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[インデックス 16792] ファイルの概要

このコミットは、Go言語の公式ドキュメントであるdoc/effective_go.html内の記述を修正するものです。具体的には、環境変数GOROOTへの参照をGOPATHへの参照に置き換えることで、より適切で現代的なGo開発環境の慣習に合わせることを目的としています。

コミット

commit deee03f17eee3bf8c8d6a607d413b8141c0f0714
Author: Dave Cheney <dave@cheney.net>
Date:   Wed Jul 17 18:48:55 2013 +1000

    doc/effective_go: stamp out stray GOROOT reference
    
    Replaced with something more appropriate.
    
    R=adg, r, minux.ma
    CC=golang-dev
    https://golang.org/cl/11421043

GitHub上でのコミットページへのリンク

https://github.com/golang/go/commit/deee03f17eee3bf8c8d6a607d413b8141c0f0714

元コミット内容

doc/effective_go: stamp out stray GOROOT reference

Replaced with something more appropriate.

R=adg, r, minux.ma
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/11421043

変更の背景

この変更の背景には、Go言語の進化と、開発環境におけるベストプラクティスの確立があります。初期のGo開発では、GOROOTという環境変数がGoのインストールディレクトリを指し、Goのツールチェインや標準ライブラリの場所を特定するために使用されていました。しかし、Goのプロジェクト管理と依存関係解決の仕組みが成熟するにつれて、ユーザーが自身のGoプロジェクトのソースコードやバイナリ、パッケージを配置する場所を管理するためのGOPATHという概念が導入され、その重要性が増しました。

GOROOTはGoのインストールパスであり、通常はユーザーが直接変更するものではありません。Goのバージョンアップグレードや異なるGoバージョンの切り替え時にのみ関連します。一方、GOPATHはユーザーが開発するGoプロジェクトのワークスペースを定義するものであり、Goのソースコードの取得(go get)、ビルド、テストなど、日常的な開発作業の中心となります。

Effective Goは、Go言語を効果的に記述するためのガイドラインを提供する重要なドキュメントです。このドキュメント内で、ユーザーが設定する可能性のある環境変数の例としてGOROOTが挙げられていることは、当時のGoの慣習を反映しているものの、GOPATHの役割がより中心的になるにつれて、誤解を招く可能性がありました。このコミットは、Effective Goの記述を現代のGo開発のベストプラクティスに合わせ、ユーザーが自身のコードを管理する上でより関連性の高いGOPATHを参照するように修正することを目的としています。これにより、ドキュメントの正確性と実用性が向上します。

前提知識の解説

Go言語の環境変数: GOROOTとGOPATH

Go言語の開発環境を理解する上で、GOROOTGOPATHという2つの重要な環境変数を把握しておく必要があります。

  1. GOROOT:

    • 定義: GOROOTはGoのインストールディレクトリを指す環境変数です。Goのコンパイラ、標準ライブラリ、ツールチェインなどがこのディレクトリに格納されています。
    • 役割: Goの実行ファイル(goコマンドなど)や標準パッケージのソースコードの場所をGoツールチェインに教える役割があります。
    • 設定: 通常、Goをインストールすると自動的に設定されるか、インストーラーによって推奨される場所に配置されます。ユーザーが手動で設定することは稀であり、Goのバージョンを切り替える場合などにのみ変更されることがあります。
    • 重要性: Goのビルドシステムが正しく機能するために不可欠ですが、開発者が日常的に意識したり変更したりするものではありません。
  2. GOPATH:

    • 定義: GOPATHは、Goのワークスペース(作業ディレクトリ)を指す環境変数です。Goのソースコード、コンパイルされたパッケージ、実行可能バイナリがこのワークスペース内に配置されます。
    • 役割:
      • ソースコードの管理: go getコマンドで取得した外部パッケージのソースコードは、$GOPATH/src以下に配置されます。また、ユーザーが開発する自身のプロジェクトのソースコードも通常、このディレクトリ以下に置かれます。
      • パッケージのキャッシュ: コンパイルされたパッケージファイル(.aファイル)は$GOPATH/pkg以下にキャッシュされ、ビルド時間の短縮に貢献します。
      • バイナリの出力: go installコマンドでビルドされた実行可能ファイルは$GOPATH/bin以下に配置され、このディレクトリをPATHに追加することで、どこからでもコマンドとして実行できるようになります。
    • 設定: ユーザーが自身の開発環境に合わせて自由に設定できます。複数のパスを設定することも可能で、Goツールはそれらのパスを順に検索します。
    • 重要性: Go Modulesが導入される以前は、GOPATHはGoプロジェクトの依存関係管理とビルドの根幹をなす非常に重要な概念でした。Go Modules導入後も、GOPATHはGoツールがソースコードやバイナリをどこに配置するかを決定する上で依然として重要な役割を果たしています。

Effective Goドキュメント

Effective Goは、Go言語の公式ドキュメントの一部であり、Go言語のイディオム、ベストプラクティス、設計原則について解説しています。Go言語のコードを効果的かつ効率的に記述するための指針を提供し、Goプログラマーがより良いコードを書くための手助けをします。このドキュメントは、Go言語の設計思想を理解し、Goらしいコードを書く上で非常に価値のあるリソースです。

このコミットは、Effective Go内のコード例が、Go開発の現在の慣習とより一致するように更新されたことを示しています。

技術的詳細

このコミットは、doc/effective_go.htmlファイル内のGoコードスニペットとコメントを修正することで、GOROOTへの参照をGOPATHに置き換えています。

具体的には、以下の3つの変更が行われています。

  1. 環境変数goRootgopathへの変更:

    • 元のコードでは、os.Getenv("GOROOT")を呼び出してgoRootという変数に格納していました。
    • 変更後、os.Getenv("GOPATH")を呼び出してgopathという変数に格納するように修正されています。
    • これは、ユーザーが設定する可能性のある環境変数の例として、GoのインストールパスであるGOROOTよりも、ユーザーのワークスペースパスであるGOPATHの方が適切であるという判断に基づいています。
  2. デフォルトパスの生成ロジックの変更:

    • 元のコードでは、goRootが空の場合にhome + "/go"をデフォルト値として設定していました。
    • 変更後、gopathが空の場合にhome + "/go"をデフォルト値として設定するように修正されています。
    • これは、Goの慣習として、ユーザーのホームディレクトリ直下のgoディレクトリがデフォルトのGOPATHとして使用されることが多いため、この例がより現実的であることを示しています。
  3. コマンドラインフラグの変数名と説明の変更:

    • 元のコードでは、flag.StringVar(&goRoot, "goroot", goRoot, "Go root directory")として、--gorootフラグでgoRoot変数を上書きする例を示していました。
    • 変更後、flag.StringVar(&gopath, "gopath", gopath, "override default GOPATH")として、--gopathフラグでgopath変数を上書きする例に修正されています。
    • これにより、コマンドライン引数でGoのワークスペースパスを上書きする一般的なユースケースが示され、ドキュメントの関連性が向上しています。

これらの変更は、Go言語のドキュメントが、Go開発の進化とベストプラクティスに合わせて継続的に更新されていることを示しています。特に、GOPATHがGoプロジェクトの管理において中心的な役割を果たすようになった時期において、この修正は非常に重要でした。

コアとなるコードの変更箇所

--- a/doc/effective_go.html
+++ b/doc/effective_go.html
@@ -1915,7 +1915,7 @@ initializer can be a general expression computed at run time.
 var (
     home   = os.Getenv("HOME")
     user   = os.Getenv("USER")
-    goRoot = os.Getenv("GOROOT")
+    gopath = os.Getenv("GOPATH")
 )
 </pre>
 
@@ -1944,11 +1944,11 @@ func init() {
     if home == "" {
         home = "/home/" + user
     }
-    if goRoot == "" {
-        goRoot = home + "/go"
+    if gopath == "" {
+        gopath = home + "/go"
     }
-    // goRoot may be overridden by --goroot flag on command line.
-    flag.StringVar(&amp;goRoot, "goroot", goRoot, "Go root directory")
+    // gopath may be overridden by --gopath flag on command line.
+    flag.StringVar(&amp;gopath, "gopath", gopath, "override default GOPATH")
 }
 </pre>
 

コアとなるコードの解説

上記のdiffは、doc/effective_go.htmlファイル内の特定のGoコードスニペットに対する変更を示しています。

  1. varブロック内の変更:

    -    goRoot = os.Getenv("GOROOT")
    +    gopath = os.Getenv("GOPATH")
    

    この部分では、Goプログラム内で環境変数を読み込む例が示されています。変更前はGOROOT環境変数を読み込み、goRootという変数に代入していました。変更後はGOPATH環境変数を読み込み、gopathという変数に代入しています。これは、Goのドキュメントが、ユーザーが設定する可能性のある環境変数の例として、Goのインストールパス(GOROOT)よりも、ユーザーのワークスペースパス(GOPATH)の方がより適切であるという認識に変わったことを示しています。

  2. init関数内の変更:

    -    if goRoot == "" {
    -        goRoot = home + "/go"
    +    if gopath == "" {
    +        gopath = home + "/go"
    

    この部分では、環境変数が設定されていない場合のデフォルト値のロジックが示されています。変更前はgoRootが空の場合にhome + "/go"をデフォルト値としていました。変更後はgopathが空の場合にhome + "/go"をデフォルト値としています。これは、Goの慣習として、ユーザーのホームディレクトリ直下のgoディレクトリがデフォルトのGOPATHとして使用されることが多いため、この例がより現実的であることを示しています。

    -    // goRoot may be overridden by --goroot flag on command line.
    -    flag.StringVar(&amp;goRoot, "goroot", goRoot, "Go root directory")
    +    // gopath may be overridden by --gopath flag on command line.
    +    flag.StringVar(&amp;gopath, "gopath", gopath, "override default GOPATH")
    

    この部分では、Goのflagパッケージを使用してコマンドライン引数を解析する例が示されています。変更前は--gorootというフラグでgoRoot変数を上書きする例を示していました。変更後は--gopathというフラグでgopath変数を上書きする例に修正されています。これにより、コマンドライン引数でGoのワークスペースパスを上書きする一般的なユースケースが示され、ドキュメントの関連性が向上しています。

これらの変更は、Go言語のドキュメントが、Go開発の進化とベストプラクティスに合わせて継続的に更新されていることを明確に示しています。特に、GOPATHがGoプロジェクトの管理において中心的な役割を果たすようになった時期において、この修正は非常に重要でした。

関連リンク

参考にした情報源リンク