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[インデックス 16108] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるtestingパッケージのドキュメンテーション構造を改善するものです。具体的には、testing.goファイル内のコメントに「Benchmarks」と「Examples」というセクション見出しを追加し、関連するドキュメントをより見つけやすく、読みやすくすることを目的としています。

コミット

commit 03048ae454131e5274161c6dbe044a5f30a263db
Author: Volker Dobler <dr.volker.dobler@gmail.com>
Date:   Fri Apr 5 13:43:18 2013 +1100

    testing: structure package documentation
    
    Makes finding the relevant information much easier.
    
    R=golang-dev, adg
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/8353045

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/03048ae454131e5274161c6dbe044a5f30a263db

元コミット内容

testing: structure package documentation

Makes finding the relevant information much easier.

R=golang-dev, adg
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/8353045

変更の背景

Go言語のtestingパッケージは、ユニットテスト、ベンチマーク、および例(Example)を記述するための基本的な機能を提供します。これらの機能は、Goのコード品質を保証し、ライブラリの使用方法を文書化する上で不可欠です。しかし、パッケージのドキュメンテーションが長くなると、特定の情報(例えば、ベンチマークの書き方や例の実行方法)を見つけるのが困難になることがあります。

このコミットの背景には、ユーザーや開発者がtestingパッケージのドキュメント内で必要な情報をより迅速かつ効率的に見つけられるようにするという明確な意図があります。ドキュメントの構造化は、特に大規模なパッケージや頻繁に参照されるパッケージにおいて、ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させます。この変更は、ドキュメントの可読性とナビゲーション性を高めるための、シンプルながらも効果的な改善策です。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語およびソフトウェアテストに関する基本的な知識が必要です。

  1. Go言語のtestingパッケージ:

    • Go言語には、標準ライブラリとしてtestingパッケージが提供されています。これは、テスト、ベンチマーク、および例を記述するためのフレームワークです。
    • テスト関数: func TestXxx(*testing.T) の形式で記述され、go testコマンドによって実行されます。テストの成功/失敗を報告し、エラーが発生した場合はt.Errort.Fatalなどを使用して報告します。
    • ベンチマーク関数: func BenchmarkXxx(*testing.B) の形式で記述され、go test -bench=.コマンドによって実行されます。コードのパフォーマンスを測定するために使用され、b.N回ループして実行時間を測定します。
    • 例(Example)関数: func ExampleXxx() の形式で記述され、パッケージの使用例を示します。これらの関数は、go testコマンドによって実行され、その標準出力がコメントで指定された期待される出力と一致するかどうかが検証されます。これにより、コードの動作例が常に最新かつ正確であることが保証されます。
  2. Goのドキュメンテーションツール(godoc:

    • Goは、ソースコード内のコメントから自動的にドキュメンテーションを生成するgodocツールを提供しています。パッケージ、関数、型、変数などの宣言の直前に記述されたコメントは、その要素のドキュメンテーションとして扱われます。
    • パッケージレベルのドキュメンテーションは、パッケージ宣言の直前に記述されたコメントから生成されます。このドキュメンテーションは、パッケージの目的、使用方法、主要な機能などを説明するために使用されます。
    • godocは、特定のキーワードや構造(例: func BenchmarkXxx)を認識し、それらを適切にフォーマットして表示します。
  3. コードコメントの重要性:

    • コード内のコメントは、コードの意図、設計上の決定、複雑なロジックなどを説明するために不可欠です。特に、公開APIのドキュメンテーションコメントは、そのAPIを使用する開発者にとっての主要な情報源となります。
    • 構造化されたコメントは、ドキュメントのナビゲーションを容易にし、ユーザーが探している情報を素早く見つけられるようにします。

このコミットは、testingパッケージのパッケージレベルのドキュメンテーションコメントに、特定のセクション見出し(// Benchmarks// Examples)を追加することで、godocによって生成されるドキュメントの構造を改善しようとしています。これにより、ユーザーはベンチマークや例に関する情報がどこに記述されているかを直感的に理解できるようになります。

技術的詳細

このコミットは、Go言語のドキュメンテーション生成メカニズムと、testingパッケージの内部構造に関する理解に基づいています。

Goのgodocツールは、ソースコードのコメントを解析し、HTML形式のドキュメントを生成します。このツールは、特定のコメントの慣習を認識し、それらをドキュメント内で適切にレンダリングします。例えば、関数宣言の直前のコメントはその関数の説明となり、パッケージ宣言の直前のコメントはパッケージ全体の概要となります。

testingパッケージのtesting.goファイルは、パッケージの主要な型(T, B, Mなど)と、テスト、ベンチマーク、例の実行に関する内部ロジックを定義しています。このファイルの冒頭には、パッケージ全体のドキュメンテーションコメントが含まれており、これはgodocによってパッケージの概要ページに表示されます。

このコミットでは、このパッケージレベルのドキュメンテーションコメント内に、以下の2つの新しいコメント行が追加されています。

  1. // Benchmarks
  2. // Examples

これらのコメント行は、Goのドキュメンテーション慣習において、特定のセクションの開始を示すための非公式な見出しとして機能します。godocはこれらのコメントを特別な方法で解釈するわけではありませんが、人間がドキュメントを読む際に、その後のテキストがベンチマークや例に関するものであることを明確に示唆します。これにより、ドキュメントの論理的な区切りが視覚的に明確になり、ユーザーは関連情報を探しやすくなります。

この変更は、コードの実行ロジックやAPIの動作には一切影響を与えません。純粋にドキュメンテーションの改善であり、Goのツールチェーン(特にgodoc)がソースコードコメントからドキュメントを生成する方法を最大限に活用しています。このようなドキュメンテーションの構造化は、大規模なプロジェクトや、多くの開発者が関わるオープンソースプロジェクトにおいて、情報の発見可能性と保守性を高める上で非常に重要です。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/testing/testing.goファイルにのみ行われています。

--- a/src/pkg/testing/testing.go
+++ b/src/pkg/testing/testing.go
@@ -18,6 +18,8 @@
 //         ...\
 //     }\
 //\
+// Benchmarks\
+//\
 // Functions of the form\
 //     func BenchmarkXxx(*testing.B)\
 // are considered benchmarks, and are executed by the \"go test\" command when\
@@ -49,6 +51,8 @@
 //         }\
 //     }\
 //\
+// Examples\
+//\
 // The package also runs and verifies example code. Example functions may\
 // include a concluding line comment that begins with \"Output:\" and is compared with\
 // the standard output of the function when the tests are run. (The comparison\

具体的には、以下の2箇所にそれぞれ2行が追加されています。

  1. // Benchmarks のコメント行とその後の空行
  2. // Examples のコメント行とその後の空行

これらの行は、既存のドキュメンテーションコメントの間に挿入され、それぞれベンチマーク関数と例関数に関する説明の前に配置されています。

コアとなるコードの解説

このコミットにおける「コアとなるコード」は、src/pkg/testing/testing.goファイル内のパッケージレベルのドキュメンテーションコメントです。このファイルはGoのtestingパッケージの主要な定義を含んでおり、その冒頭のコメントはgodocによってパッケージの概要として表示されます。

追加された行は以下の通りです。

// Benchmarks
//
// Functions of the form
//     func BenchmarkXxx(*testing.B)
// are considered benchmarks, and are executed by the "go test" command when
// ... (既存のベンチマークに関する説明)

// Examples
//
// The package also runs and verifies example code. Example functions may
// include a concluding line comment that begins with "Output:" and is compared with
// ... (既存の例に関する説明)

これらのコメント行は、Goのドキュメンテーション慣習に従って、特定のセクションの開始を視覚的に示すためのものです。godocはこれらのコメントを特別な構文として解釈するわけではありませんが、生成されるHTMLドキュメントにおいて、これらの行は独立した見出しのように機能し、その後のテキストが特定のトピック(ベンチマークまたは例)に関するものであることを明確にします。

この変更の目的は、testingパッケージのドキュメントを閲覧する開発者が、ベンチマークや例に関する情報がどこから始まるのかを直感的に把握できるようにすることです。これにより、ドキュメント全体のナビゲーション性が向上し、必要な情報を素早く見つけることができるようになります。これは、コードの機能的な変更ではなく、純粋にドキュメンテーションの品質とユーザビリティを向上させるための「構造化」の変更です。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメンテーション
  • Go言語のソースコードリポジトリ(GitHub)
  • Go言語のコードレビューシステム(Gerrit)の変更セット(https://golang.org/cl/8353045 は、このコミットがGerrit上でレビューされた際の変更セットIDを示しています。現在はgo.googlesource.comにリダイレクトされます。)