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[インデックス 14455] ファイルの概要

このコミットは、misc/dashboard/builder/main.go ファイルに1行の変更を加えるものです。具体的には、dashboard/builder がサブプロセスに渡す環境変数リストに CC を追加しています。

コミット

commit 6a1036422f9b06aa140d99f13c6036b14e12f85b
Author: Dave Cheney <dave@cheney.net>
Date:   Thu Nov 22 08:41:02 2012 +1100

    dashboard/builder: pass $CC to builder if set
    
    R=adg, minux.ma, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/6843068

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/6a1036422f9b06aa140d99f13c6036b14e12f85b

元コミット内容

dashboard/builder: $CC が設定されている場合、それをビルダーに渡す。

変更の背景

Goプロジェクトのビルドシステム、特にgobuilderのようなダッシュボード環境では、ビルドの再現性と一貫性が非常に重要です。GoプログラムがC言語のコードと連携するcgoを使用する場合、GoツールチェインはCコンパイラを呼び出してCコードをコンパイルします。このCコンパイラを指定するためにCC環境変数が使用されます。

このコミットが行われた背景には、gobuilder環境下でビルドされるGoプログラムがcgoを利用している場合に、特定のCコンパイラを使用する必要があった、あるいは異なる環境間でのビルドの一貫性を保つ必要があったという事情が考えられます。CC環境変数が親プロセス(gobuilder)で設定されている場合、その設定を子プロセス(実際のビルドを実行するプロセス)にも引き継ぐことで、ビルド環境の制御をより細かく行えるようになります。これにより、特定のクロスコンパイル環境や、特定のバージョンのCコンパイラを使用するシナリオにおいて、ビルドが正しく行われることを保証できます。

前提知識の解説

CC 環境変数

CC環境変数は、Unix系システムでCコンパイラを指定するために広く使われる環境変数です。Go言語の文脈では、特にcgo(GoコードからCコードを呼び出すためのメカニズム)を使用する際に重要になります。cgoが有効なGoプログラムをビルドする際、GoツールチェインはCC環境変数で指定されたCコンパイラを使用して、Cソースファイルをコンパイルします。もしCCが設定されていない場合、Goツールチェインは通常、システムパスからgccclangといったデフォルトのCコンパイラを探します。クロスコンパイルを行う際には、ターゲットアーキテクチャ用のクロスコンパイラをCCに設定することが不可欠です。

dashboard/builder (gobuilder)

dashboard/builderは、Goプロジェクトの継続的インテグレーション(CI)システムの一部であるgobuilderに関連するコンポーネントであると推測されます。gobuilderは、Goプロジェクトの様々なブランチやコミットに対して自動的にビルドとテストを実行し、その結果をダッシュボードに表示するシステムです。これにより、コードの変更が様々なプラットフォームやアーキテクチャで正しく動作するかどうかを継続的に検証し、問題があれば早期に発見することができます。

gobuilderのようなビルドシステムは、通常、ビルドを実行するための独立した環境をセットアップし、その中でGoツールチェインやその他の必要なツールを呼び出します。この際、ビルドプロセスに特定の環境変数を渡すことで、ビルドの挙動を制御することがよくあります。

技術的詳細

このコミットは、misc/dashboard/builder/main.go内のextraEnvという文字列スライスに"CC"を追加しています。extraEnvは、gobuilderのサブプロセスに引き継がれる環境変数のリストを定義していると考えられます。

Goのビルドプロセスにおいて、CC環境変数はcgoが有効な場合にCコンパイラのパスを決定するために使用されます。gobuilderがビルドを実行する際、通常は新しいプロセスを起動してGoのビルドコマンド(例: go build)を実行します。この新しいプロセスは、親プロセス(gobuilder)から環境変数を継承します。

しかし、gobuilderが明示的にextraEnvのようなリストで指定された環境変数のみを子プロセスに渡す設計になっている場合、CCがこのリストに含まれていないと、親プロセスでCCが設定されていても子プロセスには引き継がれません。このコミットは、この問題を解決し、gobuilderが起動するビルドプロセスが、親プロセスで設定されたCC環境変数を正しく認識し、利用できるようにすることを目的としています。

これにより、gobuilderの管理者は、ビルド環境のCC変数を設定するだけで、その環境下で実行されるすべてのGoビルド(特にcgoを使用するもの)に対して、使用するCコンパイラを統一的に制御できるようになります。これは、特定のツールチェインバージョンへの依存、クロスコンパイルの要件、または特定のビルドフラグを必要とするCライブラリとの連携など、複雑なビルドシナリオにおいて非常に重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/misc/dashboard/builder/main.go
+++ b/misc/dashboard/builder/main.go
@@ -32,6 +32,7 @@ const (
 // These variables are copied from the gobuilder's environment
 // to the envv of its subprocesses.
 var extraEnv = []string{
+	"CC",
 	"GOARM",
 	"GOHOSTARCH",
 	"GOHOSTOS",

コアとなるコードの解説

変更はmisc/dashboard/builder/main.goファイルのextraEnv変数に対して行われています。

extraEnvは、gobuilderの環境からそのサブプロセス(Goのビルドやテストを実行するプロセス)にコピーされる追加の環境変数を定義する文字列スライスです。このリストに"CC"が追加されたことで、gobuilderが起動する子プロセスは、親プロセスで設定されているCC環境変数の値を受け取ることができるようになります。

以前は、GOARM, GOHOSTARCH, GOHOSTOSなどのGoビルドに関連する特定の環境変数のみが引き継がれていました。しかし、cgoを使用するGoプログラムのビルドにおいては、CC環境変数がCコンパイラの選択に直接影響を与えるため、これも同様に引き継がれるべき重要な変数です。この変更により、gobuilder環境におけるcgoを利用したビルドの柔軟性と制御性が向上しました。

関連リンク

参考にした情報源リンク