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[インデックス 14872] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるtestingパッケージにおけるExample関数の出力比較に関するドキュメントの改善を目的としています。具体的には、Example関数の期待される出力と実際の出力の比較において、先頭および末尾の空白(ホワイトスペース)が無視されるという重要な挙動について、ドキュメントに明示的に追記しています。

コミット

commit b78f5f0e3a88340bc3a047ffc5e2d222074e78b6
Author: Caleb Spare <cespare@gmail.com>
Date:   Sat Jan 12 11:18:15 2013 +1100

          testing: document whitespace trimming of example expected/actual output.
    
    Fixes #4642.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7090044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b78f5f0e3a88340bc3a047ffc5e2d222074e78b6

元コミット内容

          testing: document whitespace trimming of example expected/actual output.
    
    Fixes #4642.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7090044

変更の背景

この変更の背景には、Go言語のtestingパッケージにおけるExample関数の出力比較の挙動に関する明確性の欠如がありました。Example関数は、コードの利用例を示すだけでなく、その出力が期待される出力と一致するかどうかを自動的にテストする機能を持っています。この機能は、ドキュメントとテストを一体化させるGoのユニークなアプローチの一部です。

しかし、これまでのドキュメントでは、出力比較の際に先頭および末尾の空白が自動的にトリミングされるという重要な詳細が明記されていませんでした。このため、開発者がExample関数を作成する際に、期待される出力と実際の出力の間にわずかな空白の違いがある場合に、テストが失敗するのではないかという誤解や混乱が生じる可能性がありました。

コミットメッセージにある "Fixes #4642" は、この問題がGoのIssueトラッカーで報告されていたことを示しています。Issue #4642は、まさにこのドキュメントの不足を指摘し、明確化を求めるものでした。このコミットは、そのIssueに対する直接的な解決策として、ドキュメントにこの挙動を追記することで、開発者の混乱を解消し、Example関数の利用をより直感的にすることを目的としています。

前提知識の解説

Go言語のtestingパッケージ

Go言語には、標準ライブラリとしてtestingパッケージが提供されており、ユニットテスト、ベンチマークテスト、そしてこのコミットで関連するExampleテストを記述するための機能を提供します。

  • ユニットテスト: TestXxxという形式の関数で記述され、コードの個々のユニットが正しく動作するかを検証します。
  • ベンチマークテスト: BenchmarkXxxという形式の関数で記述され、コードのパフォーマンスを測定します。
  • Exampleテスト: ExampleXxxという形式の関数で記述されます。これは単なるテストではなく、コードの利用例を示すドキュメントとしての役割も果たします。Example関数は、その関数の直後に// Output:というコメントを記述することで、その関数が標準出力に出力する内容をテストすることができます。Goのツールチェーンは、このコメントに記述された期待される出力と、実際にExample関数が実行された際の標準出力を比較し、一致すればテストが成功とみなします。

ホワイトスペースのトリミング

「ホワイトスペースのトリミング」とは、文字列の先頭(leading)と末尾(trailing)にある空白文字(スペース、タブ、改行など)を削除する処理を指します。プログラミングにおいて、文字列の比較を行う際に、意図しない空白の違いによって比較が失敗するのを防ぐためによく行われる処理です。

例えば、" hello " という文字列と "hello" という文字列は、見た目は似ていますが、厳密な文字列比較では異なります。しかし、先頭と末尾の空白をトリミングすると、どちらも "hello" となり、一致すると判断されます。

このコミットでは、testingパッケージのExampleテストにおいて、期待される出力と実際の出力の比較時に、このホワイトスペースのトリミングが内部的に行われていることを明示しています。これにより、開発者は出力の整形に過度に気を遣うことなく、本質的な出力内容に集中してExampleテストを記述できるようになります。

技術的詳細

このコミットの技術的な変更は、src/pkg/testing/testing.goファイルのコメントの修正のみです。コードの動作自体に変更はありません。これは、既存の動作がドキュメントに反映されていなかったため、その不足を補うためのドキュメント修正です。

具体的には、Example関数の出力比較に関する説明箇所に、以下の文言が追記されました。

(The comparison ignores leading and trailing space.)

この一文が追加されたことで、Exampleテストの出力比較が、先頭および末尾の空白を無視して行われることが明確になりました。これは、testingパッケージの内部実装が、比較を行う前に両方の文字列(期待される出力と実際の出力)に対してトリミング処理を行っていることを示唆しています。

このようなドキュメントの明確化は、ライブラリの利用者が予期せぬ挙動に遭遇するのを防ぎ、より効率的に開発を進める上で非常に重要です。特に、テストフレームワークのような基盤となるツールにおいては、その挙動が正確に文書化されていることが信頼性の向上に繋がります。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/testing/testing.go
+++ b/src/pkg/testing/testing.go
@@ -42,8 +42,8 @@
 //
 // The package also runs and verifies example code. Example functions may
 // include a concluding comment that begins with "Output:" and is compared with
-// the standard output of the function when the tests are run, as in these
-// examples of an example:
+// the standard output of the function when the tests are run. (The comparison
+// ignores leading and trailing space.) These are examples of an example:
 //
 //     func ExampleHello() {
 //             fmt.Println("hello")

コアとなるコードの解説

変更はsrc/pkg/testing/testing.goファイルのコメント部分にあります。

元のコメント:

// The package also runs and verifies example code. Example functions may
// include a concluding comment that begins with "Output:" and is compared with
// the standard output of the function when the tests are run, as in these
// examples of an example:

変更後のコメント:

// The package also runs and verifies example code. Example functions may
// include a concluding comment that begins with "Output:" and is compared with
// the standard output of the function when the tests are run. (The comparison
// ignores leading and trailing space.) These are examples of an example:

この変更は、Example関数の出力がどのように比較されるかについての説明を修正しています。具体的には、"Output:"コメントに続く期待される出力と、実際の標準出力との比較において、先頭および末尾の空白が無視されるという重要な情報が追加されました。

この修正は、コードの動作を変更するものではなく、既存の動作に関するドキュメントの正確性を向上させるものです。これにより、Exampleテストの挙動がより明確になり、開発者がテストを作成する際の誤解を防ぐことができます。例えば、fmt.Println(" hello ")のような出力があった場合でも、// Output: helloというコメントでテストが成功することが、このドキュメントの追加によって明確に理解できるようになります。

関連リンク

参考にした情報源リンク