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[インデックス 13632] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のランタイムパッケージ内のテストファイル src/pkg/runtime/crash_test.go に関連する変更です。このファイルは、Goプログラムのクラッシュハンドラが正しく機能するかどうかを検証するためのテストを含んでいます。

コミット

  • コミットハッシュ: b60d45f5b8c7a6c844c8f7878784b8560628cef4
  • 作者: Joel Sing jsing@google.com
  • 日付: 2012年8月16日 木曜日 02:02:00 +1000
  • コミットメッセージ:
    runtime: disable crash handler test on netbsd
    
    Disable the crash handler test on NetBSD until I can figure out why
    it triggers failures in later tests.
    
    R=golang-dev, minux.ma
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6460090
    

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b60d45f5b8c7a6c844c8f7878784b8560628cef4

元コミット内容

runtime: disable crash handler test on netbsd

Disable the crash handler test on NetBSD until I can figure out why
it triggers failures in later tests.

R=golang-dev, minux.ma
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6460090

変更の背景

このコミットの主な目的は、NetBSDオペレーティングシステム上でGoのランタイムクラッシュハンドラのテストが、後続のテストに予期せぬ失敗を引き起こす問題を一時的に回避することです。コミットメッセージによると、このテストがなぜNetBSDで問題を引き起こすのか、その根本原因はまだ特定されていませんが、テストスイート全体の安定性を確保するために、一時的にこのテストを無効化する措置が取られました。

以前にも同様の問題がFreeBSDで発生しており、その際もテストがスキップされていました。今回の変更は、NetBSDにも同様のスキップロジックを追加することで、テスト環境の安定化を図るものです。

前提知識の解説

Go言語のランタイム (runtime)

Go言語のランタイムは、Goプログラムの実行を管理する非常に重要な部分です。これには、ガベージコレクション、スケジューラ、メモリ管理、そしてクラッシュハンドリングなどが含まれます。Goプログラムは、OSのネイティブスレッド上で動作しますが、その実行モデルやメモリ管理はランタイムによって抽象化されています。

クラッシュハンドラ

クラッシュハンドラは、プログラムが予期せぬエラー(パニック、セグメンテーション違反など)によって異常終了しようとした際に、そのクラッシュを捕捉し、何らかの処理(例えば、スタックトレースの出力、ログの記録、デバッグ情報の生成など)を実行するためのメカニズムです。これにより、開発者はクラッシュの原因を特定しやすくなります。Go言語のランタイムには、このようなクラッシュを適切に処理するための内部メカニズムが組み込まれています。

runtime.GOOS

runtime.GOOS は、Go言語の標準ライブラリ runtime パッケージで提供される定数で、Goプログラムがコンパイルされ、実行されているオペレーティングシステムの名前を表します。例えば、Linuxでは "linux"、macOSでは "darwin"、Windowsでは "windows"、FreeBSDでは "freebsd"、そしてNetBSDでは "netbsd" となります。この定数を利用することで、特定のOSに依存するコードの条件分岐を行うことができます。これは、OS固有の挙動の違いを吸収したり、特定のOSでのみ発生する問題を回避したりする際に非常に有用です。

Goのテストフレームワーク (testing パッケージ)

Go言語には、標準ライブラリとして testing パッケージが提供されており、これを使ってユニットテストやベンチマークテストを記述します。テスト関数は Test で始まる名前を持ち、*testing.T 型の引数を取ります。テスト関数内で t.Logf() を使ってログを出力したり、t.Skipf()t.Skip() を使って特定の条件でテストをスキップしたりすることができます。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/runtime/crash_test.go ファイル内の testCrashHandler 関数に条件分岐を追加することで、NetBSD上でのテスト実行をスキップするように変更しています。

元のコードでは、FreeBSD上でのみテストをスキップする条件が記述されていました。

if runtime.GOOS == "freebsd" {
    // TODO(brainman): do not know why this test fails on freebsd
    t.Logf("skipping test on %q", runtime.GOOS)
    return
}

このコミットでは、この条件に || runtime.GOOS == "netbsd" を追加し、NetBSDもスキップ対象に含めています。

if runtime.GOOS == "freebsd" || runtime.GOOS == "netbsd" {
    // TODO(brainman): do not know why this test fails on freebsd
    // TODO(jsing): figure out why this causes delayed failures
    // on NetBSD - http://golang.org/issue/3954
    t.Logf("skipping test on %q", runtime.GOOS)
    return
}

これにより、testCrashHandler 関数がFreeBSDまたはNetBSD上で実行される場合、テストはすぐに終了し、実際のクラッシュハンドラのテストロジックは実行されなくなります。

追加された TODO コメント // TODO(jsing): figure out why this causes delayed failures on NetBSD - http://golang.org/issue/3954 は、この問題が一時的な回避策であり、将来的には根本原因を特定して解決する必要があることを示しています。リンクされている http://golang.org/issue/3954 は、この問題に関するGoのIssueトラッカーのエントリを指しています。Web検索の結果によると、このIssueはデッドロックに関するもので、後に修正されたようです。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/pkg/runtime/crash_test.go b/src/pkg/runtime/crash_test.go
index 0abc531537..465b2d7096 100644
--- a/src/pkg/runtime/crash_test.go
+++ b/src/pkg/runtime/crash_test.go
@@ -22,8 +22,10 @@ type crashTest struct {
 // both main (m0) and non-main threads (m).\n \n func testCrashHandler(t *testing.T, ct *crashTest) {\n-\tif runtime.GOOS == \"freebsd\" {\n+\tif runtime.GOOS == \"freebsd\" || runtime.GOOS == \"netbsd\" {\n \t\t// TODO(brainman): do not know why this test fails on freebsd\n+\t\t// TODO(jsing): figure out why this causes delayed failures\n+\t\t// on NetBSD - http://golang.org/issue/3954\n \t\tt.Logf(\"skipping test on %q\", runtime.GOOS)\n \t\treturn\n \t}\n```

## コアとなるコードの解説

変更されたのは `src/pkg/runtime/crash_test.go` ファイル内の `testCrashHandler` 関数です。

この関数は、Goのランタイムにおけるクラッシュハンドラの動作をテストするためのものです。関数冒頭にOSごとの条件分岐が設けられており、特定のOSではテストをスキップするようになっています。

変更前は以下のようになっていました。

```go
if runtime.GOOS == "freebsd" {
    // FreeBSDの場合のみスキップ
    t.Logf("skipping test on %q", runtime.GOOS)
    return
}

変更後は、runtime.GOOS == "netbsd" という条件が追加され、FreeBSDだけでなくNetBSDでもテストがスキップされるようになりました。

if runtime.GOOS == "freebsd" || runtime.GOOS == "netbsd" {
    // FreeBSDまたはNetBSDの場合にスキップ
    // 既存のFreeBSDに関するTODOコメント
    // 新しくNetBSDに関するTODOコメントとIssue番号が追加
    t.Logf("skipping test on %q", runtime.GOOS)
    return
}

この変更により、NetBSD環境でこのテストが実行されると、t.Logf でスキップメッセージが出力され、return によってテスト関数の残りの部分が実行されずに終了します。これは、NetBSD上でのテストスイート全体の安定性を一時的に確保するための措置です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Google Web Search (golang issue 3954): https://vertexaisearch.cloud.google.com/grounding-api-redirect/AUZIYQEzS7LclB8bcY3GxAZPyl2QT4LOxAAlKtKV7mvU-ZeLl1j7V-oKmY4ZEJ2Fp9V1JT0YyXLg3zJw4LKRiz_6bZ-rvwjQ-SQTnCoE0r88idf8xzl_jJG-6TyEtW-gpj9HGqml (Web検索結果の引用元)
    • この検索結果によると、golang issue 3954 はGoランタイムにおけるデッドロックの問題を指しており、コードレビュー codereview.appspot.com/6820098 で修正されたとされています。