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[インデックス 13269] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のインストールガイドドキュメント doc/install-source.html から、「The compiler is 6g.」という記述を削除するものです。これは、Goコンパイラの命名規則や推奨される使用方法の変更に伴うドキュメントの更新であり、ユーザーが古い情報に基づいて誤解するのを防ぐことを目的としています。

コミット

  • コミットハッシュ: 9723de5d8b57263e1bf8e62a82e09a1c637d7a49
  • 作者: Russ Cox rsc@golang.org
  • コミット日時: Mon Jun 4 10:41:30 2012 -0400

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/9723de5d8b57263e1bf8e62a82e09a1c637d7a49

元コミット内容

doc/install: we don't print 'The compiler is 6g' anymore

R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6273050

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のコンパイラ環境の進化があります。初期のGo言語では、異なるアーキテクチャ(例: 386、amd64、arm)に対応するために、それぞれ 8g (386用)、6g (amd64用)、5g (arm用) といった命名規則のコンパイラが使用されていました。これらのコンパイラは、Goのソースコードを特定のアーキテクチャのバイナリに変換する役割を担っていました。

しかし、Go言語の開発が進むにつれて、これらのアーキテクチャ固有のコンパイラ名ではなく、より汎用的な go build コマンドを通じてコンパイラが自動的に選択・実行されるようになりました。これにより、ユーザーは特定のコンパイラ名を意識することなく、go コマンド一つでビルドプロセスを完結できるようになりました。

このコミットが行われた2012年頃には、既に 6g のような特定のコンパイラ名を直接意識して使用する機会が減少し、go ツールチェインが主流となっていました。そのため、古いドキュメントに「The compiler is 6g.」という記述が残っていると、新規ユーザーがGoのビルドシステムについて誤解したり、存在しない、あるいは推奨されないワークフローを試みたりする可能性がありました。このコミットは、このような混乱を避けるために、ドキュメントを現在のGoツールチェインの状況に合わせて更新するものです。

前提知識の解説

Go言語のコンパイラ (6g, 8g, 5g など)

Go言語の初期のバージョンでは、各ターゲットアーキテクチャに対応するコンパイラが個別の名前を持っていました。

  • 6g: AMD64 (x86-64) アーキテクチャ用のGoコンパイラ。
  • 8g: 386 (x86) アーキテクチャ用のGoコンパイラ。
  • 5g: ARM アーキテクチャ用のGoコンパイラ。

これらのコンパイラは、Goのソースコード(.go ファイル)を、それぞれのターゲットアーキテクチャの機械語にコンパイルし、実行可能なバイナリを生成する役割を担っていました。例えば、AMD64環境でGoプログラムをコンパイルする場合、内部的には 6g が使用されていました。

go コマンドとツールチェイン

Go言語のバージョン1.0以降、go コマンドが導入され、Go開発の主要なインターフェースとなりました。go コマンドは、コンパイル、テスト、依存関係の管理、フォーマットなど、Go開発に必要な多くのタスクを統合的に処理します。

go build コマンドを使用すると、ユーザーはターゲットアーキテクチャを意識することなく、Goのソースコードをビルドできます。go build は、内部的に適切なコンパイラ(例えば、AMD64環境であれば 6g に相当する機能を持つコンパイラ)を自動的に選択し、実行します。この抽象化により、開発者はコンパイラの具体的な名前や呼び出し方法を覚える必要がなくなり、開発体験が大幅に向上しました。

このコミットは、このような go コマンドを中心としたツールチェインへの移行と普及に伴い、古いコンパイラ名がドキュメントから削除されたことを示しています。

技術的詳細

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である doc/install-source.html ファイルに対する変更です。このファイルは、Go言語をソースからビルドしてインストールする手順を説明するHTMLドキュメントです。

変更内容は非常にシンプルで、HTMLドキュメント内の特定の行を削除するだけです。技術的な観点から見ると、これはコードの機能変更ではなく、情報伝達の正確性を高めるためのドキュメントのメンテナンスです。

具体的には、Goのインストールが成功した際の出力例として示されていた部分から、「The compiler is 6g.」という一文が削除されています。これは、Goツールチェインの進化により、ユーザーが直接 6g のようなコンパイラ名を意識する必要がなくなったため、この情報がもはや適切ではないと判断されたためです。

この変更は、Go言語のユーザーエクスペリエンスを向上させるための継続的な取り組みの一環であり、ドキュメントが常に最新かつ正確な情報を提供するように保つことの重要性を示しています。

コアとなるコードの変更箇所

変更は doc/install-source.html ファイルの1行のみです。

--- a/doc/install-source.html
+++ b/doc/install-source.html
@@ -170,7 +170,6 @@ ALL TESTS PASSED
 Installed Go for linux/amd64 in /home/you/go.
 Installed commands in /home/you/go/bin.
 *** You need to add /home/you/go/bin to your $PATH. ***
-The compiler is 6g.
 </pre>
 
 <p>

コアとなるコードの解説

上記の diff は、doc/install-source.html ファイルから以下の行が削除されたことを示しています。

The compiler is 6g.

この行は、Goのソースからのインストールが成功した際に表示されるであろう出力例の一部として、<pre> タグ内に記述されていました。この出力例は、ユーザーがGoのインストールが正しく行われたことを確認するためのものでした。

しかし、前述の通り、Goツールチェインの進化により、ユーザーが直接 6g のような特定のコンパイラ名を意識する必要がなくなったため、この情報は時代遅れとなり、誤解を招く可能性がありました。このコミットは、この古い情報をドキュメントから削除することで、ユーザーが最新のGo開発環境に即した理解を持つことを促しています。

この変更は、Goプロジェクトがドキュメントの正確性と最新性を重視していることを示しており、ユーザーが混乱することなくGoを学習し、使用できるようにするための細やかな配慮がなされていることがわかります。

関連リンク

  • Go言語公式サイト: https://golang.org/
  • Go言語のインストールガイド (現在のバージョン): https://golang.org/doc/install (このコミットで変更されたファイルは install-source.html であり、現在の公式ドキュメントとは異なる可能性がありますが、概念は共通しています。)

参考にした情報源リンク

  • Go言語のコンパイラに関する一般的な情報 (Web検索結果に基づく)
  • Go言語の歴史とツールチェインの進化に関する情報 (Web検索結果に基づく)
  • GitHubのコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/9723de5d8b57263e1bf8e62a82e09a1c637d7a49
  • Go言語のコードレビューシステム (Gerrit) の変更リスト: https://golang.org/cl/6273050 (これはコミットメッセージに記載されているリンクであり、変更の経緯や議論を追うのに役立ちます。)