Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 13927] ファイルの概要

このコミットは、Go言語プロジェクトのリポジトリにおける、go1.0.3 リリースタグの追加と、release タグの更新に関するものです。具体的には、Mercurial リポジトリでタグ情報を管理するために使用される .hgtags ファイルが変更されています。

コミット

commit d18cc29f55f383c42b9a138a52c81fc9c734eec7
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date:   Mon Sep 24 13:15:33 2012 -0500

    tag go1.0.3

    R=rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6543069

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d18cc29f55f383c42b9a138a52c81fc9c734eec7

元コミット内容

このコミットの目的は、Go言語のバージョン go1.0.3 をタグ付けすることです。これは、特定のコミットハッシュ(Mercurial の場合はチェンジセットハッシュ)に go1.0.3 という名前を関連付け、さらに release タグも同じハッシュに更新することで、最新の安定版リリースを示すようにしています。

変更の背景

Go言語プロジェクトは、初期には分散型バージョン管理システムであるMercurial (Hg) を使用していました。その後、Gitへの移行が行われましたが、このコミットが作成された2012年9月時点では、まだMercurialが主要なリポジトリとして運用されていたか、あるいはMercurialのタグ情報がGitリポジトリに同期される過程の一部であったと考えられます。

go1.0.3 は、Go 1.0系の3番目のパッチリリースであり、通常、バグ修正やセキュリティアップデートが含まれます。このようなパッチリリースが行われる際には、そのリリースに対応する特定のコミット(またはチェンジセット)にタグを付与し、後からそのバージョンのソースコードを容易に参照できるようにすることが一般的なソフトウェア開発のプラクティスです。

このコミットは、go1.0.3 のリリース準備の一環として、リポジトリのタグ情報を正式に更新するために行われました。また、release タグを go1.0.3 と同じコミットに設定することで、常に最新の安定版リリースを指し示すようにしています。

前提知識の解説

1. バージョン管理システム (VCS)

バージョン管理システムは、ソフトウェア開発においてソースコードやその他のファイルの変更履歴を管理するためのツールです。これにより、過去のバージョンへの復元、複数人での共同作業、変更内容の追跡などが可能になります。

  • Mercurial (Hg): Gitと同様に分散型バージョン管理システムの一つです。シンプルなコマンド体系と、リポジトリの整合性を重視する設計が特徴です。Go言語プロジェクトは初期にMercurialを使用していました。Mercurialでは、各コミットは「チェンジセット」と呼ばれ、一意のハッシュ値で識別されます。
  • Git: 現在最も広く使われている分散型バージョン管理システムです。高速性、柔軟性、強力なブランチ・マージ機能が特徴です。Go言語プロジェクトは後にGitに移行しました。

2. タグ (Tag)

バージョン管理システムにおけるタグは、特定のコミット(Git)またはチェンジセット(Mercurial)に、人間が読みやすい名前(例: v1.0.0, release-2023-01-15)を付けるための参照です。これにより、特定のリリースバージョンや重要なマイルストーンの時点のコードベースを簡単に参照できるようになります。タグは通常、変更されない固定された参照として扱われます。

3. .hgtags ファイル

Mercurialリポジトリでは、タグ情報は .hgtags というファイルに保存されることがあります。このファイルは、Mercurialの内部的なタグ管理メカニズムの一部として機能し、チェンジセットハッシュとそれに対応するタグ名のマッピングを記録します。このファイルはリポジトリのルートに存在し、Mercurialの履歴の一部としてバージョン管理されます。

ファイル形式は通常、[チェンジセットハッシュ] [タグ名] の形式で、各行が1つのタグエントリを表します。

4. Go言語のリリースサイクル

Go言語は、定期的に新しいバージョンをリリースしています。メジャーバージョン(例: Go 1, Go 2)は大きな変更を含み、マイナーバージョン(例: Go 1.x)は新機能や改善、パッチバージョン(例: Go 1.x.y)は主にバグ修正やセキュリティアップデートを含みます。go1.0.3 は、Go 1.0系の3番目のパッチリリースにあたります。

技術的詳細

このコミットは、Mercurialリポジトリにおけるタグ管理の典型的な操作を示しています。

  1. .hgtags ファイルの役割: Go言語プロジェクトがMercurialを使用していた時期には、.hgtags ファイルがリポジトリのタグ情報を管理する主要な手段の一つでした。このファイルは、Mercurialの hg tag コマンドによって自動的に更新されることもありますが、手動で編集してタグを追加・変更することも可能です。このコミットでは、手動またはスクリプトによってこのファイルが更新されたと考えられます。

  2. タグの追加と更新:

    • +2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 go1.0.3: これは、2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 というチェンジセットハッシュに go1.0.3 というタグを新しく関連付けることを意味します。
    • -5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 release: これは、以前の release タグが指していたチェンジセットハッシュ 5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 のエントリを削除することを意味します。
    • +2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 release: これは、release タグを新しいチェンジセットハッシュ 2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 に更新することを意味します。これにより、release タグは go1.0.3 と同じ時点を指すようになります。
  3. チェンジセットハッシュの同一性: go1.0.3release が同じ 2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 というハッシュを指していることから、go1.0.3 が当時の最新の安定版リリースであり、release タグが常に最新の安定版を指すように運用されていたことが伺えます。

  4. GoプロジェクトのVCS移行との関連: GoプロジェクトはMercurialからGitへの移行を行いましたが、このコミットはMercurialリポジトリの運用中に作成されたものです。Gitへの移行後も、過去のMercurialタグ情報はGitタグとして引き継がれ、Goのリリース履歴の一部として保持されています。この .hgtags ファイルの変更は、その移行前のMercurialリポジトリにおける正式なリリース手順の一部であったと考えられます。

コアとなるコードの変更箇所

変更されたファイルは .hgtags のみです。

diff --git a/.hgtags b/.hgtags
index 023f984ff2..58b9ea4217 100644
--- a/.hgtags
+++ b/.hgtags
@@ -113,4 +113,5 @@
 dc5e410f0b4c32ab11dc992593a2bcf5f607381b weekly
 920e9d1ffd1f46665dd152aa9cf3c0f17d68dd88 go1
 2ccfd4b451d319941bfe3e08037e1462d3c15093 go1.0.1
 5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 go1.0.2
-5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 release
+2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 go1.0.3
+2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 release

コアとなるコードの解説

この変更は、.hgtags ファイルの以下の行を修正しています。

  • 削除された行:

    5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 release
    

    この行は、以前の release タグが指していたチェンジセットハッシュ 5e806355a9e1491aaab53d3612fed4c550b130c0 を削除しています。これは、go1.0.2 のチェンジセットハッシュと同じであり、go1.0.2 がリリースされた時点での release タグの状態を示しています。

  • 追加された行:

    2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 go1.0.3
    2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 release
    

    1行目は、新しいタグ go1.0.3 をチェンジセットハッシュ 2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 に関連付けています。 2行目は、release タグを同じチェンジセットハッシュ 2d8bc3c94ecb3ec8f70556d5fd237788903c7281 に更新しています。

この変更により、Mercurialリポジトリのタグ情報が更新され、go1.0.3 が正式なリリースバージョンとしてマークされ、同時に release タグがこの最新のパッチリリースを指すようになりました。これは、Go言語の安定性とバージョン管理の厳密さを示す典型的な例です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語のリリース履歴に関する情報 (公式ドキュメントやブログなど)
  • Mercurialのタグ管理に関するドキュメント
  • Go言語プロジェクトのMercurialからGitへの移行に関する情報