[インデックス 15731] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のリポジトリにおけるベンチマークテストの修正に関するものです。具体的には、test/bench/garbage/parser.go
内のパーサーベンチマークにおいて、不要なパッケージの参照を削除することで、ベンチマークの正確性を向上させることを目的としています。
コミット
test/bench/garbage: fix parser benchmark
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7762046
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/4e6e9f9b28bf7f76a8164efdf812c23923558df5
元コミット内容
commit 4e6e9f9b28bf7f76a8164efdf812c23923558df5
Author: Jan Ziak <0xe2.0x9a.0x9b@gmail.com>
Date: Tue Mar 12 22:25:15 2013 +0100
test/bench/garbage: fix parser benchmark
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7762046
変更の背景
このコミットの背景には、Go言語の標準ライブラリやツールの性能を測定するためのベンチマークテストの正確性を確保するという目的があります。test/bench/garbage
ディレクトリにあるベンチマークは、Goのパーサーがコードを解析する際のメモリ割り当て(ガベージ)や実行時間を測定することを意図しています。
コミットメッセージにある「fix parser benchmark」という記述から、既存のパーサーベンチマークが何らかの理由で正しく機能していなかった、あるいは期待される結果を生成していなかったことが示唆されます。具体的には、ベンチマークの対象ではない、またはベンチマークの目的に合致しない余分な依存関係が、測定結果に悪影響を与えていた可能性が高いです。
go/types
パッケージは、Goの型システムに関する情報を提供するものであり、パーサーの純粋な構文解析性能とは直接関係がありません。ベンチマークの目的がパーサーの「ガベージ」生成量や実行時間を測定することであるならば、go/types
のような型情報に関連するパッケージを含めることは、ベンチマークのノイズとなり、正確な測定を妨げる要因となります。したがって、この不要な依存関係を削除することで、ベンチマークがより正確にパーサーの性能を反映するように修正されたと考えられます。
前提知識の解説
Go言語のベンチマーク
Go言語には、testing
パッケージに組み込みのベンチマーク機能があります。これにより、関数の性能を測定し、最適化のボトルネックを特定することができます。ベンチマーク関数は BenchmarkXxx(*testing.B)
という形式で定義され、go test -bench=.
コマンドで実行されます。testing.B
型は、ベンチマークの実行回数を制御したり、タイマーをリセットしたりするメソッドを提供します。
go/types
パッケージ
go/types
パッケージは、Goプログラムの型チェックを行うためのAPIを提供します。これは、GoコンパイラやGoツール(例: go vet
、gopls
)が、ソースコードの構文木を解析した後、変数や式の型を解決し、型エラーを検出するために使用されます。このパッケージは、Goの言語仕様に厳密に従って型システムを実装しており、プログラムのセマンティックな解析に不可欠な役割を果たします。
test/bench/garbage
ディレクトリの意図
Go言語のソースコードリポジトリ内の test/bench/garbage
ディレクトリは、特定の操作が生成するメモリ割り当て(「ガベージ」)の量を測定するためのベンチマークを格納しています。これらのベンチマークは、Goランタイムのガベージコレクタの効率性や、特定のコードパスでのメモリ使用量を最適化する際に役立ちます。パーサーのベンチマークがこのディレクトリにあるということは、パーサーがソースコードを解析する際にどれだけのメモリを一時的に割り当てるかを測定することが主な目的であることを示唆しています。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、Goのベンチマークの正確性、特にメモリ割り当ての測定における依存関係の影響に焦点を当てています。
test/bench/garbage/parser.go
は、Goのパーサー(go/parser
パッケージ)がGoのソースコードファイルを解析する際の性能を測定するベンチマークです。このベンチマークは、var packages = []string{...}
というスライスに列挙された標準ライブラリのパッケージを読み込み、それらを解析することで、パーサーの性能を評価します。
変更前は、この packages
スライスに "go/types"
が含まれていました。go/types
パッケージは、Goの型システムに関する複雑なロジックとデータ構造を含んでおり、その初期化や使用には、他の多くのパッケージやデータ構造への依存関係が発生する可能性があります。
パーサーベンチマークの目的が、純粋な構文解析の性能とメモリ割り当てを測定することである場合、go/types
パッケージを含めることは以下の問題を引き起こす可能性があります。
- 不必要なメモリ割り当て:
go/types
パッケージがロードされると、その内部データ構造や依存関係によって、ベンチマークの対象ではない余分なメモリ割り当てが発生する可能性があります。これは、パーサー自体の「ガベージ」生成量を正確に測定することを妨げます。 - 実行時間の増加:
go/types
パッケージのロードや初期化、あるいはその機能が間接的に呼び出されることによって、ベンチマークの実行時間が増加し、純粋なパーサーの性能測定を歪める可能性があります。 - ベンチマークの焦点のずれ: ベンチマークの目的はパーサーの性能測定であるにもかかわらず、
go/types
のような型チェックに関連するロジックがベンチマークの範囲に含まれてしまうと、ベンチマークが測定しているものがパーサー単体ではなく、パーサーと型チェックの複合的な性能になってしまいます。
したがって、"go/types"
を packages
スライスから削除することで、ベンチマークはより純粋にGoパーサーの性能とメモリ割り当てを測定できるようになり、結果としてベンチマークの正確性と信頼性が向上します。これは、Goのツールチェーンの性能最適化において、より意味のあるデータを提供することに繋がります。
コアとなるコードの変更箇所
変更は test/bench/garbage/parser.go
ファイルの1箇所のみです。
--- a/test/bench/garbage/parser.go
+++ b/test/bench/garbage/parser.go
@@ -205,7 +205,6 @@ var packages = []string{
"go/printer",
"go/scanner",
"go/token",
- "go/types",
"hash",
"hash/adler32",
"hash/crc32",
具体的には、var packages = []string{...}
という文字列スライスから、"go/types",
の行が削除されています。
コアとなるコードの解説
この変更は、parser.go
内でベンチマークの対象となるパッケージのリストを定義している packages
変数から、"go/types"
パッケージの参照を削除しています。
packages
スライスは、go/parser
パッケージを使用して解析されるGoの標準ライブラリパッケージのパスを列挙しています。ベンチマークは、これらのパッケージのソースコードを読み込み、Goパーサーで解析することで、その性能を測定します。
"go/types"
をこのリストから削除する理由は、前述の「変更の背景」と「技術的詳細」で述べた通り、go/types
パッケージがパーサーの純粋な構文解析性能やメモリ割り当てとは直接関係のない、型チェックに関連する複雑なロジックと依存関係を持つためです。このパッケージを含めることは、ベンチマークの測定結果にノイズを加え、パーサー自体の性能を正確に評価することを妨げていました。
この1行の削除により、ベンチマークは go/types
パッケージのロードや初期化、それに伴うメモリ割り当てや実行時間のオーバーヘッドの影響を受けなくなります。これにより、test/bench/garbage/parser.go
のベンチマークは、Goパーサーがソースコードを構文解析する際の、より正確で純粋な性能指標とメモリ割り当てデータを提供するようになります。これは、Goコンパイラやツールの性能改善のための意思決定において、より信頼性の高い情報源となります。
関連リンク
- Gerrit Change-ID:
https://golang.org/cl/7762046
- これはGoプロジェクトがコードレビューに使用しているGerritシステムにおけるこの変更のChange-IDです。Gerritのページでは、このコミットに関する詳細な議論、レビューコメント、および関連する変更履歴を確認できます。
参考にした情報源リンク
- Go言語の
testing
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/testing - Go言語の
go/types
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/go/types - Go言語の
go/parser
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/go/parser - Go言語のベンチマークに関する一般的な情報 (例: Goの公式ブログやチュートリアルなど)
- Gerrit Change-ID
7762046
の内容 (上記「関連リンク」に記載) - GitHub上のGoリポジトリの関連ファイル (
test/bench/garbage/parser.go
の履歴など) - Go言語のガベージコレクションとメモリ管理に関する一般的な情報# [インデックス 15731] ファイルの概要
このコミットは、Go言語のリポジトリにおけるベンチマークテストの修正に関するものです。具体的には、test/bench/garbage/parser.go
内のパーサーベンチマークにおいて、不要なパッケージの参照を削除することで、ベンチマークの正確性を向上させることを目的としています。
コミット
test/bench/garbage: fix parser benchmark
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7762046
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/4e6e9f9b28bf7f76a8164efdf812c23923558df5
元コミット内容
commit 4e6e9f9b28bf7f76a8164efdf812c23923558df5
Author: Jan Ziak <0xe2.0x9a.0x9b@gmail.com>
Date: Tue Mar 12 22:25:15 2013 +0100
test/bench/garbage: fix parser benchmark
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/7762046
変更の背景
このコミットの背景には、Go言語の標準ライブラリやツールの性能を測定するためのベンチマークテストの正確性を確保するという目的があります。test/bench/garbage
ディレクトリにあるベンチマークは、Goのパーサーがコードを解析する際のメモリ割り当て(ガベージ)や実行時間を測定することを意図しています。
コミットメッセージにある「fix parser benchmark」という記述から、既存のパーサーベンチマークが何らかの理由で正しく機能していなかった、あるいは期待される結果を生成していなかったことが示唆されます。具体的には、ベンチマークの対象ではない、またはベンチマークの目的に合致しない余分な依存関係が、測定結果に悪影響を与えていた可能性が高いです。
go/types
パッケージは、Goの型システムに関する情報を提供するものであり、パーサーの純粋な構文解析性能とは直接関係がありません。ベンチマークの目的がパーサーの「ガベージ」生成量や実行時間を測定することであるならば、go/types
のような型情報に関連するパッケージを含めることは、ベンチマークのノイズとなり、正確な測定を妨げる要因となります。したがって、この不要な依存関係を削除することで、ベンチマークがより正確にパーサーの性能を反映するように修正されたと考えられます。
前提知識の解説
Go言語のベンチマーク
Go言語には、testing
パッケージに組み込みのベンチマーク機能があります。これにより、関数の性能を測定し、最適化のボトルネックを特定することができます。ベンチマーク関数は BenchmarkXxx(*testing.B)
という形式で定義され、go test -bench=.
コマンドで実行されます。testing.B
型は、ベンチマークの実行回数を制御したり、タイマーをリセットしたりするメソッドを提供します。
go/types
パッケージ
go/types
パッケージは、Goプログラムの型チェックを行うためのAPIを提供します。これは、GoコンパイラやGoツール(例: go vet
、gopls
)が、ソースコードの構文木を解析した後、変数や式の型を解決し、型エラーを検出するために使用されます。このパッケージは、Goの言語仕様に厳密に従って型システムを実装しており、プログラムのセマンティックな解析に不可欠な役割を果たします。
test/bench/garbage
ディレクトリの意図
Go言語のソースコードリポジトリ内の test/bench/garbage
ディレクトリは、特定の操作が生成するメモリ割り当て(「ガベージ」)の量を測定するためのベンチマークを格納しています。これらのベンチマークは、Goランタイムのガベージコレクタの効率性や、特定のコードパスでのメモリ使用量を最適化する際に役立ちます。パーサーのベンチマークがこのディレクトリにあるということは、パーサーがソースコードを解析する際にどれだけのメモリを一時的に割り当てるかを測定することが主な目的であることを示唆しています。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、Goのベンチマークの正確性、特にメモリ割り当ての測定における依存関係の影響に焦点を当てています。
test/bench/garbage/parser.go
は、Goのパーサー(go/parser
パッケージ)がGoのソースコードファイルを解析する際の性能を測定するベンチマークです。このベンチマークは、var packages = []string{...}
というスライスに列挙された標準ライブラリのパッケージを読み込み、それらを解析することで、パーサーの性能を評価します。
変更前は、この packages
スライスに "go/types"
が含まれていました。go/types
パッケージは、Goの型システムに関する複雑なロジックとデータ構造を含んでおり、その初期化や使用には、他の多くのパッケージやデータ構造への依存関係が発生する可能性があります。
パーサーベンチマークの目的が、純粋な構文解析の性能とメモリ割り当てを測定することである場合、go/types
パッケージを含めることは以下の問題を引き起こす可能性があります。
- 不必要なメモリ割り当て:
go/types
パッケージがロードされると、その内部データ構造や依存関係によって、ベンチマークの対象ではない余分なメモリ割り当てが発生する可能性があります。これは、パーサー自体の「ガベージ」生成量を正確に測定することを妨げます。 - 実行時間の増加:
go/types
パッケージのロードや初期化、あるいはその機能が間接的に呼び出されることによって、ベンチマークの実行時間が増加し、純粋なパーサーの性能測定を歪める可能性があります。 - ベンチマークの焦点のずれ: ベンチマークの目的はパーサーの性能測定であるにもかかわらず、
go/types
のような型チェックに関連するロジックがベンチマークの範囲に含まれてしまうと、ベンチマークが測定しているものがパーサー単体ではなく、パーサーと型チェックの複合的な性能になってしまいます。
したがって、"go/types"
を packages
スライスから削除することで、ベンチマークはより純粋にGoパーサーの性能とメモリ割り当てを測定できるようになり、結果としてベンチマークの正確性と信頼性が向上します。これは、Goのツールチェーンの性能最適化において、より意味のあるデータを提供することに繋がります。
コアとなるコードの変更箇所
変更は test/bench/garbage/parser.go
ファイルの1箇所のみです。
--- a/test/bench/garbage/parser.go
+++ b/test/bench/garbage/parser.go
@@ -205,7 +205,6 @@ var packages = []string{
"go/printer",
"go/scanner",
"go/token",
- "go/types",
"hash",
"hash/adler32",
"hash/crc32",
具体的には、var packages = []string{...}
という文字列スライスから、"go/types",
の行が削除されています。
コアとなるコードの解説
この変更は、parser.go
内でベンチマークの対象となるパッケージのリストを定義している packages
変数から、"go/types"
パッケージの参照を削除しています。
packages
スライスは、go/parser
パッケージを使用して解析されるGoの標準ライブラリパッケージのパスを列挙しています。ベンチマークは、これらのパッケージのソースコードを読み込み、Goパーサーで解析することで、その性能を測定します。
"go/types"
をこのリストから削除する理由は、前述の「変更の背景」と「技術的詳細」で述べた通り、go/types
パッケージがパーサーの純粋な構文解析性能やメモリ割り当てとは直接関係のない、型チェックに関連する複雑なロジックと依存関係を持つためです。このパッケージを含めることは、ベンチマークの測定結果にノイズを加え、パーサー自体の性能を正確に評価することを妨げていました。
この1行の削除により、ベンチマークは go/types
パッケージのロードや初期化、それに伴うメモリ割り当てや実行時間のオーバーヘッドの影響を受けなくなります。これにより、test/bench/garbage/parser.go
のベンチマークは、Goパーサーがソースコードを構文解析する際の、より正確で純粋な性能指標とメモリ割り当てデータを提供するようになります。これは、Goコンパイラやツールの性能改善のための意思決定において、より信頼性の高い情報源となります。
関連リンク
- Gerrit Change-ID:
https://golang.org/cl/7762046
- これはGoプロジェクトがコードレビューに使用しているGerritシステムにおけるこの変更のChange-IDです。Gerritのページでは、このコミットに関する詳細な議論、レビューコメント、および関連する変更履歴を確認できます。
参考にした情報源リンク
- Go言語の
testing
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/testing - Go言語の
go/types
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/go/types - Go言語の
go/parser
パッケージに関する公式ドキュメント: https://pkg.go.dev/go/parser - Go言語のベンチマークに関する一般的な情報 (例: Goの公式ブログやチュートリアルなど)
- Gerrit Change-ID
7762046
の内容 (上記「関連リンク」に記載) - GitHub上のGoリポジトリの関連ファイル (
test/bench/garbage/parser.go
の履歴など) - Go言語のガベージコレクションとメモリ管理に関する一般的な情報