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[インデックス 13793] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のリポジトリにおけるmisc/cgo/lifeテストの実行を一時的に無効化するものです。具体的には、Windows環境でのGoビルダがこのテストで失敗するという問題(Go issue #4063)に対応するため、テストスクリプトであるsrc/run.batを修正しています。

コミット

commit 4c60f974b1917084773397142cda961a96328589
Author: Alex Brainman <alex.brainman@gmail.com>
Date:   Tue Sep 11 14:06:34 2012 +1000

    misc/cgo/life: disable it temporarily on windows, because go builder fails
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6506096

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/4c60f974b1917084773397142cda961a96328589

元コミット内容

misc/cgo/lifeテストをWindows上で一時的に無効化します。これは、Goビルダがこのテストで失敗するためです。

変更の背景

この変更の背景には、Go言語の継続的インテグレーション(CI)システムである「Goビルダ」が関わっています。Goビルダは、Go言語のソースコードが変更されるたびに、様々なプラットフォーム(Windows、Linux、macOSなど)でビルドとテストを実行し、問題がないことを確認する役割を担っています。

コミットメッセージにある「go builder fails」という記述は、misc/cgo/lifeという特定のテストが、Windows環境のGoビルダ上で予期せぬエラーを引き起こし、ビルドプロセス全体を失敗させていたことを示しています。このような状況では、他の健全な変更もビルダの失敗によってブロックされてしまうため、問題のあるテストを一時的に無効化し、ビルダが正常に動作するようにすることが一般的な対応策となります。

また、コミットメッセージにはhttp://golang.org/issue/4063というリンクが含まれており、これはこの問題に関するGoのIssueトラッカーのエントリを指しています。このIssueで、問題の詳細な報告、原因の調査、そして最終的な解決策が議論されることになります。このコミットは、そのIssueが解決されるまでの暫定的な措置として導入されました。

前提知識の解説

cgo

cgoは、GoプログラムからC言語のコードを呼び出すためのGoのツールです。GoはC言語との相互運用性を非常に重視しており、cgoはそのための主要なメカニズムを提供します。これにより、既存のCライブラリをGoプロジェクトで利用したり、パフォーマンスが重要な部分をCで記述したりすることが可能になります。cgoを使用するGoのソースファイルは、特別なコメント構文(import "C")を含み、GoコンパイラとCコンパイラの両方によって処理されます。

Goビルダ (Go Builder)

Goビルダは、Goプロジェクトの継続的インテグレーションシステムです。Go言語の公式リポジトリに対するすべてのコミットは、Goビルダによって自動的にビルドされ、テストが実行されます。これにより、新しい変更が既存のコードベースに回帰バグを導入しないこと、および様々なオペレーティングシステムやアーキテクチャでGoが正しく動作することが保証されます。ビルダは、Go開発プロセスにおいて品質保証の重要な柱となっています。

run.bat

run.batは、Windows環境でテストやその他のスクリプトを実行するためのバッチファイルです。Go言語のソースツリー内では、テストスイートの実行や開発環境のセットアップなど、様々な自動化されたタスクに使用されます。バッチファイルは、Windowsのコマンドプロンプトで実行される一連のコマンドを記述するためのシンプルなスクリプト言語です。

errorlevel

Windowsのバッチファイルにおいて、errorlevelは直前に実行されたコマンドの終了コード(リターンコード)を保持する特殊な環境変数です。通常、0は成功を示し、非ゼロの値はエラーを示します。if errorlevel 1 goto failのような構文は、「もし直前のコマンドがエラーコード1以上で終了した場合、failというラベルにジャンプせよ」という意味になり、エラーハンドリングや条件分岐に利用されます。

技術的詳細

このコミットは、src/run.batというWindowsバッチファイルに対して行われた変更です。このファイルは、Goのテストスイートの一部として、misc/cgo/lifeというCgo関連のテストを実行する役割を担っていました。

変更内容は、既存のmisc/cgo/lifeテストの実行に関する行をコメントアウトすることです。バッチファイルでは、行の先頭に::を付けることでその行をコメントとして扱います。これにより、GoビルダがWindows上でこのテストを実行しようとした際に発生していた問題を回避します。

コメントアウトされた行は以下の通りです。

  • echo # ..\misc\cgo\life: テストの実行を示すメッセージを出力する行。
  • go run %GOROOT%\test\run.go - ..\misc\cgo\life: 実際にmisc/cgo/lifeテストを実行するコマンド。go runコマンドを使用して、test/run.goスクリプトを介してテストを実行しています。
  • if errorlevel 1 goto fail: テストの実行結果をチェックし、エラーが発生した場合はfailラベルにジャンプする行。
  • echo.: 空行を出力する行。

これらの行がコメントアウトされたことで、run.batが実行されてもmisc/cgo/lifeテストはスキップされるようになります。これは、Goビルダがこのテストで失敗する問題を一時的に回避するための、直接的かつ効果的な手段です。

また、コメントアウトされた行の直上には、:: TODO(brainman) disabled, because it is broken on go builder - http://golang.org/issue/4063という新しいコメントが追加されています。これは、この変更が一時的なものであり、Goビルダ上での問題(Issue #4063)が解決されれば元に戻されるべきであることを明確に示しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/run.bat
+++ b/src/run.bat
@@ -65,10 +65,11 @@ echo.
 
 :: cgo tests
 if x%CGO_ENABLED% == x0 goto nocgo
-echo # ..\misc\cgo\life
-go run %GOROOT%\test\run.go - ..\misc\cgo\life
-if errorlevel 1 goto fail
-echo.
+:: TODO(brainman) disabled, because it is broken on go builder - http://golang.org/issue/4063
+::echo # ..\misc\cgo\life
+::go run %GOROOT%\test\run.go - ..\misc\cgo\life
+::if errorlevel 1 goto fail
+::echo.
 
 :: TODO ..\misc\cgo\stdio
 ::echo # ..\misc\cgo\stdio

コアとなるコードの解説

上記のdiffは、src/run.batファイルに対する変更を示しています。

  • -で始まる行は削除された行、+で始まる行は追加された行です。
  • @@ -65,10 +65,11 @@は、変更がファイルの65行目から始まり、元のファイルでは10行が変更され、新しいファイルでは11行が変更されたことを示します。

具体的には、以下の変更が行われています。

  1. echo # ..\misc\cgo\life: この行は、misc/cgo/lifeテストの実行を示すメッセージをコマンドプロンプトに出力するためのものでした。この行が削除され、代わりにコメントアウトされたバージョンが追加されています。
  2. go run %GOROOT%\test\run.go - ..\misc\cgo\life: この行は、実際にmisc/cgo/lifeテストを実行するコマンドです。%GOROOT%はGoのインストールディレクトリを指す環境変数で、test\run.goはGoのテスト実行ヘルパースクリプトです。この行も削除され、コメントアウトされたバージョンが追加されています。
  3. if errorlevel 1 goto fail: この行は、直前のgo runコマンドの終了コードをチェックし、エラー(errorlevelが1以上)が発生した場合は、バッチファイル内のfailというラベルに処理をジャンプさせるためのものでした。これにより、テスト失敗時に適切なエラー処理が行われます。この行も削除され、コメントアウトされたバージョンが追加されています。
  4. echo.: この行は、テストの出力後に空行を追加するためのものでした。これも削除され、コメントアウトされたバージョンが追加されています。
  5. :: TODO(brainman) disabled, because it is broken on go builder - http://golang.org/issue/4063: この行は新しく追加されたコメントです。::はバッチファイルにおけるコメントの開始を示します。このコメントは、なぜこれらの行がコメントアウトされたのか(Goビルダでの問題のため)、そして関連するGoのIssue番号(#4063)を明確に示しています。これは、将来的にこの問題が解決された際に、これらのテストを再度有効にするための重要な情報となります。

これらの変更により、misc/cgo/lifeテストはrun.batの実行時に完全にスキップされるようになり、Goビルダがこのテストで失敗する問題が一時的に回避されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (cgo, Go Builderに関する一般的な情報)
  • Windowsバッチファイルの構文に関する一般的な情報 (::, if errorlevel, gotoなど)