[インデックス 13088] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のコマンドラインツール go
のドキュメントとエラーメッセージにおける軽微な修正を含んでいます。具体的には、以下の3つのファイルが変更されています。
src/cmd/go/doc.go
:go help
コマンドのドキュメント内の参照を修正。src/cmd/go/help.go
: HTMLメタタグに関するコメント内のスペルミスを修正。src/cmd/go/main.go
: 未知のサブコマンドに対するエラーメッセージのフォーマットを修正。
コミット
commit 9815515df11c5a115dc2f457bb3699e3089531b8
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date: Thu May 17 02:00:40 2012 -0400
cmd/go: fix typo
Fixes #3619.
R=golang-dev, bradfitz, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6211055
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/9815515df11c5a115dc2f457bb3699e3089531b8
元コミット内容
commit 9815515df11c5a115dc2f457bb3699e3089531b8
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date: Thu May 17 02:00:40 2012 -0400
cmd/go: fix typo
Fixes #3619.
R=golang-dev, bradfitz, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6211055
変更の背景
このコミットの主な目的は、go
コマンドラインツールのユーザーエクスペリエンスを向上させるための、ドキュメントとエラーメッセージの軽微な修正です。コミットメッセージには「fix typo」とあり、また「Fixes #3619」と記載されています。これは、おそらくGoプロジェクトの内部トラッカーで報告された、ドキュメントの誤植やエラーメッセージの表示に関するバグ(Issue #3619)に対応するものであると考えられます。
具体的な変更内容は以下の通りです。
- ドキュメントの参照修正:
go help importpath
という古い参照がgo help packages
に更新されています。これは、go
コマンドのヘルプシステムにおけるパッケージ関連の情報の提供方法が変更されたか、より適切なコマンド名に統一されたことを示唆しています。 - スペルミス修正:
corresponding
のスペルミス (correponding
) が修正されています。これは純粋なタイポ修正であり、コードの機能には影響しませんが、ドキュメントの品質向上に貢献します。 - エラーメッセージのフォーマット修正: 未知のサブコマンドが実行された際に表示されるエラーメッセージのフォーマットが
%#q
から%q
に変更されています。これは、エラーメッセージの可読性を向上させるための調整です。
これらの変更は、Goツールの正確性とユーザーフレンドリーさを高めるための、継続的な改善の一環として行われたものです。
前提知識の解説
このコミットを理解するためには、以下のGo言語およびGoツールの基本的な概念を理解しておく必要があります。
go
コマンド: Go言語のビルド、テスト、パッケージ管理、ドキュメント表示などを行うための主要なコマンドラインツールです。go help
:go
コマンドのサブコマンドで、特定のコマンドや概念に関するヘルプ情報を表示するために使用されます。例えば、go help build
はgo build
コマンドに関するヘルプを表示します。- インポートパス (Import Path): Go言語において、パッケージを一意に識別するための文字列です。通常、パッケージのソースコードが配置されているリポジトリのパスや、モジュールのパスに対応します。例えば、
"fmt"
は標準ライブラリのフォーマットパッケージのインポートパスです。 go get
: リモートリポジトリからGoパッケージのソースコードを取得し、ローカルにインストールするためのコマンドです。インポートパスを使用して、どのパッケージを取得するかを指定します。fmt.Fprintf
: Go言語の標準ライブラリfmt
パッケージに含まれる関数で、指定されたio.Writer
(この場合はos.Stderr
) にフォーマットされた文字列を出力するために使用されます。os.Stderr
: 標準エラー出力ストリームを表すio.Writer
インターフェースの実装です。通常、エラーメッセージや診断情報を出力するために使用されます。- フォーマット動詞 (
%q
,%#q
):fmt
パッケージの関数で使用される特殊な記号で、変数の値をどのように文字列として表現するかを制御します。%q
: Goの文字列リテラルとして値をクォートして出力します。例えば、"hello"
は""hello""
となります。%#q
:%q
と同様にクォートしますが、Goの構文で構造体やマップなどの複合型を表現する際に、より詳細な情報(フィールド名など)を含めて出力します。文字列の場合、%q
と同じ挙動になることが多いですが、数値やブール値などでは異なる表現になることがあります。このコミットの文脈では、文字列のクォート表示に関するものです。
技術的詳細
このコミットは、Goツールの内部実装における細かな調整を示しています。
-
src/cmd/go/doc.go
の変更:- 変更前:
An import path (see 'go help importpath') denotes a package
- 変更後:
An import path (see 'go help packages') denotes a package
- この変更は、
go help
コマンドのサブコマンド名がimportpath
からpackages
に変更されたことを反映しています。これは、Goのパッケージ管理やモジュールシステムが進化する中で、ヘルプドキュメントの整合性を保つための更新と考えられます。ユーザーがgo help packages
を実行することで、パッケージに関するより包括的な情報を得られるようになったことを示唆しています。
- 変更前:
-
src/cmd/go/help.go
の変更:- 変更前:
The import-prefix is the import path correponding to the repository
- 変更後:
The import-prefix is the import path corresponding to the repository
correponding
のスペルミスがcorresponding
に修正されています。これは、go get
コマンドがリモートリポジトリからソースコードを取得する際に使用するHTMLメタタグ (go-import
) の説明文における修正です。このメタタグは、カスタムドメインのインポートパスをリポジトリのURLにマッピングするために使用されます。
- 変更前:
-
src/cmd/go/main.go
の変更:- 変更前:
fmt.Fprintf(os.Stderr, "go: unknown subcommand %#q\\nRun 'go help' for usage.\\n", args[0])
- 変更後:
fmt.Fprintf(os.Stderr, "go: unknown subcommand %q\\nRun 'go help' for usage.\\n", args[0])
- この変更は、
go
コマンドが認識できないサブコマンドを受け取った際に表示されるエラーメッセージのフォーマットを調整しています。具体的には、フォーマット動詞が%#q
から%q
に変更されています。%q
は文字列を二重引用符で囲んで出力します。例えば、unknown
は"unknown"
と表示されます。%#q
も文字列を二重引用符で囲みますが、Goの構文でより詳細な表現が必要な場合に使用されます。文字列リテラルの場合は%q
と同じ結果になることが多いですが、この変更は、エラーメッセージの出力において、よりシンプルで直接的なクォート表示を意図している可能性があります。あるいは、以前の%#q
が意図しないエスケープ文字などを表示する可能性があったため、それを避けるための修正かもしれません。この場合、args[0]
はユーザーが入力した未知のサブコマンド文字列であり、それをそのままクォートして表示することが目的です。
- 変更前:
これらの変更は、Goツールの内部的な整合性を高め、ユーザーへの情報提供をより正確かつ分かりやすくするための、細部にわたる配慮を示しています。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/src/cmd/go/doc.go b/src/cmd/go/doc.go
index a39534a996..5e7b10692d 100644
--- a/src/cmd/go/doc.go
+++ b/src/cmd/go/doc.go
@@ -546,7 +546,7 @@ in those files and ignoring any other files in the directory.
Remote import path syntax
-An import path (see 'go help importpath') denotes a package
+An import path (see 'go help packages') denotes a package
stored in the local file system. Certain import paths also
describe how to obtain the source code for the package using
a revision control system.
diff --git a/src/cmd/go/help.go b/src/cmd/go/help.go
index 0907c5afb4..7539753af0 100644
--- a/src/cmd/go/help.go
+++ b/src/cmd/go/help.go
@@ -138,7 +138,7 @@ The meta tag has the form:\n \n \t<meta name=\"go-import\" content=\"import-prefix vcs repo-root\">\n \n-The import-prefix is the import path correponding to the repository
+The import-prefix is the import path corresponding to the repository
root. It must be a prefix or an exact match of the package being
fetched with \"go get\". If it\'s not an exact match, another http
request is made at the prefix to verify the <meta> tags match.\ndiff --git a/src/cmd/go/main.go b/src/cmd/go/main.go
index a17082c2b4..20585d1bea 100644
--- a/src/cmd/go/main.go
+++ b/src/cmd/go/main.go
@@ -144,7 +144,7 @@ func main() {\n \t\t}\n \t}\n \n-\tfmt.Fprintf(os.Stderr, \"go: unknown subcommand %#q\\nRun 'go help' for usage.\\n\", args[0])\n+\tfmt.Fprintf(os.Stderr, \"go: unknown subcommand %q\\nRun 'go help' for usage.\\n\", args[0])\n \tsetExitStatus(2)\n \texit()\n }\n```
## コアとなるコードの解説
### `src/cmd/go/doc.go`
このファイルは、`go` コマンドの全体的なドキュメントの一部を構成しています。変更箇所は、リモートインポートパスの構文に関する説明文です。
* **変更前**: `An import path (see 'go help importpath') denotes a package`
* ここでは、インポートパスについてさらに詳しく知るために `go help importpath` を参照するように指示しています。
* **変更後**: `An import path (see 'go help packages') denotes a package`
* 参照先が `go help packages` に変更されました。これは、Goのヘルプシステムにおいて、パッケージに関する情報が `importpath` というより具体的な概念から `packages` というより一般的な概念に統合されたか、あるいはコマンド名が変更されたことを示しています。これにより、ユーザーはパッケージに関するより広範な情報を `go help packages` から得られるようになります。
### `src/cmd/go/help.go`
このファイルは、`go` コマンドのヘルプメッセージの生成に関連するコードを含んでいます。変更箇所は、`go get` コマンドが使用するHTMLメタタグ (`go-import`) の説明文です。
* **変更前**: `The import-prefix is the import path correponding to the repository`
* `corresponding` のスペルが `correponding` と誤っていました。
* **変更後**: `The import-prefix is the import path corresponding to the repository`
* スペルミスが `corresponding` に修正されました。この修正は、ドキュメントの正確性を高めるための単純なタイポ修正です。
### `src/cmd/go/main.go`
このファイルは、`go` コマンドのエントリポイントであり、コマンドライン引数の解析やサブコマンドの実行を処理します。変更箇所は、未知のサブコマンドが入力された際のエラーハンドリング部分です。
* **変更前**: `fmt.Fprintf(os.Stderr, "go: unknown subcommand %#q\\nRun 'go help' for usage.\\n", args[0])`
* `fmt.Fprintf` を使用して標準エラー出力にエラーメッセージを出力しています。ここで、未知のサブコマンド名 (`args[0]`) を `%#q` フォーマット動詞で表示しています。
* **変更後**: `fmt.Fprintf(os.Stderr, "go: unknown subcommand %q\\nRun 'go help' for usage.\\n", args[0])`
* フォーマット動詞が `%#q` から `%q` に変更されました。
* Goの `fmt` パッケージにおいて、`%q` は文字列を二重引用符で囲んで出力します。例えば、`foo` は `"foo"` となります。
* `%#q` も同様に文字列を二重引用符で囲みますが、Goの構文でより詳細な表現が必要な場合(例えば、構造体のフィールド名など)に使用されます。文字列リテラルの場合は `%q` と同じ結果になることが多いですが、この変更は、エラーメッセージの出力において、よりシンプルで直接的なクォート表示を意図しているか、あるいは以前の `%#q` が特定の条件下で意図しないエスケープ文字などを表示する可能性があったため、それを避けるための修正と考えられます。これにより、ユーザーが入力した未知のサブコマンドが、より明確かつ簡潔にエラーメッセージ内に表示されるようになります。
## 関連リンク
* GitHubコミットページ: [https://github.com/golang/go/commit/9815515df11c5a115dc2f457bb3699e3089531b8](https://github.com/golang/go/commit/9815515df11c5a115dc2f457bb3699e3089531b8)
* Go CL (Code Review): [https://golang.org/cl/6211055](https://golang.org/cl/6211055)
## 参考にした情報源リンク
* Go言語公式ドキュメント: `fmt` パッケージ ([https://pkg.go.dev/fmt](https://pkg.go.dev/fmt))
* Go言語公式ドキュメント: `go` コマンド ([https://go.dev/doc/cmd/go](https://go.dev/doc/cmd/go))
* Go言語公式ドキュメント: `go get` コマンド ([https://go.dev/cmd/go/#hdr-Download_and_install_packages_and_dependencies](https://go.dev/cmd/go/#hdr-Download_and_install_packages_and_dependencies))
* Go言語公式ドキュメント: `go help` ([https://go.dev/cmd/go/#hdr-Go_help](https://go.dev/cmd/go/#hdr-Go_help))