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[インデックス 14609] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式仕様書(doc/go_spec.html)における誤字の修正と、不要な空白の削除を目的としています。具体的には、メソッド式(method expressions)の例に含まれるタイプミスを訂正し、コードの可読性を向上させています。これは、Go言語の仕様書という重要なドキュメントの正確性と品質を維持するための、小さながらも重要な改善です。

コミット

  • コミットハッシュ: 1d46fc44b780507c4d09d54c232f73397cbf4e6d
  • 作者: Robin Eklind r.eklind.87@gmail.com
  • コミット日時: 2012年12月11日 火曜日 12:17:53 -0500

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/1d46fc44b780507c4d09d54c232f73397cbf4e6d

元コミット内容

spec: Correct typo in method expressions example.

Also, remove unnecessary whitespace.

R=golang-dev, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/6928045

変更の背景

Go言語の仕様書は、言語の挙動を定義する最も権威あるドキュメントです。このドキュメントに誤字や不正確な記述があると、開発者が言語の特定の機能(この場合はメソッド式)を誤解する可能性があります。このコミットは、メソッド式の使用例におけるタイプミスを修正することで、仕様書の正確性を高め、読者がGo言語の挙動を正しく理解できるようにすることを目的としています。また、不要な空白の削除は、コードやドキュメントの整形基準(Goではgofmtのようなツールが推奨される)に沿ったものであり、全体的な品質と可読性の向上に寄与します。

前提知識の解説

この変更を理解するためには、Go言語における以下の概念を理解しておく必要があります。

  1. Go言語の仕様書(Go Specification): Go言語の公式な定義であり、言語の構文、セマンティクス、標準ライブラリの挙動などが詳細に記述されています。開発者はこの仕様書を参照して、Goプログラムがどのように動作するかを正確に理解します。doc/go_spec.htmlは、この仕様書のHTML版です。

  2. メソッド(Methods): Go言語において、メソッドはレシーバ引数を持つ関数です。レシーバは、メソッドが呼び出される対象の型(構造体など)を指定します。

    type MyType struct {
        value int
    }
    
    func (m MyType) GetValue() int { // MyType型のレシーバを持つメソッド
        return m.value
    }
    
  3. メソッドセット(Method Sets): 特定の型が持つメソッドの集合です。Goでは、値レシーバ(T)とポインタレシーバ(*T)のメソッドセットには違いがあります。

    • Tのメソッドセットは、レシーバがTである全てのメソッドを含みます。
    • *Tのメソッドセットは、レシーバがTまたは*Tである全てのメソッドを含みます。
  4. 匿名フィールド(Anonymous Fields)とメソッドの昇格(Promoted Methods): 構造体内に型名のみで宣言されたフィールドを匿名フィールドと呼びます。匿名フィールドのメソッドは、その構造体のメソッドとして「昇格」されます。これにより、匿名フィールドのメソッドを、構造体のインスタンスから直接呼び出すことができます。

    type Inner struct {
        name string
    }
    
    func (i Inner) Greet() string {
        return "Hello, " + i.name
    }
    
    type Outer struct {
        Inner // 匿名フィールド
    }
    
    func main() {
        o := Outer{Inner{"World"}}
        fmt.Println(o.Greet()) // InnerのGreetメソッドがOuterに昇格されて呼び出される
    }
    
  5. メソッド式(Method Expressions): メソッド式は、レシーバを最初の引数として取る通常の関数としてメソッドを参照する方法です。これは、メソッドを関数として変数に代入したり、他の関数に引数として渡したりする際に便利です。

    • T.Mv の形式で記述され、Tは型、Mvはその型のメソッド名です。
    • メソッド式を呼び出す際には、レシーバの値を明示的に最初の引数として渡す必要があります。

    例:

    type MyInt int
    
    func (i MyInt) Add(j int) int {
        return int(i) + j
    }
    
    func main() {
        var x MyInt = 10
        f := MyInt.Add // メソッド式
        result := f(x, 5) // xがレシーバとして渡される
        fmt.Println(result) // 15
    }
    

技術的詳細

このコミットは、doc/go_spec.htmlファイル内の2つの箇所に修正を加えています。

  1. メソッドセットに関する箇所の空白修正:

    --- a/doc/go_spec.html
    +++ b/doc/go_spec.html
    @@ -1000,7 +1000,7 @@ promoted methods are included in the method set of the struct as follows:
     	<code>T</code>. The method set of <code>*S</code> also
     	includes promoted methods with receiver <code>*T</code>.
     	</li>
    -	
    +
     	<li>
     	If <code>S</code> contains an anonymous field <code>*T</code>,
     	the method sets of <code>S</code> and <code>*S</code> both
    

    この変更は、HTMLリストアイテム(<li>)の直後にあった不要な空白行を削除しています。これは機能的な変更ではなく、ドキュメントの整形と可読性の向上を目的としたものです。

  2. メソッド式の例におけるタイプミス修正:

    --- a/doc/go_spec.html
    +++ b/doc/go_spec.html
    @@ -3359,7 +3359,7 @@ these five invocations are equivalent:\n <pre>\n t.Mv(7)\n T.Mv(t, 7)\n-(T).Mv(t, t)\n+(T).Mv(t, 7)\n f1 := T.Mv; f1(t, 7)\n f2 := (T).Mv; f2(t, 7)\n </pre>\n    ```
    この変更がこのコミットの主要な目的です。メソッド式の例において、` (T).Mv(t, t)` と誤って記述されていた部分が `(T).Mv(t, 7)` に修正されています。
    
    元の誤った記述 `(T).Mv(t, t)` は、メソッド `Mv` が2つの引数を取るかのように見えますが、実際にはメソッド式 `(T).Mv` はレシーバ `t` と、その後に続く引数 `7` を取るべきです。このタイプミスにより、読者がメソッド式の引数の渡し方について混乱する可能性がありました。修正後の `(T).Mv(t, 7)` は、`t` がレシーバ、`7` がメソッドの引数であることを明確に示しており、他の同等の呼び出し例(`t.Mv(7)` や `T.Mv(t, 7)` など)との一貫性を保っています。
    
    

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/doc/go_spec.html b/doc/go_spec.html
index 6f4e68cc9b..6e88d47f31 100644
--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1000,7 +1000,7 @@ promoted methods are included in the method set of the struct as follows:\n 	<code>T</code>. The method set of <code>*S</code> also
 	includes promoted methods with receiver <code>*T</code>.\n 	</li>\n-\t\n+\n \t<li>\n \tIf <code>S</code> contains an anonymous field <code>*T</code>,\n \tthe method sets of <code>S</code> and <code>*S</code> both\n@@ -3359,7 +3359,7 @@ these five invocations are equivalent:\n <pre>\n t.Mv(7)\n T.Mv(t, 7)\n-(T).Mv(t, t)\n+(T).Mv(t, 7)\n f1 := T.Mv; f1(t, 7)\n f2 := (T).Mv; f2(t, 7)\n </pre>\n```

## コアとなるコードの解説

このコミットは、Go言語の仕様書である`doc/go_spec.html`ファイルに対して行われたものです。

1.  **行1000付近の変更**:
    `promoted methods are included in the method set of the struct as follows:`というセクションの直後にある、HTMLのリストアイテム(`<li>`)の閉じタグと次のリストアイテムの開始タグの間にあった不要な改行とタブ(`\t\n`)が削除され、単一の改行(`\n`)に置き換えられています。これは、HTMLソースコードの整形に関する修正であり、表示上の変化はありませんが、ソースコードのクリーンアップに貢献します。

2.  **行3359付近の変更**:
    `these five invocations are equivalent:`というセクションにある、メソッド式の例のコードブロック内で、`-(T).Mv(t, t)`という行が`+(T).Mv(t, 7)`に修正されています。
    *   `-`で始まる行は削除された行を示し、`+`で始まる行は追加された行を示します。
    *   元の記述 `(T).Mv(t, t)` は、メソッド `Mv` がレシーバ `t` と、もう一つの引数 `t` を取るかのように誤解を招く可能性がありました。
    *   修正後の `(T).Mv(t, 7)` は、メソッド `Mv` がレシーバ `t` と、引数 `7` を取ることを明確に示しています。これは、このセクションで示されている他の同等のメソッド呼び出し(`t.Mv(7)` や `T.Mv(t, 7)` など)と一貫しており、メソッド式の正しい構文と引数の渡し方を正確に反映しています。

これらの変更は、Go言語の仕様書という重要なドキュメントの正確性と品質を向上させるための、細部にわたる配慮を示しています。

## 関連リンク

このコミット自体に直接的な関連リンクは含まれていませんが、Go言語の仕様書全体が関連するドキュメントです。

## 参考にした情報源リンク

このコミットはGo言語の公式リポジトリの変更であり、Go言語の仕様書自体が主要な情報源です。

*   **Go言語の仕様書**: [https://go.dev/ref/spec](https://go.dev/ref/spec)
*   **Go言語のメソッド式に関するセクション**: 上記仕様書内の "Method expressions" セクションを参照。