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[インデックス 14160] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリpath/filepathパッケージ内のWalkFunc型のドキュメントを改善するものです。特に、WalkFuncに渡されるpath引数が、Walk関数に渡された引数をプレフィックスとして含むこと、およびinfo引数がos.FileInfo型であることを明確に説明しています。

コミット

commit ec1ef16cea9b9e9dd671fa30ff2d4546ec6c1dac
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Wed Oct 17 16:00:09 2012 +1100

    path/filepath: better documentation for WalkFunc
    Define the properties of the arguments better. In particular,
    explain that the path is (sort of) relative to the argument to
    Walk.
    
    Fixes #4119.
    
    R=golang-dev, iant
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6721048

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/ec1ef16cea9b9e9dd671fa30ff2d4546ec6c1dac

元コミット内容

path/filepath: better documentation for WalkFunc Define the properties of the arguments better. In particular, explain that the path is (sort of) relative to the argument to Walk.

Fixes #4119.

変更の背景

このコミットの背景には、path/filepathパッケージのWalk関数が使用するWalkFuncの引数に関するドキュメントの不明瞭さがありました。特に、WalkFuncに渡されるpath引数が、Walk関数に最初に渡されたパスとどのように関連しているのか、そしてinfo引数の型が何であるのかが、既存のドキュメントでは十分に説明されていませんでした。

ユーザーがWalk関数を使ってファイルシステムを走査する際、WalkFuncのコールバック関数内で受け取るpath引数が、常に絶対パスなのか、それともWalkに渡したルートパスからの相対パスなのか、混乱が生じる可能性がありました。このコミットは、この点を明確にし、開発者がWalkFuncをより正確に理解し、適切に利用できるようにすることを目的としています。

コミットメッセージにある「Fixes #4119」は、このドキュメントの不明瞭さに関する既存の課題(issue)を解決することを示しています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念とpath/filepathパッケージの基本的な知識が必要です。

Go言語のpath/filepathパッケージ

path/filepathパッケージは、ファイルパスを操作するためのユーティリティ関数を提供します。これは、オペレーティングシステムに依存しないパス操作(例: パスの結合、クリーンアップ、ファイル名やディレクトリ名の抽出)と、オペレーティングシステム固有のパス操作(例: パス区切り文字の処理)の両方を扱います。

filepath.Walk関数

filepath.Walk関数は、指定されたルートディレクトリから開始して、そのディレクトリツリーを再帰的に走査(ウォーク)します。走査中に見つかった各ファイルやディレクトリに対して、ユーザーが定義したコールバック関数であるWalkFuncを呼び出します。

func Walk(root string, walkFn WalkFunc) error

  • root: 走査を開始するルートディレクトリのパス。
  • walkFn: 各ファイルまたはディレクトリが訪問されるたびに呼び出される関数。

filepath.WalkFunc

WalkFuncは、filepath.Walk関数によって呼び出される関数の型定義です。

type WalkFunc func(path string, info os.FileInfo, err error) error

  • path: 現在訪問しているファイルまたはディレクトリのパス。
  • info: そのファイルまたはディレクトリのos.FileInfoインターフェース。これには、ファイル名、サイズ、パーミッション、最終更新時刻などの情報が含まれます。
  • err: Walk関数がpathに到達するまでに発生したエラー。エラーがない場合はnil

WalkFuncがエラーを返すと、Walk関数は処理を停止します。ただし、SkipDirという特別なエラーを返すと、現在のディレクトリの内容をスキップして、走査を続行します。

os.FileInfoインターフェース

os.FileInfoは、ファイルシステムオブジェクト(ファイルまたはディレクトリ)の情報を抽象化したインターフェースです。これには、ファイル名、サイズ、モード(パーミッション)、最終更新時刻、ディレクトリかどうかなどのメソッドが含まれます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、filepath.WalkFuncのドキュメント文字列の変更に集約されます。変更前は、WalkFuncpath引数とinfo引数に関する具体的な説明が不足していました。

変更によって追加された重要な説明は以下の通りです。

  1. path引数の性質の明確化:

    • path引数は、Walkへの引数をプレフィックスとして含みます」という説明が追加されました。
    • 具体的な例として、「もしWalkが"dir"というディレクトリで呼び出され、その中に"a"というファイルがある場合、ウォーク関数は引数"dir/a"で呼び出されます」と示されています。
    • これは、WalkFuncに渡されるpathが、Walkに渡されたrootパスと、そのrootからの相対パスを結合したものであることを明確にしています。これにより、開発者はpath引数が常に完全な(絶対またはWalkrootからの相対的な)パスであることを理解できます。
  2. info引数の型の明確化:

    • info引数は、指定されたパスのos.FileInfoです」という説明が追加されました。
    • これにより、info引数がos.FileInfoインターフェース型であり、ファイルに関する詳細情報(サイズ、モード、変更時刻など)にアクセスできることが明確になります。

これらの変更は、コードの動作自体を変更するものではなく、その動作に関するドキュメントの精度と理解度を向上させるものです。特に、WalkFuncpath引数の挙動は、ファイルシステムを走査するアプリケーションを開発する上で非常に重要であり、この明確化は開発者の混乱を減らし、より堅牢なコードを書くのに役立ちます。

コアとなるコードの変更箇所

変更は、src/pkg/path/filepath/path.goファイルのWalkFuncの定義直前のコメントブロックにあります。

--- a/src/pkg/path/filepath/path.go
+++ b/src/pkg/path/filepath/path.go
@@ -325,13 +325,18 @@ func Rel(basepath, targpath string) (string, error) {
 var SkipDir = errors.New("skip this directory")
 
 // WalkFunc is the type of the function called for each file or directory
-// visited by Walk.  If there was a problem walking to the file or directory
-// named by path, the incoming error will describe the problem and the
-// function can decide how to handle that error (and Walk will not descend
-// into that directory).  If an error is returned, processing stops.  The
-// sole exception is that if path is a directory and the function returns the
-// special value SkipDir, the contents of the directory are skipped
-// and processing continues as usual on the next file.
+// visited by Walk. The path argument contains the argument to Walk as a
+// prefix; that is, if Walk is called with "dir", which is a directory
+// containing the file "a", the walk function will be called with argument
+// "dir/a". The info argument is the os.FileInfo for the named path.
+// 
+// If there was a problem walking to the file or directory named by path, the
+// incoming error will describe the problem and the function can decide how
+// to handle that error (and Walk will not descend into that directory). If
+// an error is returned, processing stops. The sole exception is that if path
+// is a directory and the function returns the special value SkipDir, the
+// contents of the directory are skipped and processing continues as usual on
+// the next file.
 type WalkFunc func(path string, info os.FileInfo, err error) error
 
 // walk recursively descends path, calling w.

具体的には、以下の行が追加されました。

// The path argument contains the argument to Walk as a
// prefix; that is, if Walk is called with "dir", which is a directory
// containing the file "a", the walk function will be called with argument
// "dir/a". The info argument is the os.FileInfo for the named path.

そして、既存のドキュメントの改行とインデントが調整されています。

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコード」は、filepath.WalkFuncのドキュメントコメントです。Go言語では、エクスポートされた関数、変数、型、メソッドの直前に書かれたコメントは、その要素のドキュメントとして扱われ、go docコマンドやGoのドキュメント生成ツール(例: godoc)によって利用されます。

この変更は、WalkFuncのシグネチャ自体(func(path string, info os.FileInfo, err error) error)は変更せず、その引数の意味と挙動に関する説明を補強しています。

  • path引数: 以前のドキュメントでは、pathが「訪問されたファイルまたはディレクトリの名前」とだけ書かれていましたが、この変更により、それがWalk関数に渡されたルートパスをプレフィックスとして含む完全なパスであることが明確になりました。これは、WalkFunc内でパスを処理する際に、開発者が余分なパス結合操作を行う必要がないことを示唆しています。
  • info引数: info引数がos.FileInfo型であるという明示的な記述が追加されました。これにより、開発者はこの引数を通じて、ファイルの種類(ディレクトリかファイルか)、サイズ、パーミッション、最終更新時刻などのファイルシステムメタデータにアクセスできることをすぐに理解できます。

このドキュメントの改善は、ライブラリの使いやすさとAPIの理解度を直接的に向上させ、結果として開発者がより正確でバグの少ないコードを書くのに貢献します。

関連リンク

参考にした情報源リンク