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[インデックス 13366] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメント「Go Slices: usage and internals」内のタイプミスを修正するものです。具体的には、スライスの要素を代入によって変更する例において、比較演算子 == が誤って使用されていた箇所を、正しい代入演算子 = に修正しています。これにより、ドキュメントの正確性が向上し、読者がスライスの動作を正しく理解できるようになります。

コミット

commit 5d2cfc2faa193a81f4a03aee03c60ef26ba8ed19
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Wed Jun 20 01:22:03 2012 +0800

    doc/articles/slices_usage_and_internals: fix typo
            Fixes #3753.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6304097
---\n doc/articles/slices_usage_and_internals.html | 2 +-\n 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)\n\ndiff --git a/doc/articles/slices_usage_and_internals.html b/doc/articles/slices_usage_and_internals.html
index 810b0a41f8..7eb751b455 100644
--- a/doc/articles/slices_usage_and_internals.html
+++ b/doc/articles/slices_usage_and_internals.html
@@ -243,7 +243,7 @@ slice itself) of a re-slice modifies the elements of the original slice:
 d := []byte{'r', 'o', 'a', 'd'}
 e := d[2:] 
 // e == []byte{'a', 'd'}
-e[1] == 'm'
+e[1] = 'm'
 // e == []byte{'a', 'm'}
 // d == []byte{'r', 'o', 'a', 'm'}
 </pre>

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/5d2cfc2faa193a81f4a03aee03c60ef26ba8ed19

元コミット内容

doc/articles/slices_usage_and_internals: fix typo Fixes #3753.

このコミットは、doc/articles/slices_usage_and_internals というドキュメント内のタイプミスを修正するものです。Go言語のIssue #3753 に対応しています。

変更の背景

Go言語の公式ドキュメントは、言語の理解と普及において非常に重要な役割を担っています。特に「Go Slices: usage and internals」は、Go言語の最も強力で頻繁に使用されるデータ構造の一つであるスライスについて、その内部動作と正しい使用方法を詳細に解説した重要な記事です。

このドキュメントには、スライスの再スライス(re-slice)が元のスライスの要素に影響を与えることを示すコード例が含まれていました。しかし、その例の中で、スライスの要素に新しい値を「代入」するべき箇所で、誤って「比較」演算子 == が使用されていました。

e[1] == 'm' という記述は、Go言語においては e[1] の値が 'm' と等しいかどうかを評価するブール式であり、値を代入する操作ではありません。この誤った記述は、読者がコード例をそのまま実行しようとした際にコンパイルエラーを引き起こすか、あるいはスライスの動作について誤解を招く可能性がありました。

この問題は、Go言語のIssueトラッカーで #3753 として報告されました。このコミットは、その報告を受けて、ドキュメントの正確性を確保し、読者が混乱することなくスライスの概念を理解できるようにするために行われました。

前提知識の解説

Go言語のスライス (Slices)

Go言語のスライスは、配列のセグメントを参照する軽量なデータ構造です。スライスは、長さ(len)と容量(cap)を持ちます。

  • 長さ (Length): スライスに含まれる要素の数。
  • 容量 (Capacity): スライスの最初の要素から、そのスライスが参照している基盤となる配列の末尾までの要素の数。

スライスは、基盤となる配列(backing array)へのポインタ、長さ、容量の3つの要素で構成されます。複数のスライスが同じ基盤配列を参照することが可能です。

スライスの再スライス (Re-slicing)

既存のスライスから新しいスライスを作成する操作を「再スライス」と呼びます。例えば、s[low:high] のように記述します。この操作は、新しいスライスヘッダを作成しますが、基盤となる配列は元のスライスと共有されます。

重要な点として、再スライスによって作成された新しいスライスを通じて要素を変更すると、同じ基盤配列を参照している他のスライス(元のスライスを含む)からもその変更が可視になります。これは、スライスが値型ではなく、基盤配列への参照であるためです。

Go言語の演算子: ===

Go言語には、他の多くのプログラミング言語と同様に、異なる目的を持つ複数の演算子があります。

  • == (比較演算子): これは「等価演算子」または「比較演算子」と呼ばれ、左辺と右辺の値が等しいかどうかを評価します。結果はブール値(true または false)になります。例えば、x == yxy が等しければ true、そうでなければ false を返します。
  • = (代入演算子): これは「代入演算子」と呼ばれ、右辺の値を左辺の変数に割り当てます。例えば、x = yy の値を x に代入します。この操作は値を返しません。

今回のコミットの修正は、この === の違いに関するものです。ドキュメントのコード例では、スライスの要素に新しい値を「代入」してその変更が他のスライスに伝播することを示す意図があったため、代入演算子 = が正しく、比較演算子 == は誤りでした。

技術的詳細

このコミットは、doc/articles/slices_usage_and_internals.html ファイル内の特定のコードスニペットを修正しています。問題の箇所は、スライスの再スライスが元のスライスの要素に影響を与えることを示す例です。

元のコードは以下のようになっていました。

d := []byte{'r', 'o', 'a', 'd'}
e := d[2:] 
// e == []byte{'a', 'd'}
e[1] == 'm' // ここが問題の箇所
// e == []byte{'a', 'm'}
// d == []byte{'r', 'o', 'a', 'm'}

この例の意図は、e スライスの要素 e[1]'m' に変更することで、それが基盤配列を共有する d スライスにも反映され、最終的に d[]byte{'r', 'o', 'a', 'm'} になることを示すことでした。

しかし、e[1] == 'm' という行は、Go言語の文法上、e[1] の値が 'm' と等しいかどうかを評価するブール式です。この式は値を返しますが、その値をどこにも代入していないため、実際には何の効果もありません。また、この行自体はコンパイルエラーにはなりませんが、その後のコメント // e == []byte{'a', 'm'}// d == []byte{'r', 'o', 'a', 'm'} と矛盾し、読者に誤解を与えます。

正しい操作は、e[1]'m' を「代入」することであり、そのためには代入演算子 = を使用する必要があります。

修正後のコードは以下のようになります。

d := []byte{'r', 'o', 'a', 'd'}
e := d[2:] 
// e == []byte{'a', 'd'}
e[1] = 'm' // 正しい代入
// e == []byte{'a', 'm'}
// d == []byte{'r', 'o', 'a', 'm'}

この修正により、コード例は意図した通りの動作を示し、ドキュメントの正確性が保たれます。これは小さな修正ですが、プログラミング言語の基本的な概念である「代入」と「比較」の区別を明確にし、特に初心者にとっての学習体験を向上させる上で重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/articles/slices_usage_and_internals.html
+++ b/doc/articles/slices_usage_and_internals.html
@@ -243,7 +243,7 @@ slice itself) of a re-slice modifies the elements of the original slice:
 d := []byte{'r', 'o', 'a', 'd'}
 e := d[2:] 
 // e == []byte{'a', 'd'}
-e[1] == 'm'
+e[1] = 'm'
 // e == []byte{'a', 'm'}
 // d == []byte{'r', 'o', 'a', 'm'}
 </pre>

コアとなるコードの解説

変更は doc/articles/slices_usage_and_internals.html ファイルの245行目で行われています。

  • -e[1] == 'm' : 修正前の行です。ここでは、スライス e のインデックス 1 の要素が文字 'm' と等しいかどうかを「比較」しています。この操作は値を変更しません。
  • +e[1] = 'm' : 修正後の行です。ここでは、スライス e のインデックス 1 の要素に文字 'm' を「代入」しています。これにより、基盤となる配列の該当する要素が実際に変更され、その変更が d スライスにも反映されます。

この一文字の変更は、ドキュメントのコード例が示すスライスの動作(再スライスされたスライスを介した変更が元のスライスに影響を与えること)を正確に表現するために不可欠です。

関連リンク

参考にした情報源リンク