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[インデックス 13837] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のダッシュボードシステムにおけるビルドプロセスの一部であるmisc/dashboard/builderの外部コマンド実行タイムアウト値を2分から5分に増加させる変更です。これにより、長時間かかる可能性のある外部コマンドがタイムアウトによって失敗するのを防ぎ、ビルドの安定性を向上させることが目的です。

コミット

misc/dashboard/builder: increase default command timeout

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/129b2bb19a6b6849bc8e42512460a77393c56172

元コミット内容

commit 129b2bb19a6b6849bc8e42512460a77393c56172
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Mon Sep 17 11:05:43 2012 -0700

    misc/dashboard/builder: increase default command timeout
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6499127
--
 misc/dashboard/builder/main.go | 2 +--
 1 file changed, 1 insertion(+), 1 deletion(-)

diff --git a/misc/dashboard/builder/main.go b/misc/dashboard/builder/main.go
index 59e0f3c1db..8c6b65caeb 100644
--- a/misc/dashboard/builder/main.go
+++ b/misc/dashboard/builder/main.go
@@ -55,7 +55,7 @@ var (
 	failAll       = flag.Bool("fail", false, "fail all builds")
 	parallel      = flag.Bool("parallel", false, "Build multiple targets in parallel")
 	buildTimeout  = flag.Duration("buildTimeout", 60*time.Minute, "Maximum time to wait for builds and tests")
-	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 2*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")
+	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 5*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")
 	verbose       = flag.Bool("v", false, "verbose")
 )

変更の背景

この変更は、Go言語の継続的インテグレーション(CI)システムの一部であるダッシュボードのビルドプロセスにおいて、外部コマンドの実行がデフォルトの2分というタイムアウト設定によって頻繁に失敗していた問題を解決するために行われました。特定のビルド環境やテストケースでは、外部コマンドの実行に2分以上かかることがあり、これがビルドの不安定性や誤った失敗報告につながっていました。タイムアウト値を5分に延長することで、これらの偶発的な失敗を減らし、ビルドシステムの信頼性を向上させることを目的としています。

前提知識の解説

  • Go言語のtimeパッケージ: Go言語の標準ライブラリであるtimeパッケージは、時間に関する操作(時刻の表現、期間の計算、タイマー、スリープなど)を提供します。
    • time.Duration: time.Duration型は、ナノ秒単位で時間の長さを表す型です。time.Minuteのような定数と組み合わせて、人間が読みやすい形式で期間を指定できます(例: 5*time.Minute)。
  • Go言語のflagパッケージ: flagパッケージは、コマンドライン引数を解析するための機能を提供します。プログラムの起動時に設定可能なオプション(フラグ)を定義し、その値をプログラム内で利用できるようにします。
    • flag.Duration: flag.Duration関数は、time.Duration型のコマンドラインフラグを定義するために使用されます。これにより、ユーザーはコマンドラインから時間の期間を簡単に指定できます。
  • Go言語のダッシュボード (Go Dashboard): Go言語プロジェクトでは、継続的インテグレーションとテスト結果を監視するためのダッシュボードシステムが運用されています。これは、様々なプラットフォームや環境でのGoのビルドとテストの健全性を確認するために重要です。misc/dashboard/builderは、このダッシュボードシステムの一部であり、実際のビルドとテストの実行を担当するコンポーネントです。
  • 外部コマンドのタイムアウト: ソフトウェア開発において、外部プログラムやスクリプトを実行する際に、その実行が無限に続くことを防ぐためにタイムアウトを設定することが一般的です。タイムアウトは、リソースの枯渇やデッドロック、あるいは単に予期せぬ長時間の処理によってシステムが停止するのを防ぐための重要なメカニズムです。

技術的詳細

このコミットは、misc/dashboard/builder/main.goファイル内のcmdTimeoutという変数のデフォルト値を変更しています。

元のコードでは、cmdTimeoutは以下のように定義されていました。

cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 2*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")

これは、外部コマンドの実行に対して最大2分間のタイムアウトを設定することを意味します。

変更後のコードでは、この値が以下のように変更されました。

cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 5*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")

これにより、外部コマンドのデフォルトのタイムアウトが2分から5分に延長されました。

この変更の技術的な影響は以下の通りです。

  1. ビルドの安定性向上: 以前は2分でタイムアウトしていた一部の外部コマンド(例えば、特定の環境でのコンパイル、テストの実行、依存関係のダウンロードなど)が、5分まで実行を継続できるようになります。これにより、正当に時間がかかる処理がタイムアウトによって中断されることが減り、ビルドの成功率が向上します。
  2. リソース消費の増加の可能性: タイムアウト時間を延長することは、問題のある外部コマンドがより長く実行され、システムリソース(CPU、メモリ、ネットワーク帯域など)を消費し続ける可能性を意味します。しかし、この変更はデフォルト値の調整であり、極端に長い時間ではないため、通常は許容範囲内の影響と考えられます。
  3. 設定の柔軟性: cmdTimeoutflag.Durationとして定義されているため、コマンドライン引数として-cmdTimeoutオプションを使用して、このデフォルト値を上書きすることが可能です。これにより、特定のビルドやデバッグの際に、必要に応じてタイムアウト値をさらに調整する柔軟性が提供されます。
  4. Goのtime.Durationの利用: Goのtime.Duration型とtime.Minuteのような定数を使用することで、コードの可読性が高く、時間の単位を明確に表現できます。これは、マジックナンバー(意味不明な数値)を避ける良いプラクティスです。

この変更は、Goのビルドシステムが直面していた実際の運用上の問題(特定の外部コマンドが2分以内に完了しないケース)に対応するための、実用的な調整であると言えます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/dashboard/builder/main.go
+++ b/misc/dashboard/builder/main.go
@@ -55,7 +55,7 @@ var (
 	failAll       = flag.Bool("fail", false, "fail all builds")
 	parallel      = flag.Bool("parallel", false, "Build multiple targets in parallel")
 	buildTimeout  = flag.Duration("buildTimeout", 60*time.Minute, "Maximum time to wait for builds and tests")
-	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 2*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")
+	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 5*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")
 	verbose       = flag.Bool("v", false, "verbose")
 )

コアとなるコードの解説

変更された行は、misc/dashboard/builder/main.goファイルの58行目です。

-	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 2*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")
+	cmdTimeout    = flag.Duration("cmdTimeout", 5*time.Minute, "Maximum time to wait for an external command")

この行は、cmdTimeoutという名前のコマンドラインフラグを定義しています。

  • flag.Duration: time.Duration型のフラグを定義するための関数です。
  • "cmdTimeout": コマンドラインでこのフラグを指定する際に使用する名前です(例: ./builder -cmdTimeout=10m)。
  • 2*time.Minute (変更前) / 5*time.Minute (変更後): このフラグのデフォルト値です。time.Minutetimeパッケージで定義されている1分間のtime.Duration定数であり、それに整数を掛けることで特定の期間を表します。
  • "Maximum time to wait for an external command": このフラグが何をするのかを説明するヘルプメッセージです。

この変更により、cmdTimeoutフラグのデフォルト値が2*time.Minute(2分)から5*time.Minute(5分)に更新されました。これは、misc/dashboard/builderが外部コマンドを実行する際に、明示的にタイムアウトが指定されない限り、最大5分間そのコマンドの完了を待機することを意味します。

関連リンク

参考にした情報源リンク