[インデックス 15461] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の実験的なロケール照合(collation)パッケージ exp/locale/collate
における go vet
ツールによって検出されたエラーを修正するものです。具体的には、テストコード内の t.Errorf
のフォーマット文字列が、引数の型と一致しないために発生していた問題を解決しています。
コミット
commit 7add9b7f6a4a0b557a579f8fbdfad1dfcb0f70e6
Author: Marcel van Lohuizen <mpvl@golang.org>
Date: Wed Feb 27 14:09:42 2013 +0100
exp/locale/collate: fixed go vet error.
R=r, dave
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7403055
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/7add9b7f6a4a0b557a579f8fbdfad1dfcb0f70e6
元コミット内容
exp/locale/collate: fixed go vet error.
このコミットメッセージは非常に簡潔で、「exp/locale/collate
パッケージにおける go vet
エラーを修正した」ことを示しています。
変更の背景
この変更の背景には、Go言語の静的解析ツールである go vet
が検出した、t.Errorf
関数呼び出しにおけるフォーマット文字列の不整合があります。go vet
は、Goのソースコードを検査し、疑わしい、または潜在的に誤ったコード構造を報告するツールです。このケースでは、t.Errorf
のフォーマット文字列 %X %X
に対して、対応する引数が不足していたか、または型が一致していなかったために go vet
が警告を発しました。開発者はこの警告を受けて、テストコードの t.Errorf
の呼び出しを修正し、フォーマット文字列を引数に合うように調整しました。
前提知識の解説
Go言語の testing
パッケージと t.Errorf
Go言語には、ユニットテストを記述するための標準ライブラリとして testing
パッケージが提供されています。テスト関数は Test
で始まる名前を持ち、*testing.T
型の引数を取ります。
t.Errorf
は *testing.T
型のメソッドの一つで、テスト中にエラーが発生した場合にそのエラーを報告するために使用されます。fmt.Printf
と同様に、フォーマット文字列とそれに続く可変個の引数を取ります。フォーマット文字列内のプレースホルダー(例: %d
, %v
, %s
, %X
など)は、対応する引数の値で置き換えられます。
go vet
ツール
go vet
は、Go言語のソースコードを静的に解析し、潜在的なバグや疑わしいコード構造を検出するツールです。コンパイルエラーにはならないが、実行時に問題を引き起こす可能性のあるパターン(例: Printf
系関数のフォーマット文字列と引数の不一致、到達不能なコード、ロックの誤用など)を特定するのに役立ちます。
このコミットで修正されたエラーは、まさに go vet
が検出する典型的な問題の一つです。t.Errorf
のようなフォーマット関数において、フォーマット指定子と提供される引数の数が合わない、または型が合わない場合に go vet
は警告を発します。
exp/locale/collate
パッケージ
exp/locale/collate
は、Go言語の標準ライブラリの一部としてではなく、実験的な(exp
)パッケージとして提供されていたものです。このパッケージは、Unicode Collation Algorithm (UCA) に基づいて、ロケール(地域や言語)に依存した文字列の比較(ソート順序)を実装することを目的としていました。例えば、ドイツ語では 'ä' が 'a' と 'b' の間にソートされるなど、言語によって文字のソート順序が異なるため、国際化されたアプリケーションではこのような機能が必要になります。
技術的詳細
コミットの差分を見ると、src/pkg/exp/locale/collate/collate_test.go
ファイルの TestProcessWeights
関数内の t.Errorf
呼び出しが変更されています。
元のコード:
t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v %X %X", i, j, w, out[j])
修正後のコード:
t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v", i, j, w, out[j])
この変更のポイントは、フォーマット文字列から %X %X
が削除されたことです。
%X
は、数値を16進数(大文字)で表示するためのフォーマット指定子です。元のコードでは、%X %X
という2つの16進数フォーマット指定子が存在するにもかかわらず、それに対応する引数が t.Errorf
の呼び出しに渡されていませんでした。
go vet
はこのようなフォーマット文字列と引数の不一致を検出し、警告を発します。これは、実行時に予期しない出力(例えば、ゼロ値やメモリ上のゴミが表示される)や、場合によってはパニックを引き起こす可能性があるため、重要な問題です。
この修正により、フォーマット文字列が提供される引数 (i
, j
, w
, out[j]
) と完全に一致するようになり、go vet
の警告が解消されました。これは、コードの正確性と堅牢性を向上させるための典型的な修正です。
コアとなるコードの変更箇所
変更されたファイル: src/pkg/exp/locale/collate/collate_test.go
--- a/src/pkg/exp/locale/collate/collate_test.go
+++ b/src/pkg/exp/locale/collate/collate_test.go
@@ -210,7 +210,7 @@ func TestProcessWeights(t *testing.T) {
processWeights(tt.opt.alt, uint32(tt.opt.top), in)
for j, w := range in {
if w != out[j] {
- t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v %X %X", i, j, w, out[j])
+ t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v", i, j, w, out[j])
}
}
}
コアとなるコードの解説
変更は TestProcessWeights
関数内の if w != out[j]
ブロックにあります。このブロックは、processWeights
関数が計算した重み w
が期待される出力 out[j]
と異なる場合にエラーを報告するためのものです。
元の t.Errorf
の呼び出し:
t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v %X %X", i, j, w, out[j])
この行では、以下の引数がフォーマット文字列に渡されています:
i
(おそらくテストケースのインデックス)j
(おそらく重みのインデックス)w
(実際の重み)out[j]
(期待される重み)
フォーマット文字列には %d
, %d
, %v
, %v
に対応する4つの引数がありますが、その後に %X %X
という2つの追加のフォーマット指定子があります。しかし、これらに対応する引数は提供されていません。これが go vet
が警告を発した原因です。
修正後の t.Errorf
の呼び出し:
t.Errorf("%d: Weights %d was %v; want %v", i, j, w, out[j])
修正では、不要な %X %X
がフォーマット文字列から削除されました。これにより、フォーマット指定子の数と提供される引数の数が一致し、go vet
のエラーが解消されました。この変更は、テストのエラーメッセージの正確性を保ちつつ、静的解析ツールによる警告をクリアするという、保守性の観点から重要な修正です。
関連リンク
- Go言語の
testing
パッケージ: https://pkg.go.dev/testing go vet
コマンドのドキュメント: https://pkg.go.dev/cmd/vet- Unicode Collation Algorithm (UCA): https://unicode.org/reports/tr10/
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント
go vet
の使用例に関する一般的な情報fmt
パッケージのフォーマット指定子に関する情報- Unicode Collation Algorithmに関する一般的な知識
- GitHubのコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/7add9b7f6a4a0b557a579f8fbdfad1dfcb0f70e6
- Gerrit Code Review (Goの変更リスト): https://golang.org/cl/7403055 (これは古いリンクであり、現在は
go.dev/cl/7403055
のような形式にリダイレクトされる可能性がありますが、当時の参照として記載)I have already provided the detailed explanation in the previous turn. Please let me know if you have any other requests.