[インデックス 14705] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のコマンドラインツール go
のドキュメントに関連する2つのファイルを変更しています。具体的には、src/cmd/go/build.go
と src/cmd/go/doc.go
です。これらのファイルは、それぞれ go build
コマンドのヘルプメッセージと、go
コマンド全体のドキュメントの一部を構成しています。
コミット
- コミットハッシュ:
74dcfc957639078508aa3b9a0c396b9d4ef55fe2
- 作者: Dmitriy Vyukov dvyukov@google.com
- 日付: Fri Dec 21 19:11:10 2012 +0400
- コミットメッセージ:
cmd/go: improve wording of race detector documentation R=golang-dev, iant CC=golang-dev https://golang.org/cl/7006043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/74dcfc957639078508aa3b9a0c396b9d4ef55fe2
元コミット内容
cmd/go: improve wording of race detector documentation
R=golang-dev, iant
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7006043
変更の背景
このコミットの背景は、Go言語のデータ競合検出機能(race detector)に関するドキュメントの表現を改善することにあります。以前のドキュメントでは、「Currently supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.」という記述があり、「Currently(現在)」という単語が含まれていました。これは、将来的にサポートされるプラットフォームが拡大する可能性を示唆するものでしたが、このコミットでは「Currently」を削除し、「Supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.」と変更しています。
この変更の意図は、ドキュメントの正確性と簡潔性を向上させることにあると考えられます。「Currently」という単語は、その時点での一時的な状態を示すため、時間が経過すると情報が古くなる可能性があります。この単語を削除することで、ドキュメントはより普遍的で、特定の時点に縛られない表現になります。これは、Go言語のドキュメントが常に最新かつ正確であることを目指す方針の一環と見ることができます。
前提知識の解説
Go言語のデータ競合検出機能(Race Detector)
Go言語には、並行処理におけるデータ競合(data race)を検出するための組み込みツールである「Race Detector」が提供されています。データ競合とは、複数のゴルーチン(Goの軽量スレッド)が同時に同じメモリ位置にアクセスし、少なくとも1つのアクセスが書き込みであり、かつそれらのアクセスが同期メカニズムによって保護されていない場合に発生するバグです。データ競合は、プログラムの予測不能な動作、クラッシュ、または誤った結果を引き起こす可能性があり、デバッグが非常に困難な種類のバグです。
GoのRace Detectorは、プログラムの実行時にメモリアクセスを監視し、データ競合のパターンを検出します。これを有効にするには、go build
、go run
、または go test
コマンドに -race
フラグを追加します。
例:
go run -race your_program.go
go test -race your_package
Race Detectorは、実行時のオーバーヘッドを伴いますが、並行処理のバグを早期に発見し、修正する上で非常に強力なツールです。
go build
コマンド
go build
コマンドは、Goのソースコードをコンパイルして実行可能バイナリを生成するために使用されます。様々なフラグをサポートしており、コンパイルプロセスを制御できます。-race
フラグもその一つで、Race Detectorを有効にしたバイナリをビルドするために使用されます。
go doc
コマンド
go doc
コマンドは、Goのパッケージ、関数、型、変数などのドキュメントを表示するために使用されます。Goのソースコード内のコメントから自動的にドキュメントを生成する仕組みと連携しており、開発者がコードのドキュメントを簡単に参照できるようにします。go doc cmd/go
のように実行すると、go
コマンド自体のドキュメントが表示されます。
技術的詳細
このコミットの技術的詳細は、非常にシンプルで、ドキュメントの文字列リテラルの変更に限定されます。
変更前:
Currently supported only on linux/amd64,
darwin/amd64 and windows/amd64.
変更後:
Supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.
削除されたのは「Currently 」という単語とそれに続くスペースです。この変更は、Race Detectorがサポートするプラットフォームのリスト自体を変更するものではなく、そのサポート状況を説明する際の表現を修正するものです。
この変更の技術的な影響は以下の通りです。
- ドキュメントの永続性: 「Currently」という単語を削除することで、ドキュメントの記述が時間経過による影響を受けにくくなります。GoのRace Detectorが将来的に他のプラットフォームをサポートするようになった場合でも、この記述は「現在」という限定的な意味合いを持たなくなるため、更新の必要性が低減されます。
- 簡潔性: 不要な単語を削除することで、ドキュメントがより簡潔になります。
- 正確性: 「Currently」という単語は、一時的な状態を示唆するため、もしGoチームが特定のプラットフォームのみをサポートし続ける方針であるならば、この単語は誤解を招く可能性があります。削除することで、より正確な情報伝達が可能になります。
この変更は、Goのツールチェーンの動作に直接的な影響を与えるものではなく、ユーザーが go build -race
コマンドを使用する際の挙動も変わりません。純粋にドキュメントの品質向上を目的とした変更です。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットは、以下の2つのファイルで同じ変更を行っています。
src/cmd/go/build.go
の変更点:
--- a/src/cmd/go/build.go
+++ b/src/cmd/go/build.go
@@ -62,8 +62,7 @@ The build flags are shared by the build, install, run, and test commands:
print the commands.
-race
enable data race detection.
- Currently supported only on linux/amd64,
- darwin/amd64 and windows/amd64.
+ Supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.
-ccflags 'arg list'
arguments to pass on each 5c, 6c, or 8c compiler invocation
src/cmd/go/doc.go
の変更点:
--- a/src/cmd/go/doc.go
+++ b/src/cmd/go/doc.go
@@ -78,8 +78,7 @@ The build flags are shared by the build, install, run, and test commands:
print the commands.
-race
enable data race detection.
- Currently supported only on linux/amd64,
- darwin/amd64 and windows/amd64.
+ Supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.
-ccflags 'arg list'
arguments to pass on each 5c, 6c, or 8c compiler invocation
コアとなるコードの解説
両方のファイルにおいて、-race
フラグの説明部分が変更されています。
元のコードでは、-race
フラグの説明として以下の文字列が使用されていました。
// src/cmd/go/build.go および src/cmd/go/doc.go 内の該当箇所(擬似コード)
const raceFlagDoc = `
-race
enable data race detection.
Currently supported only on linux/amd64,
darwin/amd64 and windows/amd64.
`
このコミットでは、raceFlagDoc
の文字列リテラルから「Currently 」という部分が削除されました。
// src/cmd/go/build.go および src/cmd/go/doc.go 内の該当箇所(擬似コード)
const raceFlagDoc = `
-race
enable data race detection.
Supported only on linux/amd64, darwin/amd64 and windows/amd64.
`
この変更は、Goのソースコード内のドキュメント文字列を直接編集するものです。build.go
は go build
コマンドの内部実装の一部であり、その中で定義されているヘルプメッセージやフラグの説明が、ユーザーが go help build
などを実行した際に表示されます。同様に、doc.go
は go
コマンド全体のドキュメントの一部として機能し、go doc cmd/go
などで参照される情報を含んでいます。
したがって、この変更はGoのビルドシステムやランタイムの動作には影響せず、単にユーザーに表示されるドキュメントのテキスト内容を更新するものです。
関連リンク
- Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
- Go Race Detectorに関する公式ブログ記事 (Go 1.1リリース時): https://go.dev/blog/race-detector
go build
コマンドのドキュメント:go help build
をコマンドラインで実行することで参照できます。go doc
コマンドのドキュメント:go help doc
をコマンドラインで実行することで参照できます。
参考にした情報源リンク
- コミットデータファイル:
/home/orange/Project/comemo/commit_data/14705.txt
- GitHubコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/74dcfc957639078508aa3b9a0c396b9d4ef55fe2
- Go言語のRace Detectorに関する一般的な知識
- Go言語のコマンドラインツールに関する一般的な知識I have provided the detailed explanation of the commit as requested, following all the specified instructions and chapter structure. I have used the commit data and my knowledge of Go to provide the technical details. I have also disregarded the incorrect web search result for the CL link.