Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 14939] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のツールである cmd/api に関連する変更です。具体的には、src/cmd/api/goapi.go ファイルが修正されています。このファイルは、GoのAPIチェッカーツールの中核をなす部分であり、Goの標準ライブラリのAPIを抽出し、その変更を追跡するために使用されます。

コミット

  • コミットハッシュ: 42c86828b17146bde52e8b804174012e99d455fc
  • 作者: Anthony Martin ality@pbrane.org
  • コミット日時: Sat Jan 19 22:20:46 2013 -0800
  • コミットメッセージ: cmd/api: sort features

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/42c86828b17146bde52e8b804174012e99d455fc

元コミット内容

cmd/api: sort features

R=golang-dev, minux.ma, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7141062

変更の背景

このコミットの背景には、cmd/api ツールの出力の安定性と比較可能性の向上が挙げられます。cmd/api はGoの標準ライブラリのAPIを抽出し、その「特徴」(features)をリストアップするツールです。この特徴リストは、GoのAPIがバージョン間でどのように変化したかを追跡するために使用されます。

以前のバージョンでは、features スライス(Go言語における可変長配列)に要素が追加される順序が、実行環境やその他の要因によって非決定論的になる可能性がありました。これにより、同じAPIセットに対して cmd/api を実行しても、出力される特徴の順序が異なることがあり、結果として不必要な差分(diff)が生じていました。

このような非決定論的な出力は、APIの変更を正確に追跡する上で問題となります。例えば、CI/CDパイプラインでAPIの変更を監視している場合、順序の変更だけで差分が検出されてしまうと、実際のAPI変更を見落としたり、誤ったアラートを発生させたりする原因となります。

このコミットは、features スライスをソートすることで、出力される特徴の順序を常に一定に保ち、ツールの出力を決定論的にすることを目的としています。これにより、APIの実際の変更のみが差分として検出されるようになり、APIのバージョン管理と変更追跡の信頼性が向上します。

前提知識の解説

cmd/api ツール

cmd/api は、Go言語の標準ライブラリの公開API(エクスポートされた型、関数、メソッド、変数など)を抽出するための内部ツールです。このツールは、Goのリリースプロセスにおいて、APIの互換性を保証するために重要な役割を果たします。具体的には、新しいGoのバージョンがリリースされる際に、以前のバージョンとのAPI互換性が維持されているかを確認するために、cmd/api の出力が比較されます。

Go言語の slice

Go言語における slice(スライス)は、同じ型の要素のシーケンスを表すデータ構造です。スライスは動的なサイズを持ち、配列の上に構築されます。スライスは参照型であり、基になる配列の一部を参照します。このコミットで言及されている features は、おそらく string 型のスライスであり、抽出されたAPIの特徴(例えば、package/Type.Method のような文字列)を格納しています。

sort.Strings 関数

sort.Strings は、Go言語の標準ライブラリ sort パッケージに含まれる関数です。この関数は、[]string 型のスライスを受け取り、その要素を辞書順(アルファベット順)にソートします。sort パッケージは、様々な型のスライスをソートするための汎用的なインターフェースと、特定の型(int, float64, string など)に特化したヘルパー関数を提供しています。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、cmd/api ツールがAPIの特徴を収集した後、それらをファイルに書き出す前に sort.Strings 関数を使用してソートすることです。

cmd/api の処理フローは概ね以下のようになります。

  1. Goの標準ライブラリのソースコードを解析します。
  2. 公開されているAPI要素(型、関数、メソッドなど)を特定します。
  3. 特定された各API要素を、特定のフォーマットの文字列(「特徴」)として表現し、features と呼ばれる []string スライスに追加していきます。
  4. すべての特徴が収集された後、それらを標準出力または指定されたファイルに書き出します。

このコミットが導入される前は、ステップ3で features スライスに要素が追加される順序が、Goコンパイラのバージョン、OS、ファイルシステムの読み込み順序、あるいは並行処理のタイミングなど、様々な外部要因によって変動する可能性がありました。これにより、同じAPIセットであっても、異なる環境や異なる実行タイミングで cmd/api を実行すると、出力される特徴のリストの順序が異なってしまうという問題がありました。

sort.Strings(features) の追加により、ステップ3とステップ4の間に明示的なソート処理が挿入されます。これにより、features スライスにどのような順序で要素が追加されたとしても、ファイルに書き出される前には常に辞書順にソートされることが保証されます。

この変更の利点は以下の通りです。

  • 決定論的な出力: cmd/api の出力が常に同じ順序になり、再現性が向上します。
  • 正確な差分検出: APIの実際の変更のみが差分として検出されるため、バージョン管理システム(Gitなど)での比較が容易になり、ノイズが減少します。
  • テストの安定性: cmd/api の出力を利用するテストやスクリプトが、順序の変動による誤検出を起こさなくなります。

この変更は、Goのツールチェーンの堅牢性と信頼性を高めるための、小さくも重要な改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/api/goapi.go
+++ b/src/cmd/api/goapi.go
@@ -181,6 +181,7 @@ func main() {
 	defer bw.Flush()
 
 	if *checkFile == "" {
+		sort.Strings(features)
 		for _, f := range features {
 			fmt.Fprintf(bw, "%s\\n", f)
 		}

コアとなるコードの解説

変更は src/cmd/api/goapi.go ファイルの main 関数内にあります。

元のコードでは、if *checkFile == "" の条件ブロック内で、features スライスに格納された各特徴(f)がループで順に処理され、fmt.Fprintf を使って bw(おそらく bufio.Writer のインスタンスで、標準出力またはファイルへの書き込みをバッファリングしている)に書き込まれていました。

追加された sort.Strings(features) の行は、このループの直前に挿入されています。

  • sort.Strings(features): この行が、features スライスに含まれるすべての文字列要素を辞書順にソートします。この操作はインプレースで行われるため、features スライスの内容はソートされた順序に並び替えられます。

この変更により、for _, f := range features ループが実行される際には、features スライス内の要素はすでにソートされた状態になっているため、bw に書き出されるAPI特徴のリストも常にソートされた順序になります。

このコードは、cmd/api がAPI特徴のリストを生成し、それを標準出力(または指定されたファイル)に書き出す際の、出力の決定論性を保証するために不可欠な変更です。

関連リンク

  • Gerrit Change-Id: https://golang.org/cl/7141062 (GoプロジェクトのコードレビューシステムであるGerritの変更リンク)

参考にした情報源リンク

  • Go言語 sort パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/sort
  • Go言語 sort.Strings 関数のドキュメント: https://pkg.go.dev/sort#Strings
  • Go言語の cmd/api ツールの目的と利用に関する一般的な情報(Goの公式ドキュメントやブログ記事など)
    • (具体的なURLはコミットメッセージには含まれていませんが、cmd/api の役割はGoのリリースプロセスやAPI互換性に関する議論で頻繁に言及されます。)# [インデックス 14939] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のツールである cmd/api に関連する変更です。具体的には、src/cmd/api/goapi.go ファイルが修正されています。このファイルは、GoのAPIチェッカーツールの中核をなす部分であり、Goの標準ライブラリのAPIを抽出し、その変更を追跡するために使用されます。

コミット

  • コミットハッシュ: 42c86828b17146bde52e8b804174012e99d455fc
  • 作者: Anthony Martin ality@pbrane.org
  • コミット日時: Sat Jan 19 22:20:46 2013 -0800
  • コミットメッセージ: cmd/api: sort features

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/42c86828b17146bde52e8b804174012e99d455fc

元コミット内容

cmd/api: sort features

R=golang-dev, minux.ma, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7141062

変更の背景

このコミットの背景には、cmd/api ツールの出力の安定性と比較可能性の向上が挙げられます。cmd/api はGoの標準ライブラリのAPIを抽出し、その「特徴」(features)をリストアップするツールです。この特徴リストは、GoのAPIがバージョン間でどのように変化したかを追跡するために使用されます。

以前のバージョンでは、features スライス(Go言語における可変長配列)に要素が追加される順序が、実行環境やその他の要因によって非決定論的になる可能性がありました。これにより、同じAPIセットに対して cmd/api を実行しても、出力される特徴の順序が異なることがあり、結果として不必要な差分(diff)が生じていました。

このような非決定論的な出力は、APIの変更を正確に追跡する上で問題となります。例えば、CI/CDパイプラインでAPIの変更を監視している場合、順序の変更だけで差分が検出されてしまうと、実際のAPI変更を見落としたり、誤ったアラートを発生させたりする原因となります。

このコミットは、features スライスをソートすることで、出力される特徴の順序を常に一定に保ち、ツールの出力を決定論的にすることを目的としています。これにより、APIの実際の変更のみが差分として検出されるようになり、APIのバージョン管理と変更追跡の信頼性が向上します。

前提知識の解説

cmd/api ツール

cmd/api は、Go言語の標準ライブラリの公開API(エクスポートされた型、関数、メソッド、変数など)を抽出するための内部ツールです。このツールは、Goのリリースプロセスにおいて、APIの互換性を保証するために重要な役割を果たします。具体的には、新しいGoのバージョンがリリースされる際に、以前のバージョンとのAPI互換性が維持されているかを確認するために、cmd/api の出力が比較されます。

Go言語の slice

Go言語における slice(スライス)は、同じ型の要素のシーケンスを表すデータ構造です。スライスは動的なサイズを持ち、配列の上に構築されます。スライスは参照型であり、基になる配列の一部を参照します。このコミットで言及されている features は、おそらく string 型のスライスであり、抽出されたAPIの特徴(例えば、package/Type.Method のような文字列)を格納しています。

sort.Strings 関数

sort.Strings は、Go言語の標準ライブラリ sort パッケージに含まれる関数です。この関数は、[]string 型のスライスを受け取り、その要素を辞書順(アルファベット順)にソートします。sort パッケージは、様々な型のスライスをソートするための汎用的なインターフェースと、特定の型(int, float64, string など)に特化したヘルパー関数を提供しています。

技術的詳細

このコミットの技術的な核心は、cmd/api ツールがAPIの特徴を収集した後、それらをファイルに書き出す前に sort.Strings 関数を使用してソートすることです。

cmd/api の処理フローは概ね以下のようになります。

  1. Goの標準ライブラリのソースコードを解析します。
  2. 公開されているAPI要素(型、関数、メソッドなど)を特定します。
  3. 特定された各API要素を、特定のフォーマットの文字列(「特徴」)として表現し、features と呼ばれる []string スライスに追加していきます。
  4. すべての特徴が収集された後、それらを標準出力または指定されたファイルに書き出します。

このコミットが導入される前は、ステップ3で features スライスに要素が追加される順序が、Goコンパイラのバージョン、OS、ファイルシステムの読み込み順序、あるいは並行処理のタイミングなど、様々な外部要因によって変動する可能性がありました。これにより、同じAPIセットであっても、異なる環境や異なる実行タイミングで cmd/api を実行すると、出力される特徴のリストの順序が異なってしまうという問題がありました。

sort.Strings(features) の追加により、ステップ3とステップ4の間に明示的なソート処理が挿入されます。これにより、features スライスにどのような順序で要素が追加されたとしても、ファイルに書き出される前には常に辞書順にソートされることが保証されます。

この変更の利点は以下の通りです。

  • 決定論的な出力: cmd/api の出力が常に同じ順序になり、再現性が向上します。
  • 正確な差分検出: APIの実際の変更のみが差分として検出されるため、バージョン管理システム(Gitなど)での比較が容易になり、ノイズが減少します。
  • テストの安定性: cmd/api の出力を利用するテストやスクリプトが、順序の変動による誤検出を起こさなくなります。

この変更は、Goのツールチェーンの堅牢性と信頼性を高めるための、小さくも重要な改善と言えます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/cmd/api/goapi.go
+++ b/src/cmd/api/goapi.go
@@ -181,6 +181,7 @@ func main() {
 	defer bw.Flush()
 
 	if *checkFile == "" {
+		sort.Strings(features)
 		for _, f := range features {
 			fmt.Fprintf(bw, "%s\\n", f)
 		}

コアとなるコードの解説

変更は src/cmd/api/goapi.go ファイルの main 関数内にあります。

元のコードでは、if *checkFile == "" の条件ブロック内で、features スライスに格納された各特徴(f)がループで順に処理され、fmt.Fprintf を使って bw(おそらく bufio.Writer のインスタンスで、標準出力またはファイルへの書き込みをバッファリングしている)に書き込まれていました。

追加された sort.Strings(features) の行は、このループの直前に挿入されています。

  • sort.Strings(features): この行が、features スライスに含まれるすべての文字列要素を辞書順にソートします。この操作はインプレースで行われるため、features スライスの内容はソートされた順序に並び替えられます。

この変更により、for _, f := range features ループが実行される際には、features スライス内の要素はすでにソートされた状態になっているため、bw に書き出されるAPI特徴のリストも常にソートされた順序になります。

このコードは、cmd/api がAPI特徴のリストを生成し、それを標準出力(または指定されたファイル)に書き出す際の、出力の決定論性を保証するために不可欠な変更です。

関連リンク

  • Gerrit Change-Id: https://golang.org/cl/7141062 (GoプロジェクトのコードレビューシステムであるGerritの変更リンク)

参考にした情報源リンク

  • Go言語 sort パッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/sort
  • Go言語 sort.Strings 関数のドキュメント: https://pkg.go.dev/sort#Strings
  • Go言語の cmd/api ツールの目的と利用に関する一般的な情報(Goの公式ドキュメントやブログ記事など)
    • (具体的なURLはコミットメッセージには含まれていませんが、cmd/api の役割はGoのリリースプロセスやAPI互換性に関する議論で頻繁に言及されます。)