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[インデックス 15199] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書 (doc/go_spec.html) における init 関数の定義に関する変更を記述しています。具体的には、トップレベルの init という名前の識別子(関数以外)の宣言を禁止し、init という名前は特定のシグネチャを持つ関数にのみ予約されることを明確にしています。

コミット

commit 0a22018d461d7999df3af40cefb6ace17dfe79c0
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Feb 11 07:46:39 2013 -0500

    spec: reject top-level init names
    
    Fixes #4586.
    
    R=golang-dev, remyoudompheng, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7307082

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0a22018d461d7999df3af40cefb6ace17dfe79c0

元コミット内容

spec: reject top-level init names

Fixes #4586.

R=golang-dev, remyoudompheng, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7307082

変更の背景

この変更は、Go言語のIssue #4586「spec: init functions are special, but not special enough」に対応するものです。このIssueでは、init 関数がGoプログラムの初期化において特別な役割を果たすにもかかわらず、その名前が他の目的で使用されることを仕様が明確に禁止していないという問題が提起されていました。

具体的には、init という名前は、パッケージの初期化コードを定義するための特別な関数名としてGo言語に組み込まれています。しかし、もし開発者が誤って var init = 1 のようにトップレベルで init という名前の変数や定数を宣言した場合、コンパイラはそれを init 関数として認識せず、予期せぬ動作や混乱を招く可能性がありました。

このコミットは、このような曖昧さを排除し、init という名前が常に特定のシグネチャを持つ関数にのみ使用されるべきであることをGo言語の仕様書で明確にすることで、コンパイラの実装と開発者の理解を統一することを目的としています。これにより、init の特別な意味が保護され、より堅牢なコードの記述が促進されます。

前提知識の解説

Go言語の init 関数

Go言語には、各パッケージが初期化時に実行すべきコードを定義するための特別な関数 init が存在します。init 関数には以下の特徴があります。

  • 引数なし、戻り値なし: func init() というシグネチャを持つ必要があります。
  • 自動実行: main 関数が実行される前に、パッケージのインポート順序に基づいて自動的に実行されます。
  • 複数定義可能: 1つのパッケージ内で複数の init 関数を定義できます。また、1つのソースファイル内に複数の init 関数を定義することも可能です。これらの init 関数の実行順序は保証されません。
  • 宣言のみ: init 関数は明示的に呼び出すことはできません。
  • 主な用途: グローバル変数の初期化、外部リソース(データベース接続など)のセットアップ、プログラム起動時の設定読み込みなどに使用されます。

トップレベルの識別子

Go言語において「トップレベル」とは、パッケージスコープまたはファイルスコープで宣言された識別子を指します。これらは関数、変数、定数、型などがあります。例えば、package main の直下に var myVar int と宣言した場合、myVar はトップレベルの変数です。

このコミットの変更前は、init という名前がトップレベルで関数以外のもの(例: 変数)として宣言されることを仕様が明示的に禁止していませんでした。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Go言語の仕様書 (doc/go_spec.html) の変更に集約されています。変更の核心は、init という名前の識別子の宣言に関する制約を厳格化することです。

変更前は、init 関数について「A package may contain multiple init functions, even within a single source file; they execute in unspecified order.」と記述されていました。これは init 関数が複数存在しうることを述べていますが、init という名前が関数以外に利用される可能性については触れていませんでした。

今回の変更では、この記述を以下のように修正しています。

「A package-scope or file-scope identifier with name init may only be declared to be a function with this signature. Multiple such functions may be defined, even within a single source file; they execute in unspecified order.」

この新しい記述は、以下の点を明確にしています。

  1. init 名の予約: init という名前の識別子は、パッケージスコープまたはファイルスコープにおいて、func init() という特定のシグネチャを持つ関数としてのみ宣言できる。
  2. 関数以外の init の禁止: これにより、var init = 1const init = "hello" のように、トップレベルで init という名前の変数や定数を宣言することが仕様上禁止されます。
  3. コンパイラの挙動の統一: この仕様の明確化により、Goコンパイラは init という名前が常に特別な初期化関数を指すものとして扱えるようになり、コンパイラの実装が簡素化され、開発者が init の意味を誤解する可能性が低減されます。

この変更は、Go言語の設計哲学である「明確さ」と「一貫性」を追求するものであり、言語の堅牢性と予測可能性を高めることに貢献しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1,6 +1,6 @@
 <!--{
 	"Title": "The Go Programming Language Specification",
-	"Subtitle": "Version of February 9, 2013",
+\t"Subtitle": "Version of February 11, 2013",
 	"Path": "/ref/spec"
 }-->
 
@@ -5472,8 +5472,10 @@ func init()
 </pre>
 <p>
 defined in its source.
-A package may contain multiple
-<code>init</code> functions, even
+A package-scope or file-scope identifier
+with name <code>init</code> may only be
+declared to be a function with this signature.
+Multiple such functions may be defined, even
 within a single source file; they execute
 in unspecified order.
 </p>

コアとなるコードの解説

変更は doc/go_spec.html ファイル内の init 関数に関する記述にあります。

  1. 日付の更新: - "Subtitle": "Version of February 9, 2013", + "Subtitle": "Version of February 11, 2013", これは単に仕様書のバージョン日付をコミット日に合わせて更新したものです。

  2. init 関数の定義に関する記述の変更: -A package may contain multiple -<code>init</code> functions, even +A package-scope or file-scope identifier +with name <code>init</code> may only be +declared to be a function with this signature. +Multiple such functions may be defined, even

    この部分が本質的な変更です。

    • 変更前は、「パッケージは複数の init 関数を含むことができる」とだけ述べられていました。
    • 変更後は、「パッケージスコープまたはファイルスコープで init という名前の識別子は、このシグネチャ(func init())を持つ関数としてのみ宣言できる」という制約が追加されました。
    • その後に「複数のそのような関数を定義できる」と続き、init 関数が複数定義可能であるという既存のルールは維持されています。

この修正により、init という名前はGo言語の仕様において、特別な初期化関数にのみ予約されることが明確に定義されました。これにより、コンパイラは init という名前の他の種類の宣言(変数や定数など)をエラーとして扱うことができ、言語の整合性が向上します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (Go言語の init 関数に関する一般的な情報): https://go.dev/doc/effective_go#init
  • Go言語の仕様書 (変更前の init 関数の記述): https://go.dev/ref/spec (このコミットが適用される前のバージョンを参照する必要があるため、特定のコミットハッシュや日付で過去のバージョンを確認する必要があります。)
  • GitHubのGoリポジトリ (Issue #4586の議論): https://github.com/golang/go/issues/4586 [WebFetchTool] Full response for prompt "Summarize the content of https://golang.org/cl/730...": { "candidates": [ { "content": { "role": "model", "parts": [ { "text": "I'm sorry, I was unable to access the content of the provided URL. This could be due to paywalls, login requirements, or other restrictions preventing access." } ] }, "finishReason": "STOP", "groundingMetadata": {}, "urlContextMetadata": { "urlMetadata": [ { "retrievedUrl": "https://golang.org/cl/7307082", "urlRetrievalStatus": "URL_RETRIEVAL_STATUS_ERROR" } ] } } ], "usageMetadata": { "promptTokenCount": 4216, "candidatesTokenCount": 34, "totalTokenCount": 4337, "trafficType": "PROVISIONED_THROUGHPUT", "promptTokensDetails": [ { "modality": "TEXT", "tokenCount": 4216 } ], "candidatesTokensDetails": [ { "modality": "TEXT", "tokenCount": 34 } ], "toolUsePromptTokenCount": 51, "thoughtsTokenCount": 87 } }

[インデックス 15199] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の仕様書 (doc/go_spec.html) における init 関数の定義に関する変更を記述しています。具体的には、トップレベルの init という名前の識別子(関数以外)の宣言を禁止し、init という名前は特定のシグネチャを持つ関数にのみ予約されることを明確にしています。

コミット

commit 0a22018d461d7999df3af40cefb6ace17dfe79c0
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Mon Feb 11 07:46:39 2013 -0500

    spec: reject top-level init names
    
    Fixes #4586.
    
    R=golang-dev, remyoudompheng, r
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7307082

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0a22018d461d7999df3af40cefb6ace17dfe79c0

元コミット内容

spec: reject top-level init names

Fixes #4586.

R=golang-dev, remyoudompheng, r
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7307082

変更の背景

この変更は、Go言語のIssue #4586「spec: init functions are special, but not special enough」に対応するものです。このIssueでは、init 関数がGoプログラムの初期化において特別な役割を果たすにもかかわらず、その名前が他の目的で使用されることを仕様が明確に禁止していないという問題が提起されていました。

具体的には、init という名前は、パッケージの初期化コードを定義するための特別な関数名としてGo言語に組み込まれています。しかし、もし開発者が誤って var init = 1 のようにトップレベルで init という名前の変数や定数を宣言した場合、コンパイラはそれを init 関数として認識せず、予期せぬ動作や混乱を招く可能性がありました。

このコミットは、このような曖昧さを排除し、init という名前が常に特定のシグネチャを持つ関数にのみ使用されるべきであることをGo言語の仕様書で明確にすることで、コンパイラの実装と開発者の理解を統一することを目的としています。これにより、init の特別な意味が保護され、より堅牢なコードの記述が促進されます。

前提知識の解説

Go言語の init 関数

Go言語には、各パッケージが初期化時に実行すべきコードを定義するための特別な関数 init が存在します。init 関数には以下の特徴があります。

  • 引数なし、戻り値なし: func init() というシグネチャを持つ必要があります。
  • 自動実行: main 関数が実行される前に、パッケージのインポート順序に基づいて自動的に実行されます。
  • 複数定義可能: 1つのパッケージ内で複数の init 関数を定義できます。また、1つのソースファイル内に複数の init 関数を定義することも可能です。これらの init 関数の実行順序は保証されません。
  • 宣言のみ: init 関数は明示的に呼び出すことはできません。
  • 主な用途: グローバル変数の初期化、外部リソース(データベース接続など)のセットアップ、プログラム起動時の設定読み込みなどに使用されます。

トップレベルの識別子

Go言語において「トップレベル」とは、パッケージスコープまたはファイルスコープで宣言された識別子を指します。これらは関数、変数、定数、型などがあります。例えば、package main の直下に var myVar int と宣言した場合、myVar はトップレベルの変数です。

このコミットの変更前は、init という名前がトップレベルで関数以外のもの(例: 変数)として宣言されることを仕様が明示的に禁止していませんでした。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、Go言語の仕様書 (doc/go_spec.html) の変更に集約されています。変更の核心は、init という名前の識別子の宣言に関する制約を厳格化することです。

変更前は、init 関数について「A package may contain multiple init functions, even within a single source file; they execute in unspecified order.」と記述されていました。これは init 関数が複数存在しうることを述べていますが、init という名前が関数以外に利用される可能性については触れていませんでした。

今回の変更では、この記述を以下のように修正しています。

「A package-scope or file-scope identifier with name init may only be declared to be a function with this signature. Multiple such functions may be defined, even within a single source file; they execute in unspecified order.」

この新しい記述は、以下の点を明確にしています。

  1. init 名の予約: init という名前の識別子は、パッケージスコープまたはファイルスコープにおいて、func init() という特定のシグネチャを持つ関数としてのみ宣言できる。
  2. 関数以外の init の禁止: これにより、var init = 1const init = "hello" のように、トップレベルで init という名前の変数や定数を宣言することが仕様上禁止されます。
  3. コンパイラの挙動の統一: この仕様の明確化により、Goコンパイラは init という名前が常に特別な初期化関数を指すものとして扱えるようになり、コンパイラの実装が簡素化され、開発者が init の意味を誤解する可能性が低減されます。

この変更は、Go言語の設計哲学である「明確さ」と「一貫性」を追求するものであり、言語の堅牢性と予測可能性を高めることに貢献しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/go_spec.html
+++ b/doc/go_spec.html
@@ -1,6 +1,6 @@
 <!--{
 	"Title": "The Go Programming Language Specification",
-	"Subtitle": "Version of February 9, 2013",
+\t"Subtitle": "Version of February 11, 2013",
 	"Path": "/ref/spec"
 }-->
 
@@ -5472,8 +5472,10 @@ func init()
 </pre>
 <p>
 defined in its source.
-A package may contain multiple
-<code>init</code> functions, even
+A package-scope or file-scope identifier
+with name <code>init</code> may only be
+declared to be a function with this signature.
+Multiple such functions may be defined, even
 within a single source file; they execute
 in unspecified order.
 </p>

コアとなるコードの解説

変更は doc/go_spec.html ファイル内の init 関数に関する記述にあります。

  1. 日付の更新: - "Subtitle": "Version of February 9, 2013", + "Subtitle": "Version of February 11, 2013", これは単に仕様書のバージョン日付をコミット日に合わせて更新したものです。

  2. init 関数の定義に関する記述の変更: -A package may contain multiple -<code>init</code> functions, even +A package-scope or file-scope identifier +with name <code>init</code> may only be +declared to be a function with this signature. +Multiple such functions may be defined, even

    この部分が本質的な変更です。

    • 変更前は、「パッケージは複数の init 関数を含むことができる」とだけ述べられていました。
    • 変更後は、「パッケージスコープまたはファイルスコープで init という名前の識別子は、このシグネチャ(func init())を持つ関数としてのみ宣言できる」という制約が追加されました。
    • その後に「複数のそのような関数を定義できる」と続き、init 関数が複数定義可能であるという既存のルールは維持されています。

この修正により、init という名前はGo言語の仕様において、特別な初期化関数にのみ予約されることが明確に定義されました。これにより、コンパイラは init という名前の他の種類の宣言(変数や定数など)をエラーとして扱うことができ、言語の整合性が向上します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (Go言語の init 関数に関する一般的な情報): https://go.dev/doc/effective_go#init
  • Go言語の仕様書 (変更前の init 関数の記述): https://go.dev/ref/spec (このコミットが適用される前のバージョンを参照する必要があるため、特定のコミットハッシュや日付で過去のバージョンを確認する必要があります。)
  • Go CL 7307082のレビューページ: https://golang.org/cl/7307082