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[インデックス 16726] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の標準ライブラリ go/format パッケージ内のテストファイル format_test.go における、失敗していたテストケースの修正(削除)に関するものです。具体的には、不正なGoプログラムのフォーマットをテストする際に使用されていた ERRORvar x というテストケースが削除されました。コミットメッセージには「fix failing test (fix build)」とあり、このテストがビルドを妨げていたか、あるいは単にテストが失敗していたために削除されたことを示唆しています。

コミット

commit dff0c194464bf23fc924242885843426a91b8969
Author: Robert Griesemer <gri@golang.org>
Date:   Wed Jul 10 14:19:35 2013 -0700

    go/format: fix failing test (fix build)
    
    R=khr
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/11131043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/dff0c194464bf23fc924242885843426a91b8969

元コミット内容

--- a/src/pkg/go/format/format_test.go
+++ b/src/pkg/go/format/format_test.go
@@ -90,7 +90,6 @@ var tests = []string{\n 	"\\n\\t\\t\\n\\n\\t\\t\\tx := 0\\n\\t\\t\\tconst s = `\\nfoo\\n`\\n\\n\\n", // no indentation inside raw strings\n \n 	// erroneous programs\n-\t"ERRORvar x",\n \t"ERROR1 + 2 +",\n \t"ERRORx :=  0",\n }\

変更の背景

このコミットの背景には、Go言語のコードフォーマッタである gofmt のテストスイートにおける問題がありました。gofmt はGo言語のソースコードを自動的に整形するためのツールであり、その動作は go/format パッケージによって提供されています。このパッケージには、正しいGoコードだけでなく、構文エラーを含む不正なGoコードが与えられた場合の gofmt の挙動をテストするためのケースも含まれています。

ERRORvar x というテストケースは、おそらく var x という宣言が不正な文脈で使用された場合の gofmt の挙動を検証するために存在していました。しかし、このテストケースが何らかの理由で失敗するようになり、それがビルドプロセス全体に影響を与えていた可能性があります(コミットメッセージの「fix build」がこれを強く示唆しています)。

考えられる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. go/format パッケージの変更: go/format パッケージの内部ロジックが変更され、ERRORvar x という入力に対する挙動が以前と異なったため、テストが期待する結果と合わなくなった。
  2. Go言語の構文解析器の変更: go/parser など、Go言語の構文解析を担当する部分に変更が加えられ、ERRORvar x のような不正なコードの解釈が変わった。
  3. テストの意図の変更: ERRORvar x という特定の不正なケースをテストする必要がなくなった、あるいはより一般的な不正なコードのテストケースで十分と判断された。
  4. テスト自体のバグ: テストケース自体に誤りがあり、本来失敗すべきでない状況で失敗していた。

いずれにせよ、このテストケースが継続的に失敗し、開発プロセスを妨げていたため、一時的または恒久的な解決策として削除されたと考えられます。

前提知識の解説

このコミットを理解するためには、以下のGo言語の概念とツールに関する知識が必要です。

1. go/format パッケージ

go/format はGo言語の標準ライブラリの一部であり、Goのソースコードを標準的な gofmt スタイルでフォーマットするための機能を提供します。このパッケージは、抽象構文木 (AST) を操作してコードを整形するため、単なるテキスト置換ではなく、Go言語の構文規則に基づいたインテリジェントなフォーマットが可能です。

主な機能は以下の通りです。

  • Goソースコードの整形
  • コメントの整形
  • インデントの調整
  • 空白文字の正規化

2. gofmt ツール

gofmtgo/format パッケージを基盤として構築されたコマンドラインツールです。Go言語のソースコードを自動的に整形し、Goコミュニティ全体で一貫したコーディングスタイルを強制するために広く使用されています。gofmt の利用は、以下のような多くの利点をもたらします。

  • 一貫性: プロジェクト内のすべてのコードが同じスタイルで書かれるため、可読性が向上します。
  • レビューの効率化: フォーマットに関する議論が不要になり、コードのロジックに集中できます。
  • 機械的な変更: gofmt は機械的にコードを整形するため、バージョン管理システムでの差分(diff)が意味のある変更のみに限定されます。これにより、コードの変更履歴がクリーンに保たれます。
  • gofix との連携: gofmt のような機械的な整形ツールは、Go言語のバージョンアップに伴うAPI変更などに対応するための自動修正ツール gofix の基盤ともなります。

3. Go言語のテストフレームワーク

Go言語には、標準ライブラリとして testing パッケージが提供されており、これを用いてユニットテストやベンチマークテストを記述します。テストファイルは通常、テスト対象のGoファイルと同じディレクトリに _test.go というサフィックスを付けて配置されます。

  • func TestXxx(t *testing.T): テスト関数は Test で始まり、*testing.T 型の引数を取ります。
  • t.Error() / t.Errorf(): テスト失敗を報告し、テストを継続します。
  • t.Fatal() / t.Fatalf(): テスト失敗を報告し、テストを即座に終了します。

このコミットで削除されたテストケースは、var tests = []string{...} という配列の一部として定義されており、これはテーブル駆動テスト (table-driven tests) の一種です。テーブル駆動テストは、複数の入力と期待される出力のペアを配列として定義し、ループで各ペアをテストするGoの一般的なテストパターンです。これにより、テストコードの重複を減らし、新しいテストケースの追加を容易にします。

4. GoのChange-ID (CL)

https://golang.org/cl/11131043 は、Goプロジェクトが使用しているコードレビューシステムであるGerritにおけるChange-IDを指します。Goプロジェクトでは、GitHubにプッシュされる前に、すべての変更がGerritを通じてレビューされます。各変更セット(コミット)には一意のChange-IDが割り当てられ、これによってレビュープロセスが追跡されます。

技術的詳細

このコミットは、src/pkg/go/format/format_test.go ファイル内の tests という文字列スライスから、"ERRORvar x", という要素を削除しています。

format_test.go ファイルには、go/format パッケージの Source 関数(または関連するフォーマット関数)の動作を検証するための様々なテストケースが含まれています。これらのテストケースは、正しいGoコードのフォーマット結果を検証するものと、不正なGoコードが与えられた場合の挙動(エラーを返すことなど)を検証するものの両方を含んでいます。

削除された行は、// erroneous programs というコメントの下にリストされている「不正なプログラム」のテストケースの一部でした。このセクションのテストケースは、go/format が不正な入力に対してどのように振る舞うかを検証することを目的としています。通常、go/format は不正な構文のコードをフォーマットしようとするとエラーを返します。

"ERRORvar x", という文字列は、テストフレームワークがこの入力に対してエラーを期待していることを示すマーカーであると推測されます。つまり、go/formatvar x というコードスニペット(おそらく文脈的に不正なもの)を与えたときに、エラーが返されることを期待するテストケースだったと考えられます。

このテストケースが削除された理由は、コミットメッセージの「fix failing test (fix build)」から、このテストが失敗しており、それがビルドプロセスに影響を与えていたためと明確に示されています。具体的な失敗の理由は、前述の「変更の背景」で挙げたような、go/format パッケージやGo言語の構文解析器の変更、あるいはテストケース自体の問題などが考えられます。

この変更は、go/format の機能そのものには影響を与えません。単に、特定の不正な入力に対するテストケースが削除されただけです。これは、テストスイートの健全性を維持し、継続的なインテグレーション/デリバリー (CI/CD) パイプラインがスムーズに動作するようにするための、一般的なメンテナンス作業の一環と見なすことができます。

コアとなるコードの変更箇所

変更は src/pkg/go/format/format_test.go ファイルの1行の削除のみです。

--- a/src/pkg/go/format/format_test.go
+++ b/src/pkg/go/format/format_test.go
@@ -90,7 +90,6 @@ var tests = []string{\n 	"\\n\\t\\t\\n\\n\\t\\t\\tx := 0\\n\\t\\t\\tconst s = `\\nfoo\\n`\\n\\n\\n", // no indentation inside raw strings\n \n 	// erroneous programs\n-\t"ERRORvar x",\n \t"ERROR1 + 2 +",\n \t"ERRORx :=  0",\n }\

具体的には、var tests = []string{...} の定義内で、// erroneous programs のセクションにあった \"ERRORvar x\", の行が削除されました。

コアとなるコードの解説

このコミットは、Go言語の go/format パッケージのテストファイル format_test.go から、特定のテストケースを削除するものです。

format_test.go は、go/format パッケージがGoソースコードを正しくフォーマットできることを保証するためのテストスイートです。このファイルには、tests という名前のグローバルな文字列スライスが定義されており、このスライスには様々なGoコードのスニペットが含まれています。これらのスニペットは、go/format のフォーマット関数に渡され、その出力が期待通りであるかどうかが検証されます。

tests スライスは、大きく分けて2つのカテゴリのテストケースを含んでいます。

  1. 正しいGoプログラム: これらのテストケースは、有効なGoコードが gofmt によってどのように整形されるかを検証します。例えば、インデント、空白、改行などが標準的なスタイルに沿っているかを確認します。
  2. 不正なGoプログラム (erroneous programs): これらのテストケースは、構文エラーを含むGoコードが gofmt に与えられた場合に、gofmt がどのように振る舞うかを検証します。通常、gofmt は不正なコードをフォーマットしようとするとエラーを返します。このセクションのテストケースは、"ERROR" というプレフィックスを持つ文字列で表現されており、これはテストフレームワークがこの入力に対してエラーが返されることを期待していることを示唆しています。

削除された \"ERRORvar x\", は、後者の「不正なGoプログラム」のカテゴリに属していました。このテストケースは、var x というコードスニペットが特定の文脈で不正であると見なされる場合に、go/format がエラーを返すことを検証していました。

この行が削除された直接的な理由は、コミットメッセージにあるように「failing test (fix build)」つまり、このテストが失敗しており、それがビルドプロセスを妨げていたためです。テストが失敗するようになった原因は、go/format パッケージ自体の変更、Go言語の構文解析器の変更、あるいはテストケース自体の不正確さなど、いくつか考えられます。いずれにせよ、このテストケースが現在のGoのツールチェインの挙動と一致しなくなったため、テストスイートの健全性を保つために削除されたと理解できます。

この変更は、go/format の機能的な動作には影響を与えません。単に、特定の不正な入力に対するテストケースがテストスイートから除外されただけです。これは、ソフトウェア開発におけるテストのメンテナンスの一環であり、テストがコードベースの現在の状態を正確に反映し、CI/CDパイプラインがスムーズに動作することを保証するために行われます。

関連リンク

参考にした情報源リンク

  • Go言語の公式ドキュメント
  • Go言語のソースコードリポジトリ (GitHub)
  • Gerrit Go Code Review (Change-IDの検索)
  • gofmt に関するGoブログ記事
  • Go言語のテストに関する一般的な情報源
  • Web検索結果 (go/format golang cl 11131043)
    • go.dev (https://vertexaisearch.cloud.google.com/grounding-api-redirect/AUZIYQGD4ZdkVv2X7R0ahLaQ9kRILeFOY52neWnkPgHD04DWdB9LXxgClXjccI9NP1vHi5EPivyDyVT2v1coyrilw5tq8RmCtv5xakNtACKANFdSIeTIs-TA9g==)
    • go.dev (https://vertexaisearch.cloud.google.com/grounding-api-redirect/AUZIYQH3RRgcQSKzZL6g3f6nxNFio9VNyYi2713GPgmXkbBdp8lurmYpukk-JmORLeyv00emO_4fNo5QMUX3ZfpHU3urY5iA49Qg_bBgSG07TMuh-FKYqA==)