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[インデックス 16099] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメント doc/code.html における環境変数 PATH の設定に関する記述を修正するものです。具体的には、Goのバイナリがインストールされるディレクトリを HOME/go/bin と直接指定する代わりに、既に定義されている GOPATH 環境変数を利用して $GOPATH/bin と記述するように変更しています。これにより、ドキュメントの正確性と汎用性が向上し、ユーザーがGoのツールをより適切に利用できるようになります。

コミット

commit 52700d24bc828945a30f3d95301133307f34096f
Author: Duncan Holm <mail@frou.org>
Date:   Thu Apr 4 16:36:10 2013 +1100

    doc: use the already defined GOPATH in PATH
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/8248044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/52700d24bc828945a30f3d95301133307f34096f

元コミット内容

doc: use the already defined GOPATH in PATH

R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/8248044

変更の背景

Go言語の初期のバージョンでは、Goのワークスペース(プロジェクトのソースコード、パッケージ、実行可能ファイルが配置される場所)の概念が GOPATH 環境変数によって管理されていました。GOPATH は、Goのソースコードのビルド、インストール、および実行において中心的な役割を果たします。

以前のドキュメントでは、ユーザーがGoのツール(go install でインストールされたコマンドなど)を実行できるように PATH 環境変数に $HOME/go/bin を追加するよう指示していました。しかし、これは GOPATH がデフォルトの $HOME/go に設定されていることを前提とした記述であり、ユーザーが GOPATH を別のディレクトリに設定している場合には、この指示に従ってもGoのツールが正しく見つからないという問題がありました。

このコミットは、この問題を解決するために行われました。既に GOPATH が設定されていることを前提とし、その GOPATH の下の bin ディレクトリを PATH に追加するようにドキュメントを修正することで、より汎用的で正確な指示を提供することが目的です。これにより、ユーザーは GOPATH の設定に関わらず、Goのツールをスムーズに利用できるようになります。

前提知識の解説

環境変数 PATH

PATH 環境変数は、オペレーティングシステムが実行可能ファイルを探すディレクトリのリストを定義します。ユーザーがコマンドラインでプログラム名を入力した際、OSはこの PATH に含まれるディレクトリを順番に検索し、最初に見つかった実行可能ファイルを実行します。例えば、go コマンドを実行する際に、go バイナリが PATH に含まれるディレクトリのいずれかに存在しない場合、OSはコマンドを見つけることができず、エラーとなります。

環境変数 GOPATH

GOPATH 環境変数は、Go言語のワークスペースのルートディレクトリを指定します。Goのワークスペースは、以下の3つのサブディレクトリで構成されるのが一般的です。

  • src: ソースコードが配置されます。例えば、github.com/user/project のようなパスで管理されます。
  • pkg: コンパイルされたパッケージオブジェクトファイルが配置されます。
  • bin: go install コマンドでビルドされた実行可能ファイルが配置されます。これらの実行可能ファイルは、通常、GOPATH/bin にインストールされます。

GOPATH は、Goのビルドシステムが依存関係を解決し、パッケージをインポートし、実行可能ファイルをインストールする場所を決定するために不可欠です。複数の GOPATH を設定することも可能ですが、通常は単一のパスが推奨されます。

$HOME/go$GOPATH の関係

Goの初期設定では、GOPATH が明示的に設定されていない場合、デフォルトで $HOME/go がワークスペースとして使用されることがありました。そのため、多くのユーザーは特に意識することなく $HOME/goGOPATH として利用していました。しかし、ユーザーが明示的に GOPATH を別のディレクトリ(例: /usr/local/go_projects)に設定することも可能です。

このコミットの変更は、GOPATH$HOME/go であるという暗黙の前提を取り除き、ユーザーが GOPATH をどのように設定しているかに関わらず、常に正しい bin ディレクトリを PATH に追加できるようにするためのものです。

技術的詳細

この変更は、Go言語のドキュメントの正確性と堅牢性を向上させるためのものです。

  1. 汎用性の向上: 以前の $HOME/go/bin という記述は、GOPATH がデフォルト値に設定されている場合にのみ機能しました。ユーザーが GOPATH をカスタマイズしている場合、この指示は誤解を招き、Goのツールが正しく動作しない原因となっていました。$GOPATH/bin を使用することで、ドキュメントは GOPATH の実際の値に関わらず、常に正しい bin ディレクトリを指し示すようになります。これは、Go開発環境の多様な設定に対応するための重要な改善です。

  2. 一貫性の確保: Goのツールチェーンは GOPATH を中心に設計されています。go install コマンドは、ビルドされた実行可能ファイルを $GOPATH/bin に配置します。したがって、ユーザーがこれらのツールを実行できるように PATH を設定する際には、GOPATH を参照するのが最も論理的で一貫性のある方法です。この変更により、ドキュメントがGoのツールチェーンの動作とより密接に連携するようになります。

  3. ユーザーエクスペリエンスの改善: 正しい環境変数の設定は、Go開発の初期段階でつまずきやすいポイントの一つです。この修正により、ドキュメントの指示がより明確になり、ユーザーがGoの環境設定で直面する可能性のある問題を減らすことができます。これにより、特にGoを初めて学ぶユーザーにとって、よりスムーズな学習体験が提供されます。

この変更はコードの機能には影響を与えませんが、Go開発者の環境設定に関する重要なガイダンスを改善するものです。

コアとなるコードの変更箇所

変更は doc/code.html ファイルの1箇所のみです。

--- a/doc/code.html
+++ b/doc/code.html
@@ -125,7 +125,7 @@ to your <code>PATH</code>:
 </p>
 
 <pre>
-$ <b>export PATH=$PATH:$HOME/go/bin</b>
+$ <b>export PATH=$PATH:$GOPATH/bin</b>
 </pre>
 
 

コアとなるコードの解説

変更された行は、シェルスクリプトのコマンド例を示している部分です。

  • 変更前: $ <b>export PATH=$PATH:$HOME/go/bin</b>

    • これは、ユーザーのホームディレクトリ ($HOME) の直下にある go ディレクトリ内の bin サブディレクトリを PATH に追加するよう指示していました。これは、GOPATH がデフォルトの $HOME/go に設定されている場合にのみ正しく機能します。
  • 変更後: $ <b>export PATH=$PATH:$GOPATH/bin</b>

    • これは、既に定義されている GOPATH 環境変数の値を利用して、その GOPATH の下の bin サブディレクトリを PATH に追加するよう指示しています。これにより、ユーザーが GOPATH をどこに設定していようと、Goのツールがインストールされる正しいディレクトリが PATH に含まれるようになります。

この変更は、ドキュメントの小さな修正ですが、Go開発環境のセットアップにおける重要な改善であり、ユーザーがより柔軟に GOPATH を設定できるようになります。

関連リンク

  • Go CL 8248044: https://golang.org/cl/8248044 (このコミットに対応するGoのコードレビューシステム上のチェンジリスト)

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント (当時の doc/code.html の内容を理解するために参照)
  • Go言語の GOPATH に関する一般的な情報源 (Goの環境変数に関する知識)
  • Unix/Linuxにおける PATH 環境変数に関する一般的な情報源 (環境変数の動作に関する知識)