64ビット整数(Vlong型)を倍精度浮動小数点数(double型)に変換する役割を担っています。元のコードでは、d = _v2d(y); という行で変換が行われ、結果が変数 d に格納されていました。しかし、この d は関数内でその後使用されていませんでした。

runtime·uint64tofloat64 関数

同様に、この関数は符号なし64ビット整数を倍精度浮動小数点数に変換します。元のコードでは、d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); という行で変換が行われ、結果が変数 d に格納されていましたが、これもその後使用されていませんでした。

警告の原因と修正

Cコンパイラは、これらの関数内で d に値が代入された後、その値が読み取られることなく関数が終了することから、「未使用変数」の警告を発していました。この警告は、単なるコードの冗長性を示すだけでなく、コンパイラの最適化によって、d への代入処理自体が削除されてしまう可能性を秘めていました。

特に、浮動小数点演算の結果がCPUの浮動小数点レジスタに格納され、その後のアセンブリコードの挙動に影響を与えるような場合、この最適化は問題を引き起こす可能性があります。例えば、特定のABI(Application Binary Interface)では、関数の戻り値が浮動小数点レジスタを通じて渡されることがありますが、コンパイラが代入を削除すると、このレジスタが正しく設定されない可能性があります。

修正は、d = ...; の直後に USED(&d); // FLUSH という行を追加することによって行われました。USED マクロは、コンパイラに対して変数 d が使用されていることを明示的に伝えます。これにより、コンパイラは d への代入処理をデッドコードとして削除することなく、そのままコンパイルします。コメントの // FLUSH は、この操作が浮動小数点レジスタの内容をメモリに「フラッシュ」する(つまり、レジスタの内容が失われないようにする)効果を持つことを示唆しています。これは、コンパイラがレジスタ割り当てを最適化する際に、d の値がレジスタに保持されることを保証するため、または少なくともその値がメモリに書き出されることを保証するために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
+++ b/src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
@@ -197,12 +197,14 @@ void
 runtime·int64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _v2d(y);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 void
 runtime·uint64tofloat64(Vlong y, double d)
 {
 	d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo);
+	USED(&d); // FLUSH
 }
 
 static void

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/runtime/vlrt_arm.c ファイルの2箇所に集中しています。

  1. runtime·int64tofloat64 関数内: d = _v2d(y); の直後に USED(&d); // FLUSH が追加されました。 _v2d(y) は、Vlong 型(Goランタイムにおける64ビット整数表現)を double 型に変換する内部関数です。この変換結果が d に代入されます。USED(&d) は、d のアドレスをコンパイラに渡すことで、d が「使用されている」と認識させ、コンパイラが d への代入処理を最適化で削除しないようにします。

  2. runtime·uint64tofloat64 関数内: d = _ul2d(y.hi)*4294967296. + _ul2d(y.lo); の直後に USED(&d); // FLUSH が追加されました。 _ul2d は、符号なし32ビット整数を double 型に変換する内部関数です。ここでは、64ビットの符号なし整数 y を上位32ビット (y.hi) と下位32ビット (y.lo) に分割し、それぞれを double に変換した後、適切な係数(2^32)を掛けて加算することで、64ビット整数から double への変換を行っています。ここでも同様に、USED(&d) が追加され、コンパイラの最適化による問題を防いでいます。

これらの変更により、コンパイラはこれらの浮動小数点変換処理を意図通りに生成し、ARMアーキテクチャ上でのGoランタイムの安定性と正確性が保証されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語のランタイムに関するドキュメント (公式ドキュメントやGoのソースコードコメント)
  • C言語のコンパイラ最適化に関する一般的な情報 (デッドコード削除、未使用変数警告)
  • ARMアーキテクチャの浮動小数点ユニット (FPU) およびABIに関する情報
  • IEEE 754 浮動小数点標準に関する情報
  • Go言語のソースコード src/pkg/runtime/vlrt_arm.c
  • Go言語のソースコード src/pkg/runtime/runtime.h (USEDマクロの定義など)
  • Go言語のIssueトラッカーやメーリングリスト (関連する議論がある場合)