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[インデックス 16043] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメント「Go Concurrency Patterns: Generating arbitrary text: a Markov chain algorithm」内のコードウォーク(doc/codewalk/markov.xml)におけるスライス操作の記述ミスを修正するものです。具体的には、copy関数の引数で誤ったスライス表現が使用されていた箇所が修正されました。

コミット

commit b91ae5c27c3b21e8364a7dec732d7885ce6a2073
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Mon Apr 1 15:52:15 2013 -0700

    doc/codewalk/markov: fix slice error in description
    Fixes #5176.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/8118046

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/b91ae5c27c3b21e8364a7dec732d7885ce6a2073

元コミット内容

このコミットは、doc/codewalk/markov(Markov連鎖アルゴリズムに関するGoのコードウォーク)内の記述において、スライスに関する誤りを修正するものです。これはIssue #5176を解決します。

変更の背景

この変更は、Goのコードウォーク「Go Concurrency Patterns: Generating arbitrary text: a Markov chain algorithm」のドキュメント内で発見された記述ミスを修正するために行われました。具体的には、スライスのcopy操作を示す例において、誤ったスライス表現が使用されており、読者がコードを理解する上で混乱を招く可能性がありました。Issue #5176として報告されたこの問題に対応するため、Rob Pike氏によって修正がコミットされました。この修正は、ドキュメントの正確性を保ち、学習者がGoのスライス操作を正しく理解できるようにすることを目的としています。

前提知識の解説

Goのスライス (Slice)

Go言語におけるスライスは、配列をラップした動的なデータ構造です。スライスは、基となる配列の一部を参照し、長さ(len)と容量(cap)を持ちます。スライスは[low:high]という形式で作成され、lowからhigh-1までの要素を含みます。

  • s[low:high]: lowインデックスからhigh-1インデックスまでの要素を含む新しいスライスを作成します。
  • s[:high]: 0インデックスからhigh-1インデックスまでの要素を含む新しいスライスを作成します。
  • s[low:]: lowインデックスから元のスライスの末尾までの要素を含む新しいスライスを作成します。

copy関数

Goの組み込み関数copy(dst, src []Type)は、srcスライスからdstスライスへ要素をコピーします。コピーされる要素の数は、len(dst)len(src)の小さい方になります。

Markov連鎖 (Markov Chain)

マルコフ連鎖は、将来の状態が現在の状態のみに依存し、過去の状態には依存しない確率過程です。テキスト生成の文脈では、ある単語の次にどの単語が来るかの確率をモデル化するために使用されます。このコードウォークでは、マルコフ連鎖アルゴリズムを用いてランダムなテキストを生成する方法が解説されています。

技術的詳細

このコミットの核心は、Goのスライス操作におけるcopy関数の正しい使用法に関するものです。元のコードウォークの記述では、Prefix型(おそらく文字列のスライス)のpに対して、copy(p, p[:1])という操作が示されていました。

  • p := Prefix{"I", "am"}: p{"I", "am"}という要素を持つスライスです。
  • p[:1]: これはpの最初の要素(インデックス0)のみを含む新しいスライス{"I"}を生成します。
  • copy(p, p[:1]): この操作は、p[:1]{"I"})の内容をpの先頭にコピーしようとします。結果として、pの最初の要素が"I"で上書きされ、2番目の要素は変更されません。しかし、コメントでは// p == Prefix{"am", "am"}となることが期待されており、これはcopy(p, p[:1])の動作とは一致しません。

期待される動作は、pの要素を左にシフトし、最初の要素を削除して、2番目の要素が最初の位置に来るようにすることです。この動作を実現するためには、pの2番目の要素以降をpの先頭にコピーする必要があります。

  • p[1:]: これはpのインデックス1以降の要素({"am"})を含む新しいスライスを生成します。
  • copy(p, p[1:]): この操作は、p[1:]{"am"})の内容をpの先頭にコピーします。これにより、pの最初の要素が"am"で上書きされ、p{"am", "am"}となります。これは、元のコードウォークの意図と一致します。

したがって、copy(p, p[:1])という誤った記述は、copy(p, p[1:])に修正されることで、スライスの要素を正しくシフトさせる意図が反映されました。この修正は、Goのスライス操作、特にcopy関数とスライス式(s[low:high])の正確な理解を促進するために重要です。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/codewalk/markov.xml
+++ b/doc/codewalk/markov.xml
@@ -181,7 +181,7 @@ p == Prefix{"am", "not"}</pre>
 	one index to the left (if you consider zero as the leftmost index).
 	<pre>
 p := Prefix{"I", "am"}
-copy(p, p[:1])
+copy(p, p[1:])
 // p == Prefix{"am", "am"}</pre>
 	We then assign the provided <code>word</code> to the last index
 	of the slice:

コアとなるコードの解説

変更された行は、doc/codewalk/markov.xmlファイル内のGoコード例の一部です。

元のコード: copy(p, p[:1])

修正後のコード: copy(p, p[1:])

この変更は、Prefix型のスライスpの要素を「左に1つシフトする」という意図を正確に反映させるためのものです。

  • p := Prefix{"I", "am"}: 初期状態では、スライスpは文字列"I""am"を含んでいます。
  • p[:1]: このスライス式は、pのインデックス0からインデックス1の直前までの要素、つまり{"I"}のみを含む新しいスライスを生成します。
  • copy(p, p[:1]): このcopy操作は、pの先頭に{"I"}をコピーします。結果としてp{"I", "am"}のままとなり、期待される{"am", "am"}とは異なります。
  • p[1:]: このスライス式は、pのインデックス1から末尾までの要素、つまり{"am"}のみを含む新しいスライスを生成します。
  • copy(p, p[1:]): このcopy操作は、pの先頭に{"am"}をコピーします。これにより、pの最初の要素が"am"で上書きされ、p{"am", "am"}となります。これは、コードウォークの意図(要素を左にシフトする)と、その後のコメント// p == Prefix{"am", "am"}に合致します。

この修正により、Goのスライス操作の例がより正確になり、読者がGoのcopy関数とスライス式の挙動を正しく理解できるようになりました。

関連リンク

参考にした情報源リンク