[インデックス 13911] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントから、もはや存在しない「週次リリース (weekly releases)」への参照を削除することを目的としています。これは、新規ユーザーにとって誤解を招き、混乱を避けるための変更です。
コミット
commit 3ec7be64c55d4bc0de27889a2a8b47181317a193
Author: Uriel Mangado <uriel@berlinblue.org>
Date: Sun Sep 23 16:18:19 2012 -0500
doc: Remove obsolete references to weekly releases.
This was misleading and often confusing for new users.
Leaving the actual weekly release history page for historical reference.
R=golang-dev, rsc, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6555053
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/3ec7be64c55d4bc0de27889a2a8b47181317a193
元コミット内容
doc: Remove obsolete references to weekly releases.
This was misleading and often confusing for new users.
Leaving the actual weekly release history page for historical reference.
変更の背景
このコミットは、Go言語のリリース戦略の大きな転換期に発生しました。2012年3月28日にGo 1.0がリリースされるまで、Goプロジェクトは「週次スナップショット (weekly snapshots)」または「週次リリース (weekly releases)」という形で頻繁に言語と標準ライブラリの更新を行っていました。この期間中、ユーザーは新しいGoバージョンに更新するたびにプログラムを修正する必要があることがよくありました。
しかし、Go 1.0のリリースは、Goプロジェクトが言語と標準ライブラリに対して後方互換性のある変更のみを行うことを公約した画期的な出来事でした。これにより、Go 1.0以降に書かれたプログラムは、将来のGoバージョンでも修正なしで動作することが保証されるようになりました。
このコミットは、Go 1.0リリース後のドキュメントのクリーンアップの一環として行われました。週次リリースという概念がもはやGoの主要なリリースモデルではなくなったため、ドキュメント内に残っていた古い参照は、特に新規ユーザーにとって混乱の元となっていました。そのため、これらの誤解を招く参照を削除し、ドキュメントを現在のリリース戦略に合わせる必要がありました。ただし、歴史的な参照として実際の週次リリース履歴ページ自体は残されています。
前提知識の解説
- Go言語のリリースサイクル(Go 1.0以前): Go 1.0がリリースされる前は、Go言語の開発は非常に活発で、言語仕様や標準ライブラリが頻繁に変更されていました。このため、開発チームは「週次スナップショット」という形で、毎週最新の開発版を公開していました。これは、ユーザーが最新の機能やバグ修正を試すことができる一方で、後方互換性が保証されていなかったため、新しいスナップショットに更新するたびに既存のコードを修正する必要があるという課題がありました。
- Go 1.0の意義: 2012年3月28日にリリースされたGo 1.0は、Go言語の歴史における重要なマイルストーンです。このリリースにより、Goチームは言語と標準ライブラリの安定性を約束し、後方互換性を維持することを公約しました。これにより、Go言語はより大規模なプロジェクトや本番環境での利用に適した、信頼性の高いプラットフォームとしての地位を確立しました。Go 1.0以降、Goのリリースはより安定したメジャーバージョンとマイナーバージョンに移行し、週次スナップショットのような頻繁な互換性のない変更はなくなりました。
技術的詳細
このコミットは、Go言語の公式ドキュメント内の2つのHTMLファイル、doc/contrib.html
と doc/devel/release.html
を変更しています。これらのファイルから、もはや適切ではない「週次リリース」や「週次スナップショット」への参照を削除しています。
具体的には、以下の変更が行われています。
doc/contrib.html
:- 「Weekly Snapshot History」という見出しと、それに対応する
/doc/devel/weekly.html
へのリンクが削除されました。これは、Goの貢献者向けガイドから、もはや主要なリリース形態ではない週次スナップショットへの言及を取り除くためです。
- 「Weekly Snapshot History」という見出しと、それに対応する
doc/devel/release.html
:- 「公式の安定版Goリリース間の変更点をまとめたページ」という説明文から、週次スナップショットに関する記述が削除されました。
- 具体的には、「Between releases we issue less stable weekly snapshots. The weekly snapshot history contains more detail, and the Mercurial change log has full details.」という文章が、「The Mercurial change log has the full details.」という簡潔な記述に置き換えられました。これにより、リリース履歴のページが、安定版リリースとMercurialの変更ログに焦点を当てるようになりました。
これらの変更は、ドキュメントがGo 1.0以降の安定したリリースモデルを正確に反映するようにするためのものです。
コアとなるコードの変更箇所
diff --git a/doc/contrib.html b/doc/contrib.html
index b4bd47e96a..ec4efc26b8 100644
--- a/doc/contrib.html
+++ b/doc/contrib.html
@@ -34,9 +34,6 @@ We encourage all Go users to subscribe to
<h3 id=\"release\"><a href=\"/doc/devel/release.html\">Release History</a></h3>
<p>A summary of the changes between Go releases.</p>
-<h3 id=\"weekly\"><a href=\"/doc/devel/weekly.html\">Weekly Snapshot History</a></h3>
-<p>A summary of the changes between weekly snapshots of Go.</p>
-\n <h3 id=\"golang-dev\"><a href=\"http://groups.google.com/group/golang-dev\">Developer Mailing List</a></h3>
<p>The <a href=\"http://groups.google.com/group/golang-dev\">golang-dev</a>
mailing list is for discussing and reviewing code for the Go project.</p>
diff --git a/doc/devel/release.html b/doc/devel/release.html
index 9ee49e3b50..3340d1e915 100644
--- a/doc/devel/release.html
+++ b/doc/devel/release.html
@@ -3,11 +3,8 @@
}-->
<p>This page summarizes the changes between official stable releases of Go.\n-Between releases we issue less stable\n-<a href=\"http://blog.golang.org/2011/03/go-becomes-more-stable.html\">weekly snapshots</a>.\n-The <a href=\"weekly.html\">weekly snapshot history</a> contains more detail,\n-and the <a href=\"http://code.google.com/p/go/source/list\">Mercurial change log</a>\n-has full details.</p>\n+The <a href=\"http://code.google.com/p/go/source/list\">Mercurial change log</a>\n+has the full details.</p>\n \n <p>To update to a specific release, use:</p>\n \n```
## コアとなるコードの解説
上記の差分は、Go言語のドキュメントから「週次リリース」に関する記述を削除する具体的な変更を示しています。
* **`doc/contrib.html` の変更**:
* `-<h3 id=\"weekly\"><a href=\"/doc/devel/weekly.html\">Weekly Snapshot History</a></h3>`
* `-<p>A summary of the changes between weekly snapshots of Go.</p>`
* これらの行は、貢献者向けドキュメントから「週次スナップショット履歴」への見出しと説明を完全に削除しています。これは、週次スナップショットがGo 1.0以降の主要なリリース形態ではなくなったため、貢献者向けの関連性が薄れたことを反映しています。
* **`doc/devel/release.html` の変更**:
* `-Between releases we issue less stable`
* `-<a href=\"http://blog.golang.org/2011/03/go-becomes-more-stable.html\">weekly snapshots</a>.`
* `-The <a href=\"weekly.html\">weekly snapshot history</a> contains more detail,`
* `-and the <a href=\"http://code.google.com/p/go/source/list\">Mercurial change log</a>`
* `-has full details.</p>`
* これらの削除された行は、リリース履歴のページにあった週次スナップショットに関する詳細な説明です。Go 1.0のリリースにより、Goはより安定したリリースサイクルに移行したため、これらの記述はもはや正確ではありません。
* `+The <a href=\"http://code.google.com/p/go/source/list\">Mercurial change log</a>`
* `+has the full details.</p>`
* これらの追加された行は、削除された週次スナップショットに関する記述を、Mercurialの変更ログへの参照のみに置き換えています。これにより、ドキュメントはGoの公式リリースと、より詳細な変更履歴を確認できるMercurialリポジトリに焦点を当てるようになりました。
これらの変更は、Go言語のドキュメントが、Go 1.0以降の安定したリリースモデルと、後方互換性を重視する開発方針を正確に反映するようにするための重要な更新です。
## 関連リンク
* Go 1.0 リリースアナウンス (2012年3月28日): [https://go.dev/blog/go1release](https://go.dev/blog/go1release)
* Go言語のリリースと安定性に関するブログ記事 (2011年3月): [https://blog.golang.org/2011/03/go-becomes-more-stable.html](https://blog.golang.org/2011/03/go-becomes-more-stable.html) (コミット内で参照されているが、現在はリダイレクトされる可能性あり)
* Mercurial change log (Goプロジェクトのソースコード履歴): [http://code.google.com/p/go/source/list](http://code.google.com/p/go/source/list) (現在はGitHubに移行しているため、古いリンク)
## 参考にした情報源リンク
* go.dev: Go 1.0 Release Notes
* acm.org: The Go Programming Language
* googleblog.com: Go 1.0 is released
* wikipedia.org: Go (programming language)
* bytesizego.com: Go 1.0: A Retrospective
* adtmag.com: Go 1.0 Released: A Major Milestone for Google's Programming Language