[インデックス 16293] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるimage
パッケージ内のformat.go
ファイルに対する軽微なコメント修正です。具体的には、画像フォーマットの登録が「init method」によって行われるという記述を「init function」に修正し、より正確なGo言語の用語に合わせることを目的としています。
コミット
commit 392cebea5dd9acfb249b8a7daf1c6e759e70e5b8
Author: Robin Eklind <r.eklind.87@gmail.com>
Date: Tue May 14 13:28:16 2013 -0700
image: minor update of comments.
R=golang-dev, iant, bradfitz, nigeltao
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/9408044
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/392cebea5dd9acfb249b8a7daf1c6e759e70e5b8
元コミット内容
image: minor update of comments.
このコミットは、image
パッケージ内のコメントを微修正するものです。
変更の背景
Go言語では、パッケージの初期化はinit
関数によって行われます。これは特定の型に紐づく「メソッド」とは異なり、パッケージレベルで定義される特殊な関数です。既存のコメントでは、画像フォーマットの登録が「init method」によって行われると記述されていましたが、これはGo言語の正確な用語法とは異なっていました。このコミットは、この用語の不正確さを修正し、コードのコメントがGo言語の慣習と一致するようにするためのものです。
前提知識の解説
Go言語のinit
関数
Go言語において、init
関数は非常に特殊な役割を持つ関数です。
- 自動実行:
init
関数は、プログラムの実行開始時、main
関数が呼び出される前に自動的に実行されます。 - パッケージ初期化: 各パッケージは複数の
init
関数を持つことができ、それらはパッケージがインポートされた際に、宣言順に実行されます。 - 依存関係の解決: パッケージの依存関係に基づいて、インポートされたパッケージの
init
関数が先に実行され、その後に現在のパッケージのinit
関数が実行されます。 - 用途:
init
関数は、パッケージレベルの変数の初期化、外部リソースへの接続、設定の読み込み、そして今回のケースのように、パッケージが提供する機能(例: 画像フォーマットの登録)を初期化するために使用されます。 - 引数と戻り値:
init
関数は引数を取らず、戻り値も持ちません。
Go言語における「関数」と「メソッド」
- 関数 (Function): Go言語における一般的なコードブロックで、特定のタスクを実行します。パッケージレベルで定義されるか、他の関数内で定義されます。
- メソッド (Method): 特定の型(構造体など)に関連付けられた関数です。レシーバ引数(
func (r ReceiverType) MethodName(...)
のr ReceiverType
の部分)を持つことで、その型のインスタンスに対して操作を行うことができます。
今回の変更は、「init」が特定の型に紐づく「メソッド」ではなく、パッケージレベルで自動実行される「関数」であるというGo言語の正確な用語法に合わせるためのものです。
Go言語のimage
パッケージ
image
パッケージは、Go言語で画像処理を行うための基本的な機能を提供します。これには、画像の読み込み、書き込み、操作などが含まれます。様々な画像フォーマット(JPEG, PNG, GIFなど)をサポートするために、各フォーマットに対応するサブパッケージ(例: image/jpeg
, image/png
)が存在します。これらのサブパッケージは、通常、自身のinit
関数内で、そのフォーマットのデコーダやエンコーダをimage
パッケージに登録します。これにより、image.Decode
やimage.DecodeConfig
のような汎用関数が、登録されたフォーマットを自動的に認識し、処理できるようになります。
技術的詳細
このコミットの技術的な詳細は、Go言語の用語の正確性に関するものです。
src/pkg/image/format.go
ファイルには、Decode
関数とDecodeConfig
関数に関するコメントが含まれています。これらの関数は、登録された画像フォーマットをデコードするために使用されます。コメントは、フォーマットの登録がどのように行われるかを説明しています。
変更前:
Format registration is typically done by the init method of the codec-specific package.
(フォーマット登録は通常、コーデック固有パッケージのinitメソッドによって行われます。)
変更後:
Format registration is typically done by an init function in the codec-specific package.
(フォーマット登録は通常、コーデック固有パッケージのinit関数によって行われます。)
この変更は、Go言語のinit
が「メソッド」ではなく「関数」であるという事実を反映しています。init
はレシーバを持たず、特定の型に関連付けられていません。そのため、「init method」という表現は誤りであり、「init function」が正しい表現です。この修正は、コードの機能には影響を与えませんが、ドキュメントの正確性を向上させ、Go言語の慣習に沿ったものとします。
コアとなるコードの変更箇所
変更はsrc/pkg/image/format.go
ファイル内の2箇所にあります。
--- a/src/pkg/image/format.go
+++ b/src/pkg/image/format.go
@@ -73,7 +73,7 @@ func sniff(r reader) format {
// Decode decodes an image that has been encoded in a registered format.
// The string returned is the format name used during format registration.
-// Format registration is typically done by the init method of the codec-
+// Format registration is typically done by an init function in the codec-
// specific package.
func Decode(r io.Reader) (Image, string, error) {
rr := asReader(r)
@@ -88,7 +88,7 @@ func Decode(r io.Reader) (Config, string, error) {
// DecodeConfig decodes the color model and dimensions of an image that has
// been encoded in a registered format. The string returned is the format name
// used during format registration. Format registration is typically done by
-// the init method of the codec-specific package.
+// an init function in the codec-specific package.
func DecodeConfig(r io.Reader) (Config, string, error) {
rr := asReader(r)
f := sniff(rr)
具体的には、以下の2行が変更されています。
// Format registration is typically done by the init method of the codec-
が// Format registration is typically done by an init function in the codec-
に変更。// the init method of the codec-specific package.
が// an init function in the codec-specific package.
に変更。
コアとなるコードの解説
変更された行は、image.Decode
関数とimage.DecodeConfig
関数のコメント部分です。これらのコメントは、Goのimage
パッケージがどのように異なる画像フォーマットを認識し、デコードするかを説明しています。
image.Decode
関数は、io.Reader
から画像データを読み込み、そのフォーマットを自動的に判別してデコードし、image.Image
インターフェースとフォーマット名を返します。
image.DecodeConfig
関数は、画像データから色モデルと寸法のみをデコードし、image.Config
構造体とフォーマット名を返します。
これらの関数が様々な画像フォーマットを扱えるのは、各フォーマット(例: JPEG, PNG)に対応するサブパッケージが、自身のinit
関数内でそのフォーマットのデコーダをimage
パッケージに登録しているためです。
変更されたコメントは、この「フォーマット登録」のメカニズムを説明する部分であり、init
がGo言語の文脈では「関数」として扱われるべきであることを明確にしています。この修正により、Go言語の初心者や、init
関数の正確な役割について理解を深めたい開発者にとって、より正確で誤解の少ない情報が提供されることになります。
関連リンク
参考にした情報源リンク
- GitHub上のコミットページ
- Go言語の
init
関数に関する情報 (Effective Go - Initialization) - Go言語の関数とメソッドに関する情報 (A Tour of Go - Methods)