[インデックス 13396] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリの一部である go/build
パッケージ内のドキュメントファイル src/pkg/go/build/doc.go
に関連するものです。go/build
パッケージは、Goのソースコードをビルドする際のパッケージの解決やビルド制約の処理など、ビルドプロセスに関する機能を提供します。doc.go
ファイルは、Goのパッケージドキュメンテーションの慣例に従い、パッケージ全体の概要や重要な概念(この場合はビルド制約)について説明するために使用されます。
コミット
このコミットは、go/build
パッケージのドキュメントにおけるタイプミス(typo)を修正するものです。具体的には、「Build Constraints」セクションの最初の段落にあった「they must be appear near the top of the file」という誤った記述を、「they must appear near the top of the file」に修正しています。これは、ドキュメントの正確性と可読性を向上させるための軽微な修正です。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/baaa08eab072aee3e00203aab6b91e5e49a76929
元コミット内容
commit baaa08eab072aee3e00203aab6b91e5e49a76929
Author: Pieter Droogendijk <pieter@binky.org.uk>
Date: Mon Jun 25 17:20:48 2012 -0400
go/build: fix doc typo
go/build section "Build Constraints", first paragraph said:
"... they must be appear near the top of the file ..."
fixed to:
"... they must appear near the top of the file ..."
R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6329060
変更の背景
この変更の背景は非常にシンプルで、go/build
パッケージのドキュメント内に存在する文法的な誤り(タイプミス)を修正することです。ドキュメントはソフトウェアの利用者が機能を理解し、正しく使用するための重要な情報源であるため、その正確性は非常に重要です。このタイプミスは「must be appear」という不自然な表現であり、これを「must appear」という正しい表現に修正することで、ドキュメントの品質と読みやすさが向上します。
前提知識の解説
Go言語のビルド制約(Build Constraints)
Go言語には「ビルド制約(Build Constraints)」という機能があります。これは、特定のソースファイルが特定の環境(オペレーティングシステム、アーキテクチャ、Goのバージョンなど)でのみビルド対象となるように制御するための仕組みです。
ビルド制約は、ソースファイルの先頭に +build
ディレクティブとして記述されます。例えば、// +build linux,amd64
と記述されたファイルは、LinuxかつAMD64アーキテクチャの環境でのみビルドされます。
+build
ディレクティブの配置規則
+build
ディレクティブには厳密な配置規則があります。ドキュメントにも記載されている通り、これらはファイルの先頭近くに配置されなければなりません。具体的には、空白行や他の行コメント(通常のGoコードコメント)のみが先行することを許容し、それ以外のコードやパッケージ宣言などが先行すると、ビルド制約として認識されません。この規則は、Goのツールチェインがソースファイルを解析する際に、効率的かつ正確にビルド制約を識別できるようにするために重要です。
go/build
パッケージ
go/build
パッケージは、Goの標準ライブラリの一部であり、Goのソースコードをビルドする際のパッケージの解決、ビルド制約の評価、およびその他のビルド関連のタスクをプログラム的に実行するための機能を提供します。Goのコマンドラインツール(go build
, go run
など)の内部でもこのパッケージが利用されており、Goプロジェクトのビルドプロセスの中核をなすものです。
技術的詳細
このコミット自体は、Goのビルドシステムやコンパイラの動作に直接的な変更を加えるものではなく、あくまでドキュメントの修正です。しかし、その修正箇所がGoのビルド制約という重要な概念に関する記述であるため、その技術的背景を理解することは重要です。
Goのビルドツールは、ソースファイルを読み込む際に、ファイルの先頭から特定のパターン(// +build
)を探します。このパターンが見つかった場合、その行をビルド制約として解釈し、現在のビルド環境と照合します。もし、このディレクティブがファイルの先頭から離れた場所に記述されていたり、間にコードが挟まっていたりすると、Goツールはそれをビルド制約として認識せず、そのファイルは意図せずビルド対象に含まれたり、除外されたりする可能性があります。
今回の修正は、この「ファイルの先頭近くに配置されなければならない」という重要な規則を説明する文章の誤りを訂正することで、開発者がビルド制約を正しく理解し、適用できるようにするためのものです。文法的な誤りであっても、技術ドキュメントにおいては誤解を招く可能性があるため、このような修正は品質維持の観点から重要です。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/src/pkg/go/build/doc.go b/src/pkg/go/build/doc.go
index 618eefe9e4..04e48c1547 100644
--- a/src/pkg/go/build/doc.go
+++ b/src/pkg/go/build/doc.go
@@ -60,7 +60,7 @@
// A build constraint is a line comment beginning with the directive +build
// that lists the conditions under which a file should be included in the package.
// Constraints may appear in any kind of source file (not just Go), but
-// they must be appear near the top of the file, preceded
+// they must appear near the top of the file, preceded
// only by blank lines and other line comments.
//
// A build constraint is evaluated as the OR of space-separated options;
コアとなるコードの解説
変更は src/pkg/go/build/doc.go
ファイルの61行目です。
- 修正前:
// they must be appear near the top of the file, preceded
- 修正後:
// they must appear near the top of the file, preceded
この変更は、「be」という余分な単語を削除することで、「must appear」(〜でなければならない)という正しい英語の表現に修正しています。これにより、ビルド制約がファイルの先頭近くに配置される必要があるという規則が、より明確かつ正確に伝わるようになりました。これは純粋なドキュメントの修正であり、Goのコンパイラやランタイムの動作には影響を与えません。
関連リンク
- Go言語の公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
go/build
パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/go/build- Go Modulesにおけるビルド制約の利用(より現代的な情報): https://go.dev/blog/go1.16-module-changes#build-constraints
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント
- Go言語のソースコード(GitHubリポジトリ)
- Go Modulesに関する公式ブログ記事