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[インデックス 16406] ファイルの概要

このコミットは、Go言語のバージョン1.2のリリースノートの準備を開始するものです。具体的には、doc/go1.2.txtという新しいテキストファイルを作成し、Go 1.2で変更された内容を記録するための初期のガイドラインと最初の項目を追加しています。このファイルは、リリースプロセスが始まるまでは、整形されたテキストではなく、ヒントの集まりとして扱われることが意図されています。

コミット

  • コミットハッシュ: 30fde1b2795c2db5672b86a45ec32fdb8942573e
  • Author: Russ Cox rsc@golang.org
  • Date: Fri May 24 16:34:50 2013 -0400
  • コミットメッセージ:
    doc: start go 1.2 notes
    
    This is a file of hints, not a file of polished text.
    Let's not try to do polished text until we start the
    release process.
    
    R=golang-dev, gri
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/9750043
    

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/30fde1b2795c2db5672b86a45ec32fdb8942573e

元コミット内容

doc: start go 1.2 notes

This is a file of hints, not a file of polished text.
Let's not try to do polished text until we start the
release process.

R=golang-dev, gri
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/9750043

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語の新しいバージョン(Go 1.2)のリリースに向けた準備があります。Go言語のような大規模なプロジェクトでは、新しいバージョンがリリースされる際に、そのバージョンで導入された変更点、改善点、非互換性などをユーザーに伝えるための詳細なリリースノートが作成されます。

このコミットは、そのリリースノート作成プロセスの初期段階として、変更点を記録するための一時的なテキストファイル doc/go1.2.txt を作成しています。コミットメッセージにある「This is a file of hints, not a file of polished text. Let's not try to do polished text until we start the release process.」という記述から、このファイルは開発者が変更点を気軽に追記できるような、軽量なメモ帳のような役割を果たすことが意図されています。最終的なリリースノートは、リリースプロセスが本格化する段階で、このテキストファイルの内容を基に、より洗練されたHTML形式などに変換されることになります。

このようなアプローチは、開発の進行中に変更点をリアルタイムで捕捉し、リリースノート作成の負担を軽減するための一般的なプラクティスです。

前提知識の解説

Go言語

Go(Golang)は、Googleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語です。静的型付け、コンパイル型、並行処理のサポート、ガベージコレクションなどの特徴を持ち、シンプルさ、効率性、信頼性を重視しています。システムプログラミング、Webサービス、ネットワークプログラミングなどで広く利用されています。

リリースノート

リリースノートとは、ソフトウェアの新しいバージョンがリリースされる際に、そのバージョンに含まれる変更点、新機能、バグ修正、既知の問題、非互換性などをまとめた文書です。ユーザーが新しいバージョンにアップグレードする際に、何が変わったのか、どのような影響があるのかを理解するために非常に重要です。Go言語のリリースノートは、通常、公式ウェブサイトでHTML形式で公開されます。

Goのリリースサイクル

Go言語は、通常、年に2回のメジャーリリース(例: Go 1.x)を行います。各リリースには、新しい機能、パフォーマンスの改善、バグ修正などが含まれます。リリースプロセスは、開発、ベータ版、リリース候補版、そして最終リリースという段階を経て進行します。このコミットは、Go 1.2のリリースに向けた初期のドキュメント準備段階に当たります。

io.Copyio.WriterToio.ReaderFrom

Go言語のioパッケージは、I/Oプリミティブを提供します。

  • io.Copy(dst Writer, src Reader): srcからdstへデータをコピーする関数です。
  • io.WriterToインターフェース: WriteTo(w Writer) (n int64, err error)メソッドを持つインターフェースです。このインターフェースを実装する型は、自身のコンテンツをwに書き込むことができます。
  • io.ReaderFromインターフェース: ReadFrom(r Reader) (n int64, err error)メソッドを持つインターフェースです。このインターフェースを実装する型は、rからデータを読み込み、自身の状態を更新することができます。

io.Copyは、効率的なコピーのために、srcio.WriterToを実装している場合や、dstio.ReaderFromを実装している場合に、それらのメソッドを優先的に使用する最適化を行います。このコミットで言及されている変更は、この最適化の優先順位に関するものです。

技術的詳細

このコミットは、doc/go1.2.txtという新しいファイルを作成しています。このファイルは、Go 1.2のリリースノートの草稿として機能します。

ファイルの冒頭には、このファイルの目的と使用方法に関する重要な指示が記述されています。

  • 「This file collects notes about what has changed since Go 1.1 and should be mentioned in the Go 1.2 release notes.」: このファイルはGo 1.1以降の変更点を収集し、Go 1.2のリリースノートに記載されるべき内容をまとめるものです。
  • 「During the Go 1.2 release process it will be necessary to convert it to HTML, similar to go1.1.html, but for now it is a text file, to make the process of keeping it up-to-date more lightweight.」: Go 1.2のリリースプロセス中に、このファイルはgo1.1.htmlと同様にHTMLに変換される必要がありますが、現時点ではテキストファイルとして維持され、更新プロセスをより軽量に保つことが目的です。これは、開発者が変更点を迅速に追記できるようにするための実用的な選択です。
  • 「Please keep the descriptions to a single line, starting with the package or cmd/xxx directory name, and ending in a CL number.」: 各記述は1行にまとめ、パッケージ名またはcmd/xxxディレクトリ名で始まり、CL(Change List)番号で終わるように指示されています。CL番号は、Goプロジェクトで変更を追跡するための識別子です。
  • 「Please keep the list sorted (as in sort.Strings of the lines).」: リストはソートされた状態(sort.Stringsでソートしたような順序)に保つように指示されています。これにより、ファイルの可読性と管理が容易になります。

ファイルに追加された最初の項目は以下の通りです。

  • io: Copy prioritizes WriterTo over ReaderFrom (CL 9462044).

これは、io.Copy関数の内部的な動作変更を示しています。以前はio.Copyがデータをコピーする際に、dstio.ReaderFromを実装している場合にそのメソッドを優先して使用していましたが、この変更により、srcio.WriterToを実装している場合にそのメソッドを優先するようになりました。この変更は、特定のシナリオでコピー操作の効率を向上させる可能性があります。CL 9462044は、この具体的な変更が導入されたChange Listの番号です。

コアとなるコードの変更箇所

このコミットでは、doc/go1.2.txtという新しいファイルが作成され、以下の内容が追加されています。

--- /dev/null
+++ b/doc/go1.2.txt
@@ -0,0 +1,11 @@
+This file collects notes about what has changed since Go 1.1
+and should be mentioned in the Go 1.2 release notes.
+During the Go 1.2 release process it will be necessary to convert
+it to HTML, similar to go1.1.html, but for now it is a text file,
+to make the process of keeping it up-to-date more lightweight.
+
+Please keep the descriptions to a single line, starting with the
+package or cmd/xxx directory name, and ending in a CL number.
+Please keep the list sorted (as in sort.Strings of the lines).
+
+io: Copy prioritizes WriterTo over ReaderFrom (CL 9462044).

コアとなるコードの解説

新しく作成されたdoc/go1.2.txtファイルは、Go 1.2のリリースノートの初期ドラフトとして機能します。

  • 行1-5: このファイルの目的と、なぜ現時点ではテキストファイルとして維持されているのかを説明しています。これは、Go 1.2リリースノートに含めるべきGo 1.1以降の変更点を収集するためのものであり、リリースプロセス中にHTML形式に変換される予定ですが、現時点では更新を容易にするために軽量なテキスト形式が採用されています。
  • 行7-8: 変更点の記述に関するフォーマットのガイドラインを提供しています。各記述は1行にまとめ、関連するパッケージ名またはcmd/xxxディレクトリ名で始まり、その変更が導入されたChange List (CL) 番号で終わる必要があります。
  • 行9: リストの順序に関する指示です。リストはソートされた状態(sort.Strings関数でソートしたような順序)に保つように求められています。これにより、複数の貢献者が変更点を追加しても、ファイルが整理された状態を保つことができます。
  • 行11: 最初の具体的な変更点が記述されています。これはioパッケージに関するもので、「io: Copy prioritizes WriterTo over ReaderFrom (CL 9462044).」とあります。これは、io.Copy関数がデータをコピーする際に、io.WriterToインターフェースの実装をio.ReaderFromインターフェースの実装よりも優先するように変更されたことを示しています。CL 9462044は、この特定の変更がGoのコードベースにコミットされた際の識別子です。

このファイルは、Go開発者がGo 1.2のリリースに向けて行われた変更を追跡し、最終的なリリースノートを効率的に作成するための共同作業スペースとして機能します。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語公式ドキュメント: https://go.dev/doc/
  • Go言語のリリースプロセスに関する一般的な情報 (Goのブログや開発者向けメーリングリストのアーカイブなど)
  • Gitのコミットと差分に関する一般的な知識
  • ioパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/io
  • sortパッケージのドキュメント: https://pkg.go.dev/sort
  • GoのChange List (CL) についての一般的な情報 (Gerrit Code Reviewなど)