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[インデックス 15540] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なSSA (Static Single Assignment) 形式のインタープリタに関連するテストファイル src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go に変更を加えています。具体的には、特定のオペレーティングシステム(WindowsおよびPlan 9)上でこのテストが実行されないようにビルド制約を追加しています。

コミット

commit be6e82e30bd49e7cb00fff693e7e02cb0b331af9
Author: Alan Donovan <adonovan@google.com>
Date:   Fri Mar 1 13:17:13 2013 -0500

    exp/ssa/interp: disable interp_test on non-POSIX.
    
    R=gri, rsc
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7422051

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/be6e82e30bd49e7cb00fff693e7e02cb0b331af9

元コミット内容

exp/ssa/interp: disable interp_test on non-POSIX.

R=gri, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7422051

変更の背景

この変更の背景には、exp/ssa/interp パッケージ内のテスト interp_test.go が、POSIX準拠ではないオペレーティングシステム(具体的にはWindowsとPlan 9)上で正しく動作しない、または予期せぬ振る舞いをすることが挙げられます。Go言語はクロスプラットフォーム対応を重視していますが、一部の低レベルな操作やシステムコール、ファイルシステム関連の振る舞いはOSによって異なる場合があります。

interp_test.go が内部的に利用している機能が、WindowsやPlan 9の環境では期待通りに動作しない、あるいはこれらのOSの特性に合わせた特別な実装が必要となる可能性がありました。テストの失敗はCI/CDパイプラインの妨げとなるため、一時的または恒久的に、問題のあるプラットフォームでのテスト実行をスキップする判断がなされました。これは、テストの安定性を確保し、開発者が特定のOS環境でのみ発生する問題に時間を費やすことを避けるための一般的なプラクティスです。

前提知識の解説

Goのビルドタグ (+build)

Go言語では、ソースファイルの先頭に +build ディレクティブを記述することで、条件付きコンパイルを行うことができます。これは、特定のOS、アーキテクチャ、またはカスタムタグが指定された場合にのみ、そのファイルがビルドプロセスに含まれるように制御するメカニズムです。

  • 構文: // +build tag1,tag2 !tag3
    • カンマ (,) は論理ORを意味します。tag1 または tag2 のいずれかが有効な場合にファイルがビルドされます。
    • スペース ( ) は論理ANDを意味します。複数のタグがスペースで区切られている場合、それらすべてのタグが有効な場合にファイルがビルドされます。
    • 感嘆符 (!) は否定を意味します。!tag3tag3 が有効でない場合にファイルがビルドされることを意味します。
  • 一般的なタグ: linux, windows, darwin (macOS), freebsd, amd64, arm, 386 など、OSやアーキテクチャを示すタグがGoツールチェインによって自動的に提供されます。
  • 本コミットでの使用: +build !windows,!plan9 は、「Windowsでもなく、かつPlan 9でもない」環境でのみこのファイルがビルドされることを意味します。つまり、POSIX準拠のOS(Linux, macOSなど)ではビルドされますが、WindowsやPlan 9ではビルドされません。

SSA (Static Single Assignment) 形式

SSA (Static Single Assignment) 形式は、コンパイラの最適化フェーズで中間表現としてよく用いられるプログラム表現形式です。SSA形式の主な特徴は以下の通りです。

  • 単一割り当て: 各変数は一度だけ値を割り当てられます。これにより、変数の定義と使用の関係が明確になり、データフロー解析や最適化が容易になります。
  • Φ関数 (Phi function): 制御フローグラフの複数のパスが合流する点(例えばif文の終わりやループの終わり)で、異なるパスから来る同じ変数の値を結合するために使用されます。

コンパイラはソースコードをSSA形式に変換し、その上で様々な最適化(デッドコード削除、共通部分式除去、定数伝播など)を適用します。最適化後、SSA形式は実行可能なコードに変換されます。

exp/ssa/interp パッケージ

exp/ssa/interp は、Go言語のコンパイラツールチェインの一部として、実験的なSSA形式のインタープリタを提供します。このインタープリタは、SSA形式に変換されたGoプログラムを実際に実行し、その振る舞いを検証するために使用されます。これは、コンパイラのSSA変換フェーズや最適化フェーズが正しく機能しているかを確認するためのデバッグツールやテストツールとして利用されます。

POSIX

POSIX (Portable Operating System Interface) は、UNIX系オペレーティングシステムのAPIに関する標準規格群です。これにより、異なるUNIX系OS間でのアプリケーションの移植性が向上します。LinuxやmacOSなどはPOSIXに準拠していますが、Windowsは部分的に互換性があるものの、完全に準拠しているわけではありません。Plan 9もUNIXとは異なる設計思想を持つOSであり、POSIXとは異なります。

テストが「non-POSIX」環境で無効化されるのは、テストコードがPOSIX特有のシステムコールやファイルシステムセマンティクスに依存している可能性が高いためです。

技術的詳細

このコミットは、Go言語のビルドシステムにおける条件付きコンパイルのメカニズムを効果的に利用しています。interp_test.go は、GoのSSAインタープリタの正確性を検証するためのテストスイートです。テストコードは通常、対象となるコードの様々な側面を検証するために、ファイルシステム操作、プロセス生成、ネットワーク通信など、OSに依存する機能を利用することがあります。

WindowsやPlan 9のような非POSIXシステムでは、以下のような理由でテストが失敗する可能性があります。

  1. ファイルパスのセパレータ: POSIXシステムでは / を使用しますが、Windowsでは \ を使用します。テストコードがハードコードされたパスセパレータを使用している場合、問題が発生します。
  2. ファイルパーミッション: POSIXのファイルパーミッションモデル(rwx)はWindowsのACL(Access Control List)とは異なります。テストが特定のパーミッション設定を期待している場合、Windowsでは失敗する可能性があります。
  3. プロセス管理: プロセス生成、シグナル処理、環境変数の扱いなどがOSによって異なります。テストがサブプロセスを起動してその出力を検証する場合、OS間の差異が問題となることがあります。
  4. システムコール: 特定のシステムコール(例: fork, exec)はPOSIXに特有であり、Windowsには直接的な同等物がありません。テストがこれらのシステムコールを間接的に利用している場合、非POSIX環境では動作しません。
  5. リソースの制限: ファイルディスクリプタの数、メモリ管理、スレッドのスケジューリングなど、OSごとのリソース管理の違いがテストの安定性に影響を与えることがあります。

このコミットでは、テストコード自体を修正するのではなく、ビルドタグによってテストファイル全体を特定のプラットフォームから除外するというアプローチを取っています。これは、テストの修正が複雑であるか、あるいはそのプラットフォームでのテストの重要性が低いと判断された場合に選択される現実的な解決策です。これにより、主要な開発プラットフォーム(通常はLinuxやmacOS)でのテストの安定性を維持しつつ、開発の進行を妨げないようにしています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go
@@ -1,3 +1,5 @@
+// +build !windows,!plan9
+
 package interp_test
 
 import (

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go ファイルの先頭に以下の行を追加するだけです。

// +build !windows,!plan9

この行はGoのビルドタグディレクティブです。

  • //: Go言語のコメント行です。ビルドタグは通常のコメントとして記述されます。
  • +build: これはGoツールチェインに対する特別な指示であり、この行がビルドタグであることを示します。
  • !windows: このタグは、ビルド対象のOSが windows でない場合にこのファイルを含めることを意味します。感嘆符 ! は否定を表します。
  • ,: カンマは論理OR演算子として機能します。
  • !plan9: このタグは、ビルド対象のOSが plan9 でない場合にこのファイルを含めることを意味します。

したがって、+build !windows,!plan9 全体としては、「ビルド対象のOSがWindowsではない、またはビルド対象のOSがPlan 9ではない」という条件を満たす場合にこのファイルがコンパイルされることを意味します。

しかし、Goのビルドタグのルールでは、同じ行にスペースで区切られたタグは論理ANDとして扱われ、カンマで区切られたタグは論理ORとして扱われます。この場合、!windows!plan9 はカンマで区切られているため、これは (!windows) OR (!plan9) と解釈されます。

これは、windows でないか、plan9 でないかのどちらかが真であればビルドされる、という意味になります。 例えば、Linuxの場合: (!windows) は真、(!plan9) は真 -> 真 OR 真 = -> ビルドされる。 Windowsの場合: (!windows) は偽、(!plan9) は真 -> 偽 OR 真 = -> ビルドされる。 Plan 9の場合: (!windows) は真、(!plan9) は偽 -> 真 OR 偽 = -> ビルドされる。

これは意図した動作と異なります。 コミットメッセージの「disable interp_test on non-POSIX.」という意図を考えると、「Windowsでもなく、かつPlan 9でもない」環境でビルドされるべきです。

正しい記述は、論理ANDを示すスペース区切りを使用することです。

// +build !windows !plan9

このコミットは2013年のものであり、Goのビルドタグのセマンティクスは時間の経過とともに進化している可能性があります。初期のGoのビルドタグの解釈では、この記述が意図した通りに機能していたか、あるいはこのコミットが意図せずWindowsやPlan 9でもビルドされてしまうバグを含んでいた可能性があります。

現在のGoのビルドタグのセマンティクスに基づくと、このコミットの +build !windows,!plan9 は、WindowsとPlan 9を含むすべてのOSでこのテストファイルがビルドされることを意味します。 これはコミットメッセージの意図と矛盾します。

もしこのコミットが意図通りにWindowsとPlan 9でテストを無効化していたとすれば、それは当時のGoのビルドタグの解釈が現在とは異なっていたか、あるいはこのテストファイルが他のビルドタグを持つファイルと組み合わされて、結果的に特定のOSで無効化されるような複雑なビルド構成になっていた可能性があります。しかし、この単一の変更だけを見ると、現在のGoのビルドタグのルールでは意図した効果は得られません。

補足: Go 1.17以降、//go:build ディレクティブが導入され、より明確な構文でビルド制約を記述できるようになりました。新しい構文では、論理ANDは &&、論理ORは || で明示的に表現されます。このコミットの意図を新しい構文で表現すると //go:build !windows && !plan9 となります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Goのビルド制約に関する公式ドキュメント (上記「関連リンク」と同じ)
  • Go言語のSSAに関する一般的な情報 (Goのコンパイラ設計に関する書籍や論文など)
  • POSIXに関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • Goのビルドタグの歴史と進化に関する情報 (Goのリリースノートやブログ記事など)I have provided the detailed explanation of the commit as requested, following all the specified chapters and including the technical details and background. I also highlighted a potential discrepancy between the commit message's intent and the actual effect of the +build tag based on current Go build tag semantics.

I have completed the task and outputted the content to standard output. I do not need to perform any further actions.

# [インデックス 15540] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の実験的なSSA (Static Single Assignment) 形式のインタープリタに関連するテストファイル `src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go` に変更を加えています。具体的には、特定のオペレーティングシステム(WindowsおよびPlan 9)上でこのテストが実行されないようにビルド制約を追加しています。

## コミット

commit be6e82e30bd49e7cb00fff693e7e02cb0b331af9 Author: Alan Donovan adonovan@google.com Date: Fri Mar 1 13:17:13 2013 -0500

exp/ssa/interp: disable interp_test on non-POSIX.

R=gri, rsc
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7422051

## GitHub上でのコミットページへのリンク

[https://github.com/golang/go/commit/be6e82e30bd49e7cb00fff693e7e02cb0b331af9](https://github.com/golang/go/commit/be6e82e30bd49e7cb00fff693e7e02cb0b331af9)

## 元コミット内容

exp/ssa/interp: disable interp_test on non-POSIX.

R=gri, rsc CC=golang-dev https://golang.org/cl/7422051


## 変更の背景

この変更の背景には、`exp/ssa/interp` パッケージ内のテスト `interp_test.go` が、POSIX準拠ではないオペレーティングシステム(具体的にはWindowsとPlan 9)上で正しく動作しない、または予期せぬ振る舞いをすることが挙げられます。Go言語はクロスプラットフォーム対応を重視していますが、一部の低レベルな操作やシステムコール、ファイルシステム関連の振る舞いはOSによって異なる場合があります。

`interp_test.go` が内部的に利用している機能が、WindowsやPlan 9の環境では期待通りに動作しない、あるいはこれらのOSの特性に合わせた特別な実装が必要となる可能性がありました。テストの失敗はCI/CDパイプラインの妨げとなるため、一時的または恒久的に、問題のあるプラットフォームでのテスト実行をスキップする判断がなされました。これは、テストの安定性を確保し、開発者が特定のOS環境でのみ発生する問題に時間を費やすことを避けるための一般的なプラクティスです。

## 前提知識の解説

### Goのビルドタグ (`+build`)

Go言語では、ソースファイルの先頭に `+build` ディレクティブを記述することで、条件付きコンパイルを行うことができます。これは、特定のOS、アーキテクチャ、またはカスタムタグが指定された場合にのみ、そのファイルがビルドプロセスに含まれるように制御するメカニズムです。

*   **構文**: `// +build tag1,tag2 !tag3`
    *   カンマ (` , `) は論理ORを意味します。`tag1` または `tag2` のいずれかが有効な場合にファイルがビルドされます。
    *   スペース (` `) は論理ANDを意味します。複数のタグがスペースで区切られている場合、それらすべてのタグが有効な場合にファイルがビルドされます。
    *   感嘆符 (` ! `) は否定を意味します。`!tag3` は `tag3` が有効でない場合にファイルがビルドされることを意味します。
*   **一般的なタグ**: `linux`, `windows`, `darwin` (macOS), `freebsd`, `amd64`, `arm`, `386` など、OSやアーキテクチャを示すタグがGoツールチェインによって自動的に提供されます。
*   **本コミットでの使用**: `+build !windows,!plan9` は、「Windowsでもなく、かつPlan 9でもない」環境でのみこのファイルがビルドされることを意味します。つまり、POSIX準拠のOS(Linux, macOSなど)ではビルドされますが、WindowsやPlan 9ではビルドされません。

### SSA (Static Single Assignment) 形式

SSA (Static Single Assignment) 形式は、コンパイラの最適化フェーズで中間表現としてよく用いられるプログラム表現形式です。SSA形式の主な特徴は以下の通りです。

*   **単一割り当て**: 各変数は一度だけ値を割り当てられます。これにより、変数の定義と使用の関係が明確になり、データフロー解析や最適化が容易になります。
*   **Φ関数 (Phi function)**: 制御フローグラフの複数のパスが合流する点(例えばif文の終わりやループの終わり)で、異なるパスから来る同じ変数の値を結合するために使用されます。

コンパイラはソースコードをSSA形式に変換し、その上で様々な最適化(デッドコード削除、共通部分式除去、定数伝播など)を適用します。最適化後、SSA形式は実行可能なコードに変換されます。

### `exp/ssa/interp` パッケージ

`exp/ssa/interp` は、Go言語のコンパイラツールチェインの一部として、実験的なSSA形式のインタープリタを提供します。このインタープリタは、SSA形式に変換されたGoプログラムを実際に実行し、その振る舞いを検証するために使用されます。これは、コンパイラのSSA変換フェーズや最適化フェーズが正しく機能しているかを確認するためのデバッグツールやテストツールとして利用されます。

### POSIX

POSIX (Portable Operating System Interface) は、UNIX系オペレーティングシステムのAPIに関する標準規格群です。これにより、異なるUNIX系OS間でのアプリケーションの移植性が向上します。LinuxやmacOSなどはPOSIXに準拠していますが、Windowsは部分的に互換性があるものの、完全に準拠しているわけではありません。Plan 9もUNIXとは異なる設計思想を持つOSであり、POSIXとは異なります。

テストが「non-POSIX」環境で無効化されるのは、テストコードがPOSIX特有のシステムコールやファイルシステムセマンティクスに依存している可能性が高いためです。

## 技術的詳細

このコミットは、Go言語のビルドシステムにおける条件付きコンパイルのメカニズムを効果的に利用しています。`interp_test.go` は、GoのSSAインタープリタの正確性を検証するためのテストスイートです。テストコードは通常、対象となるコードの様々な側面を検証するために、ファイルシステム操作、プロセス生成、ネットワーク通信など、OSに依存する機能を利用することがあります。

WindowsやPlan 9のような非POSIXシステムでは、以下のような理由でテストが失敗する可能性があります。

1.  **ファイルパスのセパレータ**: POSIXシステムでは `/` を使用しますが、Windowsでは `\` を使用します。テストコードがハードコードされたパスセパレータを使用している場合、問題が発生します。
2.  **ファイルパーミッション**: POSIXのファイルパーミッションモデル(rwx)はWindowsのACL(Access Control List)とは異なります。テストが特定のパーミッション設定を期待している場合、Windowsでは失敗する可能性があります。
3.  **プロセス管理**: プロセス生成、シグナル処理、環境変数の扱いなどがOSによって異なります。テストがサブプロセスを起動してその出力を検証する場合、OS間の差異が問題となることがあります。
4.  **システムコール**: 特定のシステムコール(例: `fork`, `exec`)はPOSIXに特有であり、Windowsには直接的な同等物がありません。テストがこれらのシステムコールを間接的に利用している場合、非POSIX環境では動作しません。
5.  **リソースの制限**: ファイルディスクリプタの数、メモリ管理、スレッドのスケジューリングなど、OSごとのリソース管理の違いがテストの安定性に影響を与えることがあります。

このコミットでは、テストコード自体を修正するのではなく、ビルドタグによってテストファイル全体を特定のプラットフォームから除外するというアプローチを取っています。これは、テストの修正が複雑であるか、あるいはそのプラットフォームでのテストの重要性が低いと判断された場合に選択される現実的な解決策です。これにより、主要な開発プラットフォーム(通常はLinuxやmacOS)でのテストの安定性を維持しつつ、開発の進行を妨げないようにしています。

## コアとなるコードの変更箇所

```diff
--- a/src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go
+++ b/src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go
@@ -1,3 +1,5 @@
+// +build !windows,!plan9
+
 package interp_test
 
 import (

コアとなるコードの解説

変更は src/pkg/exp/ssa/interp/interp_test.go ファイルの先頭に以下の行を追加するだけです。

// +build !windows,!plan9

この行はGoのビルドタグディレクティブです。

  • //: Go言語のコメント行です。ビルドタグは通常のコメントとして記述されます。
  • +build: これはGoツールチェインに対する特別な指示であり、この行がビルドタグであることを示します。
  • !windows: このタグは、ビルド対象のOSが windows でない場合にこのファイルを含めることを意味します。感嘆符 ! は否定を表します。
  • ,: カンマは論理OR演算子として機能します。
  • !plan9: このタグは、ビルド対象のOSが plan9 でない場合にこのファイルを含めることを意味します。

したがって、+build !windows,!plan9 全体としては、「ビルド対象のOSがWindowsではない、またはビルド対象のOSがPlan 9ではない」という条件を満たす場合にこのファイルがコンパイルされることを意味します。

これは、windows でないか、plan9 でないかのどちらかが真であればビルドされる、という意味になります。 例えば、Linuxの場合: (!windows) は真、(!plan9) は真 -> 真 OR 真 = -> ビルドされる。 Windowsの場合: (!windows) は偽、(!plan9) は真 -> 偽 OR 真 = -> ビルドされる。 Plan 9の場合: (!windows) は真、(!plan9) は偽 -> 真 OR 偽 = -> ビルドされる。

これは意図した動作と異なります。 コミットメッセージの「disable interp_test on non-POSIX.」という意図を考えると、「Windowsでもなく、かつPlan 9でもない」環境でビルドされるべきです。

正しい記述は、論理ANDを示すスペース区切りを使用することです。

// +build !windows !plan9

このコミットは2013年のものであり、Goのビルドタグのセマンティクスは時間の経過とともに進化している可能性があります。初期のGoのビルドタグの解釈では、この記述が意図した通りに機能していたか、あるいはこのコミットが意図せずWindowsやPlan 9でもビルドされてしまうバグを含んでいた可能性があります。

現在のGoのビルドタグのセマンティクスに基づくと、このコミットの +build !windows,!plan9 は、WindowsとPlan 9を含むすべてのOSでこのテストファイルがビルドされることを意味します。 これはコミットメッセージの意図と矛盾します。

もしこのコミットが意図通りにWindowsとPlan 9でテストを無効化していたとすれば、それは当時のGoのビルドタグの解釈が現在とは異なっていたか、あるいはこのテストファイルが他のビルドタグを持つファイルと組み合わされて、結果的に特定のOSで無効化されるような複雑なビルド構成になっていた可能性があります。しかし、この単一の変更だけを見ると、現在のGoのビルドタグのルールでは意図した効果は得られません。

補足: Go 1.17以降、//go:build ディレクティブが導入され、より明確な構文でビルド制約を記述できるようになりました。新しい構文では、論理ANDは &&、論理ORは || で明示的に表現されます。このコミットの意図を新しい構文で表現すると //go:build !windows && !plan9 となります。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Goのビルド制約に関する公式ドキュメント (上記「関連リンク」と同じ)
  • Go言語のSSAに関する一般的な情報 (Goのコンパイラ設計に関する書籍や論文など)
  • POSIXに関する一般的な情報 (Wikipediaなど)
  • Goのビルドタグの歴史と進化に関する情報 (Goのリリースノートやブログ記事など)