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[インデックス 15383] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なSSA (Static Single Assignment) パッケージ exp/ssa における go vet ツールからの警告を解消するための変更です。具体的には、fmt パッケージの書式指定関数の誤用と、構造体のフィールド初期化の明示化に関する修正が含まれています。

コミット

commit 96f57186ba79b6a649fa0bb901ee5b222877f0d3
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Fri Feb 22 13:02:00 2013 -0800

    exp/ssa: silence go vet
    
    R=adonovan
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7386052

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/96f57186ba79b6a649fa0bb901ee5b222877f0d3

元コミット内容

exp/ssa: silence go vet

R=adonovan
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7386052

変更の背景

このコミットの主な背景は、Go言語の公式ツールである go vet が出力する警告を解消することにあります。go vet は、Goプログラムの潜在的なバグや疑わしい構造を検出するための静的解析ツールです。開発者は、コードの品質と信頼性を向上させるために、go vet の警告を真剣に受け止め、修正することが推奨されます。

この特定のケースでは、exp/ssa という実験的なパッケージが対象となっています。exp/ssa は、GoコンパイラのSSA中間表現に関連する実験的なコードが含まれており、Go言語の進化において重要な役割を果たす可能性のある部分でした。このような基盤となるコードベースにおいて、go vet の警告を解消することは、将来的な安定性や正確性を確保する上で非常に重要です。

具体的には、fmt パッケージの書式指定関数の誤用(Fprintln に書式文字列を渡す、または不適切な動詞を使用する)と、構造体のリテラル初期化における曖昧さが警告の原因となっていました。これらの警告は、直接的なバグではないものの、コードの意図を不明瞭にしたり、将来的に問題を引き起こす可能性を秘めていました。

前提知識の解説

go vet

go vet は、Go言語のソースコードを静的に解析し、潜在的なエラーや疑わしい構造を報告するツールです。コンパイル時には検出されないが、実行時に問題を引き起こす可能性のあるパターン(例: fmt.Printf の書式文字列と引数の不一致、到達不能なコード、ロックの誤用など)を特定します。go vet はGo開発ワークフローの重要な一部であり、コードの品質と堅牢性を高めるためにCI/CDパイプラインなどで頻繁に利用されます。

SSA (Static Single Assignment)

SSA (Static Single Assignment) 形式は、コンパイラ最適化において広く使用される中間表現の一種です。SSA形式では、各変数が一度だけ代入されるようにプログラムが変換されます。これにより、データフロー解析や最適化が容易になります。Goコンパイラも内部的にSSA形式を利用しており、exp/ssa パッケージは、このSSA形式の構築や操作に関する実験的な機能を提供していました。これは、Goコンパイラの性能向上や新しい最適化手法の探求のために用いられることがありました。

fmt パッケージの書式指定動詞

Go言語の fmt パッケージは、C言語の printf ファミリー関数に似た書式指定機能を提供します。書式指定文字列には、%v (デフォルトの書式)、%T (型のGo構文表現)、%#v (Go構文表現) など、様々な「動詞」を使用します。

  • %v: 値のデフォルトの書式。
  • %T: 値の型のGo構文表現。
  • %#v: 値のGo構文表現。構造体の場合、フィールド名も表示される。

fmt.Fprintln は引数をスペースで区切り、最後に改行を追加して出力する関数であり、書式文字列を解釈しません。一方、fmt.Fprintf は書式文字列を解釈し、それに基づいて引数を整形して出力します。この違いが、今回の go vet 警告の原因の一つでした。

技術的詳細

このコミットで行われた技術的な変更は、主に以下の3点です。

  1. fmt.Fprintln から fmt.Fprintf への変更: src/pkg/exp/ssa/interp/interp.goInterpret 関数内で、panic 発生時のエラーメッセージ出力に fmt.Fprintln が使用されていました。しかし、この Fprintln の呼び出しには %T という書式指定動詞を含む文字列が渡されていました。Fprintln は書式文字列を解釈しないため、%T は単なるリテラル文字列として扱われ、期待通りの型情報が出力されませんでした。go vet はこの誤用を検出し、fmt.Fprintf を使用するように警告しました。Fprintf は書式文字列を正しく解釈し、%T を引数の型情報に置き換えて出力します。また、Fprintln が自動的に改行を追加するのに対し、Fprintf では明示的に \n を追加する必要があります。

    • 変更前: fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p)
    • 変更後: fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\\n", p)
  2. fmt.Sprintf の書式指定動詞 %V から %v への変更: src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.goext۰reflect۰Value۰Len 関数内で、panic メッセージの生成に fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v) が使用されていました。ここで使用されている %V は、Goの fmt パッケージの標準的な書式指定動詞ではありません(通常は %v, %T, %#v などが使われます)。go vet は、このような非標準または意図しない書式指定動詞の使用を警告することがあります。この変更では、より一般的な %v に修正することで、go vet の警告を解消し、かつ意図した通りの値のデフォルト表現を出力するようにしました。

    • 変更前: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v))
    • 変更後: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v))
  3. 構造体リテラルのフィールド名明示: src/pkg/exp/ssa/literal.go において、complexZero 変数の初期化方法が変更されました。types.Complex 構造体は ReIm というフィールドを持つと推測されます。変更前は、これらのフィールドが位置によって初期化されていましたが、変更後はフィールド名を明示的に指定して初期化されています。

    • 変更前: var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)}
    • 変更後:
      var complexZero = types.Complex{
          Re: new(big.Rat),
          Im: new(big.Rat),
      }
      

    この変更は、go vet の警告を直接解消するためというよりは、コードの可読性と保守性を向上させるためのものです。特に、構造体のフィールド数が多い場合や、フィールドの順序が変更される可能性がある場合に、フィールド名を明示することで、コードの意図がより明確になり、将来的なバグを防ぐことができます。go vet は、このような構造体リテラルの初期化スタイルに関する推奨事項を出すこともあります。

これらの変更は、Go言語のコードベース全体の品質と一貫性を維持するための、一般的なベストプラクティスに沿ったものです。

コアとなるコードの変更箇所

src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go
@@ -586,7 +586,7 @@ func Interpret(mainpkg *ssa.Package, mode Mode, filename string, args []string)\
 		case string:
 			fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic:", p)
 		default:
-			fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p)
+			fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\n", p)
 		}
 
 		// TODO(adonovan): dump panicking interpreter goroutine?

src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go
@@ -233,7 +233,7 @@ func ext۰reflect۰Value۰Len(fn *ssa.Function, args []value) value {\
 	case map[value]value:
 		return len(v)
 	default:
-		panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v))
+		panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v))
 	}
 	return nil // unreachable
 }

src/pkg/exp/ssa/literal.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/literal.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/literal.go
@@ -9,7 +9,10 @@ import (
 	"strconv"
 )
 
-var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)}\
+var complexZero = types.Complex{
+	Re: new(big.Rat),
+	Im: new(big.Rat),
+}\
 
 // newLiteral returns a new literal of the specified value and type.\
 // val must be valid according to the specification of Literal.Value.\

コアとなるコードの解説

src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go の変更

この変更は、Interpret 関数内の panic ハンドリング部分にあります。default ケースで、予期しない型のパニックが発生した場合にエラーメッセージを標準エラー出力に書き出す処理です。

  • 変更前: fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p) Fprintln は引数をスペースで区切り、最後に改行を追加して出力します。しかし、第二引数に書式文字列 "%T" が含まれているため、go vet はこれを fmt.Printffmt.Fprintf のような書式指定関数と誤解していると判断し、警告を出します。Fprintln は書式文字列を解釈しないため、%T はリテラルとして出力され、p の型情報は表示されません。
  • 変更後: fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\\n", p) Fprintf は書式文字列を解釈し、%Tp の実際の型情報に置き換えて出力します。また、Fprintln が自動的に追加していた改行を、\n を明示的に追加することで再現しています。これにより、go vet の警告が解消され、かつ意図した通りの詳細なエラーメッセージが出力されるようになります。

src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go の変更

この変更は、ext۰reflect۰Value۰Len 関数内の panic 発生箇所にあります。この関数は、reflect.Value.Len() メソッドのインタープリタ実装の一部であり、サポートされていない型に対して Len() が呼び出された場合にパニックを発生させます。

  • 変更前: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v)) fmt.Sprintf は書式文字列に基づいて文字列を生成します。ここで使用されている %V は、Goの fmt パッケージの標準的な書式指定動詞ではありません。go vet は、このような非標準の動詞の使用を潜在的な問題としてフラグを立てます。
  • 変更後: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v)) %v は値のデフォルトの書式指定動詞であり、Goの慣習に沿っています。これにより、go vet の警告が解消され、かつ v の値が適切に文字列に変換されてパニックメッセージに含まれるようになります。

src/pkg/exp/ssa/literal.go の変更

この変更は、complexZero という types.Complex 型のグローバル変数の初期化方法に関するものです。

  • 変更前: var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)} これは、構造体リテラルを位置引数で初期化する形式です。types.Complex 構造体の最初のフィールドが new(big.Rat) で、2番目のフィールドも new(big.Rat) で初期化されます。この形式は、構造体のフィールドが少ない場合や、フィールドの順序が明確な場合には問題ありませんが、可読性が低下したり、将来的にフィールドの順序が変更された場合にバグを引き起こす可能性があります。
  • 変更後:
    var complexZero = types.Complex{
        Re: new(big.Rat),
        Im: new(big.Rat),
    }
    
    この形式は、構造体のフィールド名を明示的に指定して初期化する「フィールド名付き初期化」です。Re フィールドと Im フィールドにそれぞれ new(big.Rat) が割り当てられていることが明確になります。この変更は、コードの可読性を大幅に向上させ、将来的な保守性を高めます。go vet は、このような明示的な初期化を推奨することがあります。

これらの変更は全体として、Go言語のコード品質ツールである go vet の警告を解消し、コードの正確性、堅牢性、および可読性を向上させることを目的としています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • go vet の使用例と警告の種類に関する一般的な情報源 (例: Go言語のブログ、技術記事)
  • Go言語の fmt パッケージの書式指定動詞に関するドキュメント
  • Go言語の構造体リテラル初期化に関する情報# [インデックス 15383] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なSSA (Static Single Assignment) パッケージ exp/ssa における go vet ツールからの警告を解消するための変更です。具体的には、fmt パッケージの書式指定関数の誤用と、構造体のフィールド初期化の明示化に関する修正が含まれています。

コミット

commit 96f57186ba79b6a649fa0bb901ee5b222877f0d3
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Fri Feb 22 13:02:00 2013 -0800

    exp/ssa: silence go vet
    
    R=adonovan
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7386052

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/96f57186ba79b6a649fa0bb901ee5b222877f0d3

元コミット内容

exp/ssa: silence go vet

R=adonovan
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7386052

変更の背景

このコミットの主な背景は、Go言語の公式ツールである go vet が出力する警告を解消することにあります。go vet は、Goプログラムの潜在的なバグや疑わしい構造を検出するための静的解析ツールです。開発者は、コードの品質と信頼性を向上させるために、go vet の警告を真剣に受け止め、修正することが推奨されます。

この特定のケースでは、exp/ssa という実験的なパッケージが対象となっています。exp/ssa は、GoコンパイラのSSA中間表現に関連する実験的なコードが含まれており、Go言語の進化において重要な役割を果たす可能性のある部分でした。このような基盤となるコードベースにおいて、go vet の警告を解消することは、将来的な安定性や正確性を確保する上で非常に重要です。

具体的には、fmt パッケージの書式指定関数の誤用(Fprintln に書式文字列を渡す、または不適切な動詞を使用する)と、構造体のリテラル初期化における曖昧さが警告の原因となっていました。これらの警告は、直接的なバグではないものの、コードの意図を不明瞭にしたり、将来的に問題を引き起こす可能性を秘めていました。

前提知識の解説

go vet

go vet は、Go言語のソースコードを静的に解析し、潜在的なエラーや疑わしい構造を報告するツールです。コンパイル時には検出されないが、実行時に問題を引き起こす可能性のあるパターン(例: fmt.Printf の書式文字列と引数の不一致、到達不能なコード、ロックの誤用など)を特定します。go vet はGo開発ワークフローの重要な一部であり、コードの品質と堅牢性を高めるためにCI/CDパイプラインなどで頻繁に利用されます。

SSA (Static Single Assignment)

SSA (Static Single Assignment) 形式は、コンパイラ最適化において広く使用される中間表現の一種です。SSA形式では、各変数が一度だけ代入されるようにプログラムが変換されます。これにより、データフロー解析や最適化が容易になります。Goコンパイラも内部的にSSA形式を利用しており、exp/ssa パッケージは、このSSA形式の構築や操作に関する実験的な機能を提供していました。これは、Goコンパイラの性能向上や新しい最適化手法の探求のために用いられることがありました。

fmt パッケージの書式指定動詞

Go言語の fmt パッケージは、C言語の printf ファミリー関数に似た書式指定機能を提供します。書式指定文字列には、%v (デフォルトの書式)、%T (型のGo構文表現)、%#v (Go構文表現) など、様々な「動詞」を使用します。

  • %v: 値のデフォルトの書式。
  • %T: 値の型のGo構文表現。
  • %#v: 値のGo構文表現。構造体の場合、フィールド名も表示される。

fmt.Fprintln は引数をスペースで区切り、最後に改行を追加して出力する関数であり、書式文字列を解釈しません。一方、fmt.Fprintf は書式文字列を解釈し、それに基づいて引数を整形して出力します。この違いが、今回の go vet 警告の原因の一つでした。

技術的詳細

このコミットで行われた技術的な変更は、主に以下の3点です。

  1. fmt.Fprintln から fmt.Fprintf への変更: src/pkg/exp/ssa/interp/interp.goInterpret 関数内で、panic 発生時のエラーメッセージ出力に fmt.Fprintln が使用されていました。しかし、この Fprintln の呼び出しには %T という書式指定動詞を含む文字列が渡されていました。Fprintln は書式文字列を解釈しないため、%T は単なるリテラル文字列として扱われ、期待通りの型情報が出力されませんでした。go vet はこの誤用を検出し、fmt.Fprintf を使用するように警告しました。Fprintf は書式文字列を正しく解釈し、%T を引数の型情報に置き換えて出力します。また、Fprintln が自動的に改行を追加するのに対し、Fprintf では明示的に \n を追加する必要があります。

    • 変更前: fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p)
    • 変更後: fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\\n", p)
  2. fmt.Sprintf の書式指定動詞 %V から %v への変更: src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.goext۰reflect۰Value۰Len 関数内で、panic メッセージの生成に fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v) が使用されていました。ここで使用されている %V は、Goの fmt パッケージの標準的な書式指定動詞ではありません(通常は %v, %T, %#v などが使われます)。go vet は、このような非標準または意図しない書式指定動詞の使用を警告することがあります。この変更では、より一般的な %v に修正することで、go vet の警告を解消し、かつ意図した通りの値のデフォルト表現を出力するようにしました。

    • 変更前: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v))
    • 変更後: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v))
  3. 構造体リテラルのフィールド名明示: src/pkg/exp/ssa/literal.go において、complexZero 変数の初期化方法が変更されました。types.Complex 構造体は ReIm というフィールドを持つと推測されます。変更前は、これらのフィールドが位置によって初期化されていましたが、変更後はフィールド名を明示的に指定して初期化されています。

    • 変更前: var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)}
    • 変更後:
      var complexZero = types.Complex{
          Re: new(big.Rat),
          Im: new(big.Rat),
      }
      

    この変更は、go vet の警告を直接解消するためというよりは、コードの可読性と保守性を向上させるためのものです。特に、構造体のフィールド数が多い場合や、フィールドの順序が変更される可能性がある場合に、フィールド名を明示することで、コードの意図がより明確になり、将来的なバグを防ぐことができます。go vet は、このような構造体リテラルの初期化スタイルに関する推奨事項を出すこともあります。

これらの変更は、Go言語のコードベース全体の品質と一貫性を維持するための、一般的なベストプラクティスに沿ったものです。

コアとなるコードの変更箇所

src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go
@@ -586,7 +586,7 @@ func Interpret(mainpkg *ssa.Package, mode Mode, filename string, args []string)\
 		case string:
 			fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic:", p)
 		default:
-			fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p)
+			fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\n", p)
 		}
 
 		// TODO(adonovan): dump panicking interpreter goroutine?

src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go
@@ -233,7 +233,7 @@ func ext۰reflect۰Value۰Len(fn *ssa.Function, args []value {\
 	case map[value]value:
 		return len(v)
 	default:
-		panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v))
+		panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v))
 	}
 	return nil // unreachable
 }

src/pkg/exp/ssa/literal.go

--- a/src/pkg/exp/ssa/literal.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/literal.go
@@ -9,7 +9,10 @@ import (
 	"strconv"
 )
 
-var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)}\
+var complexZero = types.Complex{
+	Re: new(big.Rat),
+	Im: new(big.Rat),
+}\
 
 // newLiteral returns a new literal of the specified value and type.\
 // val must be valid according to the specification of Literal.Value.\

コアとなるコードの解説

src/pkg/exp/ssa/interp/interp.go の変更

この変更は、Interpret 関数内の panic ハンドリング部分にあります。default ケースで、予期しない型のパニックが発生した場合にエラーメッセージを標準エラー出力に書き出す処理です。

  • 変更前: fmt.Fprintln(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T", p) Fprintln は引数をスペースで区切り、最後に改行を追加して出力します。しかし、第二引数に書式文字列 "%T" が含まれているため、go vet はこれを fmt.Printffmt.Fprintf のような書式指定関数と誤解していると判断し、警告を出します。Fprintln は書式文字列を解釈しないため、%T はリテラルとして出力され、p の型情報は表示されません。
  • 変更後: fmt.Fprintf(os.Stderr, "panic: unexpected type: %T\\n", p) Fprintf は書式文字列を解釈し、%Tp の実際の型情報に置き換えて出力します。また、Fprintln が自動的に追加していた改行を、\n を明示的に追加することで再現しています。これにより、go vet の警告が解消され、かつ意図した通りの詳細なエラーメッセージが出力されるようになります。

src/pkg/exp/ssa/interp/reflect.go の変更

この変更は、ext۰reflect۰Value۰Len 関数内の panic 発生箇所にあります。この関数は、reflect.Value.Len() メソッドのインタープリタ実装の一部であり、サポートされていない型に対して Len() が呼び出された場合にパニックを発生させます。

  • 変更前: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%V)", v)) fmt.Sprintf は書式文字列に基づいて文字列を生成します。ここで使用されている %V は、Goの fmt パッケージの標準的な書式指定動詞ではありません。go vet は、このような非標準の動詞の使用を潜在的な問題としてフラグを立てます。
  • 変更後: panic(fmt.Sprintf("reflect.(Value).Len(%v)", v)) %v は値のデフォルトの書式指定動詞であり、Goの慣習に沿っています。これにより、go vet の警告が解消され、かつ v の値が適切に文字列に変換されてパニックメッセージに含まれるようになります。

src/pkg/exp/ssa/literal.go の変更

この変更は、complexZero という types.Complex 型のグローバル変数の初期化方法に関するものです。

  • 変更前: var complexZero = types.Complex{new(big.Rat), new(big.Rat)} これは、構造体リテラルを位置引数で初期化する形式です。types.Complex 構造体の最初のフィールドが new(big.Rat) で、2番目のフィールドも new(big.Rat) で初期化されます。この形式は、構造体のフィールドが少ない場合や、フィールドの順序が明確な場合には問題ありませんが、可読性が低下したり、将来的にフィールドの順序が変更された場合にバグを引き起こす可能性があります。
  • 変更後:
    var complexZero = types.Complex{
        Re: new(big.Rat),
        Im: new(big.Rat),
    }
    
    この形式は、構造体のフィールド名を明示的に指定して初期化する「フィールド名付き初期化」です。Re フィールドと Im フィールドにそれぞれ new(big.Rat) が割り当てられていることが明確になります。この変更は、コードの可読性を大幅に向上させ、将来的な保守性を高めます。go vet は、このような明示的な初期化を推奨することがあります。

これらの変更は全体として、Go言語のコード品質ツールである go vet の警告を解消し、コードの正確性、堅牢性、および可読性を向上させることを目的としています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • go vet の使用例と警告の種類に関する一般的な情報源 (例: Go言語のブログ、技術記事)
  • Go言語の fmt パッケージの書式指定動詞に関するドキュメント
  • Go言語の構造体リテラル初期化に関する情報