Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

[インデックス 15273] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なexp/cookiejarパッケージにおけるテストのビルド問題を修正するものです。具体的には、windows/386およびwindows/amd64環境で失敗していたテストを一時的にスキップすることで、ビルドが正常に完了するようにしています。

コミット

commit d47cc872b5654508a1ca4e29b4653e869c463a70
Author: Russ Cox <rsc@golang.org>
Date:   Fri Feb 15 12:43:28 2013 -0500

    exp/cookiejar: fix windows/386 build
    
    More mysteriously broken tests.
    
    TBR=nigeltao
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7342048

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/d47cc872b5654508a1ca4e29b4653e869c463a70

元コミット内容

exp/cookiejar: fix windows/386 build

More mysteriously broken tests.

TBR=nigeltao
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7342048

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のexp/cookiejarパッケージ内のテストが、特定の環境、特にwindows/386およびwindows/amd64アーキテクチャ上で予期せぬ失敗を起こしていたという問題があります。コミットメッセージにある「More mysteriously broken tests.(さらに不可解な壊れたテスト)」という記述から、これらのテストが以前から不安定であったか、あるいは原因不明のバグを抱えていたことが示唆されます。

Goプロジェクトでは、継続的インテグレーション(CI)システムを用いて様々なプラットフォームでのビルドとテストの実行を行っています。特定の環境でテストが失敗すると、その環境でのビルドが「壊れている」と判断され、開発の妨げとなる可能性があります。このコミットは、根本的な原因を特定して修正するのではなく、一時的な措置として問題のあるテストをスキップすることで、windows/386およびwindows/amd64環境でのビルドを正常な状態に戻すことを目的としています。これは、開発フローを円滑に進めるための実用的な対応と言えます。

前提知識の解説

Go言語のexpパッケージ

exp(experimental)パッケージは、Go言語の標準ライブラリの一部として将来的に組み込まれる可能性のある、実験的なAPIや機能を含むパッケージ群です。これらのパッケージはまだ安定版ではなく、APIが変更されたり、最終的に標準ライブラリに組み込まれなかったりする可能性があります。exp/cookiejarは、HTTPクッキーを管理するためのnet/http/cookiejarパッケージの実験的なバージョン、またはその前身にあたるものと考えられます。

net/http/cookiejarパッケージ

net/http/cookiejarパッケージは、HTTPクライアントがWebサーバーとの間でクッキーをやり取りする際に、クッキーの状態を管理するための機能を提供します。Webブラウザがクッキーを保存・送信するのと同様に、GoのHTTPクライアントもこのパッケージを利用してクッキーを適切に処理できます。

testingパッケージとt.Skip()

Go言語の標準ライブラリには、テストを記述するためのtestingパッケージが含まれています。テスト関数はfunc TestXxx(t *testing.T)という形式で定義され、*testing.T型の引数tを通じてテストの実行を制御します。

t.Skip(args ...interface{})メソッドは、現在のテストをスキップするために使用されます。このメソッドが呼び出されると、テストはそれ以上実行されず、テスト結果は「スキップ」として報告されます。通常、テストが特定の環境でのみ失敗する場合や、まだ実装されていない機能のテストを一時的に無効にする場合などに利用されます。このコミットでは、Windows環境でのテスト失敗を回避するためにt.Skip()が用いられています。

クロスプラットフォーム開発とビルドタグ

Go言語はクロスプラットフォーム開発を強力にサポートしており、様々なオペレーティングシステム(OS)とアーキテクチャ(CPU)の組み合わせで動作するバイナリを生成できます。しかし、OSやアーキテクチャ固有の動作の違いにより、特定の環境でのみ問題が発生することがあります。

Goでは、ビルドタグ(build tags)という仕組みを使って、特定のOSやアーキテクチャに依存するコードを条件付きでコンパイルできます。例えば、// +build windowsという行をファイルの先頭に記述すると、そのファイルはWindows環境でのみコンパイルされます。このコミットでは直接ビルドタグは使用されていませんが、windows/386windows/amd64といった特定の環境での問題に対処している点で、クロスプラットフォーム開発の課題と関連しています。

  • windows/386: Windowsオペレーティングシステム上で動作する32ビット(Intel i386互換)アーキテクチャを指します。
  • windows/amd64: Windowsオペレーティングシステム上で動作する64ビット(AMD64/x86-64互換)アーキテクチャを指します。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/exp/cookiejar/jar_test.goファイル内の4つのテスト関数に対して変更を加えています。

  1. TestUpdateAndDelete
  2. TestExpiration
  3. TestChromiumDomain
  4. TestChromiumDeletion

これらのテスト関数は、それぞれt.Skip()メソッドを呼び出すように変更されています。これにより、これらのテストは実行時にスキップされ、テスト結果には「スキップ」として記録されます。

特に注目すべきは、TestChromiumDomainテストに対する変更です。元々はt.Skip("test is broken on windows")と記述されていましたが、これがt.Skip("test is broken on windows/amd64")に変更されています。これは、このテストがWindows全体で壊れているのではなく、具体的にwindows/amd64アーキテクチャで問題が発生していることをより正確に示しています。他の3つのテストは、windows/386で問題が発生していることを示しています。

この変更は、テストの根本的なバグを修正するものではなく、あくまで一時的な回避策です。issue 4823というコメントが付記されており、これはGoプロジェクトのイシュートラッカーに登録された、このテストの失敗に関する問題のIDを示していると考えられます。このイシューで、テストが失敗する根本原因の調査と修正が行われることが期待されます。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/exp/cookiejar/jar_test.go
+++ b/src/pkg/exp/cookiejar/jar_test.go
@@ -588,6 +588,7 @@ var updateAndDeleteTests = [...]jarTest{
 }
 
 func TestUpdateAndDelete(t *testing.T) {
+	t.Skip("test is broken on windows/386") // issue 4823
 	jar := newTestJar()
 	for _, test := range updateAndDeleteTests {
 		test.run(t, jar)
@@ -595,6 +596,7 @@ func TestUpdateAndDelete(t *testing.T) {
 }
 
 func TestExpiration(t *testing.T) {
+	t.Skip("test is broken on windows/386") // issue 4823
 	jar := newTestJar()
 	jarTest{
 		"Fill jar.",
@@ -883,7 +885,7 @@ var chromiumDomainTests = [...]jarTest{
 }
 
 func TestChromiumDomain(t *testing.T) {
-	t.Skip("test is broken on windows") // issue 4823
+	t.Skip("test is broken on windows/amd64") // issue 4823
 	jar := newTestJar()
 	for _, test := range chromiumDomainTests {
 		test.run(t, jar)
@@ -952,6 +954,7 @@ var chromiumDeletionTests = [...]jarTest{
 }
 
 func TestChromiumDeletion(t *testing.T) {
+	t.Skip("test is broken on windows/386") // issue 4823
 	jar := newTestJar()
 	for _, test := range chromiumDeletionTests {
 		test.run(t, jar)

コアとなるコードの解説

このコミットの主要な変更は、jar_test.goファイル内の4つのテスト関数(TestUpdateAndDelete, TestExpiration, TestChromiumDomain, TestChromiumDeletion)の冒頭にt.Skip()呼び出しを追加したことです。

  • t.Skip("test is broken on windows/386"): TestUpdateAndDelete, TestExpiration, TestChromiumDeletionの3つのテストに追加されました。これは、これらのテストがwindows/386(Windows 32ビット)環境で正しく動作しないことを示しています。t.Skip()が呼び出されると、そのテスト関数はそこで実行を停止し、テストスイートはテストがスキップされたと報告します。これにより、CIシステムなどでのビルド失敗を防ぎます。

  • t.Skip("test is broken on windows/amd64") (変更前: t.Skip("test is broken on windows")): TestChromiumDomainテストのスキップ理由がより具体的に変更されました。元々は「Windowsで壊れている」と広範に記述されていましたが、この変更により「windows/amd64(Windows 64ビット)環境で壊れている」と明確化されました。これは、問題が特定のアーキテクチャに限定されていることを示唆しており、デバッグや将来的な修正の際に役立つ情報となります。

これらの変更は、テストが失敗する根本原因を解決するものではなく、あくまで一時的な回避策です。// issue 4823というコメントは、この問題がGoのイシュートラッカーで追跡されており、将来的に修正されるべき課題であることを示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • コミットメッセージと差分情報 (./commit_data/15273.txt)
  • Go言語のtestingパッケージに関する一般的な知識
  • Go言語のクロスプラットフォーム開発に関する一般的な知識
  • Go言語のexpパッケージに関する一般的な知識
  • Go言語のnet/http/cookiejarパッケージに関する一般的な知識
  • Go言語のイシュートラッカーの慣習に関する一般的な知識 (例: issue XXXXの記述)
  • Web検索 (Go issue 4823, Go exp/cookiejar) - ただし、issue 4823に関する直接的な情報は得られませんでした。