[インデックス 13592] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリである net/http
パッケージ内のテスト TestServeFileFromCWD
がWindows環境で失敗する問題を一時的に回避するための変更です。具体的には、Windows上でのビルドを修正するために、このテストをスキップするロジックが追加されました。
コミット
commit 0bfa31e9619d8d372e62446e204600f34ac45f4b
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date: Tue Aug 7 13:19:49 2012 +1000
net/http: disable TestServeFileFromCWD test on windows
This is an attempt to fix windows build. Will restore
once we know what the problem is.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6461046
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/0bfa31e9619d8d372e62446e204600f34ac45f4b
元コミット内容
net/http: disable TestServeFileFromCWD test on windows
This is an attempt to fix windows build. Will restore
once we know what the problem is.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6461046
変更の背景
この変更は、Go言語のWindowsビルドが net/http
パッケージ内の TestServeFileFromCWD
テストの失敗によって不安定になっていた問題に対処するために行われました。コミットメッセージには「This is an attempt to fix windows build. Will restore once we know what the problem is.」と明記されており、これは根本原因が特定されるまで、一時的にテストを無効化することでビルドの安定性を確保しようとする試みであることを示しています。
参照されている http://golang.org/issue/3917
は、このテストがWindows上でなぜ壊れているのかを追跡するためのイシュートラッカーのエントリです。このコミットは、その問題が解決されるまでの間に、CI/CDパイプラインや開発者のローカル環境でのWindowsビルドが失敗し続けることを防ぐための緊急措置として導入されました。
前提知識の解説
net/http
パッケージ: Go言語の標準ライブラリの一部で、HTTPクライアントとサーバーの実装を提供します。ウェブアプリケーションの構築やHTTP通信を行う際に広く利用されます。ServeFile
関数:net/http
パッケージに含まれる関数で、指定されたファイルの内容をHTTPレスポンスとしてクライアントに提供します。この関数は、静的ファイルの配信によく使用されます。TestServeFileFromCWD
: これはGoのテスト関数であり、net/http
パッケージのServeFile
関数がカレントワーキングディレクトリ (CWD: Current Working Directory) からファイルを正しく提供できるかを検証します。テスト関数はTest
で始まり、*testing.T
型の引数を取ります。runtime.GOOS
: Go言語のruntime
パッケージが提供する定数で、プログラムが実行されているオペレーティングシステムの名前(例: "linux", "windows", "darwin")を文字列で返します。これを利用することで、OSに依存する処理を条件分岐させることができます。t.Logf
: Goのテストフレームワーク (testing
パッケージ) の一部で、テスト中にログメッセージを出力するために使用されます。fmt.Printf
と同様のフォーマット文字列をサポートします。テストが失敗した場合やスキップされた場合に、その理由を開発者に伝えるのに役立ちます。- Goのテスト: Go言語では、テストファイルは通常、テスト対象のソースファイルと同じディレクトリに配置され、ファイル名が
_test.go
で終わる必要があります。テスト関数はTest
で始まり、*testing.T
型の引数を取ります。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、GoのテストコードにOS固有の条件分岐を追加することにあります。
変更は src/pkg/net/http/fs_test.go
ファイルに対して行われました。このファイルは net/http
パッケージのファイルシステム関連のテストを含んでいます。
TestServeFileFromCWD
関数内に以下のコードが追加されました。
if runtime.GOOS == "windows" {
// TODO(brainman): find out why this test is broken
t.Logf("Temporarily skipping test on Windows; see http://golang.org/issue/3917")
return
}
このコードブロックは、テストが実行されるOSがWindowsであるかどうかを runtime.GOOS == "windows"
でチェックします。もしWindowsであれば、以下の処理が行われます。
// TODO(brainman): find out why this test is broken
: これは開発者向けのコメントで、このテストがWindowsで壊れている理由を調査する必要があることを示しています。TODO
コメントは、将来の作業が必要な箇所を示す一般的な慣習です。t.Logf("Temporarily skipping test on Windows; see http://golang.org/issue/3917")
: テストログにメッセージを出力します。このメッセージは、テストが一時的にWindowsでスキップされていること、そして関連するイシュー (http://golang.org/issue/3917
) を参照するように促しています。これにより、テスト結果を見た開発者が状況を理解しやすくなります。return
: このreturn
ステートメントにより、TestServeFileFromCWD
関数の残りの部分(実際のテストロジック)は実行されずに終了します。これにより、Windows上ではこのテストが実質的にスキップされます。
このアプローチは、テストが失敗し続けることによるビルドのブロックを回避しつつ、問題が未解決であることを明確に示し、将来的な修正の必要性を残すための一般的なプラクティスです。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/src/pkg/net/http/fs_test.go
+++ b/src/pkg/net/http/fs_test.go
@@ -340,6 +340,11 @@ func TestServeFileMimeType(t *testing.T) {
}
func TestServeFileFromCWD(t *testing.T) {
+ if runtime.GOOS == "windows" {
+ // TODO(brainman): find out why this test is broken
+ t.Logf("Temporarily skipping test on Windows; see http://golang.org/issue/3917")
+ return
+ }
ts := httptest.NewServer(HandlerFunc(func(w ResponseWriter, r *Request) {
ServeFile(w, r, "fs_test.go")
}))
コアとなるコードの解説
追加されたコードは TestServeFileFromCWD
関数の冒頭に挿入されています。
if runtime.GOOS == "windows" { ... }
: この行は、現在のオペレーティングシステムがWindowsであるかどうかをチェックする条件分岐を開始します。runtime.GOOS
はGoプログラムが実行されているOSを示す文字列を返します。// TODO(brainman): find out why this test is broken
: これはコメントであり、このテストがWindowsでなぜ壊れているのかを調査する必要があることを示しています。brainman
はコミットの作者であるAlex Brainmanのニックネームです。t.Logf("Temporarily skipping test on Windows; see http://golang.org/issue/3917")
: この行は、テストがWindows上で一時的にスキップされていることを示すメッセージをテストログに出力します。また、問題の詳細が記載されているGoイシュートラッカーのURL (http://golang.org/issue/3917
) を参照するように促しています。return
: この行が実行されると、TestServeFileFromCWD
関数の残りのコードは実行されずに、関数が終了します。これにより、Windows環境ではこのテストが実質的にスキップされ、テストの失敗がビルドを妨げることがなくなります。
この変更は、問題の根本的な解決ではなく、あくまで一時的な回避策として導入されました。これにより、Windows上でのGoのビルドプロセスが安定し、開発者は他の作業に集中できるようになります。
関連リンク
- Go Change-list: https://golang.org/cl/6461046
- Go Issue Tracker (参照されているイシュー): http://golang.org/issue/3917 (注: このリンクは古いイシュートラッカーのものであり、現在のGoのイシュートラッカーはGitHubに移行しています。直接アクセスは難しい場合がありますが、当時の文脈を示すものです。)
参考にした情報源リンク
./commit_data/13592.txt
(コミット情報の取得元)- Google Web Search for
golang.org/issue/3917
(イシューに関する追加情報の確認) - Go言語の公式ドキュメント (
net/http
,testing
,runtime
パッケージに関する一般的な知識)