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[インデックス 16382] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリであるbufioパッケージ内のSplitFuncのドキュメントの修正に関するものです。具体的には、Scannerがより多くのデータを読み込む必要がある場合にSplitFuncが返す値についての説明が修正されています。

コミット

commit cb8782e8b3857978118b159e905b9715eb8ce403
Author: Shenghou Ma <minux.ma@gmail.com>
Date:   Thu May 23 04:38:32 2013 +0800

    bufio: fix SplitFunc docs
    Fixes #5532.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/9672044

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/cb8782e8b3857978118b159e905b9715eb8ce403

元コミット内容

    bufio: fix SplitFunc docs
    Fixes #5532.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/9672044

変更の背景

このコミットは、Go言語のbufioパッケージにおけるSplitFuncのドキュメントの誤りを修正することを目的としています。コミットメッセージには「Fixes #5532」と記載されており、これはGoのIssueトラッカーにおけるIssue 5532を修正したことを示唆しています。しかし、現在のWeb検索では直接的にこのIssueの詳細は見つかりませんでした。

一般的に、ドキュメントの修正は、既存のコードの振る舞いをより正確に反映させ、開発者が関数やメソッドを正しく理解し、使用できるようにするために行われます。特に、SplitFuncのようなコールバック関数は、その戻り値がScannerの動作に直接影響を与えるため、ドキュメントの正確性は非常に重要です。以前のドキュメントでは、SplitFuncが「より多くのデータを読み込む必要がある」というシグナルを送る際の戻り値の記述が不正確であったと考えられます。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、Go言語のbufioパッケージ、特にScanner型とSplitFuncの概念を理解しておく必要があります。

bufioパッケージ

bufioパッケージは、I/O操作をバッファリングすることで効率化するための機能を提供します。これにより、ディスクやネットワークからの読み書きの回数を減らし、パフォーマンスを向上させることができます。主な型として、ReaderWriter、そしてこのコミットに関連するScannerがあります。

Scanner

bufio.Scannerは、入力ストリーム(io.Readerインターフェースを実装する任意の型)からデータを読み込み、それをトークン(単語、行、カスタム区切り文字で区切られたデータなど)に分割するためのユーティリティです。Scannerは、Scan()メソッドを呼び出すことで次のトークンを読み込み、Text()Bytes()メソッドでそのトークンを取得できます。

Scannerの動作をカスタマイズするために、SplitメソッドにSplitFunc型の関数を渡すことができます。これにより、デフォルトの行区切りや単語区切りではなく、独自のロジックで入力ストリームを分割することが可能になります。

SplitFunc

SplitFuncは、bufio.Scannerが入力データをどのようにトークンに分割するかを決定するための関数型です。そのシグネチャは以下のようになっています。

type SplitFunc func(data []byte, atEOF bool) (advance int, token []byte, err error)
  • data []byte: Scannerが現在処理している入力データのスライスです。
  • atEOF bool: 入力ストリームの終端に達しているかどうかを示すブール値です。
  • advance int: Scannerが次のスキャンを開始するために、入力データを何バイト進めるべきかを示します。
  • token []byte: 見つかったトークンです。
  • err error: エラーが発生した場合に返されるエラーです。

SplitFuncの戻り値は、Scannerの動作を制御する上で非常に重要です。特に、advance0tokennilの場合、Scannerは現在のdataスライスでは完全なトークンが見つからなかったと判断し、より多くのデータを読み込んでから再度SplitFuncを呼び出します。

技術的詳細

このコミットの技術的な詳細は、bufio.SplitFuncのドキュメントにおける、特定の戻り値の組み合わせに関する記述の正確性にあります。

元のドキュメントでは、SplitFuncが「より多くのデータを読み込む必要がある」というシグナルを送る際に、SplitFunc(0, nil)を返すことができると記述されていました。しかし、SplitFuncの実際のシグネチャは(advance int, token []byte, err error)であり、3つの戻り値があります。したがって、(0, nil)という記述は不完全であり、誤解を招く可能性がありました。

修正後のドキュメントでは、このケースにおける正しい戻り値の組み合わせが(0, nil, nil)であることが明記されています。これは、advance0(データを進めない)、tokennil(完全なトークンが見つからない)、そしてerrnil(エラーではない)という状態を示します。この組み合わせは、Scannerに対して「まだ完全なトークンがないので、もっとデータを読み込んでから再度試してください」という明確な指示を与えます。

この修正は、単なるタイポの修正以上の意味を持ちます。SplitFuncの実装者は、このドキュメントを参考にしながら関数を記述するため、正確な戻り値の組み合わせが明記されることで、予期せぬ動作やバグの発生を防ぐことができます。特に、nilの扱いがGo言語では重要であるため、errnilであることまで明記されたことは、ドキュメントの品質向上に貢献しています。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/bufio/scan.goファイルにあります。

--- a/src/pkg/bufio/scan.go
+++ b/src/pkg/bufio/scan.go
@@ -44,8 +44,8 @@ type Scanner struct {
 // to give. The return values are the number of bytes to advance the input
 // and the next token to return to the user, plus an error, if any. If the
 // data does not yet hold a complete token, for instance if it has no newline
-// while scanning lines, SplitFunc can return (0, nil) to signal the Scanner
-// to read more data into the slice and try again with a longer slice
+// while scanning lines, SplitFunc can return (0, nil, nil) to signal the
+// Scanner to read more data into the slice and try again with a longer slice
 // starting at the same point in the input.
 //
 // If the returned error is non-nil, scanning stops and the error

コアとなるコードの解説

この変更は、bufio/scan.goファイルのScanner構造体のドキュメントコメント内で行われています。

具体的には、SplitFuncの動作に関する説明の以下の部分が修正されました。

  • 変更前: SplitFunc can return (0, nil) to signal the Scanner to read more data into the slice and try again with a longer slice
  • 変更後: SplitFunc can return (0, nil, nil) to signal the Scanner to read more data into the slice and try again with a longer slice

この修正により、SplitFuncが「完全なトークンがまだ見つかっていないため、Scannerにさらにデータを読み込ませてから再試行させる」というシグナルを送る際の正しい戻り値の組み合わせが(0, nil, nil)であることが明確に示されました。これは、SplitFuncのシグネチャがfunc(data []byte, atEOF bool) (advance int, token []byte, err error)であることに対応しています。以前の記述では、errの戻り値が省略されており、誤解を招く可能性がありました。この修正によって、ドキュメントがより正確になり、開発者がSplitFuncを実装する際の混乱が解消されます。

関連リンク

参考にした情報源リンク