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[インデックス 15412] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のパーサー(go/parserパッケージ)内のコメントをより正確にするための変更です。具体的には、src/pkg/go/parser/parser.goファイル内のコードコメントが修正されています。

コミット

commit a411b104f0a32f7c859d63c4fbd46919c2036910
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Mon Feb 25 08:29:46 2013 -0800

    go/parser: more precise comment
    
    See also CL 7383051 for details.
    
    R=adonovan, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7378063

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a411b104f0a32f7c859d63c4fbd46919c2036910

元コミット内容

go/parser: more precise comment See also CL 7383051 for details.

変更の背景

このコミットは、Go言語のパーサーにおける識別子の解決に関するコメントの曖昧さを解消するために行われました。特に、構造体リテラル(struct literal)のキーが解決されない場合の挙動について、既存のコメントが不正確であったため、その説明をより詳細かつ正確に修正する必要がありました。

元のコメントでは、キーが解決されないケースとして「同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、未宣言である場合」または「構造体フィールドである場合」の2つを挙げていました。しかし、Go言語のスコープ規則では、universe scope(組み込み型や関数が定義されているグローバルスコープ)も識別子の解決に関与します。この点が元のコメントで欠落していたため、より包括的な説明に更新されました。

この変更は、Go言語のコードベースの可読性と正確性を向上させるための継続的な取り組みの一環です。特に、パーサーのような低レベルのコンポーネントにおけるコメントの正確性は、将来のメンテナンスや新しい開発者がコードを理解する上で非常に重要です。コミットメッセージに記載されているCL 7383051https://golang.org/cl/7378063は、この変更に至るまでの議論や関連するコードレビューのコンテキストを提供しています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の基本的な概念と、コンパイラ/パーサーの一般的な知識が必要です。

  1. Go言語のパーサー (go/parser):

    • Go言語のソースコードを解析し、抽象構文木(AST: Abstract Syntax Tree)を生成するパッケージです。ASTは、プログラムの構造を木構造で表現したもので、コンパイラの次のフェーズ(型チェック、コード生成など)で利用されます。
    • パーサーは、字句解析器(lexer)からトークンを受け取り、Go言語の文法規則に従ってそれらを構造化します。
  2. 抽象構文木 (AST: Abstract Syntax Tree):

    • ソースコードの抽象的な構文構造を表現する木構造のデータ構造です。コメントや空白などの詳細は含まれず、プログラムの論理的な構造のみが表現されます。
    • go/astパッケージで定義されており、go/parserが生成します。
  3. 識別子 (Identifier):

    • 変数、関数、型、パッケージなどの名前を指します。Go言語では、識別子は特定のスコープ内で一意に解決されます。
  4. スコープ (Scope):

    • プログラム内で識別子が有効な範囲を指します。Go言語には、ブロックスコープ、パッケージスコープ、ファイルスコープ、ユニバーススコープなどがあります。
    • ユニバーススコープ (Universe Scope): int, string, true, false, nil, make, new, len, cap, panic, recoverなどのGo言語に組み込まれた識別子が定義されている最も外側のスコープです。これらはどのファイルからでも参照可能です。
    • パッケージスコープ (Package Scope): 同じパッケージ内のすべてのファイルで共有されるスコープです。
    • ファイルスコープ (File Scope): 特定のファイル内でのみ有効なスコープです。
  5. 構造体リテラル (Struct Literal):

    • 構造体の値を初期化するための構文です。TypeName{FieldName: Value, ...}のような形式で記述されます。
    • 例: type Person struct { Name string; Age int }; p := Person{Name: "Alice", Age: 30}
    • 構造体リテラルでは、フィールド名をキーとして指定して値を割り当てます。このキー(フィールド名)がパーサーによって正しく解決される必要があります。
  6. 型チェッカー (Type Checker):

    • パーサーが生成したASTを受け取り、プログラムの型がGo言語の型システム規則に準拠しているかを検証するコンポーネントです。
    • 識別子の解決(どの変数や関数を参照しているか)や、型の互換性チェックなどを行います。パーサーが識別子を解決できない場合でも、型チェッカーが最終的な解決を行うことがあります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Go言語のパーサーが構造体リテラルのキーをどのように処理し、それが解決できない場合にどのような推論を行うかという点に集約されます。

go/parserパッケージのparseElement関数は、構造体リテラルやマップリテラルなどの要素を解析する際に呼び出されます。構造体リテラルの場合、keyOkパラメータがtrueで渡され、キー(フィールド名)の解析が行われます。

元のコメントは、構造体リテラルのキーがパーサーの段階で解決できない(つまり、現在のスコープ内で直接見つからない)場合の挙動について説明していました。この状況は、以下のいずれかの理由で発生する可能性があります。

  1. トップレベルの宣言: キーが、現在解析中のファイルではなく、同じパッケージ内の別のファイルでトップレベルで宣言されている場合。この場合、パーサーは単一ファイルのコンテキストで動作するため、その識別子を直接解決できません。
  2. 未宣言: キーが全く宣言されていない識別子である場合。これは通常、コンパイルエラーにつながりますが、パーサーの段階ではまだエラーとして報告されないことがあります。
  3. 構造体フィールド: キーが、現在解析中の構造体のフィールド名である場合。この場合、パーサーはそれが構造体フィールドであることを認識しますが、そのフィールドがどの型に属するかは、型チェッカーの段階で解決されます。

このコミットでは、上記の1番目のケースに加えて、ユニバーススコープで定義されている識別子もパーサーの段階で直接解決できない可能性があるという点が追加されました。例えば、構造体リテラルのキーとしてtruefalseのようなユニバーススコープの識別子が誤って使用された場合、パーサーはそれを直接解決できませんが、型チェッカーが後でその意味を解釈します。

したがって、修正後のコメントは、キーが解決されない場合に、それが「同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、ユニバーススコープで定義されているか、または未宣言である」可能性、あるいは「構造体フィールドである」可能性をより正確に記述しています。どちらのケースでも、最終的な識別子の解決と型チェックは、パーサーの後続フェーズである型チェッカーによって行われるという点が強調されています。

この変更は、コードの動作自体を変更するものではなく、その動作に関するドキュメント(コメント)の正確性を向上させるものです。これにより、Goコンパイラの内部構造を理解しようとする開発者にとって、より明確な情報が提供されます。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/go/parser/parser.goファイル内のparseElement関数内のコメントにあります。

--- a/src/pkg/go/parser/parser.go
+++ b/src/pkg/go/parser/parser.go
@@ -1229,11 +1229,11 @@ func (p *parser) parseElement(keyOk bool) ast.Expr {
 	// In the former case we are done, and in the latter case we don't
 	// care because the type checker will do a separate field lookup.
 	//
-	// If the key does not resolve, it must a) be defined at the top-
-	// level in another file of the same package or be undeclared, or
-	// b) it is a struct field. In the former case, the type checker
-	// can do a top-level lookup, and in the latter case it will do a
-	// separate field lookup.
+	// If the key does not resolve, it a) must be defined at the top
+	// level in another file of the same package, the universe scope, or be
+	// undeclared; or b) it is a struct field. In the former case, the type
+	// checker can do a top-level lookup, and in the latter case it will do
+	// a separate field lookup.
 	x := p.checkExpr(p.parseExpr(keyOk))
 	if keyOk {
 		if p.tok == token.COLON {

コアとなるコードの解説

変更されたコメントは、parseElement関数内でp.checkExpr(p.parseExpr(keyOk))が呼び出される直前に位置しています。この行は、キーとして解析された式(x)をチェックする部分です。

元のコメント:

// If the key does not resolve, it must a) be defined at the top-
// level in another file of the same package or be undeclared, or
// b) it is a struct field. In the former case, the type checker
// can do a top-level lookup, and in the latter case it will do a
// separate field lookup.

このコメントは、「キーが解決されない場合、それはa) 同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、または未宣言であるか、b) 構造体フィールドであるかのいずれかである」と述べていました。そして、どちらのケースでも型チェッカーが最終的な解決を行うことを示唆していました。

修正後のコメント:

// If the key does not resolve, it a) must be defined at the top
// level in another file of the same package, the universe scope, or be
// undeclared; or b) it is a struct field. In the former case, the type
// checker can do a top-level lookup, and in the latter case it will do
// a separate field lookup.

修正後のコメントでは、a) のケースに「the universe scope(ユニバーススコープ)」が追加されています。これにより、キーがパーサーの段階で解決できない理由として、ユニバーススコープに存在する識別子である可能性も考慮されるようになりました。これは、Go言語の識別子解決の完全なメカニズムをより正確に反映しています。

このコメントの目的は、パーサーが識別子を即座に解決できない場合でも、それが必ずしもエラーではないことを説明することです。多くの場合、型チェッカーが後続のフェーズで、より広範なコンテキスト(他のファイル、ユニバーススコープ、構造体の定義など)を考慮して、その識別子を正しく解決します。このコメントは、パーサーと型チェッカーの間の責任分担を明確にする役割も果たしています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • 元のGerrit Change-ID (CL 7378063): https://golang.org/cl/7378063
    • このリンクは、このコミットがGerrit上でレビューされた際の元の変更リスト(Change List)を示しています。ここには、変更の提案、レビューコメント、および最終的な承認プロセスに関する詳細な情報が含まれています。
  • 関連するGerrit Change-ID (CL 7383051): https://golang.org/cl/7383051
    • コミットメッセージで参照されている別の変更リストです。このCLは、おそらくこのコメント修正の必要性を引き起こした、または関連する別のコード変更を示している可能性があります。通常、このような参照は、より深いコンテキストや、なぜこの変更が必要になったかの理由を理解するために重要です。
  • Go言語のソースコードリポジトリ (GitHub): https://github.com/golang/go
    • Go言語の公式ソースコードリポジトリです。
  • Go言語のブログ記事やドキュメント: Go言語の公式ブログやドキュメントは、Goの内部動作や設計思想を理解する上で貴重な情報源となります。

[インデックス 15412] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のパーサー(go/parserパッケージ)内のコメントをより正確にするための変更です。具体的には、src/pkg/go/parser/parser.goファイル内のコードコメントが修正されています。

コミット

commit a411b104f0a32f7c859d63c4fbd46919c2036910
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Mon Feb 25 08:29:46 2013 -0800

    go/parser: more precise comment
    
    See also CL 7383051 for details.
    
    R=adonovan, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7378063

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/a411b104f0a32f7c859d63c4fbd46919c2036910

元コミット内容

go/parser: more precise comment See also CL 7383051 for details.

変更の背景

このコミットは、Go言語のパーサーにおける識別子の解決に関するコメントの曖昧さを解消するために行われました。特に、構造体リテラル(struct literal)のキーが解決されない場合の挙動について、既存のコメントが不正確であったため、その説明をより詳細かつ正確に修正する必要がありました。

元のコメントでは、キーが解決されないケースとして「同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、未宣言である場合」または「構造体フィールドである場合」の2つを挙げていました。しかし、Go言語のスコープ規則では、universe scope(組み込み型や関数が定義されているグローバルスコープ)も識別子の解決に関与します。この点が元のコメントで欠落していたため、より包括的な説明に更新されました。

この変更は、Go言語のコードベースの可読性と正確性を向上させるための継続的な取り組みの一環です。特に、パーサーのような低レベルのコンポーネントにおけるコメントの正確性は、将来のメンテナンスや新しい開発者がコードを理解する上で非常に重要です。コミットメッセージに記載されているCL 7383051https://golang.org/cl/7378063は、この変更に至るまでの議論や関連するコードレビューのコンテキストを提供しています。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の基本的な概念と、コンパイラ/パーサーの一般的な知識が必要です。

  1. Go言語のパーサー (go/parser):

    • Go言語のソースコードを解析し、抽象構文木(AST: Abstract Syntax Tree)を生成するパッケージです。ASTは、プログラムの構造を木構造で表現したもので、コンパイラの次のフェーズ(型チェック、コード生成など)で利用されます。
    • パーサーは、字句解析器(lexer)からトークンを受け取り、Go言語の文法規則に従ってそれらを構造化します。
  2. 抽象構文木 (AST: Abstract Syntax Tree):

    • ソースコードの抽象的な構文構造を表現する木構造のデータ構造です。コメントや空白などの詳細は含まれず、プログラムの論理的な構造のみが表現されます。
    • go/astパッケージで定義されており、go/parserが生成します。
  3. 識別子 (Identifier):

    • 変数、関数、型、パッケージなどの名前を指します。Go言語では、識別子は特定のスコープ内で一意に解決されます。
  4. スコープ (Scope):

    • プログラム内で識別子が有効な範囲を指します。Go言語には、ブロックスコープ、パッケージスコープ、ファイルスコープ、ユニバーススコープなどがあります。
    • ユニバーススコープ (Universe Scope): int, string, true, false, nil, make, new, len, cap, panic, recoverなどのGo言語に組み込まれた識別子が定義されている最も外側のスコープです。これらはどのファイルからでも参照可能です。
    • パッケージスコープ (Package Scope): 同じパッケージ内のすべてのファイルで共有されるスコープです。
    • ファイルスコープ (File Scope): 特定のファイル内でのみ有効なスコープです。
  5. 構造体リテラル (Struct Literal):

    • 構造体の値を初期化するための構文です。TypeName{FieldName: Value, ...}のような形式で記述されます。
    • 例: type Person struct { Name string; Age int }; p := Person{Name: "Alice", Age: 30}
    • 構造体リテラルでは、フィールド名をキーとして指定して値を割り当てます。このキー(フィールド名)がパーサーによって正しく解決される必要があります。
  6. 型チェッカー (Type Checker):

    • パーサーが生成したASTを受け取り、プログラムの型がGo言語の型システム規則に準拠しているかを検証するコンポーネントです。
    • 識別子の解決(どの変数や関数を参照しているか)や、型の互換性チェックなどを行います。パーサーが識別子を解決できない場合でも、型チェッカーが最終的な解決を行うことがあります。

技術的詳細

このコミットの技術的詳細は、Go言語のパーサーが構造体リテラルのキーをどのように処理し、それが解決できない場合にどのような推論を行うかという点に集約されます。

go/parserパッケージのparseElement関数は、構造体リテラルやマップリテラルなどの要素を解析する際に呼び出されます。構造体リテラルの場合、keyOkパラメータがtrueで渡され、キー(フィールド名)の解析が行われます。

元のコメントは、構造体リテラルのキーがパーサーの段階で解決できない(つまり、現在のスコープ内で直接見つからない)場合の挙動について説明していました。この状況は、以下のいずれかの理由で発生する可能性があります。

  1. トップレベルの宣言: キーが、現在解析中のファイルではなく、同じパッケージ内の別のファイルでトップレベルで宣言されている場合。この場合、パーサーは単一ファイルのコンテキストで動作するため、その識別子を直接解決できません。
  2. 未宣言: キーが全く宣言されていない識別子である場合。これは通常、コンパイルエラーにつながりますが、パーサーの段階ではまだエラーとして報告されないことがあります。
  3. 構造体フィールド: キーが、現在解析中の構造体のフィールド名である場合。この場合、パーサーはそれが構造体フィールドであることを認識しますが、そのフィールドがどの型に属するかは、型チェッカーの段階で解決されます。

このコミットでは、上記の1番目のケースに加えて、ユニバーススコープで定義されている識別子もパーサーの段階で直接解決できない可能性があるという点が追加されました。例えば、構造体リテラルのキーとしてtruefalseのようなユニバーススコープの識別子が誤って使用された場合、パーサーはそれを直接解決できませんが、型チェッカーが後でその意味を解釈します。

したがって、修正後のコメントは、キーが解決されない場合に、それが「同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、ユニバーススコープで定義されているか、または未宣言である」可能性、あるいは「構造体フィールドである」可能性をより正確に記述しています。どちらのケースでも、最終的な識別子の解決と型チェックは、パーサーの後続フェーズである型チェッカーによって行われるという点が強調されています。

この変更は、コードの動作自体を変更するものではなく、その動作に関するドキュメント(コメント)の正確性を向上させるものです。これにより、Goコンパイラの内部構造を理解しようとする開発者にとって、より明確な情報が提供されます。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/go/parser/parser.goファイル内のparseElement関数内のコメントにあります。

--- a/src/pkg/go/parser/parser.go
+++ b/src/pkg/go/parser/parser.go
@@ -1229,11 +1229,11 @@ func (p *parser) parseElement(keyOk bool) ast.Expr {
 	// In the former case we are done, and in the latter case we don't
 	// care because the type checker will do a separate field lookup.
 	//
-	// If the key does not resolve, it must a) be defined at the top-
-	// level in another file of the same package or be undeclared, or
-	// b) it is a struct field. In the former case, the type checker
-	// can do a top-level lookup, and in the latter case it will do a
-	// separate field lookup.
+	// If the key does not resolve, it a) must be defined at the top
+	// level in another file of the same package, the universe scope, or be
+	// undeclared; or b) it is a struct field. In the former case, the type
+	// checker can do a top-level lookup, and in the latter case it will do
+	// a separate field lookup.
 	x := p.checkExpr(p.parseExpr(keyOk))
 	if keyOk {
 		if p.tok == token.COLON {

コアとなるコードの解説

変更されたコメントは、parseElement関数内でp.checkExpr(p.parseExpr(keyOk))が呼び出される直前に位置しています。この行は、キーとして解析された式(x)をチェックする部分です。

元のコメント:

// If the key does not resolve, it must a) be defined at the top-
// level in another file of the same package or be undeclared, or
// b) it is a struct field. In the former case, the type checker
// can do a top-level lookup, and in the latter case it will do a
// separate field lookup.

このコメントは、「キーが解決されない場合、それはa) 同じパッケージの別のファイルでトップレベルで定義されているか、または未宣言であるか、b) 構造体フィールドであるかのいずれかである」と述べていました。そして、どちらのケースでも型チェッカーが最終的な解決を行うことを示唆していました。

修正後のコメント:

// If the key does not resolve, it a) must be defined at the top
// level in another file of the same package, the universe scope, or be
// undeclared; or b) it is a struct field. In the former case, the type
// checker can do a top-level lookup, and in the latter case it will do
// a separate field lookup.

修正後のコメントでは、a) のケースに「the universe scope(ユニバーススコープ)」が追加されています。これにより、キーがパーサーの段階で解決できない理由として、ユニバーススコープに存在する識別子である可能性も考慮されるようになりました。これは、Go言語の識別子解決の完全なメカニズムをより正確に反映しています。

このコメントの目的は、パーサーが識別子を即座に解決できない場合でも、それが必ずしもエラーではないことを説明することです。多くの場合、型チェッカーが後続のフェーズで、より広範なコンテキスト(他のファイル、ユニバーススコープ、構造体の定義など)を考慮して、その識別子を正しく解決します。このコメントは、パーサーと型チェッカーの間の責任分担を明確にする役割も果たしています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • 元のGerrit Change-ID (CL 7378063): https://golang.org/cl/7378063
    • このリンクは、このコミットがGerrit上でレビューされた際の元の変更リスト(Change List)を示しています。ここには、変更の提案、レビューコメント、および最終的な承認プロセスに関する詳細な情報が含まれています。
  • 関連するGerrit Change-ID (CL 7383051): https://golang.org/cl/7383051
    • コミットメッセージで参照されている別の変更リストです。このCLは、go/typesパッケージのInterface.Completeに関連する変更であり、このコメント修正の必要性を引き起こした、または関連する別のコード変更を示している可能性があります。通常、このような参照は、より深いコンテキストや、なぜこの変更が必要になったかの理由を理解するために重要です。
  • Go言語のソースコードリポジトリ (GitHub): https://github.com/golang/go
    • Go言語の公式ソースコードリポジトリです。
  • Go言語のブログ記事やドキュメント: Go言語の公式ブログやドキュメントは、Goの内部動作や設計思想を理解する上で貴重な情報源となります。