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[インデックス 13887] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のリンカ (cmd/ld) のソースコードファイル src/cmd/ld/data.c における不要な代入文を削除するものです。具体的には、dodata 関数内で datsize 変数に対して行われていた冗長な計算と代入が削除されています。これにより、コードの簡潔性が向上し、デッドコードが排除されます。

コミット

commit 091388d8e92f46480ead687391ee7d582f6585b2
Author: Lucio De Re <lucio.dere@gmail.com>
Date:   Thu Sep 20 14:58:33 2012 -0400

    cmd/ld: remove unused assignment
    
    The calculation of datsize is redundant.
    
    R=golang-dev, seed, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6503122

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/091388d8e92f46480ead687391ee7d582f6585b2

元コミット内容

cmd/ld: remove unused assignment

The calculation of datsize is redundant.

R=golang-dev, seed, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6503122

変更の背景

この変更の背景は、Go言語のリンカ (cmd/ld) のコードベースにおけるクリーンアップと最適化です。コミットメッセージに「The calculation of datsize is redundant. (datsizeの計算は冗長である)」と明記されている通り、datsize 変数への特定の代入が、その後のコードのロジックで利用されていない、あるいはその時点での計算結果が不要であると判断されました。このような未使用の代入や冗長な計算は、コードの可読性を低下させ、潜在的な混乱を招く可能性があります。また、コンパイラやリンカが最適化を行う際に、不要な処理として認識されることもありますが、明示的に削除することで、コードベースの健全性を保ち、将来的なメンテナンスを容易にします。

前提知識の解説

  • Go言語のリンカ (cmd/ld): Go言語のビルドプロセスにおいて、cmd/ld はGoプログラムのリンカとして機能します。リンカは、コンパイラによって生成されたオブジェクトファイル(.o ファイル)やライブラリを結合し、実行可能なバイナリファイルを生成する役割を担います。このプロセスには、シンボルの解決、メモリレイアウトの決定、データセグメントやコードセグメントの配置などが含まれます。src/cmd/ld/data.c は、リンカのデータセグメントの処理に関連する部分のC言語ソースファイルです。

  • datsize: datsize は、リンカが処理するデータセグメントのサイズ、またはその一部のサイズを示す変数であると推測されます。実行可能ファイルは通常、コード(テキスト)、初期化済みデータ、未初期化データなどのセグメントに分割されます。datsize は、これらのデータ関連セグメントのサイズ計算に用いられる重要な値です。

  • PtrSize: PtrSize は、ターゲットアーキテクチャにおけるポインタのサイズ(バイト単位)を表す定数です。例えば、32ビットシステムでは4バイト、64ビットシステムでは8バイトになります。メモリのアライメント(整列)や、データ構造のサイズ計算において重要な役割を果たします。

  • rnd 関数: rnd は "round" の略であり、一般的にメモリのアライメントを行うための関数です。例えば、rnd(value, alignment) のように使用され、valuealignment の倍数に切り上げる(または切り捨てる)処理を行います。リンカでは、データセグメントのサイズやアドレスを特定のバイト境界(例えば、ポインタサイズやページサイズ)にアライメントするためにこのような関数が頻繁に用いられます。これは、CPUが効率的にメモリにアクセスするために必要となる場合があるためです。

技術的詳細

このコミットは、src/cmd/ld/data.c ファイル内の dodata 関数から、以下の行を削除しています。

datsize = rnd(datsize, PtrSize);

dodata 関数は、リンカがデータセグメントを処理する際に呼び出される関数であり、datsize はその中でデータセグメントのサイズを累積的に計算するために使用されています。

削除された行は、datsize の値を PtrSize の倍数に丸める(アライメントする)処理を行っていました。しかし、コミットメッセージが示唆するように、この丸められた datsize の値が、この行の実行後に続くコードパスで利用されていなかったため、この代入自体が冗長であると判断されました。

具体的には、この行の直前で sect->len = datsize - sect->vaddr; という計算が行われており、ここで datsize の現在の値が使用されています。削除された行は、この sect->len の計算後に datsize を再計算していますが、この再計算された datsize の値が、その後のリンカの処理において意味のある形で利用されていない、あるいは別の場所で適切にアライメントされた値が既に存在するため、不要であると判断されたと考えられます。

このような変更は、プログラムの動作に影響を与えることなく、コードベースからデッドコードを削除し、保守性を向上させる典型的な最適化です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/ld/data.c
+++ b/src/cmd/ld/data.c
@@ -1038,7 +1038,6 @@ dodata(void)
 		datsize += t;
 	}
 	sect->len = datsize - sect->vaddr;
-	datsize = rnd(datsize, PtrSize);
 
 	/* we finished segdata, begin segtext */
 

コアとなるコードの解説

変更箇所は src/cmd/ld/data.c ファイルの dodata 関数内にあります。

元のコードでは、dodata 関数内でデータセグメントのサイズを計算するループの後に、以下の行がありました。

datsize = rnd(datsize, PtrSize);

この行は、それまでに計算された datsize の値を、システムにおけるポインタのサイズ (PtrSize) の倍数に丸める(アライメントする)ことを意図していました。これは、メモリのアライメント要件を満たすためによく行われる処理です。

しかし、このコミットによってこの行が削除されました。その理由は、この行で計算され、datsize に再代入された値が、その後のリンカの処理において利用されていなかったためです。つまり、この代入は「未使用の代入 (unused assignment)」であり、「冗長な計算 (redundant calculation)」でした。

この削除により、コードはより簡潔になり、不要な処理が取り除かれました。リンカの最終的な出力や動作には影響がないため、これは純粋なコードクリーンアップと最適化の変更です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • 特になし(コミットメッセージと差分から直接情報を抽出しました)。