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[インデックス 13600] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のプロジェクトにおけるmisc/dashboard/codereview/dashboard/cl.goファイルに対する修正です。具体的には、コードレビューダッシュボードの割り当て(assign)機能における「off-by-one (OBO)」エラーを修正することを目的としています。

コミット

commit bacccefa8d4d8e2f4f09e9a917a1dab69f972efe
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Wed Aug 8 11:04:57 2012 +1000

    misc/dashboard/codereview: fix obo
    
    R=golang-dev, dsymonds
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6443091

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/bacccefa8d4d8e2f4f09e9a917a1dab69f972efe

元コミット内容

misc/dashboard/codereview: fix obo

このコミットは、misc/dashboard/codereviewディレクトリ内のコードにおいて、「obo」という問題、すなわち「off-by-one (オフバイワン)」エラーを修正することを示しています。

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のコードレビューダッシュボードの機能におけるバグが存在したことが考えられます。特に、ユーザーのメールアドレスやレビュアーのメールアドレスを内部のマップ(emailToPersonpreferredEmail)で検索する際に、意図しない挙動やエラーが発生していた可能性があります。コミットメッセージの「fix obo」は、配列やコレクションの境界条件に関する一般的なプログラミングエラーであるオフバイワンエラーを指していると推測されます。この種のバグは、インデックスの計算ミスやループの終了条件の誤りによって発生し、予期せぬデータアクセスやロジックの誤動作を引き起こします。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の基本的な概念とWebアプリケーション開発の知識が必要です。

  • Go言語のマップ(map): Go言語のマップは、キーと値のペアを格納するデータ構造です。マップから値を取得する際、value, ok := myMap[key]という形式で、値と、キーが存在したかどうかを示すブール値(ok)を同時に受け取ることができます。このok変数をチェックすることで、キーが存在しない場合のパニックやゼロ値の使用を防ぐことができます。
  • HTTPハンドラ: http.ResponseWriter*http.Requestは、Go言語の標準ライブラリnet/httpパッケージでWebサーバーを構築する際に使用されるインターフェースと構造体です。http.ResponseWriterはHTTPレスポンスを書き込むために使用され、*http.Requestは受信したHTTPリクエストの詳細(ヘッダー、ボディ、URLなど)を提供します。
  • http.Error: http.Error(w, errorString, statusCode)は、指定されたHTTPステータスコードとエラーメッセージを含むHTTPレスポンスをクライアントに送信するためのヘルパー関数です。
  • user.Current(c): これは、おそらくGo言語の特定のWebアプリケーションフレームワークやライブラリで使用される関数で、現在のリクエストに関連付けられたユーザー情報を取得します。cはコンテキストオブジェクトである可能性があります。
  • オフバイワンエラー (Off-by-one error, OBO): プログラミングにおける一般的なエラーの一種で、ループの反復回数、配列のインデックス、または範囲の計算が、期待される値より1つ多いか少ない場合に発生します。例えば、0から始まるインデックスを持つ配列で、要素数がNであるにもかかわらず、インデックスNまでアクセスしようとすると、配列の範囲外アクセスが発生します。

技術的詳細

このコミットは、misc/dashboard/codereview/dashboard/cl.goファイルのhandleAssign関数内の2つの箇所で、マップからの値の取得方法を変更しています。

  1. ユーザー認証のチェック: 変更前:

    if _, ok := emailToPerson[u.Email]; !ok {
    

    変更後:

    person, ok := emailToPerson[u.Email]
    if !ok {
    

    この変更は、emailToPersonマップから現在のユーザーのメールアドレス(u.Email)に対応するpersonオブジェクトを取得する際に、そのpersonオブジェクト自体も変数personに代入するように変更しています。変更前は_(ブランク識別子)を使用していたため、personオブジェクトは破棄されていました。この変更により、person変数が後続の処理で利用可能になります。ただし、この特定のコミットの差分だけを見ると、person変数がこの後のコードで直接使用されているようには見えません。これは、このコミットが「obo」の修正に焦点を当てており、person変数の利用は別のコミットや既存のコードで意図されているか、あるいは単にコードの可読性や将来的な拡張性を考慮した変更である可能性があります。重要なのは、ok変数のチェックによって、マップにキーが存在しない場合にhttp.StatusUnauthorizedエラーを返すロジックは変わっていない点です。

  2. レビュアーの存在チェック: 変更前:

    person, ok := preferredEmail[rev]
    if !ok && rev != "" {
    

    変更後:

    if _, ok := preferredEmail[rev]; !ok && rev != "" {
    

    この変更は、preferredEmailマップからレビュアーのメールアドレス(rev)に対応するpersonオブジェクトを取得する際に、そのpersonオブジェクトを_(ブランク識別子)に代入するように変更しています。変更前はperson変数に代入されていましたが、このperson変数はこの条件分岐の後に使用されていないため、不要な代入でした。この変更は、不要な変数代入を削除し、コードをより簡潔にすることで、潜在的なオフバイワンエラー(例えば、person変数を誤って使用してしまうようなケース)を防ぐ意図があると考えられます。ok変数のチェックとrev != ""の条件は維持されており、レビュアーが不明な場合にUnknown reviewerエラーを返すロジックは変わりません。

これらの変更は、マップからの値の取得とok変数の利用方法を最適化し、コードの意図をより明確にすることで、潜在的なロジックエラーやオフバイワンエラーを防ぐことを目的としています。特に、不要な変数を導入しないことで、コードの複雑性を減らし、バグの発生リスクを低減します。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/misc/dashboard/codereview/dashboard/cl.go b/misc/dashboard/codereview/dashboard/cl.go
index 433232aa4f..4187ca6855 100644
--- a/misc/dashboard/codereview/dashboard/cl.go
+++ b/misc/dashboard/codereview/dashboard/cl.go
@@ -148,7 +148,8 @@ func handleAssign(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
 	}\
 
 	u := user.Current(c)
-	if _, ok := emailToPerson[u.Email]; !ok {
+	person, ok := emailToPerson[u.Email]
+	if !ok {
 		http.Error(w, "Not allowed", http.StatusUnauthorized)
 		return
 	}
@@ -159,8 +160,7 @@ func handleAssign(w http.ResponseWriter, r *http.Request) {
 		http.Error(w, "Bad CL", 400)
 		return
 	}
-	person, ok := preferredEmail[rev]
-	if !ok && rev != "" {
+	if _, ok := preferredEmail[rev]; !ok && rev != "" {
 		c.Errorf("Unknown reviewer %q", rev)
 		http.Error(w, "Unknown reviewer", 400)
 		return

コアとなるコードの解説

上記の差分は、cl.goファイル内のhandleAssign関数における2つの変更を示しています。

  1. 149行目から150行目:

    • 変更前 (-): if _, ok := emailToPerson[u.Email]; !ok {
      • emailToPersonマップからu.Email(現在のユーザーのメールアドレス)に対応する値を取得しようとしています。
      • 取得した値は_(ブランク識別子)に代入され、破棄されます。
      • ok変数は、キーが存在したかどうかを示します。
      • !okの場合(キーが存在しない場合)、http.StatusUnauthorizedエラーを返します。
    • 変更後 (+):
      person, ok := emailToPerson[u.Email]
      if !ok {
      
      • emailToPersonマップからu.Emailに対応する値を取得し、それをpersonという新しい変数に代入しています。
      • ok変数のチェックは変更前と同じで、キーが存在しない場合にエラーを返します。
      • この変更により、person変数が利用可能になりますが、このコミットの範囲ではその後の利用は示されていません。これは、コードの意図を明確にするため、または将来的な拡張のために行われた可能性があります。
  2. 160行目から161行目:

    • 変更前 (-):
      person, ok := preferredEmail[rev]
      if !ok && rev != "" {
      
      • preferredEmailマップからrev(レビュアーのメールアドレス)に対応する値を取得し、それをperson変数に代入しています。
      • !ok && rev != ""の場合(キーが存在しない、かつrevが空文字列でない場合)、Unknown reviewerエラーを返します。
    • 変更後 (+): if _, ok := preferredEmail[rev]; !ok && rev != "" {
      • preferredEmailマップからrevに対応する値を取得しようとしていますが、取得した値は_(ブランク識別子)に代入され、破棄されます。
      • ok変数のチェックとrev != ""の条件は変更前と同じです。
      • この変更は、person変数がこの条件分岐の後に使用されていないため、不要な変数代入を削除し、コードを簡潔にしています。これにより、コードの可読性が向上し、誤って使用される可能性のある変数を排除することで、潜在的なオフバイワンエラーやロジックエラーのリスクを低減します。

これらの変更は、Go言語のマップ操作におけるイディオムをより適切に適用し、不要な変数代入を排除することで、コードの堅牢性と可読性を向上させています。特に、ok変数のチェックは、マップ操作における一般的なベストプラクティスであり、このコミットはそれをより正確に適用しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

特になし。Go言語のマップ操作に関する一般的な知識と、コミットの差分から読み取れる情報に基づいています。