[インデックス 16204] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である doc/articles/godoc_documenting_go_code.html
ファイル内の壊れたリンクを修正することを目的としています。具体的には、godoc
が BUG()
コメントをどのように処理するかを説明するセクションにおいて、参照されているパッケージのバグリストへのリンクが誤っていたため、これを正しいリンクに更新しています。
コミット
- コミットハッシュ:
10cdb92000de7d6b5489f33e12e4533fdbb3f69c
- Author: Brad Fitzpatrick bradfitz@golang.org
- Date: Fri Apr 19 12:00:40 2013 -0700
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/10cdb92000de7d6b5489f33e12e4533fdbb3f69c
元コミット内容
doc: fix another broken link
Fixes #5316
R=golang-dev, r, minux.ma
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/8871043
変更の背景
この変更の背景には、Go言語のドキュメント godoc_documenting_go_code.html
内に存在する、特定のバグ報告へのリンクが機能していなかったという問題があります。godoc
は、Goのソースコード内に記述された BUG(who)
形式のコメントを自動的に抽出し、パッケージのドキュメントに「Bugs」セクションとして表示する機能を持っています。このドキュメントは、その機能の例として bytes
パッケージのバグを参照していましたが、そのリンクが古くなっていたか、あるいは参照先が変更されたために壊れていました。
コミットメッセージには Fixes #5316
とありますが、現在のGoリポジトリのGitHub Issueトラッカーでこの番号を検索しても直接関連するIssueは見つかりませんでした。これは、Issueトラッカーが変更された、あるいは内部的なトラッカーの番号である可能性が考えられます。しかし、コミットの意図は明確に「壊れたリンクの修正」であり、ドキュメントの正確性を保つためのメンテナンス作業の一環として行われました。
前提知識の解説
godoc
とは
godoc
は、Go言語のソースコードからドキュメントを生成するためのツールです。Goのコードは、そのコメントの書き方によって自動的にドキュメントとして整形され、Webブラウザを通じて閲覧可能な形式で提供されます。これは、Goの「ドキュメントはコードと共に生きる」という設計思想を反映しており、開発者がコードとドキュメントを常に同期させやすくすることを目的としています。
BUG(who)
コメント
godoc
には、特別なコメント形式として BUG(who)
があります。これは、コード内に既知のバグや未解決の問題があることを示すために使用されます。who
の部分には、そのバグについてより詳しい情報を提供できる人物のユーザー名が記述されます。godoc
は、これらのコメントを解析し、生成されるパッケージドキュメントの「Bugs」セクションに自動的にリストアップします。これにより、ユーザーや開発者は、そのパッケージに存在する既知の問題を容易に把握できます。
Go言語のドキュメント構造
Go言語の公式ドキュメントは、golang.org
ドメインの下で提供されており、パッケージドキュメントは通常 /pkg/
パス以下に配置されます。例えば、bytes
パッケージのドキュメントは /pkg/bytes/
に、sync/atomic
パッケージのドキュメントは /pkg/sync/atomic/
にあります。特定のセクションへのリンクは、#
を使用したアンカーリンクで指定されます。#pkg-bugs
はパッケージ全体のバグセクションを指し、#pkg-note-BUG
は特定の BUG
コメントが記述された場所を指すことがあります。
技術的詳細
このコミットの技術的詳細は、HTMLドキュメント内のハイパーリンクの修正に集約されます。godoc_documenting_go_code.html
は、godoc
の機能について説明する記事であり、その中で BUG()
コメントの例を挙げています。
元のドキュメントでは、bytes
パッケージのバグを例として参照していましたが、このリンクが /pkg/bytes/#pkg-bugs
となっていました。しかし、このリンクはもはや有効ではなかったか、あるいはより適切な例として sync/atomic
パッケージの BUG
コメントを参照するように変更する必要があったと考えられます。
修正では、リンク先を /pkg/sync/atomic/#pkg-note-BUG
に変更しています。これは、sync/atomic
パッケージ内の特定の BUG
コメント(BUG(rsc)
で始まるコメント)を直接指すように変更されたことを意味します。この変更により、ドキュメントの読者は、godoc
が BUG()
コメントをどのように表示するかについて、より正確で機能する例を参照できるようになりました。
また、例として示されている BUG
コメントの内容も、bytes
パッケージの「Unicode punctuation」に関するものから、sync/atomic
パッケージの「x86-32における64-bit関数の命令セットの可用性」および「64-bitアライメントの責任」に関する具体的なバグ記述に更新されています。これにより、ドキュメントの例がより具体的で、かつ現在のGoのコードベースに即したものになっています。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/doc/articles/godoc_documenting_go_code.html
+++ b/doc/articles/godoc_documenting_go_code.html
@@ -83,11 +83,14 @@ godoc's output, with one notable exception. Top-level comments that begin with
the word <code>"BUG(who)"</code> are recognized as known bugs, and included in
the "Bugs" section of the package documentation. The "who" part should be the
user name of someone who could provide more information. For example, this is a
-known issue from the <a href="/pkg/bytes/#pkg-bugs"><code>bytes</code></a> package:
+known issue from the <a href="/pkg/sync/atomic/#pkg-note-BUG"><code>sync/atomic</code></a> package:
</p>
<pre>
-// BUG(r): The rule Title uses for word boundaries does not handle Unicode punctuation properly.
+// BUG(rsc): On x86-32, the 64-bit functions use instructions
+// unavailable before the Pentium MMX. On both ARM and x86-32, it is the
+// caller's responsibility to arrange for 64-bit alignment of 64-bit
+// words accessed atomically.
</pre>
<p>
コアとなるコードの解説
変更は doc/articles/godoc_documenting_go_code.html
ファイルの2箇所にあります。
-
リンクの変更:
- <a href="/pkg/bytes/#pkg-bugs"><code>bytes</code></a> package:
+ <a href="/pkg/sync/atomic/#pkg-note-BUG"><code>sync/atomic</code></a> package:
この行では、
godoc
のBUG()
コメント機能の例として参照されているパッケージへのハイパーリンクが変更されています。以前はbytes
パッケージのバグセクション (#pkg-bugs
) を指していましたが、これをsync/atomic
パッケージ内の特定のBUG
コメント (#pkg-note-BUG
) を指すように修正しています。これにより、リンク切れが解消され、より適切な例が示されるようになりました。 -
BUG
コメントの例の変更:- // BUG(r): The rule Title uses for word boundaries does not handle Unicode punctuation properly.
+ // BUG(rsc): On x86-32, the 64-bit functions use instructions
+ // unavailable before the Pentium MMX. On both ARM and x86-32, it is the
+ // caller's responsibility to arrange for 64-bit alignment of 64-bit
+ // words accessed atomically.
リンクの変更に伴い、その下に表示される
BUG
コメントのコード例も更新されています。以前はbytes
パッケージに関連する短いコメントでしたが、新しい例はsync/atomic
パッケージの実際のBUG
コメント(rsc
が報告者)を反映しており、より詳細な技術的背景を持つバグについて記述されています。これは、ドキュメントの正確性と具体性を向上させるための変更です。
これらの変更により、godoc
の BUG()
コメント機能に関する説明が、より正確で最新の例に基づいて行われるようになりました。
関連リンク
- Go言語の公式ドキュメント: https://golang.org/doc/
godoc
のドキュメント: https://golang.org/cmd/godoc/- Go言語の
sync/atomic
パッケージドキュメント: https://golang.org/pkg/sync/atomic/ - Go言語の
bytes
パッケージドキュメント: https://golang.org/pkg/bytes/ - このコミットのGo CL (Code Review) ページ: https://golang.org/cl/8871043
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント (特に
godoc
の使い方に関する記事やパッケージドキュメント) - Gitの差分表示の一般的な理解
- HTMLのハイパーリンク (
<a>
タグ) の基本的な知識