[インデックス 16895] ファイルの概要
このコミットは、Go言語の公式ドキュメントである effective_go.html
内のコードスニペットのフォーマットを改善することを目的としています。具体的には、演算子の周りのスペースの追加や、マップリテラルの宣言における型と波括弧の間のスペースの調整など、視覚的な一貫性と可読性を向上させるための変更が行われています。
コミット
commit d26d5e6403613f989e123ee492bd8d63c113e725
Author: Rémy Oudompheng <oudomphe@phare.normalesup.org>
Date: Mon Jul 29 00:57:19 2013 +0200
effective_go.html: make snippets look formatted.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/11991043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/d26d5e6403613f989e123ee492bd8d63c113e725
元コミット内容
effective_go.html: make snippets look formatted.
R=golang-dev, bradfitz
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/11991043
変更の背景
このコミットの背景には、Go言語の公式ドキュメントである effective_go.html
内に埋め込まれたコードスニペットの可読性と一貫性を向上させるという明確な意図があります。プログラミング言語のドキュメントにおいて、コード例は非常に重要な役割を果たします。コード例が適切にフォーマットされていないと、読者はコードの構造を理解しにくくなり、誤解を招く可能性もあります。
当時のGo言語のコーディングスタイルガイドライン(gofmt
ツールによって強制されるものを含む)に沿って、ドキュメント内のコードスニペットも同様に整形されるべきであるという認識があったと考えられます。特に、演算子の周りのスペースや、マップリテラルの宣言におけるスペースの有無は、Go言語の慣習的なフォーマットにおいて重要な要素です。これらの微細な変更は、ドキュメント全体の品質とプロフェッショナリズムを高め、読者がより快適に学習できる環境を提供することを目的としています。
前提知識の解説
このコミットの変更内容を理解するためには、以下の前提知識が役立ちます。
- HTML (HyperText Markup Language):
effective_go.html
はHTMLファイルであり、ウェブブラウザで表示されるドキュメントです。HTMLはウェブページの構造を定義するためのマークアップ言語であり、このコミットではHTMLファイル内の<pre>
タグで囲まれたコードスニペットが変更されています。 - Go言語の基本的な構文とコーディングスタイル:
- 演算子のスペース: Go言語では、二項演算子(
+
,-
,*
,/
,=
,==
,!=
,<
,>
,<=
,>=
,&&
,||
など)の前後には通常スペースを入れます。これにより、式の可読性が向上します。例えば、x = x*10 + int(b[i])-'0'
はx = x * 10 + int(b[i]) - '0'
のようにスペースを入れるのが一般的です。 - マップリテラル: Go言語のマップリテラル(
map[keyType]valueType{...}
)では、型と波括弧の間にスペースを入れるのが慣習的です。例えば、map[string] int {
ではなくmap[string]int{
のように記述します。これは、gofmt
ツールが推奨するフォーマットでもあります。 gofmt
:gofmt
はGo言語のソースコードを自動的にフォーマットするツールです。Goコミュニティでは、gofmt
によって整形されたコードが標準的なスタイルとされており、これによりコードベース全体の一貫性が保たれます。ドキュメント内のコードスニペットも、このgofmt
の出力に合わせることが望ましいとされています。
- 演算子のスペース: Go言語では、二項演算子(
effective_go.html
: これはGo言語の公式ドキュメントの一部であり、「Effective Go」として知られています。Go言語を効果的に書くためのヒントや慣習、ベストプラクティスがまとめられています。このドキュメントは、Goプログラマーにとって非常に重要なリソースです。
技術的詳細
このコミットは、doc/effective_go.html
ファイル内のGo言語のコードスニペットのフォーマットを修正しています。変更は主に以下の3つのパターンに分類できます。
- 演算子周りのスペースの追加:
- 変更前:
x = x*10 + int(b[i])-'0'
- 変更後:
x = x*10 + int(b[i]) - '0'
- この変更では、
int(b[i])-'0'
の部分がint(b[i]) - '0'
に修正されています。これは、減算演算子-
の前後にスペースを追加することで、式の可読性を向上させるためのものです。Go言語の慣習では、二項演算子の前後にはスペースを入れることが推奨されており、gofmt
もこのスタイルを適用します。
- 変更前:
- マップリテラルの型と波括弧の間のスペースの削除:
- 変更前:
var timeZone = map[string] int {
- 変更後:
var timeZone = map[string]int{
- この変更では、
map[string] int
のint
と{
の間のスペースが削除されています。Go言語のマップリテラルでは、キーと値の型指定の後にスペースを入れずに波括弧{
を続けるのが標準的なフォーマットです。これもgofmt
が適用するルールの一つです。
- 変更前:
- 条件式における演算子周りのスペースの追加:
- 変更前:
if pos==0 {
- 変更後:
if pos == 0 {
- この変更では、等価演算子
==
の前後にスペースが追加されています。これも、演算子の周りにスペースを入れるというGo言語の一般的なコーディングスタイルに合わせたものです。
- 変更前:
これらの変更は、コードの機能には一切影響を与えません。純粋にドキュメント内のコードスニペットの視覚的な整形と、Go言語の標準的なコーディングスタイルへの準拠を目的としています。これにより、読者はより自然で慣習的なGoコードの例を見ることができ、Go言語のスタイルガイドラインを無意識のうちに学ぶことができます。
コアとなるコードの変更箇所
変更は doc/effective_go.html
ファイルのみに集中しています。
--- a/doc/effective_go.html
+++ b/doc/effective_go.html
@@ -882,7 +882,7 @@ func nextInt(b []byte, i int) (int, int) {
}\n
x := 0\n
for ; i < len(b) && isDigit(b[i]); i++ {\n
- x = x*10 + int(b[i])-\'0\'\n
+ x = x*10 + int(b[i]) - \'0\'\n
}\n
return x, i\n
}\n
@@ -1496,7 +1496,7 @@ with colon-separated key-value pairs,\n
so it\'s easy to build them during initialization.\n
</p>\n
<pre>\n
-var timeZone = map[string] int {\n
+var timeZone = map[string]int{\n
\"UTC\": 0*60*60,\n
\"EST\": -5*60*60,\n
\"CST\": -6*60*60,\n
@@ -1523,7 +1523,7 @@ Set the map entry to <code>true</code> to put the value in the set, and then\n
test it by simple indexing.\n
</p>\n
<pre>\n
-attended := map[string] bool {\n
+attended := map[string]bool{\n
\"Ann\": true,\n
\"Joe\": true,\n
...\n
@@ -3437,7 +3437,7 @@ the parse stack by hand:\n
</p>\n
\n
<pre>\n
-if pos==0 {\n
+if pos == 0 {\n
re.error(\"\'*\' illegal at start of expression\")\n
}\n
</pre>\n
コアとなるコードの解説
上記の差分は、effective_go.html
内の4つの異なる箇所でコードスニペットのフォーマットが変更されたことを示しています。
func nextInt
スニペット内:x = x*10 + int(b[i])-'0'
がx = x*10 + int(b[i]) - '0'
に変更されました。- これは、文字
'0'
を整数に変換して減算する際に、減算演算子-
の前後にスペースを追加し、可読性を高めています。
var timeZone
マップ宣言スニペット内:var timeZone = map[string] int {
がvar timeZone = map[string]int{
に変更されました。- マップの型
map[string]int
と波括弧{
の間のスペースが削除され、Go言語の標準的なマップリテラルのフォーマットに準拠しています。
attended
マップ宣言スニペット内:attended := map[string] bool {
がattended := map[string]bool{
に変更されました。- これも上記と同様に、マップの型
map[string]bool
と波括弧{
の間のスペースが削除され、標準フォーマットに合わせられています。
if pos==0
条件式スニペット内:if pos==0 {
がif pos == 0 {
に変更されました。- 等価演算子
==
の前後にスペースが追加され、条件式の可読性が向上しています。
これらの変更はすべて、Go言語のコーディングスタイルガイドライン、特に gofmt
ツールが推奨するフォーマットに沿ったものです。ドキュメント内のコード例が実際のGoコードの慣習と一致することで、読者はより正確なGo言語の書き方を学ぶことができます。
関連リンク
- Go言語の公式ドキュメント「Effective Go」:
- Go言語の公式ドキュメント「Go Code Review Comments」:
- https://go.dev/wiki/CodeReviewComments
- このドキュメントには、Go言語のコーディングスタイルに関する詳細なガイドラインが含まれており、本コミットの変更の根拠となる情報が記載されています。
- Go言語の
gofmt
ツール:gofmt
はGo言語のソースコードを自動的にフォーマットするツールです。本コミットの変更は、gofmt
の出力に合わせることを意図しています。
参考にした情報源リンク
- Go言語の公式ドキュメント: 上記の「関連リンク」セクションに記載されている公式ドキュメントは、本解説の背景と技術的詳細を理解する上で主要な情報源となりました。
- Go言語のコーディングスタイルに関する一般的な情報: Go言語のコミュニティで広く受け入れられているコーディングスタイルに関する知識は、本コミットの意図を解釈する上で不可欠でした。
- GitHubのコミットページ: コミットメッセージ、差分、および関連するCL(Change List)へのリンクは、コミットの直接的な情報源です。
- Go CL 11991043: コミットメッセージに記載されているGoのChange Listへのリンク。
- https://golang.org/cl/11991043
- このリンクは、コミットがGoのコードレビューシステムでどのように議論され、承認されたかを示す追加のコンテキストを提供します。