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[インデックス 16631] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリsrc/pkg/hash/hash.goファイルに対するドキュメントの微調整です。具体的には、Hashインターフェースのメソッドに関するコメントの表現が改善されています。セマンティックな変更は一切なく、コードの動作に影響はありません。

コミット

commit feab3f4986016dc9043a07bf57f6ca4d38fc5bc8
Author: Rob Pike <r@golang.org>
Date:   Mon Jun 24 16:53:13 2013 -0700

    hash: tweak the package docs
    No semantic change.
    I found the wording distracting in a couple of instances and was moved to improve it.
    
    R=golang-dev, bradfitz
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/10478048

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/feab3f4986016dc9043a07bf57f6ca4d38fc5bc8

元コミット内容

hash: tweak the package docs
No semantic change.
I found the wording distracting in a couple of instances and was moved to improve it.

変更の背景

このコミットの背景は、Go言語のhashパッケージのドキュメントコメントの明確性を向上させることにあります。コミットメッセージに「wording distracting (気が散るような表現)」とあるように、既存のコメントが読者にとって分かりにくい、あるいは誤解を招く可能性があったため、より正確で理解しやすい表現に修正されました。これは、コードの可読性とメンテナンス性を高めるための、継続的なドキュメント改善の一環です。特に、Go言語の標準ライブラリは、その設計思想や利用方法を明確に伝えるために、ドキュメントの質が非常に重視されます。

前提知識の解説

Go言語のhashパッケージ

Go言語のhashパッケージは、暗号学的ハッシュ関数(例: SHA-256, MD5)や非暗号学的ハッシュ関数(例: CRC32)を実装するための共通インターフェースを提供します。このパッケージは、具体的なハッシュアルゴリズムの実装ではなく、それらのアルゴリズムが満たすべき共通の振る舞いを定義する役割を担っています。これにより、異なるハッシュアルゴリズムを統一的な方法で扱うことが可能になります。

hash.Hashインターフェース

hash.Hashインターフェースは、すべてのハッシュ関数が実装すべきメソッドを定義しています。主要なメソッドは以下の通りです。

  • Write(p []byte) (n int, err error): 入力データをハッシュ関数に供給します。このメソッドはio.Writerインターフェースを埋め込んでいるため、io.Writerの要件を満たします。
  • Sum(b []byte) []byte: 現在のハッシュ値を計算し、bに追加して返します。このメソッドはハッシュ関数の内部状態を変更しません。
  • Reset(): ハッシュ関数の内部状態を初期状態に戻します。これにより、同じハッシュインスタンスを再利用して新しいデータのハッシュを計算できます。
  • Size() int: ハッシュ値のバイト数を返します。
  • BlockSize() int: ハッシュ関数が一度に処理するブロックのバイト数を返します。

io.Writerインターフェース

io.Writerインターフェースは、Go言語における基本的なI/Oプリミティブの一つです。これは、データを書き込むことができるすべての型が実装すべき単一のメソッドWrite(p []byte) (n int, err error)を定義しています。hash.Hashインターフェースがio.Writerを埋め込んでいるということは、Hash型のインスタンスはio.Writerとして扱うことができ、Writeメソッドを通じてデータをハッシュ関数にストリームとして供給できることを意味します。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/hash/hash.goファイル内のHashインターフェースのコメントを修正しています。変更点は以下の2箇所です。

  1. Writeメソッドのコメント修正:

    • 変更前: // Write adds more data to the running hash.
    • 変更後: // Write (via the embedded io.Writer interface) adds more data to the running hash. この変更により、Writeメソッドが単にデータを追加するだけでなく、それがio.Writerインターフェースを介して行われることが明示されました。これにより、Hashインターフェースがio.Writerを埋め込んでいるという設計意図がより明確に伝わります。
  2. Resetメソッドのコメント修正:

    • 変更前: // Reset resets the hash to one with zero bytes written.
    • 変更後: // Reset resets the Hash to its initial state. この変更により、「ゼロバイトが書き込まれた状態にリセットする」というやや回りくどい表現が、「初期状態にリセットする」というより簡潔で一般的な表現に修正されました。これにより、Resetメソッドの機能がより直感的に理解できるようになりました。

これらの変更は、コードの動作には一切影響を与えませんが、Go言語のドキュメンテーションの品質向上に貢献しています。特に、インターフェースの設計意図やメソッドの正確な振る舞いを、より分かりやすく伝えることを目的としています。

コアとなるコードの変更箇所

変更はsrc/pkg/hash/hash.goファイルにのみ行われました。

--- a/src/pkg/hash/hash.go
+++ b/src/pkg/hash/hash.go
@@ -9,7 +9,7 @@ import "io"
 
 // Hash is the common interface implemented by all hash functions.
 type Hash interface {
-	// Write adds more data to the running hash.
+	// Write (via the embedded io.Writer interface) adds more data to the running hash.
 	// It never returns an error.
 	io.Writer
 
@@ -17,7 +17,7 @@ type Hash interface {
 	// It does not change the underlying hash state.
 	Sum(b []byte) []byte
 
-	// Reset resets the hash to one with zero bytes written.
+	// Reset resets the Hash to its initial state.
 	Reset()
 
 	// Size returns the number of bytes Sum will return.

コアとなるコードの解説

Writeメソッドのコメント変更

元のコメント「// Write adds more data to the running hash.」は、Writeメソッドがハッシュにデータを追加するという基本的な機能は伝えていましたが、Hashインターフェースがio.Writerインターフェースを埋め込んでいるという重要な設計の詳細を省略していました。

新しいコメント「// Write (via the embedded io.Writer interface) adds more data to the running hash.」は、この埋め込みの事実を明示的に記述しています。これにより、Hashインターフェースがio.Writerのセマンティクス(例えば、エラーを返さないこと)を継承していることや、io.Copyのようなio.Writerを受け入れる関数にHashインスタンスを直接渡せることなどが、より明確に示されます。これは、Goのインターフェースの埋め込みという強力な機能を理解する上で非常に役立つ情報です。

Resetメソッドのコメント変更

元のコメント「// Reset resets the hash to one with zero bytes written.」は、Resetメソッドがハッシュの状態を「ゼロバイトが書き込まれた状態」に戻すことを説明していました。これは技術的には正しいですが、やや冗長で、直感的な理解を妨げる可能性がありました。

新しいコメント「// Reset resets the Hash to its initial state.」は、より簡潔で一般的な表現です。「初期状態」という言葉は、ハッシュ関数がデータを一切受け取っていない、計算開始前のクリーンな状態を指します。この表現は、プログラマーがResetメソッドの意図をより迅速かつ正確に把握するのに役立ちます。

これらの変更は、Go言語のドキュメンテーションが、単に機能の説明に留まらず、その設計の背景や利用方法に関するヒントも提供しようとする姿勢を示しています。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Go言語のソースコード
  • GitHubのコミット履歴