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[インデックス 15989] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリである go/doc パッケージ内のコメントにおける軽微なタイポ(誤字)を修正するものです。具体的には、doc.go ファイル内の Note 構造体に関するコメントで、「marked comments」という表現が「a marked comment」に修正されています。これはコードの動作に影響を与えるものではなく、ドキュメントの正確性と可読性を向上させるための変更です。

コミット

  • コミットハッシュ: cb79b2cf22ecd84b51ee46ddc922b9214fccc3c0
  • 作者: Robert Griesemer gri@golang.org
  • コミット日時: 2013年3月28日 木曜日 13:13:55 -0700

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/cb79b2cf22ecd84b51ee46ddc922b9214fccc3c0

元コミット内容

go/doc: fix typo in comment

R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/8113043

変更の背景

この変更は、go/doc パッケージ内のコメントにおける単純なタイポを修正することを目的としています。ソフトウェア開発において、コード内のコメントは非常に重要です。特に、Go言語のように公式ドキュメントがコードコメントから自動生成されるシステム(go doc コマンドや godoc ツールなど)では、コメントの正確性が直接的にユーザーが参照するドキュメントの品質に影響します。

go/doc パッケージは、Goのソースコードからドキュメンテーションを抽出・解析するためのライブラリであり、Goのドキュメンテーションシステムの中核をなします。このパッケージが解析するコメント自体に誤りがあると、そのコメントが説明する概念に対する理解を妨げたり、誤解を招いたりする可能性があります。

このコミットは、機能的な変更ではなく、ドキュメンテーションの品質と正確性を維持するためのメンテナンス作業の一環として行われました。小さなタイポであっても、公式ドキュメントの一部となる可能性のあるコメントにおいては、その修正は重要であると判断されたため、コミットとして記録されています。

前提知識の解説

Go言語のドキュメンテーションシステム (go/docgodoc)

Go言語は、コードコメントから自動的にドキュメンテーションを生成する強力なシステムを持っています。

  • go/doc パッケージ: Goの標準ライブラリの一部であり、Goのソースコードを解析し、パッケージ、型、関数、変数などのドキュメンテーションコメントを構造化されたデータとして抽出する役割を担います。このパッケージが提供するデータ構造(例: Package, Type, Func, Note など)は、抽出されたドキュメンテーション情報を表現します。
  • godoc ツール: go/doc パッケージを利用して、GoのソースコードからHTML形式のドキュメンテーションを生成したり、コマンドラインでドキュメントを表示したりするツールです。Goの公式ドキュメントサイト (pkg.go.dev) もこのツールによって生成されています。

Goの「マークされたコメント」と Note 構造体

Goのドキュメンテーションシステムには、特定の形式で記述されたコメントを「ノート(Note)」として特別に扱う機能があります。これは、コード内の特定の箇所に注意を促したり、TODO項目を記述したりする際に便利です。

go/doc パッケージの Note 構造体は、このようなマークされたコメントを表現するために使用されます。コミットの変更箇所にあるコメントは、この Note 構造体がどのようなコメントを表すかを説明しています。

マークされたコメントの一般的な形式は以下の通りです。 MARKER(uid): note body

  • MARKER: 大文字のアルファベット2文字以上(例: BUG, TODO, FIXME など)。
  • uid: 少なくとも1文字の識別子。
  • : : uid の後に続くコロンはオプションです。
  • note body: ノートの本文。

これらのノートは、Package.Notes マップにマーカーをキーとしてインデックス化されて収集されます。

コメントの重要性

プログラミングにおけるコメントは、コードの可読性、保守性、理解度を向上させるために不可欠です。

  • 可読性: コードの意図や複雑なロジックを説明し、他の開発者(または未来の自分)がコードを素早く理解できるようにします。
  • 保守性: コードの変更やデバッグの際に、コメントがガイドとなり、誤った変更を防ぎます。
  • ドキュメンテーション: Goのようにコメントからドキュメントが生成される場合、コメントは直接的なユーザー向けドキュメントとなります。

したがって、コメントの正確性は、コード自体の正確性と同様に重要です。

技術的詳細

このコミットで行われた技術的な変更は非常に単純です。src/pkg/go/doc/doc.go ファイルの64行目にあるコメントが修正されました。

変更前: // A Note represents marked comments starting with "MARKER(uid): note body".

変更後: // A Note represents a marked comment starting with "MARKER(uid): note body".

変更点は、「marked comments」という複数形が「a marked comment」という単数形に修正されたことです。

この修正は、Note 構造体が「複数のマークされたコメント」を代表するのではなく、「一つのマークされたコメント」を代表するという意味合いをより正確に伝えるためのものです。Note 構造体は、個々のマークされたコメントのインスタンスを表すため、単数形の方が文法的に、そして意味的に適切です。

この変更は、Goのドキュメンテーション生成ロジックや、go/doc パッケージの機能に一切影響を与えません。純粋に、コード内の説明文の文法的な正確性を高めるための修正です。しかし、このような細かな修正も、Go言語のプロジェクトがコード品質とドキュメンテーション品質の両方に高い基準を設けていることを示しています。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/src/pkg/go/doc/doc.go
+++ b/src/pkg/go/doc/doc.go
@@ -64,7 +64,7 @@ type Func struct {
 	Level int    // embedding level; 0 means not embedded
 }
 
-// A Note represents marked comments starting with "MARKER(uid): note body".
+// A Note represents a marked comment starting with "MARKER(uid): note body".
 // Any note with a marker of 2 or more upper case [A-Z] letters and a uid of
 // at least one character is recognized. The ":" following the uid is optional.
 // Notes are collected in the Package.Notes map indexed by the notes marker.

コアとなるコードの解説

変更された行は、go/doc/doc.go ファイル内の Note 構造体の定義の直前にあるコメントです。

// A Note represents marked comments starting with "MARKER(uid): note body".
// Any note with a marker of 2 or more upper case [A-Z] letters and a uid of
// at least one character is recognized. The ":" following the uid is optional.
// Notes are collected in the Package.Notes map indexed by the notes marker.
type Note struct {
	Pos     token.Pos // position of the marker
	End     token.Pos // end of the note
	Marker  string    // marker (e.g. "BUG", "TODO")
	UID     string    // uid (e.g. "rsc")
	Body    string    // note body
}

このコメントは、Note 型の目的を説明しています。

  • 変更前: // A Note represents marked comments starting with "MARKER(uid): note body". この表現では、「Note 型が、"MARKER(uid): note body" の形式で始まる複数のマークされたコメントを代表する」というニュアンスに受け取られる可能性があります。しかし、Note 構造体自体は、コード内で見つかった個々のマークされたコメントのインスタンスを格納するためのものです。

  • 変更後: // A Note represents a marked comment starting with "MARKER(uid): note body".a marked comment」と単数形にすることで、「Note 型が、"MARKER(uid): note body" の形式で始まる一つのマークされたコメントを代表する」という、より正確な意味合いが伝わるようになります。これにより、Note 構造体が個別のコメントエントリに対応するという理解が促進されます。

この修正は、コードのセマンティクス(意味)をより正確に反映させるための、ドキュメンテーションの改善です。Go言語のコードベースでは、このような細部にわたる正確性が重視されており、それが高品質なドキュメンテーションとコードベース全体の信頼性につながっています。

関連リンク

  • Gerrit Change-ID: https://golang.org/cl/8113043 (Goプロジェクトでは、GitHubにプッシュされる前にGerritというコードレビューシステムで変更が管理されます。このリンクはGerrit上の元の変更セットを示します。)

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント: go/doc パッケージ (pkg.go.dev/go/doc)
  • Go言語のドキュメンテーションに関する一般的な情報 (Goの公式ブログやドキュメント)