[インデックス 16265] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントの一部である doc/effective_go.html
ファイルに対する変更です。effective_go.html
は、Go言語を効果的に記述するためのプラクティスやイディオムについて解説した重要なドキュメントであり、Goプログラマーがより良いコードを書くための指針を提供しています。このファイルはHTML形式で記述されており、ウェブブラウザで閲覧されることを想定しています。
コミット
このコミットは、doc/effective_go.html
内のコードスニペットにおける書式設定の修正を目的としています。具体的には、Go言語の組み込み関数である append
のシグネチャを示すコード例において、引数と可変長引数を示す ...
の間にスペースを追加することで、視認性と正確性を向上させています。
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/48c4a87a94652898653c24f0b7a6e58f76fffa6b
元コミット内容
commit 48c4a87a94652898653c24f0b7a6e58f76fffa6b
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Fri May 3 15:24:05 2013 -0400
doc: fix formatting in effective go code snippet
Fixes #5403.
R=golang-dev, minux.ma
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/9100046
変更の背景
この変更の背景には、effective_go.html
ドキュメント内のコードスニペットの書式設定が、Go言語の標準的な慣習や読みやすさの観点から最適ではなかったという問題があります。コミットメッセージに Fixes #5403
とあるように、これは特定の課題(Issue 5403)を解決するためのものです。
Issue 5403の具体的な内容は、一般的なウェブ検索では直接見つけることができませんでしたが、これはGoプロジェクトの内部的な課題追跡システムにおけるIDである可能性が高いです。通常、このような書式設定の修正は、ドキュメントの正確性、可読性、および一貫性を保つために行われます。特に、プログラミング言語の公式ドキュメントにおいては、コード例のわずかな書式設定の不一致でも、読者に誤解を与えたり、混乱を招いたりする可能性があるため、細部にわたる修正が重要視されます。
この修正は、append
関数の可変長引数を示す ...
の前にスペースがないという、小さな書式上の不備を解消し、Go言語のコードスタイルガイドラインに沿った表現にすることで、ドキュメントの品質を向上させることを目的としています。
前提知識の解説
このコミットの変更内容を理解するためには、以下のGo言語の概念について理解しておく必要があります。
1. Go言語の append
関数
append
はGo言語に組み込まれている関数で、スライス(slice)に要素を追加するために使用されます。スライスはGo言語における動的な配列のようなもので、同じ型の要素のシーケンスを表します。append
関数の基本的なシグネチャは以下のようになります。
func append(slice []T, elements ...T) []T
slice []T
: 要素を追加する対象のスライスです。T
は任意の型を表すプレースホルダーです。elements ...T
: 追加する要素です。この...
は「可変長引数(variadic arguments)」を示します。
append
関数は、新しい要素が追加されたスライスを返します。元のスライスの容量が不足している場合、append
はより大きな容量を持つ新しい基底配列を割り当て、要素をコピーして新しいスライスを返します。
2. Go言語の可変長引数(Variadic Arguments)
Go言語では、関数の最後の引数に ...
を付けることで、その関数が任意の数の引数を受け取れるようにすることができます。これを可変長引数と呼びます。
例:
func sum(nums ...int) int {
total := 0
for _, num := range nums {
total += num
}
return total
}
// 呼び出し例
sum(1, 2, 3) // nums は []int{1, 2, 3} となる
sum(10, 20) // nums は []int{10, 20} となる
sum() // nums は []int{} となる
可変長引数は関数内でスライスとして扱われます。上記の sum
関数の例では、nums
は []int
型のスライスとして関数本体内で利用できます。
3. HTMLにおける <i>
タグ
<i>
タグはHTMLの要素で、慣用的なテキスト、技術用語、分類学上の名称、思考、またはその他の理由で、通常の散文とは異なるテキストの範囲を表すために使用されます。このコミットの文脈では、<i>T</i>
のように型パラメータ T
をイタリック体で表示するために使用されています。これは、コードスニペット内で特定の要素がプレースホルダーであることを視覚的に示す一般的な方法です。
技術的詳細
このコミットで行われた技術的な変更は非常にシンプルですが、ドキュメントの品質向上に寄与しています。
変更点は、doc/effective_go.html
内の append
関数のシグネチャを示すHTMLコードスニペットにおいて、以下の1文字の修正です。
- 変更前:
elements...<i>T</i>
- 変更後:
elements ...<i>T</i>
具体的には、可変長引数を示す elements
と ...
の間に半角スペースが挿入されました。
Go言語の公式な書式設定ツールである gofmt
は、通常、キーワードや識別子と演算子、句読点の間には適切なスペースを挿入します。可変長引数の構文 ...Type
においては、...
は型の一部として扱われるため、通常は elements ...T
のように識別子と ...
の間にスペースが入ることが一般的です。この修正は、Go言語のコードスタイルガイドラインに沿った、より自然で読みやすい書式に合わせるものです。
この変更は、ドキュメントのレンダリング結果にわずかな視覚的変化をもたらしますが、その影響は小さいです。しかし、正確なコード表現と一貫した書式設定は、プログラミング言語のドキュメントにおいて非常に重要であり、読者がコードを正確に理解し、誤解を避けるために不可欠です。
コアとなるコードの変更箇所
--- a/doc/effective_go.html
+++ b/doc/effective_go.html
@@ -1805,7 +1805,7 @@ is different from our custom <code>Append</code> function above.
Schematically, it's like this:
</p>
<pre>
-func append(slice []<i>T</i>, elements...<i>T</i>) []<i>T</i>
+func append(slice []<i>T</i>, elements ...<i>T</i>) []<i>T</i>
</pre>
<p>
where <i>T</i> is a placeholder for any given type. You can't
コアとなるコードの解説
上記の差分は、doc/effective_go.html
ファイルの1805行目付近における変更を示しています。
-func append(slice []<i>T</i>, elements...<i>T</i>) []<i>T</i>
- これは変更前の行です。
elements
と...<i>T</i>
の間にスペースがありません。HTMLの<i>
タグは、型パラメータT
をイタリック体で表示するために使用されています。
- これは変更前の行です。
+func append(slice []<i>T</i>, elements ...<i>T</i>) []<i>T</i>
- これは変更後の行です。
elements
と...<i>T</i>
の間に半角スペースが追加されています。
- これは変更後の行です。
この変更は、Go言語の append
関数のシグネチャをより正確に、かつGo言語の一般的なコーディングスタイルに沿って表現するためのものです。可変長引数を示す ...
は、その前の識別子(この場合は elements
)とは通常スペースで区切られます。この修正により、ドキュメント内のコードスニペットが、実際のGoコードの慣習により近くなり、読者にとっての理解が深まります。
この修正は機能的な変更ではなく、ドキュメントの書式設定と正確性に関する改善です。
関連リンク
- Effective Go: Go言語の公式ドキュメントの一部であり、Goプログラミングのベストプラクティスを解説しています。
- Go言語の
append
関数に関するドキュメント: - Go言語の可変長引数に関するドキュメント:
- https://go.dev/tour/moretypes/19 (Go Tourの該当セクション)
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント (Effective Go,
builtin
パッケージドキュメント, Go Tour) - HTML
<i>
タグに関するMDN Web Docs: https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Element/i - Go言語のIssueトラッカー(一般的な情報源として)
gofmt
の書式設定に関する一般的な知識