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[インデックス 15849] ファイルの概要

コミット

commit eeb9822457e398f59b3620e2b719a950dcf891ff
Author: Ian Lance Taylor <iant@golang.org>
Date:   Wed Mar 20 08:06:58 2013 -0700

    misc/swig: remove old broken Makefile
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/7786046

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/eeb9822457e398f59b3620e2b719a950dcf891ff

元コミット内容

misc/swig: remove old broken Makefile

変更の背景

このコミットは、Go言語のリポジトリ内の misc/swig/stdio/Makefile というファイルを削除するものです。コミットメッセージには「remove old broken Makefile」(古くて壊れたMakefileを削除)と明記されており、このMakefileがもはや機能しておらず、プロジェクトにとって不要または問題を引き起こしていたことが示唆されます。

Go言語の初期の段階では、C/C++との連携や外部ライブラリの利用のためにSWIGが試行されていた時期がありました。しかし、Go言語自体のCgo(C言語との連携機能)の成熟や、Goエコシステム内でのライブラリの充実により、SWIGの利用は徐々に減少し、特定の用途に限定されるようになりました。このMakefileが「壊れている」とされたのは、おそらくGoのビルドシステムやSWIGのバージョンアップ、あるいは関連するコードベースの変更によって、その機能が維持できなくなったためと考えられます。不要になった、あるいはメンテナンスされなくなった古いビルドファイルを削除することで、コードベースの整理と健全性の維持が図られています。

前提知識の解説

SWIG (Simplified Wrapper and Interface Generator)

SWIGは、C/C++で書かれたプログラムやライブラリを、Python, Perl, Ruby, Java, C#, Go, PHP, JavaScript, R, Lua, Octave, Scilab, Scheme, Tcl, OCaml, Modula-3, Common Lisp, Allegro CL, CLISP, Eiffel, Erlang, Guile, MzScheme, Racket, S-Lang, Pike, など、様々なスクリプト言語や高水準言語から呼び出せるようにするためのツールです。SWIGは、C/C++のヘッダーファイルから、ターゲット言語のインターフェースコード(ラッパーコード)を自動生成します。これにより、異なる言語間での相互運用性を容易にします。

Go言語の文脈では、SWIGはGoプログラムから既存のC/C++ライブラリを利用するための手段として検討されたことがあります。しかし、GoにはCgoという、Goコードから直接C言語の関数を呼び出したり、C言語のコードをGoプログラムに埋め込んだりする機能が標準で提供されています。CgoはGo言語に深く統合されており、SWIGよりもGoらしい方法でC/C++との連携を実現できます。そのため、GoプロジェクトにおいてSWIGが使われるケースは限定的です。

Makefile

Makefileは、主にUnix系システムでソフトウェアのビルドプロセスを自動化するために使用されるファイルです。makeコマンドによって解釈され、ソースコードのコンパイル、リンク、テスト、インストールの手順を定義します。Makefileは、ファイルの依存関係を記述し、変更されたファイルのみを再ビルドすることで、ビルド時間を短縮する効率的なメカニズムを提供します。

Go言語のプロジェクトでは、初期の頃はMakefileがビルドプロセスの一部として利用されることがありました。特に、Cgoを使用する場合や、外部のC/C++ライブラリに依存する場合など、Goの標準ビルドツール(go buildなど)だけでは完結しない複雑なビルドステップが必要な場合にMakefileが用いられました。しかし、Goのビルドツール自体が非常に強力で、依存関係の解決やクロスコンパイルなどを自動的に処理できるため、現代のGoプロジェクトでは、特別な理由がない限りMakefileを直接使用することは少なくなっています。多くの場合、go buildgo testといったコマンドが直接使われるか、あるいはより高レベルなスクリプト(シェルスクリプトなど)でこれらのコマンドがラップされます。

misc ディレクトリ

Go言語のリポジトリにおける misc ディレクトリは、Goプロジェクトの主要な部分ではないが、開発や特定の機能に関連する様々な補助的なツール、スクリプト、実験的なコード、または古いコードなどが含まれる場所です。このディレクトリ内のコードは、必ずしもGoの標準ライブラリやツールチェーンの一部として配布されるわけではなく、特定の目的のために存在します。misc/swig のように、過去に検討された技術や、特定のユースケースのためのコードが含まれることがあります。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、misc/swig/stdio/Makefile という単一のファイルの削除に集約されます。

削除されたMakefileの内容を見ると、以下の特徴があります。

  • 著作権表示: Copyright 2011 The Go Authors. All rights reserved. とあり、2011年時点でのファイルであることがわかります。
  • ライセンス: BSDスタイルのライセンスが適用されていることが示されています。
  • インクルード: ../../../src/Make.inc../../../src/Make.pkg をインクルードしています。これらはGoリポジトリ全体のビルドシステムの一部であり、共通のビルド設定やルールを提供していたと考えられます。
  • ターゲット: TARG=swig/file と定義されており、swig/file というターゲットをビルドしようとしていたことがわかります。
  • SWIGファイル: SWIGFILES=file.swig と定義されており、file.swig というSWIGインターフェースファイルを使用していたことが示唆されます。
  • クリーンファイル: CLEANFILES+=hello とあり、ビルドプロセスで生成されるhelloというファイルをクリーンアップ対象としていました。
  • ビルドルール: %: install %.go というルールがあり、Goソースファイル(*.go)をコンパイルし、リンクして実行可能ファイルを生成する一般的なGoのビルドルールが記述されています。具体的には、$(GC)(Goコンパイラ)と$(LD)(Goリンカ)が使用されています。$(SWIG_RPATH) はSWIGに関連するランタイムパスの設定である可能性があります。

このMakefileは、misc/swig/stdio ディレクトリ内でSWIGを使ってC/C++のstdioライブラリ(標準入出力ライブラリ)のGoラッパーをビルドしようとしていたものと推測されます。しかし、コミットメッセージにあるように「broken」であったため、その役割を終え、削除されました。これは、Go言語の進化に伴い、SWIGのような外部ツールへの依存を減らし、CgoのようなGoネイティブな連携メカニズムに移行していった過程の一部であると考えられます。

コアとなるコードの変更箇所

diff --git a/misc/swig/stdio/Makefile b/misc/swig/stdio/Makefile
deleted file mode 100644
index 0f23345e4d..0000000000
--- a/misc/swig/stdio/Makefile
+++ /dev/null
@@ -1,17 +0,0 @@
-# Copyright 2011 The Go Authors.  All rights reserved.
-# Use of this source code is governed by a BSD-style
-# license that can be found in the LICENSE file.\n-\n-include ../../../src/Make.inc\n-\n-TARG=swig/file\n-SWIGFILES=\\\n-\tfile.swig\n-\n-CLEANFILES+=hello\n-\n-include ../../../src/Make.pkg\n-\n-%: install %.go\n-\t$(GC) $(GCFLAGS) $(GCIMPORTS) $*.go\n-\t$(LD) $(SWIG_RPATH) -o $@ $*.$O

コアとなるコードの解説

上記の差分が示すように、このコミットは misc/swig/stdio/Makefile ファイル全体を削除しています。

  • deleted file mode 100644: この行は、ファイルが削除されたことを示しています。100644 は通常のファイルパーミッション(読み取り/書き込み可能)を示します。
  • index 0f23345e4d..0000000000: これはGitのインデックス情報で、ファイルのハッシュが変更されたことを示します。0000000000 はファイルが削除されたことを意味します。
  • --- a/misc/swig/stdio/Makefile: 削除前のファイルパスを示します。
  • +++ /dev/null: 削除後のファイルが /dev/null、つまり存在しないことを示します。
  • @@ -1,17 +0,0 @@: これはHunkヘッダーと呼ばれ、変更が適用された行範囲を示します。-1,17 は元のファイルで1行目から17行目までが対象であることを意味し、+0,0 は変更後のファイルには対応する行がない(つまり削除された)ことを意味します。
  • 続く - で始まる17行は、削除されたMakefileの全内容です。

この変更は、特定の機能やビルドプロセスがもはや必要ないか、あるいは機能しなくなったために、関連するビルドファイルを完全に除去するという、クリーンアップ作業の一環です。Go言語の進化の過程で、SWIGのような外部ツールへの依存が減少し、Go自身のCgo機能が成熟した結果、このような古いビルドスクリプトが不要になったと考えられます。

関連リンク

参考にした情報源リンク