[インデックス 16977] ファイルの概要
このコミットは、Goプロジェクトのドキュメンテーション関連ファイルからjquery.js
とstyle.css
を削除するものです。これらのファイルは、go.tools/cmd/godoc/template
へ移動されたことが示されており、Goのドキュメンテーションツールであるgodoc
の構造変更または整理の一環として行われたと考えられます。
コミット
commit ffb62d58a3b5cb560afa3950ccf80f1a5ae2394a
Author: Andrew Gerrand <adg@golang.org>
Date: Thu Aug 1 17:36:45 2013 +1000
doc: remove jquery.js and style.css
Somehow missed these. Moved to go.tools/cmd/godoc/template.
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/12234043
GitHub上でのコミットページへのリンク
https://github.com/golang/go/commit/ffb62d58a3b5cb560afa3950ccf80f1a5ae2394a
元コミット内容
doc: remove jquery.js and style.css
Somehow missed these. Moved to go.tools/cmd/godoc/template.
R=golang-dev
CC=golang-dev
https://golang.org/cl/12234043
変更の背景
このコミットの背景には、Goプロジェクトのドキュメンテーション生成ツールであるgodoc
の構造的な変更と、それに伴うリソースファイルの配置の整理があります。元々doc/
ディレクトリに直接配置されていたjquery.js
(JavaScriptライブラリ)とstyle.css
(スタイルシート)は、godoc
がHTMLドキュメントを生成する際に使用するテンプレートの一部として機能していました。
コミットメッセージにある「Somehow missed these.」という記述から、これらのファイルが以前の関連するリファクタリングや移動作業で見落とされていた可能性が示唆されます。そして、「Moved to go.tools/cmd/godoc/template.」とあるように、これらのファイルはgo.tools
リポジトリ内のcmd/godoc/template
ディレクトリに移動されました。
これは、Goプロジェクトがそのツール群(go.tools
)をより独立した形で管理し、メインのGoリポジトリ(golang/go
)からドキュメンテーション生成に関連するアセットを分離する動きの一環と考えられます。これにより、godoc
ツールとその依存関係がより明確に定義され、メインリポジトリの肥大化を防ぎ、関心の分離を促進する狙いがあったと推測されます。
前提知識の解説
このコミットを理解するためには、以下の前提知識が役立ちます。
-
Go言語のドキュメンテーションシステム (
godoc
):- Go言語には、ソースコードから直接ドキュメンテーションを生成する
godoc
というツールが標準で提供されています。 godoc
は、Goのソースコード内のコメント(特にエクスポートされた識別子に付随するコメント)を解析し、HTML形式で整形されたドキュメンテーションを生成します。- このドキュメンテーションは、Goの公式ウェブサイト(pkg.go.devなど)で公開されているものと同じ形式であり、開発者がローカルでパッケージのドキュメントを参照する際にも利用されます。
godoc
は、生成するHTMLの見た目を整えるために、CSSファイルやJavaScriptファイルなどの静的アセットを使用します。
- Go言語には、ソースコードから直接ドキュメンテーションを生成する
-
go.tools
リポジトリ:- Goプロジェクトは、メインのGo言語本体のリポジトリ(
golang/go
)とは別に、公式ツール群を管理するためのgolang/tools
リポジトリ(通称go.tools
)を持っています。 - この
go.tools
リポジトリには、goimports
、gorename
、gopls
(Go言語サーバー)など、Go開発を支援する様々なツールが含まれています。 godoc
ツール自体も、このgo.tools
リポジトリの一部として開発・管理されています。
- Goプロジェクトは、メインのGo言語本体のリポジトリ(
-
jquery.js
とstyle.css
:jquery.js
: JavaScriptの軽量なライブラリであり、DOM操作、イベントハンドリング、アニメーション、Ajax通信などを簡潔に記述するための機能を提供します。ウェブアプリケーション開発で広く利用されています。godoc
が生成するドキュメントのインタラクティブな要素(例えば、コードのハイライト表示やナビゲーション)に利用されていた可能性があります。style.css
: ウェブページの見た目(レイアウト、色、フォントなど)を定義するためのスタイルシート言語です。godoc
が生成するHTMLドキュメントの視覚的なスタイルを定義するために使用されていました。
このコミットは、godoc
が使用するこれらの静的アセットが、メインのGoリポジトリから、godoc
ツール自体が管理されているgo.tools
リポジトリ内の適切な場所へ移動されたことを意味します。
技術的詳細
このコミットは、Goプロジェクトのファイル構造と依存関係の整理という観点から技術的な意味を持ちます。
-
ファイルの移動と削除:
doc/jquery.js
とdoc/style.css
が削除されました。これは、これらのファイルがもはやgolang/go
リポジトリのdoc/
ディレクトリに存在しないことを意味します。- コミットメッセージによると、これらのファイルは
go.tools/cmd/godoc/template
に移動されました。これは、godoc
ツールがHTMLドキュメントを生成する際に使用するテンプレートファイルや関連アセットが、godoc
のソースコードと同じリポジトリ(go.tools
)内の専用の場所に集約されたことを示します。
-
関心の分離とモジュール性:
- Goのメインリポジトリは、Go言語のコア、標準ライブラリ、および基本的なツールを含んでいます。一方、
go.tools
リポジトリは、より専門的な開発ツールに特化しています。 - この変更は、
godoc
が生成するドキュメントの見た目に関するアセット(CSSやJS)を、godoc
ツール自身の管理下に置くことで、関心の分離を促進します。これにより、Go言語のコア開発とツールの開発がより独立して進められるようになります。 godoc
のテンプレートや静的アセットがgo.tools
に移動されたことで、godoc
のビルドプロセスやデプロイメントが、これらのアセットを直接参照するようになります。
- Goのメインリポジトリは、Go言語のコア、標準ライブラリ、および基本的なツールを含んでいます。一方、
-
ビルドシステムへの影響:
- この変更は、
godoc
のビルドプロセスに影響を与えます。以前はgolang/go
リポジトリ内のdoc/
からこれらのアセットを参照していたかもしれませんが、今後はgo.tools
リポジトリ内のcmd/godoc/template
から参照するように変更されたはずです。 - これにより、
godoc
のビルド時に必要なアセットがすべてgo.tools
リポジトリ内で完結するようになり、依存関係の管理が簡素化されます。
- この変更は、
-
歴史的経緯と進化:
- Goプロジェクトは、初期の頃から継続的にコードベースの整理とリファクタリングを行っています。このコミットは、その過程で発生した小さな、しかし重要な構造的改善の一つです。
- このような変更は、プロジェクトの長期的な保守性、拡張性、および開発効率の向上に寄与します。
コアとなるコードの変更箇所
このコミットは、既存のファイルを削除する変更のみを含んでいます。具体的なコードの追加や修正はありません。
doc/jquery.js
: ファイル全体が削除されました。doc/style.css
: ファイル全体が削除されました。
これらのファイルは、それぞれ540行と2行の削除として記録されています。
コアとなるコードの解説
このコミットにおける「コアとなるコードの変更」は、ファイルの削除そのものです。
-
doc/jquery.js
の削除:- このファイルは、
godoc
が生成するHTMLドキュメントにインタラクティブな機能を提供するために使用されていたjQueryライブラリのコードを含んでいました。 - 削除されたことで、
godoc
は今後、このパスからjQueryを読み込むことはなくなります。代わりに、go.tools/cmd/godoc/template
に移動されたjQueryのコピー、または別の方法で提供されるjQueryを使用するようになります。
- このファイルは、
-
doc/style.css
の削除:- このファイルは、
godoc
が生成するHTMLドキュメントの視覚的なスタイルを定義するためのCSSルールを含んでいました。 - 削除されたことで、
godoc
は今後、このパスからスタイルシートを読み込むことはなくなります。同様に、go.tools/cmd/godoc/template
に移動されたCSSファイル、または別の方法で提供されるCSSを使用するようになります。
- このファイルは、
これらの削除は、単なるファイルの削除ではなく、godoc
の静的アセットの管理場所が変更されたことを意味します。これにより、Goのメインリポジトリとgo.tools
リポジトリ間の依存関係がより明確になり、それぞれの役割が分離されました。
関連リンク
- Go言語の公式ドキュメンテーション: https://go.dev/doc/
godoc
ツールのソースコード(golang/tools
リポジトリ内): https://github.com/golang/tools/tree/master/cmd/godocgolang/tools
リポジトリ: https://github.com/golang/tools- Go Code Review Comments (Goのコードレビュープロセスに関する情報): https://go.dev/wiki/CodeReviewComments
参考にした情報源リンク
- GitHubのコミットページ: https://github.com/golang/go/commit/ffb62d58a3b5cb560afa3950ccf80f1a5ae2394a
- Go CL 12234043: https://golang.org/cl/12234043 (このコミットに対応するGoのコードレビューシステム上の変更リスト)
- jQuery公式サイト: https://jquery.com/
- CSS (Cascading Style Sheets) に関する情報: https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/CSS
- Go言語のドキュメンテーションに関する一般的な情報源 (例: Go公式ブログ、Go Wikiなど)