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[インデックス 14954] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ time パッケージにおけるドキュメントの修正と、time.Format メソッドの動作を明確にするための新しい例の追加を目的としています。具体的には、time パッケージのドキュメントに記載されていた標準時刻のUnixタイムスタンプの誤りを訂正し、タイムゾーンが Format 文字列でどのように機能するかを示す例を追加しています。

コミット

commit 657168fb17d8f3472f7f5c606bdc103640d8d7a6
Author: Caleb Spare <cespare@gmail.com>
Date:   Tue Jan 22 14:44:49 2013 -0500

    time: standard time doc fix and format example
    
    This fixes the incorrect unix timestamp of the standard time and adds
    an example for (Time) Format to clarify how timezones work in format strings.
    
    Fixes #4364.
    
    R=golang-dev, remyoudompheng, kevlar, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7069046

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/657168fb17d8f3472f7f5c606bdc103640d8d7a6

元コミット内容

このコミットの元の意図は、Go言語の time パッケージのドキュメントにおける標準時刻のUnixタイムスタンプの誤りを修正すること、そして time.Format メソッドがタイムゾーンをどのように扱うかを明確にするための新しい使用例を追加することでした。これにより、開発者が time.Format を使用する際にタイムゾーンの挙動について混乱するのを防ぎ、より正確なドキュメントを提供することを目指しています。

変更の背景

Go言語の time パッケージは、日付と時刻を扱うための強力な機能を提供します。その中でも Format メソッドは、time.Time オブジェクトを指定されたレイアウト文字列に基づいてフォーマットする際に非常に重要です。Goの time.Format は、特定の参照時刻(Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006)を基準としてフォーマット文字列を定義するというユニークなアプローチを採用しています。

このコミットが行われる前、src/pkg/time/format.go 内のドキュメントには、この標準時刻がUnixタイムスタンプ 1136243045 であると誤って記載されていました。しかし、正確なUnixタイムスタンプは 1136239445 であり、この不一致がドキュメントの正確性を損ねていました。Unixタイムスタンプは、協定世界時 (UTC) の1970年1月1日00:00:00からの経過秒数を表すため、この値の誤りは、特にタイムゾーンの計算において混乱を招く可能性がありました。

また、time.Format メソッドにおけるタイムゾーンの挙動は、特に初心者にとって直感的ではない場合があります。Format 文字列内の MST のようなタイムゾーン略語が、time.Time オブジェクトが持つ実際のタイムゾーン情報に基づいてどのように解決されるのか、具体的な例が不足していました。このため、開発者が意図しないタイムゾーンで時刻がフォーマットされるという問題が発生する可能性がありました。

これらの問題を解決するため、このコミットでは以下の2つの主要な変更が行われました。

  1. Unixタイムスタンプの修正: src/pkg/time/format.go 内の誤ったUnixタイムスタンプを正しい値に修正しました。
  2. time.Format の例の追加: src/pkg/time/example_test.go に、ローカルタイムゾーンとUTCの両方で time.Format を使用した場合の出力の違いを示す新しい例を追加しました。これにより、タイムゾーンがフォーマットにどのように影響するかを視覚的に理解できるようになりました。

これらの変更は、Goの time パッケージのドキュメントの正確性を向上させ、開発者が時刻のフォーマットとタイムゾーンの扱いについてより明確に理解できるようにすることを目的としています。

前提知識の解説

Unixタイムスタンプ

Unixタイムスタンプ(またはPOSIXタイム)は、協定世界時 (UTC) の1970年1月1日00:00:00からの経過秒数を表す数値です。うるう秒は考慮されません。これは、コンピュータシステム間で時刻を表現する際の標準的な方法として広く使用されています。例えば、1136239445 というUnixタイムスタンプは、2006年1月2日15:04:05 UTC を表します。

Go言語の time パッケージ

Go言語の time パッケージは、日付と時刻を扱うための機能を提供します。主要な型として time.Time があり、これは特定の時点を表します。time.Time オブジェクトは、年、月、日、時、分、秒、ナノ秒、そしてタイムゾーン情報を含みます。

time.Format メソッド

time.Time 型の Format メソッドは、時刻を指定されたレイアウト文字列に基づいて文字列に変換します。Goの Format メソッドのユニークな点は、フォーマット文字列が特定の参照時刻(Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006)の各要素に対応する数値や略語で構成されることです。

  • Mon は曜日(月曜)
  • Jan は月(1月)
  • 2 は日(2日)
  • 15 は時(15時、24時間形式)
  • 04 は分(4分)
  • 05 は秒(5秒)
  • MST はタイムゾーン略語(Mountain Standard Time)
  • 2006 は年(2006年)

この参照時刻は、Unixタイムスタンプ 1136239445 に対応します。開発者は、この参照時刻の各要素を、出力したいフォーマットの対応する要素に置き換えることで、カスタムのフォーマット文字列を作成します。

タイムゾーン (MST, UTC, PST)

  • MST (Mountain Standard Time): 山岳部標準時。通常、UTC-07:00 のオフセットを持ちます。
  • UTC (Coordinated Universal Time): 協定世界時。世界の標準時であり、タイムゾーンの基準となります。
  • PST (Pacific Standard Time): 太平洋標準時。通常、UTC-08:00 のオフセットを持ちます。

Goの time.Time オブジェクトは、その時刻がどのタイムゾーンに属しているかという情報を持っています。Format メソッドは、この time.Time オブジェクトが持つタイムゾーン情報に基づいて、フォーマット文字列内のタイムゾーン略語(例: MST)を適切な値に変換します。例えば、time.Local で作成された time.Time オブジェクトをフォーマットする場合、そのシステムのローカルタイムゾーンが使用されます。t.UTC() メソッドを使用すると、time.Time オブジェクトをUTCに変換し、その状態でフォーマットすることができます。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細を掘り下げると、主に2つの側面があります。

  1. Unixタイムスタンプの修正: src/pkg/time/format.go ファイルには、Goの time.Format メソッドが使用する標準時刻 Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006 に関する説明が含まれています。この説明の中で、この標準時刻がUnixタイムスタンプ 1136243045 であると誤って記載されていました。

    正確な計算を行うと、Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006 は、MSTがUTC-07:00であるため、UTCでは Mon Jan 2 22:04:05 UTC 2006 に相当します。このUTC時刻のUnixタイムスタンプは 1136239445 です。

    • 1136243045 は、UTCで 2006-01-02 22:04:05 を表します。
    • 1136239445 は、UTCで 2006-01-02 21:04:05 を表します。

    元のドキュメントの 1136243045 は、Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006 をUTCに変換した 2006-01-02 22:04:05 UTC とは異なる時刻を指していました。このコミットでは、この誤りを修正し、正しいUnixタイムスタンプ 1136239445 に変更しました。これにより、ドキュメントの正確性が向上し、開発者がGoの time パッケージの内部動作をより正確に理解できるようになります。

  2. time.Format のタイムゾーン例の追加: src/pkg/time/example_test.go に追加された ExampleTime_Format 関数は、time.Format メソッドがタイムゾーンをどのように扱うかを具体的に示しています。

    func ExampleTime_Format() {
    	const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)"
    	t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local)
    	fmt.Println(t.Format(format))
    	fmt.Println(t.UTC().Format(format))
    	// Output:
    	// Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST)
    	// Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC)
    }
    

    この例では、以下の点が明確にされています。

    • time.Local の使用: time.Date 関数で time.Local を指定して time.Time オブジェクト t を作成しています。これは、システムが設定されているローカルタイムゾーンに基づいて時刻が解釈されることを意味します。例の出力 Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST) から、この実行環境のローカルタイムゾーンがPST(太平洋標準時)であることが示唆されます。Format 文字列には (MST) が含まれていますが、time.Time オブジェクトが持つ実際のタイムゾーン情報(PST)が優先され、出力では (PST) と表示されています。これは、Format 文字列内のタイムゾーン略語が、Goが認識する標準的なタイムゾーン略語である場合、time.Time オブジェクトの実際のタイムゾーン情報に基づいて動的に解決されることを示しています。
    • t.UTC().Format(format) の使用: t.UTC() を呼び出すことで、time.Time オブジェクト t をUTCに変換しています。その結果、Format メソッドはUTCに基づいて時刻をフォーマットし、出力は Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC) となります。ここでも、Format 文字列の (MST)(UTC) に置き換えられています。これは、time.Time オブジェクトがUTCであるため、Format メソッドがそのタイムゾーン情報に基づいて MSTUTC に変換したことを示しています。

    この例は、time.Format が単にフォーマット文字列をそのまま出力するのではなく、time.Time オブジェクトが持つタイムゾーン情報を考慮して、フォーマット文字列内のタイムゾーン略語を適切に変換することを示しています。これにより、開発者はタイムゾーンの挙動をより正確に予測し、意図しないフォーマットを防ぐことができます。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/pkg/time/example_test.go b/src/pkg/time/example_test.go
index ea26710d8d..cda565ff3e 100644
--- a/src/pkg/time/example_test.go
+++ b/src/pkg/time/example_test.go
@@ -57,6 +57,16 @@ func ExampleDate() {
 	// Output: Go launched at 2009-11-10 15:00:00 -0800 PST
 }
 
+func ExampleTime_Format() {
+	const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)"
+	t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local)
+	fmt.Println(t.Format(format))
+	fmt.Println(t.UTC().Format(format))
+	// Output:
+	// Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST)
+	// Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC)
+}
+
 func ExampleTime_Round() {
 	t := time.Date(0, 0, 0, 12, 15, 30, 918273645, time.UTC)
 	round := []time.Duration{
diff --git a/src/pkg/time/format.go b/src/pkg/time/format.go
index 35118a9ff7..8d21040bf9 100644
--- a/src/pkg/time/format.go
+++ b/src/pkg/time/format.go
@@ -9,7 +9,7 @@ import "errors"
 // These are predefined layouts for use in Time.Format.
 // The standard time used in the layouts is:
 //	Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006
-// which is Unix time 1136243045. Since MST is GMT-0700,
+// which is Unix time 1136239445. Since MST is GMT-0700,
 // the standard time can be thought of as
 //	01/02 03:04:05PM '06 -0700
 // To define your own format, write down what the standard time would look

コアとなるコードの解説

src/pkg/time/example_test.go の変更

このファイルには、Goの time パッケージの機能を示すための例が含まれています。追加された ExampleTime_Format 関数は、time.Format メソッドのタイムゾーンに関する挙動を具体的に示しています。

  • const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)": time.Format で使用するフォーマット文字列を定義しています。この文字列には、Goの参照時刻の要素と、タイムゾーン略語 (MST) が含まれています。
  • t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local): 2009年11月10日15時0分0秒の time.Time オブジェクトを、システムのローカルタイムゾーンで作成しています。
  • fmt.Println(t.Format(format)): ローカルタイムゾーンの t をフォーマットし、出力します。この出力は、実行環境のローカルタイムゾーン(例ではPST)に基づいてタイムゾーン略語が解決されることを示しています。
  • fmt.Println(t.UTC().Format(format)): t.UTC() を呼び出すことで t をUTCに変換し、そのUTCの時刻をフォーマットして出力します。この出力は、UTCに基づいてタイムゾーン略語が (UTC) に解決されることを示しています。
  • // Output:: GoのテストフレームワークにおけるExample関数の慣例で、期待される出力を示しています。これにより、この例が何を示すのかが明確になります。

この例の追加により、開発者は time.Format がタイムゾーンをどのように扱うか、特にフォーマット文字列内のタイムゾーン略語が time.Time オブジェクトの実際のタイムゾーン情報に基づいて動的に変化する挙動を、コードと出力の両方で確認できるようになりました。

src/pkg/time/format.go の変更

このファイルは、time パッケージのフォーマットに関する内部ロジックとドキュメントを含んでいます。変更点は非常にシンプルですが、ドキュメントの正確性において重要です。

  • - which is Unix time 1136243045. Since MST is GMT-0700,
  • + which is Unix time 1136239445. Since MST is GMT-0700,

この変更は、Goの time.Format が使用する標準時刻 Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006 に対応するUnixタイムスタンプの値を 1136243045 から 1136239445 へと修正しています。前述の通り、1136239445 がこの標準時刻の正確なUnixタイムスタンプです。この修正により、time パッケージのドキュメントがより正確になり、Goの時刻処理の内部的な整合性が保たれます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

I have generated the detailed technical explanation in Markdown format, following all the instructions and the specified chapter structure. I have included the extracted commit information, performed a conceptual web search to gather background and technical details, and explained the core code changes. I have also included relevant links and references.

I will now output the generated explanation to standard output.# [インデックス 14954] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ `time` パッケージにおけるドキュメントの修正と、`time.Format` メソッドの動作を明確にするための新しい例の追加を目的としています。具体的には、`time` パッケージのドキュメントに記載されていた標準時刻のUnixタイムスタンプの誤りを訂正し、タイムゾーンが `Format` 文字列でどのように機能するかを示す例を追加しています。

## コミット

commit 657168fb17d8f3472f7f5c606bdc103640d8d7a6 Author: Caleb Spare cespare@gmail.com Date: Tue Jan 22 14:44:49 2013 -0500

time: standard time doc fix and format example

This fixes the incorrect unix timestamp of the standard time and adds
an example for (Time) Format to clarify how timezones work in format strings.

Fixes #4364.

R=golang-dev, remyoudompheng, kevlar, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7069046

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/657168fb17d8f3472f7f5c606bdc103640d8d7a6](https://github.com/golang/go/commit/657168fb17d8f3472f7f5c606bdc103640d8d7a6)

## 元コミット内容

このコミットの元の意図は、Go言語の `time` パッケージのドキュメントにおける標準時刻のUnixタイムスタンプの誤りを修正すること、そして `time.Format` メソッドがタイムゾーンをどのように扱うかを明確にするための新しい使用例を追加することでした。これにより、開発者が `time.Format` を使用する際にタイムゾーンの挙動について混乱するのを防ぎ、より正確なドキュメントを提供することを目指しています。

## 変更の背景

Go言語の `time` パッケージは、日付と時刻を扱うための強力な機能を提供します。その中でも `Format` メソッドは、`time.Time` オブジェクトを指定されたレイアウト文字列に基づいてフォーマットする際に非常に重要です。Goの `time.Format` は、特定の参照時刻(`Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006`)を基準としてフォーマット文字列を定義するというユニークなアプローチを採用しています。

このコミットが行われる前、`src/pkg/time/format.go` 内のドキュメントには、この標準時刻がUnixタイムスタンプ `1136243045` であると誤って記載されていました。しかし、正確なUnixタイムスタンプは `1136239445` であり、この不一致がドキュメントの正確性を損ねていました。Unixタイムスタンプは、協定世界時 (UTC) の1970年1月1日00:00:00からの経過秒数を表すため、この値の誤りは、特にタイムゾーンの計算において混乱を招く可能性がありました。

また、`time.Format` メソッドにおけるタイムゾーンの挙動は、特に初心者にとって直感的ではない場合があります。`Format` 文字列内の `MST` のようなタイムゾーン略語が、`time.Time` オブジェクトが持つ実際のタイムゾーン情報に基づいてどのように解決されるのか、具体的な例が不足していました。このため、開発者が意図しないタイムゾーンで時刻がフォーマットされるという問題が発生する可能性がありました。

これらの問題を解決するため、このコミットでは以下の2つの主要な変更が行われました。

1.  **Unixタイムスタンプの修正**: `src/pkg/time/format.go` 内の誤ったUnixタイムスタンプを正しい値に修正しました。
2.  **`time.Format` の例の追加**: `src/pkg/time/example_test.go` に、ローカルタイムゾーンとUTCの両方で `time.Format` を使用した場合の出力の違いを示す新しい例を追加しました。これにより、タイムゾーンがフォーマットにどのように影響するかを視覚的に理解できるようになりました。

これらの変更は、Goの `time` パッケージのドキュメントの正確性を向上させ、開発者が時刻のフォーマットとタイムゾーンの扱いについてより明確に理解できるようにすることを目的としています。

## 前提知識の解説

### Unixタイムスタンプ

Unixタイムスタンプ(またはPOSIXタイム)は、協定世界時 (UTC) の1970年1月1日00:00:00からの経過秒数を表す数値です。うるう秒は考慮されません。これは、コンピュータシステム間で時刻を表現する際の標準的な方法として広く使用されています。例えば、`1136239445` というUnixタイムスタンプは、2006年1月2日15:04:05 UTC を表します。

### Go言語の `time` パッケージ

Go言語の `time` パッケージは、日付と時刻を扱うための機能を提供します。主要な型として `time.Time` があり、これは特定の時点を表します。`time.Time` オブジェクトは、年、月、日、時、分、秒、ナノ秒、そしてタイムゾーン情報を含みます。

### `time.Format` メソッド

`time.Time` 型の `Format` メソッドは、時刻を指定されたレイアウト文字列に基づいて文字列に変換します。Goの `Format` メソッドのユニークな点は、フォーマット文字列が特定の参照時刻(`Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006`)の各要素に対応する数値や略語で構成されることです。

*   `Mon` は曜日(月曜)
*   `Jan` は月(1月)
*   `2` は日(2日)
*   `15` は時(15時、24時間形式)
*   `04` は分(4分)
*   `05` は秒(5秒)
*   `MST` はタイムゾーン略語(Mountain Standard Time)
*   `2006` は年(2006年)

この参照時刻は、Unixタイムスタンプ `1136239445` に対応します。開発者は、この参照時刻の各要素を、出力したいフォーマットの対応する要素に置き換えることで、カスタムのフォーマット文字列を作成します。

### タイムゾーン (MST, UTC, PST)

*   **MST (Mountain Standard Time)**: 山岳部標準時。通常、UTC-07:00 のオフセットを持ちます。
*   **UTC (Coordinated Universal Time)**: 協定世界時。世界の標準時であり、タイムゾーンの基準となります。
*   **PST (Pacific Standard Time)**: 太平洋標準時。通常、UTC-08:00 のオフセットを持ちます。

Goの `time.Time` オブジェクトは、その時刻がどのタイムゾーンに属しているかという情報を持っています。`Format` メソッドは、この `time.Time` オブジェクトが持つタイムゾーン情報に基づいて、フォーマット文字列内のタイムゾーン略語(例: `MST`)を適切な値に変換します。例えば、`time.Local` で作成された `time.Time` オブジェクトをフォーマットする場合、そのシステムのローカルタイムゾーンが使用されます。`t.UTC()` メソッドを使用すると、`time.Time` オブジェクトをUTCに変換し、その状態でフォーマットすることができます。

## 技術的詳細

このコミットの技術的な詳細を掘り下げると、主に2つの側面があります。

1.  **Unixタイムスタンプの修正**:
    `src/pkg/time/format.go` ファイルには、Goの `time.Format` メソッドが使用する標準時刻 `Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006` に関する説明が含まれています。この説明の中で、この標準時刻がUnixタイムスタンプ `1136243045` であると誤って記載されていました。

    正確な計算を行うと、`Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006` は、MSTがUTC-07:00であるため、UTCでは `Mon Jan 2 22:04:05 UTC 2006` に相当します。このUTC時刻のUnixタイムスタンプは `1136239445` です。

    *   `1136243045` は、UTCで `2006-01-02 22:04:05` を表します。
    *   `1136239445` は、UTCで `2006-01-02 21:04:05` を表します。

    元のドキュメントの `1136243045` は、`Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006` をUTCに変換した `2006-01-02 22:04:05 UTC` とは異なる時刻を指していました。このコミットでは、この誤りを修正し、正しいUnixタイムスタンプ `1136239445` に変更しました。これにより、ドキュメントの正確性が向上し、開発者がGoの `time` パッケージの内部動作をより正確に理解できるようになります。

2.  **`time.Format` のタイムゾーン例の追加**:
    `src/pkg/time/example_test.go` に追加された `ExampleTime_Format` 関数は、`time.Format` メソッドがタイムゾーンをどのように扱うかを具体的に示しています。

    ```go
    func ExampleTime_Format() {
    	const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)"
    	t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local)
    	fmt.Println(t.Format(format))
    	fmt.Println(t.UTC().Format(format))
    	// Output:
    	// Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST)
    	// Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC)
    }
    ```

    この例では、以下の点が明確にされています。

    *   **`time.Local` の使用**: `time.Date` 関数で `time.Local` を指定して `time.Time` オブジェクト `t` を作成しています。これは、システムが設定されているローカルタイムゾーンに基づいて時刻が解釈されることを意味します。例の出力 `Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST)` から、この実行環境のローカルタイムゾーンがPST(太平洋標準時)であることが示唆されます。`Format` 文字列には `(MST)` が含まれていますが、`time.Time` オブジェクトが持つ実際のタイムゾーン情報(PST)が優先され、出力では `(PST)` と表示されています。これは、`Format` 文字列内のタイムゾーン略語が、Goが認識する標準的なタイムゾーン略語である場合、`time.Time` オブジェクトの実際のタイムゾーン情報に基づいて動的に解決されることを示しています。
    *   **`t.UTC().Format(format)` の使用**: `t.UTC()` を呼び出すことで、`time.Time` オブジェクト `t` をUTCに変換しています。その結果、`Format` メソッドはUTCに基づいて時刻をフォーマットし、出力は `Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC)` となります。ここでも、`Format` 文字列の `(MST)` は `(UTC)` に置き換えられています。これは、`time.Time` オブジェクトがUTCであるため、`Format` メソッドがそのタイムゾーン情報に基づいて `MST` を `UTC` に変換したことを示しています。

    この例は、`time.Format` が単にフォーマット文字列をそのまま出力するのではなく、`time.Time` オブジェクトが持つタイムゾーン情報を考慮して、フォーマット文字列内のタイムゾーン略語を適切に変換することを示しています。これにより、開発者はタイムゾーンの挙動をより正確に予測し、意図しないフォーマットを防ぐことができます。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
diff --git a/src/pkg/time/example_test.go b/src/pkg/time/example_test.go
index ea26710d8d..cda565ff3e 100644
--- a/src/pkg/time/example_test.go
+++ b/src/pkg/time/example_test.go
@@ -57,6 +57,16 @@ func ExampleDate() {
 	// Output: Go launched at 2009-11-10 15:00:00 -0800 PST
 }
 
+func ExampleTime_Format() {
+	const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)"
+	t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local)
+	fmt.Println(t.Format(format))
+	fmt.Println(t.UTC().Format(format))
+	// Output:
+	// Nov 10, 2009 at 3:00pm (PST)
+	// Nov 10, 2009 at 11:00pm (UTC)
+}
+
 func ExampleTime_Round() {
 	t := time.Date(0, 0, 0, 12, 15, 30, 918273645, time.UTC)
 	round := []time.Duration{
diff --git a/src/pkg/time/format.go b/src/pkg/time/format.go
index 35118a9ff7..8d21040bf9 100644
--- a/src/pkg/time/format.go
+++ b/src/pkg/time/format.go
@@ -9,7 +9,7 @@ import "errors"
 // These are predefined layouts for use in Time.Format.
 // The standard time used in the layouts is:
 //	Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006
-// which is Unix time 1136243045. Since MST is GMT-0700,
+// which is Unix time 1136239445. Since MST is GMT-0700,
 // the standard time can be thought of as
 //	01/02 03:04:05PM '06 -0700
 // To define your own format, write down what the standard time would look

コアとなるコードの解説

src/pkg/time/example_test.go の変更

このファイルには、Goの time パッケージの機能を示すための例が含まれています。追加された ExampleTime_Format 関数は、time.Format メソッドのタイムゾーンに関する挙動を具体的に示しています。

  • const format = "Jan 2, 2006 at 3:04pm (MST)": time.Format で使用するフォーマット文字列を定義しています。この文字列には、Goの参照時刻の要素と、タイムゾーン略語 (MST) が含まれています。
  • t := time.Date(2009, time.November, 10, 15, 0, 0, 0, time.Local): 2009年11月10日15時0分0秒の time.Time オブジェクトを、システムのローカルタイムゾーンで作成しています。
  • fmt.Println(t.Format(format)): ローカルタイムゾーンの t をフォーマットし、出力します。この出力は、実行環境のローカルタイムゾーン(例ではPST)に基づいてタイムゾーン略語が解決されることを示しています。
  • fmt.Println(t.UTC().Format(format)): t.UTC() を呼び出すことで t をUTCに変換し、そのUTCの時刻をフォーマットして出力します。この出力は、UTCに基づいてタイムゾーン略語が (UTC) に解決されることを示しています。
  • // Output:: GoのテストフレームワークにおけるExample関数の慣例で、期待される出力を示しています。これにより、この例が何を示すのかが明確になります。

この例の追加により、開発者は time.Format がタイムゾーンをどのように扱うか、特にフォーマット文字列内のタイムゾーン略語が time.Time オブジェクトの実際のタイムゾーン情報に基づいて動的に変化する挙動を、コードと出力の両方で確認できるようになりました。

src/pkg/time/format.go の変更

このファイルは、time パッケージのフォーマットに関する内部ロジックとドキュメントを含んでいます。変更点は非常にシンプルですが、ドキュメントの正確性において重要です。

  • - which is Unix time 1136243045. Since MST is GMT-0700,
  • + which is Unix time 1136239445. Since MST is GMT-0700,

この変更は、Goの time.Format が使用する標準時刻 Mon Jan 2 15:04:05 MST 2006 に対応するUnixタイムスタンプの値を 1136243045 から 1136239445 へと修正しています。前述の通り、1136239445 がこの標準時刻の正確なUnixタイムスタンプです。この修正により、time パッケージのドキュメントがより正確になり、Goの時刻処理の内部的な整合性が保たれます。

関連リンク

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