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[インデックス 14416] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリosパッケージにFileMode型のための新しいメソッドIsRegularを追加するものです。このメソッドは、FileModeが通常のファイル(ディレクトリ、シンボリックリンク、デバイスファイルなどではない)を表しているかどうかを判定するために使用されます。これにより、ファイルタイプのチェックがより直感的かつ安全に行えるようになります。

コミット

  • コミットハッシュ: 0d0eff71652a0b8fcbfe678763d88eb142a544f9
  • 作者: Brad Fitzpatrick bradfitz@golang.org
  • コミット日時: 2012年11月15日 木曜日 11:46:00 -0800

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0d0eff71652a0b8fcbfe678763d88eb142a544f9

元コミット内容

os: add FileMode.IsRegular

API change.

R=golang-dev, r, iant, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6844048

変更の背景

Go言語のosパッケージでは、ファイルのメタデータ(パーミッションやファイルタイプなど)をFileMode型で表現します。これまで、ファイルが通常のファイルであるかどうかを判定するには、FileModeからファイルタイプビットを抽出し、それが特定のタイプ(ディレクトリ、シンボリックリンクなど)ではないことを確認する必要がありました。例えば、ディレクトリでないことを確認するには!m.IsDir()のように記述できました。しかし、通常のファイルであること(つまり、ディレクトリでもシンボリックリンクでもデバイスファイルでもパイプでもソケットでもないこと)を明示的にチェックする簡潔な方法は提供されていませんでした。

このコミットは、このような一般的なユースケースに対応するため、FileModeIsRegularというヘルパーメソッドを追加することを目的としています。これにより、開発者はファイルが通常のファイルであるかをより明確かつ簡潔に判定できるようになり、コードの可読性と保守性が向上します。これはAPIの追加であり、既存の動作を変更するものではありませんが、FileModeの機能性を拡張するものです。

前提知識の解説

Go言語のosパッケージ

osパッケージは、オペレーティングシステム(OS)の機能へのプラットフォームに依存しないインターフェースを提供します。これには、ファイル操作、プロセス管理、環境変数へのアクセスなどが含まれます。ファイル操作においては、ファイルの情報を取得するためのos.Stat関数や、ファイルモードを表すos.FileMode型が重要です。

os.FileModeとは何か

os.FileModeは、ファイルのモードとパーミッションビットを表す型です。これは、Unix系のシステムにおけるstat構造体のst_modeフィールドに相当する情報を含んでいます。FileModeは、以下の2つの主要な情報を含みます。

  1. ファイルタイプビット: ファイルがディレクトリ、通常のファイル、シンボリックリンク、デバイスファイル、名前付きパイプ、ソケットのいずれであるかを示します。
  2. パーミッションビット: ファイルの読み取り、書き込み、実行権限(所有者、グループ、その他のユーザーに対して)を示します。

osパッケージは、これらのファイルタイプビットを識別するための定数を提供しています。例えば、os.ModeDirはディレクトリを示すビット、os.ModeSymlinkはシンボリックリンクを示すビットです。

ModeTypeマスクの役割

os.ModeTypeは、FileModeからファイルタイプに関するビットのみを抽出するためのビットマスクです。FileMode値とModeTypeをビットAND演算(&)することで、パーミッションビットを除外し、ファイルタイプビットのみを取得できます。

例えば、m & os.ModeTypeという演算は、mが持つファイルタイプビットの集合を返します。この結果がos.ModeDirと等しければディレクトリ、os.ModeSymlinkと等しければシンボリックリンク、といった形でファイルタイプを判定できます。

通常のファイルは、特定のファイルタイプビットが設定されていない状態として定義されます。つまり、m & os.ModeTypeの結果が0(どのファイルタイプビットも設定されていない)であれば、それは通常のファイルであると判断できます。

技術的詳細

FileMode.IsRegularメソッドは、FileMode型のレシーバmに対して定義されます。その実装は非常にシンプルで、m&ModeType == 0という条件をチェックします。

  • m: FileMode型の変数で、検査対象のファイルのモード情報を含んでいます。
  • ModeType: osパッケージで定義されている定数で、ファイルタイプを示すビットのマスクです。具体的には、ModeDir | ModeSymlink | ModeNamedPipe | ModeSocket | ModeDevice | ModeCharDevice のように、すべての特殊なファイルタイプビットをOR演算で結合したものです。
  • m & ModeType: このビットAND演算は、mに含まれるファイルタイプビットのうち、ModeTypeでマスクされた部分(つまり、特殊なファイルタイプを示すビット)のみを抽出します。
  • == 0: 抽出されたファイルタイプビットがすべて0であるかどうかをチェックします。これがtrueである場合、mはどの特殊なファイルタイプも示しておらず、したがって通常のファイルであると判断されます。

このロジックは、Unix系のファイルシステムにおけるファイルモードの慣習に基づいています。通常のファイルは、特別なタイプビットが設定されていないファイルとして扱われます。このメソッドは、IsDir()IsSymlink()といった他のヘルパーメソッドと同様に、特定のファイルタイプを簡潔に判定するためのものです。

コアとなるコードの変更箇所

src/pkg/os/types.goファイルに以下の変更が加えられました。

--- a/src/pkg/os/types.go
+++ b/src/pkg/os/types.go
@@ -88,6 +88,12 @@ func (m FileMode) IsDir() bool {
 	return m&ModeDir != 0
 }
 
+// IsRegular reports whether m describes a regular file.
+// That is, it tests that no mode type bits are set.
+func (m FileMode) IsRegular() bool {
+	return m&ModeType == 0
+}
+
 // Perm returns the Unix permission bits in m.
 func (m FileMode) Perm() FileMode {
 	return m & ModePerm

コアとなるコードの解説

追加されたコードは、FileMode型にIsRegular()という新しいメソッドを定義しています。

// IsRegular reports whether m describes a regular file.
// That is, it tests that no mode type bits are set.
func (m FileMode) IsRegular() bool {
	return m&ModeType == 0
}
  • func (m FileMode) IsRegular() bool: これはFileMode型にIsRegularという名前のメソッドを追加するGoの構文です。mはレシーバ変数で、このメソッドが呼び出されたFileModeのインスタンスを参照します。メソッドはブール値を返します。
  • // IsRegular reports whether m describes a regular file.: これはGoの慣習に従ったコメントで、メソッドの目的を簡潔に説明しています。
  • // That is, it tests that no mode type bits are set.: これは、IsRegularがどのように通常のファイルを定義しているか、つまりファイルタイプビットが何も設定されていないことをテストしていることを補足説明しています。
  • return m&ModeType == 0: この行がメソッドの核心です。前述の「技術的詳細」で説明した通り、mのファイルタイプビットをModeTypeマスクで抽出し、その結果が0(どの特殊なファイルタイプビットも設定されていない)であればtrueを返します。

この変更により、GoのosパッケージのAPIが拡張され、ファイルが通常のファイルであるかどうかの判定がより明確かつ簡潔に行えるようになりました。

関連リンク

参考にした情報源リンク