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[インデックス 15288] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のランタイムにおける未使用変数に関する警告を修正するものです。具体的には、src/pkg/runtime/race.c ファイル内で宣言されていた sz という変数が使用されていなかったため、コンパイラが発行する警告を解消するためにその宣言を削除しています。

コミット

commit 21327e1970921152297394cc96ee145c7e25e65c
Author: Dave Cheney <dave@cheney.net>
Date:   Sat Feb 16 14:32:04 2013 +1100

    runtime: fix unused variable warning
    
    R=rsc, dvyukov
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7312103

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/21327e1970921152297394cc96ee145c7e25e65c

元コミット内容

runtime: fix unused variable warning

R=rsc, dvyukov
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7312103

変更の背景

Go言語は、未使用の変数をコンパイルエラーとして扱うという厳格なポリシーを持っています。これは、デッドコードの排除、潜在的なバグの防止、コードの明確性の確保を目的としています。しかし、Goランタイムの一部はC言語で記述されており、C言語のコンパイラは通常、未使用変数をエラーではなく警告として扱います。

このコミットの背景には、src/pkg/runtime/race.c ファイル内で sz という変数が宣言されたものの、コード内で一度も使用されていなかったという問題がありました。Cコンパイラがこの未使用変数に対して警告を発していたため、ビルドプロセスをクリーンに保ち、不必要な警告を排除するために、この変数を削除する必要がありました。これは、Goプロジェクト全体でコード品質とビルドの健全性を維持するための継続的な取り組みの一環です。

前提知識の解説

Go言語の未使用変数に対する厳格なポリシー

Go言語のコンパイラは、宣言された変数がコード内で使用されていない場合、それをコンパイルエラーとして扱います。これは、他の多くのプログラミング言語(CやJavaなど)が未使用変数を警告として扱うのとは対照的です。この設計思想は、開発者が意図しない変数宣言や、将来的に使用される予定のないコードを早期に発見し、修正することを促します。これにより、コードベースの肥大化を防ぎ、可読性と保守性を向上させます。

GoランタイムとC言語

Go言語のランタイム(runtime)は、ガベージコレクション、スケジューリング、メモリ管理など、Goプログラムの実行を支える低レベルな機能を提供します。このランタイムの一部は、パフォーマンスや既存のシステムとの連携のためにC言語で記述されています。src/pkg/runtime/race.c もその一つで、Goの競合検出器(Race Detector)の実装の一部を担っています。C言語で書かれた部分のコンパイルにはCコンパイラが使用されるため、Cコンパイラの警告が問題となることがあります。

Race Detector (競合検出器)

GoのRace Detectorは、並行処理におけるデータ競合(data race)を検出するためのツールです。データ競合とは、複数のゴルーチンが同時に同じメモリ位置にアクセスし、少なくとも1つのアクセスが書き込みであり、かつそれらのアクセスが同期されていない場合に発生するバグです。Race Detectorは、プログラムの実行中にこれらの競合を検出し、デバッグを支援します。runtime/race.c は、この検出器のC言語部分の実装を含んでいます。

uintptr

uintptrはGo言語の組み込み型の一つで、ポインタを保持できる符号なし整数型です。そのサイズはシステムに依存し、ポインタと同じサイズになります。主に、ポインタと整数を相互に変換する必要がある低レベルな操作(例:システムコール、メモリマッピング、Goランタイム内部の処理)で使用されます。このコミットでは、uintptr szとして宣言されていましたが、szが実際に使用されることはありませんでした。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/runtime/race.c ファイル内の runtime·raceinit 関数における未使用変数 sz の宣言を削除することで、Cコンパイラが発行する警告を解消しています。

元のコードでは、runtime·raceinit 関数の冒頭で uintptr sz, racectx; と変数が宣言されていました。ここで racectx は後続の処理で runtime∕race·Initialize(&racectx); のように使用されていましたが、sz はどこでも使用されていませんでした。

C言語のコンパイラは、このような未使用変数に対して警告を発します。Goプロジェクトでは、ビルドプロセスをクリーンに保ち、不必要な警告を排除することを重視しているため、この未使用変数を削除する修正が行われました。

修正は非常にシンプルで、uintptr sz, racectx; の宣言から sz, の部分を削除し、uintptr racectx; とすることで、未使用変数の警告を解消しています。この変更は、プログラムの動作には影響を与えず、単にビルド時の警告を抑制するものです。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/src/pkg/runtime/race.c b/src/pkg/runtime/race.c
index 5fa67bc5bb..8f611cb2d8 100644
--- a/src/pkg/runtime/race.c
+++ b/src/pkg/runtime/race.c
@@ -36,7 +36,7 @@ static bool onstack(uintptr argp);\
 uintptr
 runtime·raceinit(void)
 {\
-	uintptr sz, racectx;\
+	uintptr racectx;\
 \
 	m->racecall = true;\
 	runtime∕race·Initialize(&racectx);\

コアとなるコードの解説

上記のdiffを見ると、src/pkg/runtime/race.c ファイルの36行目から37行目にかけて変更が加えられていることがわかります。

  • - uintptr sz, racectx; この行は、変更前のコードを示しています。runtime·raceinit 関数内で、uintptr 型の変数 szracectx が同時に宣言されていました。しかし、sz はこの関数内で一度も使用されていませんでした。

  • + uintptr racectx; この行は、変更後のコードを示しています。未使用であった sz 変数の宣言が削除され、racectx のみが宣言されています。これにより、Cコンパイラが発行していた「未使用変数」に関する警告が解消されます。

この変更は、GoランタイムのC言語部分におけるコードのクリーンアップであり、機能的な変更は一切ありません。ビルド時の警告を排除し、コードベースの健全性を維持するための修正です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Stack Overflow: Go unused variable (https://stackoverflow.com/questions/10204000/go-unused-variable)
  • GitHub: Go issue tracker (https://github.com/golang/go/issues/5000)
  • GitHub: Go runtime/race package (https://github.com/golang/go/tree/master/src/runtime/race)