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[インデックス 15232] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ database/sql パッケージにおけるドキュメントおよびコメント内の古いパッケージ名参照を修正するものです。かつて db というパッケージ名が使用されていましたが、sql にリネームされた後も一部の記述が更新されていなかったため、それを修正し、ドキュメントの正確性を向上させています。

コミット

commit 0c8ed71079b4ba7a234192c9b0996115c505b981
Author: Brad Fitzpatrick <bradfitz@golang.org>
Date:   Wed Feb 13 18:47:25 2013 -0800

    database/sql: fix doc references to old package name
    
    It used to be package "db" but was long ago renamed
    to be "sql".
    
    R=golang-dev, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7322075

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/0c8ed71079b4ba7a234192c9b0996115c505b981

元コミット内容

database/sql: 古いパッケージ名へのドキュメント参照を修正

かつては "db" パッケージでしたが、ずっと前に "sql" にリネームされました。

変更の背景

Go言語の database/sql パッケージは、GoプログラムからSQLデータベースにアクセスするための汎用インターフェースを提供します。このパッケージは、その歴史の中で一度パッケージ名が db から sql へと変更されています。このコミットが行われた2013年2月時点では、すでに sql が正式なパッケージ名となっていましたが、パッケージ内のドキュメントファイル (doc.txt) やコードコメント (driver/driver.go) の一部に、古い db というパッケージ名への参照が残っていました。

このような古い参照は、特に新規開発者やGo言語の進化を追っていないユーザーにとって混乱の原因となり得ます。ドキュメントやコメントは、コードの理解を助け、正しい使用方法を伝える上で非常に重要です。そのため、このコミットは、ドキュメントの正確性と一貫性を保ち、ユーザーが誤解なく database/sql パッケージを利用できるようにするために行われました。

前提知識の解説

Go言語の database/sql パッケージ

Go言語の database/sql パッケージは、SQLデータベースとのやり取りを抽象化するための標準ライブラリです。このパッケージ自体は特定のデータベースの実装を含まず、データベースドライバーが実装すべきインターフェースを定義しています。これにより、開発者はデータベースの種類に依存しない汎用的なコードを書くことができ、必要に応じて異なるデータベースドライバーを差し替えることが可能になります。

主要な機能としては、以下のようなものがあります。

  • DB: データベースへの接続プールを管理し、クエリの実行やトランザクションの開始を行います。
  • Conn: データベースへの単一の接続を表します。
  • Stmt: プリペアドステートメントを表し、SQLインジェクション攻撃を防ぎ、クエリの再利用を効率化します。
  • Rows: クエリ結果の行をイテレートするために使用されます。
  • Driver インターフェース: データベースドライバーが実装すべきインターフェース群(Driver, Conn, Stmt, Rows, Result など)を定義しています。

db から sql へのパッケージ名変更の歴史

Go言語の初期段階では、データベース関連のパッケージは db という名前で提供されていました。しかし、Go言語の設計原則や命名規則、そしてより具体的な機能を示すために、後に sql という名前に変更されました。この変更は、Go言語の進化の過程で、より明確で意図を伝える命名が重視された結果と考えられます。このようなパッケージ名のリネームは、Go言語のAPIが成熟していく過程で時折発生するものであり、後方互換性を保ちつつも、より良い設計を目指すための取り組みの一環です。

doc.txtdriver/driver.go の役割

  • src/pkg/database/sql/doc.txt: Go言語のパッケージには、通常、パッケージの概要や使用方法、設計思想などを記述したドキュメントファイルが含まれています。この doc.txt ファイルは、database/sql パッケージ全体のドキュメントとして機能し、go doc コマンドなどで参照される情報源となります。パッケージの目標や、sql パッケージと sql/driver パッケージの関係性、型変換のポリシーなどが説明されています。

  • src/pkg/database/sql/driver/driver.go: このファイルは、database/sql パッケージのサブパッケージである driver パッケージの一部です。driver パッケージは、データベースドライバーが実装すべき具体的なインターフェース(例: Driver, Conn, Execer, Queryer など)を定義しています。driver.go には、これらのインターフェースの定義と、それらに関するコメントが含まれており、ドライバー開発者がどのようにインターフェースを実装すべきか、また database/sql パッケージがどのようにこれらのインターフェースを利用するかについての情報が提供されています。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、主にドキュメントとコードコメントの正確性を保つことにあります。

  1. ドキュメントの正確性: doc.txt は、database/sql パッケージの公式ドキュメントの一部として機能します。ここに古いパッケージ名 db が残っていると、ユーザーが database/sql パッケージについて学習する際に、存在しない db パッケージを参照してしまう可能性があります。これは、Goのドキュメントシステム(go docgodoc.org)を通じて提供される情報の一貫性を損ないます。修正により、ドキュメントは現在のパッケージ名 sql を正確に反映し、ユーザーが正しい情報を得られるようになります。

  2. コードコメントの正確性: driver/driver.go 内のコメントは、ExecerQueryer といったインターフェースが database/sql パッケージの DB.ExecDB.Query メソッドとどのように連携するかを説明しています。これらのコメントに db package という記述が残っていると、ドライバーを実装する開発者が、database/sql パッケージではなく、存在しない db パッケージとの連携を想定してしまう可能性があります。これは、ドライバーの実装における混乱や誤解を招く恐れがあります。修正により、コメントは現在の sql package を正確に参照し、ドライバー開発者が正しいコンテキストでインターフェースの役割を理解できるようになります。

この変更は、コードの動作自体には影響を与えませんが、Go言語の「ドキュメントはコードと同じくらい重要である」という哲学を反映しています。正確で最新のドキュメントとコメントは、ライブラリの使いやすさと保守性を大幅に向上させます。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、以下の2つのファイルが変更されています。

  1. src/pkg/database/sql/doc.txt
  2. src/pkg/database/sql/driver/driver.go

それぞれの変更内容は以下の通りです。

diff --git a/src/pkg/database/sql/doc.txt b/src/pkg/database/sql/doc.txt
index fb16595487..405c5ed2a6 100644
--- a/src/pkg/database/sql/doc.txt
+++ b/src/pkg/database/sql/doc.txt
@@ -21,7 +21,7 @@ Goals of the sql and sql/driver packages:
   Database Driver -> sql (to register) + sql/driver (implement interfaces)
 
 * Make type casting/conversions consistent between all drivers. To
-  achieve this, most of the conversions are done in the db package,
+  achieve this, most of the conversions are done in the sql package,
   not in each driver. The drivers then only have to deal with a
   smaller set of types.
 
diff --git a/src/pkg/database/sql/driver/driver.go b/src/pkg/database/sql/driver/driver.go
index 7b235b9fbc..88c87eeea0 100644
--- a/src/pkg/database/sql/driver/driver.go
+++ b/src/pkg/database/sql/driver/driver.go
@@ -56,7 +56,7 @@ var ErrBadConn = errors.New("driver: bad connection")
 
 // Execer is an optional interface that may be implemented by a Conn.
 //
-// If a Conn does not implement Execer, the db package's DB.Exec will
+// If a Conn does not implement Execer, the sql package's DB.Exec will
 // first prepare a query, execute the statement, and then close the
 // statement.
 //
@@ -67,7 +67,7 @@ type Execer interface {
 
 // Queryer is an optional interface that may be implemented by a Conn.
 //
-// If a Conn does not implement Queryer, the db package's DB.Query will
+// If a Conn does not implement Queryer, the sql package's DB.Query will
 // first prepare a query, execute the statement, and then close the
 // statement.
 //

コアとなるコードの解説

src/pkg/database/sql/doc.txt の変更

  • 変更前: most of the conversions are done in the db package,
  • 変更後: most of the conversions are done in the sql package,

この変更は、database/sql パッケージのドキュメント内で、型変換の大部分が「db パッケージ」で行われると記述されていた箇所を、「sql パッケージ」で行われるように修正しています。これは、database/sql パッケージがかつて db という名前であった名残を修正し、現在の正式なパッケージ名 sql に合わせてドキュメントの記述を正確にするものです。これにより、読者は現在のパッケージ名で情報を理解できるようになります。

src/pkg/database/sql/driver/driver.go の変更

  • Execer インターフェースに関するコメントの変更

    • 変更前: If a Conn does not implement Execer, the db package's DB.Exec will
    • 変更後: If a Conn does not implement Execer, the sql package's DB.Exec will

    Execer インターフェースは、データベースドライバーがSQLの EXEC コマンド(INSERT, UPDATE, DELETEなど)を直接実行するためのオプションのインターフェースです。このコメントは、ConnExecer を実装していない場合に、database/sql パッケージの DB.Exec メソッドがどのように動作するかを説明しています。ここでも「db パッケージの DB.Exec」という記述が「sql パッケージの DB.Exec」に修正され、現在のパッケージ名に合わせられています。

  • Queryer インターフェースに関するコメントの変更

    • 変更前: If a Conn does not implement Queryer, the db package's DB.Query will
    • 変更後: If a Conn does not implement Queryer, the sql package's DB.Query will

    Queryer インターフェースは、データベースドライバーがSQLの QUERY コマンド(SELECTなど)を直接実行するためのオプションのインターフェースです。同様に、ConnQueryer を実装していない場合に、「db パッケージの DB.Query」がどのように動作するかの説明が、「sql パッケージの DB.Query」に修正されています。

これらの変更はすべて、Go言語の database/sql パッケージが db から sql へとリネームされた歴史的経緯を反映し、ドキュメントとコードコメントの整合性を保つためのものです。コードの動作には影響を与えず、ドキュメントの正確性と可読性を向上させることを目的としています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント: database/sql パッケージ (https://pkg.go.dev/database/sql)
  • Go言語の歴史に関する情報(パッケージ名変更の経緯など)
  • Git diff の読み方に関する一般的な知識